ティーカップ

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スコットランドのティーカップ

ティーカップ teacup )とは、洋食器の1種で、紅茶を飲むためのコップである。その形状は、紅茶を入れるために工夫されてきた。基本的に紅茶は熱い飲み物なので、100℃の温度に耐えられるようになっている。なお、18世紀の終り頃までは取っ手が無く、筒状であった。また、フット(別名、スカート)と言って、ソーサーとカップの底との間に密閉された空間を作る部分が存在するティーカップが正式なもの、それがないと略式なものとなる。フットがあることによって、カップに入れられた紅茶の保温に役立つ。

紅茶用とコーヒー用の区別

元々は、西欧に紅茶やコーヒーが入ってきた頃は、紅茶用とコーヒー用の区別は特にされていなかった。また、当時はサイズも小型であったが、これは紅茶が高価であったからと言われている。

ところで、紅茶は高温ので抽出しないと良い味にはならないとされるため、紅茶は基本的に非常に熱い状態で出来上がる。そのためカップの口径を大きくし、紅茶の液面付近の温度が下がりやすいようにした。ただ、あまりに重いカップを指で持ち上げるのは困難でカップの高さを低くすることで容量を減らした。そのため紅茶用のカップは、一般的にコーヒー用のカップよりも扁平になっていった。

対して、コーヒーは紅茶ほど高温の水で抽出しなくても味に変化がないとされるために、紅茶よりは低い温度(飲みやすい温度)で出来上がる。そのためカップの口径を小さくし、コーヒーの液面付近の温度を下がりにくくした。あとはカップの高さを高くすることで容量を増やしたため、コーヒー用のカップは一般的に紅茶用のカップよりも背が高くなっていった。

また、コーヒーは基本的に濃い飲み物であるため、本来は大量に飲むべき飲料ではない。したがって、紅茶用のカップよりもコーヒー用のカップの方が容量が小さい傾向にある。

このような理由で、当初はコーヒー用と紅茶用の区別が特になかったものが、次第に区別されていき、ティーカップとコーヒーカップが区別されるようになった。

参考文献

  • 南川 三冶郎、大平 雅己 『Coffe or Tea』 p.8 美術出版社 1992年9月30日発行 ISBN 4-568-50159-8
  • 今井 秀紀 『洋食器を楽しむ本』 晶文社 1999年1月30日発行