トルクメニスタン料理
トルクメニスタン料理とは、トルクメニスタンとその周辺国で食されている料理であり、本項ではその概要を述べる。
特徴
中央アジアに位置するウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、カザフスタンといった国々の食文化と類似点が見られる。プロフ (Plov) は主食として毎日の食卓に上る料理であり、結婚式などの慶事の際にも振舞われる事が多い。プロフは羊肉、人参、米などをダッチオーブンに似た鉄製の大釜で炒めた後、炊きあげて作る。マンティはひき肉や玉ねぎ、かぼちゃなどの具材を包んだ餃子に近い料理である。シュルパは肉と野菜を煮込んだスープである。パイ包みやマンティ、サムサ、グタプ (Gutap、ホウレンソウが中に入っていることが多い)、イシュリクリ (ishlykly)などの幅広い料理がレストランやバザールで見ることができる。これらの料理は移動の際にも食べることができることから観光客やタクシードライバーに人気があり、しばしば道端の屋台で見かけることができる。トルクメニスタン料理では香辛料やシーズニングの多用はあまり一般的ではなく、料理の香りづけにはコットンシードオイルを多用することが多い。
豚肉、鶏肉、魚肉を木炭を用いて焼き、輪切りにした生の玉ねぎやビネガーを使ったソースを添えたシャシリクはレストランで一般的に見られる他、通りの屋台でも販売されている。トルクメニスタンのレストランでは主にペリメニやグレチュカ、ゴルブツィー、マヨネーズをベースにした多様なサラダなどのロシア料理が提供されることが多い。ウイグルの麺料理であるラグマンも屋台などで見かけることができる。
メロン
食の領域において、トルクメニスタンの特産品と呼べるものはソビエト連邦時代に大規模な栽培が行われていたメロンである。現在では輸出量が減少しているものの[1]、トルクメニスタンにおいて国の誇りをかけた特産品と呼べるものであり、トルクメニスタンにはメロンの日という祝日がある。トルクメニスタン政府によれば、国内では400以上の品種のメロンが栽培されているという。
パン
食事は必ずといっていいほど中央アジアの平たいパンであるナーン (çörek) とともに供される。トルクメニスタンのパンは中央アジアの他地域のパンよりも若干薄く、伝統的なタンディールと呼ばれる釜で焼いて作られる。パンはトルクメニスタン料理において象徴的な料理であり[2]、パンをないがしろにするような食べ方は行儀が悪いと考えられている。また、パンの準備の仕方やその供出方法には多くのしきたりがある。肉を中に詰めたパン (etli çörek) は単独の料理として供されることがある。 Ýagly çörek (油パン) はバターを使用して薄焼きパンを何層にも重ねたものである。
飲料
中央アジアの他の国々と同じく、緑茶が飲まれることが多く、時間に関係なく飲用する。トルクメン語ではチャイ (茶) と呼び、食事中や旅行の休憩など様々な場面で飲用される。ダショグズ地方では、飲料水に多量の塩分が含まれていることが多いことから、牛乳をカザフスタイルで飲用することが多い。
ケフィアに似たヨーグルト状飲料のガツィク (Gatyk)は朝食で提供されることが多く、 ベレク(börek)の調味料として、もしくは伝統的なサワークリームの代わりにマンティの上にかけて食べることが多い。しかし、国民的な飲料と呼ばれるものはラクダの乳を発酵させたチャルであり、酸味のある白い発酵飲料である[3]。チャルは作成に特殊な工程が必要である上に日持ちがしないことから、チャルを国外へと輸出する際には大きな困難が伴う[4]。チャルはキルギスの飲料であるショロ (shoro) に類似点が見られる。トルクメン人はチャルの表面からアガラン (agaran、バターの一種) を取り出すことを好むとされている[5]。
チャルの作成方法やその冷却効果に関しては以下の様な記述がある。
"トルクメニスタン料理はウシやラクダなどを用いた日常食にその真髄が見られる。私はラクダの発酵乳として有名なチャルを飲み、体の激しい暑さがすっと冷えると感じた。チャルを作るためには、ラクダの乳を脱脂したものを水で薄めた後しばらく発酵させる (脱脂後に残ったクリームを発酵させると栄養価の高いアガランとなる"[6]。
酒
ヴォトカは低価格であるためトルクメニスタン国内で最も人気のある酒である。続いて、ビール、ワイン、ブランデー、スパークリングワイン (шампанское)の順に人気がある。
関連項目
脚注
- ^ Turkmenistan: Country Report to the FAO International Technical Conference on Plant Genetic Resource, Leipzig, 1996, p. 6. Retrieved April 15, 2008
- ^ Sacred Words "Tamdyr" and "Chorek" Paseviev, Ikar. Retrieved April 15, 2008
- ^ Anatoly Khazanov, Nomads and the outside world, Second edition, University of Wisconsin Press, 1994, p. 49
- ^ Great Culinary Dictionary. "Chal" in Russian, retrieved April 11, 2007
- ^ I.Barkhanov. Neutral Turkmenistan newspaper, in Russian, August 9, 2001.
- ^ Goldstein, Darra, Professor of Russian at Williams College, Turkmenistan on a plate, Saudi Aramco World magazine, January/February 2006, pp. 10-19.
外部リンク
- Vopr Pitan. "Chemical composition of chal (fermented camel's milk)", 1954 Jul-Aug;13(4):41-2
- Martinenko, N.l., Yagodinskaya, S.G., Adhundov, A.A., Charyev, K.C. and Khumedov, O. (1977). Content of trace elements, copper, manganese, molybdenum in culture of chal and camel's milk and their cilnical significance. Dairy Sci. Abst., 40(7802), p. 824
- B. Faye and P. Esenov (eds.). Desertification Combat and Food Safety. The Added Value of Camel Producers. Volume 362 NATO Science Series: Life and Behavioural Sciences. OS Press Publication, February 2005, 240 pp., hardcover, ISBN 1-58603-473-1
- Filip Noubel, "GOLDEN CENTURY OF THE TURKMENS:" A BLEAK PICTURE OF VILLAGE LIFE IN THE DESERT. EurasiaNet photo essay, 2002-10-25
- Turkmen dining
- http://www.excite.es/viajes/guias/asia/turkmenistan/Conventiones_Sociales