コーラ (飲料)

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コーラ

コーラ (cola) は炭酸飲料の一種である。

コーラの成分

コーラ (Cola) という名称は当初コーラの実 (kola nuts) から抽出したほろ苦い味のコーラ・エキスを用いていたことに由来しているが、現在ではコーラの実は含まれていないのが普通であり、香味料の主成分は砂糖やシトラスオイル(オレンジライムレモン等の皮から)、シナモンバニラ、その他酸性のものとなっている。複数あるコーラ飲料製造社ではこれらの香味料以外にその会社独自の香味料を加えることで独自の製品として開発している。そうした香味料の中にはナツメグラベンダー、その他幅広い成分が含まれることがあるが、ほとんどの人がコーラ特有の風味だと認識するのは依然としてバニラやシナモンである。安価なコーラ飲料の中には、このようなバニラやシナモンといった香味料のみで製造されているものもある。

また、酸味の多くはリン酸由来のものであり、商品によってはクエン酸やその他の酸を含む。

コカ・コーラ社の調味法が秘密とされていることが有名であるように、多くのコーラには厳重な保護のもと、その製造社独自の調味法を用いている。

その他として高濃度果糖のコーンシロップをはじめとした様々な甘味料がコーラには加えられており、商品や市場によっては砂糖やステビア、人工甘味料なども含まれる。ただし、無糖ダイエットと謳われたコーラには人工甘味料のみが使用されている。

コーラ文化

非常に多様なコーラ風の清涼飲料水が世界各地に存在しており、またそれらがさまざまな風味であることから、人によっては特定企業の製品を好んで飲用することもある。この風味の違いは、同じ会社の製品であっても年代により様々な変化を見せるが、これは各々の会社が時代の流行を反映していることに起因する。ただしそうした企業戦略は、旧来のファンが味の変更を嫌い、競合他社に切り替えるというリスクも同時に伴うことになる。各社のシェア争いは熾烈を極め、外食産業チェーン店や国際イベントでの採用を巡っては、様々な営業上の駆け引きも行われ、その熾烈さもあってコーラ戦争と形容されることもある。

このコーラ戦争においては主要メーカーにより莫大な広告費が掛けられるのが通例で、近年では全米規模でGPSを使って懸賞賞品をその場にお届け、などといった社会現象さえ巻き起こしている。またボトルキャップフィギュア等の、後にコレクター市場が成立するようなアイテムの付録が付くといったイベントも度々行われている。

コーラの薬効成分

コーラには大量のカフェインが含有されており、また砂糖も多く含まれるため、大量に摂取することで向精神作用も認められる。一部愛好家に至っては自嘲的に「コーラ中毒」と表現する者もある。これら飲料に含まれるカフェインは、コーラの実 のエキスによるものであったが、コスト的な問題もあり今日では茶葉より抽出された物が主に利用されている。しかし、銘柄によってはいまだにコーラの実も使われている。その他、コーラには精子HIV(AIDSウイルス)を殺す作用が有るとされ、研究対象となっている[1]

コーラ飲料史

コカ・コーラの広告 1890年代の米国のもの。価格は5セントとある。
出来事
1886年 5月 アメリカにてコカ・コーラ発明
1888年 - ザ コカ・コーラ カンパニー創業
1898年 - アメリカにてペプシコーラ開発
1902年 - ペプシ・コーラ カンパニー創業
1905年 - アメリカにてシェロ・コーラ開発
1934年 - ロイヤルクラウンカンパニーよりRCコーラ発売
1912年 - 高村光太郎道程』の中に「コカコオラ」が登場
1919年 - 明治屋の広告雑誌『嗜好』にコカ・コーラの広告掲載
1929年 - アメリカでミッション・コーラ発売
1945年 10月 GHQの指示で日本6箇所にコカ・コーラ充填工場を設立
1952年 - 日米通商公社よりウィン・コーラ発売
日本ミッションジュースよりミッション・コーラ発売
1953年 - ミッション・コーラの日本国内での生産開始
1955年 - コカ・コーラ社より缶入りコカ・コーラ発売開始
1956年 11月 コーラ飲料の原液輸入を認可
1957年 - 東京飲料がコカ・コーラの一般向け販売を開始
ペプシコーラ発売
1958年 3月 日本コカ・コーラ設立
- 6月 明治屋よりMYコーラ発売
- 12月 農林省が駐留軍以外へのコカ・コ-ラの外国人向け販売を許可
1960年 8月 壽屋とロイヤルクラウンカンパニーの販売契約締結
1961年 - グリコよりグリコ・コーラ発売
コッカよりニッポン・コーラ発売
札幌麦酒よりサッポロ・コーラ発売
福永社よりグット・コーラ発売
日本麦酒よりリボン・コーラ発売
壽屋よりRCコーラ発売
清水食品よりSSKソフト・コーラ発売
コーラ飲料輸入自由化
1962年 - スカッと さわやか コカ・コーラ」のコピー登場
静岡柑協連より富士コーラ発売
全清飲よりコアップガラ・コーラ発売
東洋醸造よりアルコール入り45ジェット・コーラ発売
森永乳業よりスパーク・コーラ発売
明治製菓より明治コーラ発売
東京コカ・コーラボトリング設立
1963年 4月 三共よりLCコーラ発売
- 7月 武田薬品よりプラッシー・コーラ発売
1965年 - 国際飲料よりフレッシュ・コーラ発売
- 11月 コカ・コーラ社より250ml缶発売
1966年 6月 リンプルトップ登場
- 11月 ウィンコーラ倒産
1974年 12月 長野コカ・コーラボトリングより1リットル瓶発売
1975年 - コカ・コーラ社によるラッセルヨーヨープロモーション実施
1981年 1月 森永製菓より森永クリーム・コーラ発売
1989年 3月 ポッカよりロイヤルクラウン・コーラ(RCコーラ)発売
1990年 - 上島珈琲よりジョルト・コーラ発売
1991年 5月 アサヒビールよりシュウェップス・コーラ発売
1991年 12月 サッポロビールよりゴールデン・コーラ発売
1992年 - 日本たばこ産業よりハードジョイト・コーラ発売
1992年 3月 コカ・コーラ社よりカフェインフリーダイエットコーク発売
1993年 3月 コカ・コーラ社よりタブ・クリア発売(日本では成功せず製造中止)
1996年 - ポッカとロイヤルクラウンカンパニーの販売契約締結
RCコーラは日本市場から撤退
1997年 - 日本におけるペプシコーラの販売代理権がサントリーに移行しサントリーフーズが販売
1998年 - 中国で初の中国産コーラ非常可楽発売
2005年 6月 コカ・コーラ社よりコカ・コーラ ゼロ発売
2006年 - サントリーフーズよりペプシネックス発売
2010年 5月 アサヒ飲料よりグリーンコーラ発売
2010年 6月 キリンビバレッジよりキリンコーラ発売

コーラの種類

アルコール飲料

関係飲料

これらは、コーラとは別の飲み物であるが、コーラに近い味わいを持つ。

その他

健康上の課題

  • アメリカ合衆国飲料協会(ABA)では、青少年の肥満防止策の一環として2008年から段階的にコーラを始め[要出典]とした砂糖分の多い清涼飲料の小・中学校内での販売を自主規制する方針である[2]。特に飲料を好みやすい青少年の段階から肥満を抑制するために、コーラなど[要出典]の販売を禁じ、果汁の多いフルーツジュースや牛乳・脂肪を除去した乳製品などの販売のみに絞るとしている。カリフォルニア州ではアーノルド・シュワルツェネッガー州知事の署名により2005年9月に公立高校の敷地内での販売をジュースや牛乳に限る法案が成立している。アメリカでは、マクドナルドやペプシコなど11の大企業が、12歳以下の子供にジャンクフードの広告をやめることで合意している[3]。この「合意」とは、米国の大手食品メーカー11社が、12歳未満の子供への適切な栄養規格を満たさない広告の出稿停止に同意したものだが、これはジャンクフード全般を対象としたものであり、コーラ飲料製品を特定して批判したものではない。また、この件で学校内販売を自粛する飲料は炭酸飲料だけでなく冷やした紅茶、牛乳等の伝統的飲料も含まれ、さらに、低カロリー清涼飲料、果汁100パーセントのジュース、低脂肪乳も供給量が制限される。これらの調整を経て、生徒児童らへ供給される飲料の総量は従来より8対10、25パーセント増しになると予測されている。逆に、スポーツドリンクやダイエット系炭酸飲料は導入が進められるため、コーラ等の炭酸飲料が狙い撃ち的にかつ無条件で否定されているわけでも販売供給が禁じられているわけでもない。
  • 「炭酸飲料は少女の骨折率を3倍にし、特にコーラは5倍にした」というレポートが纏められている。これは化学的、生理学的実験ではなく、いわゆる「十代の妊娠」を防ぐプロジェクトの中で、都市部の女子高校生460人を対象にアンケートを用いて行なわれた、「医師から骨折と診断された経験があるかどうか」の調査結果に基づくものである。使われた質問紙は、ダイエットコーラ、砂糖入りコーラ、コーラ以外のダイエット型炭酸飲料、コーラ以外の砂糖入り炭酸飲料に分けて、その愛飲習慣の有無、度合いを問うている。しかし、「ダイエット」飲料の定義は特に厳密に定めずに質問が行なわれている。また、表示されたアンケート結果は、そういったコーラや炭酸飲料の含有糖分の量、有無を区別せず、全体として骨粗鬆症を含む幾つかの「炭酸飲料消費の影響に関して大きな心配があります」と述べているのみである。「炭酸」自体の影響には言及していない。無炭酸飲料との比較は全くしていない[4]
  • アメリカ国立骨粗鬆症財団は、2,500人を30年追跡調査した結果、通常のコーラに加えノンカフェインコーラやダイエットコーラを毎日飲んでいる場合にも骨密度の低下がみられたため、飲料に含まれるリン酸がカルシウムの吸収を妨げるだけでなく血液を酸性化することで骨からカルシウムを流出させていることが原因ではないかとしている[5]。コーラを飲む習慣がある人の骨密度が低いことが観察され、ノンカフェインのコーラでも同じような傾向が見られたため、コーラに含まれるリン酸がカルシウムの吸収を阻害し骨からカルシウムを流出させる原因ではないかと考えられている[6]。なお、タッカーによるこの研究は主に年配女性や妊婦に関してのものであり、喫煙、飲酒をしなくても常習的コーラ摂取が骨密度低下に関与しているのではないかという相関関係を論じた物である。骨自体はリン酸カルシウムが主な成分でリン酸も骨の成形には必要不可欠であるが、血中リン酸濃度が上がると血液中のカルシウム量を一定に保とうと体が働き、結果、骨からカルシウムを取り出してしまうというものである。ノンシュガー、ノンカフェインコーラの骨密度低下も認められるとしながらも、それらはより弱いものであり、また、男性、もしくは男女問わぬ場合のコーラと骨密度低下の関連性は認められなかったとしている。また、女性5に対して男性6相当の量の炭酸飲料(うち5分の4がコーラ。ノンシュガーか否かは問わず)を飲み、女性より多くコーラを飲んでいると考えられるが、にも関わらず女性の骨密度の方がより低かったとしている。さらに、女性が必要摂取量のカルシウムを摂っていない、コーラに含まれるのリン酸(骨密度低下の原因とタッカーがにらむ)の量など取るに足らないものだ(コーラに含まれるリン酸の量は牛乳よりも遥かに少ない)、という指摘を受けて、タッカーがさらに確度の高い研究が必要だと述べたとも記されている。

コーラ会社の規定に関する裁判

米国におけるコカ・コーラとペプシコーラの両社は、市場のシェアー争いでしのぎを削っている。そのような最中、1985年マサチューセッツ州のコカ・コーラで働いていたアマンダ・ブレイクはペプシの従業員デブィット・クローニンと恋仲になり婚約した。ところがこれが会社の知るところとなり、両社の従業員間の結婚等は厳禁であったため「婚約破棄か男女どちらかが職を辞せ」との命令を受けた。この命令を彼女が拒否したところ、即解雇(利害の抵触)となり、2人はコカ・コーラを相手に訴訟を起こした。裁判の結果はコカ・コーラの敗訴となり、70万ドルの和解金を支払うこととなった[要出典]

参考文献

  1. ^ 殺精子作用は2008年度のイグノーベル賞化学賞の研究テーマとなった。
  2. ^ Bottlers Agree to a School Ban on Sweet Drinks(The New York Times, 2006-5-4)
  3. ^ Limiting Ads of Junk Food to Children(New York Times, July 18, 2007)
  4. ^ Grace Wyshak, PhD Teenaged Girls, Carbonated Beverage Consumption, and Bone Fractures Arch Pediatr Adolesc Med. 154, 2000, pp610-613.
  5. ^ Tucker, KL, Morita, K, et al. "Consuming cola may up osteoporosis risk for older women" 文献2, American Journal of Clinical Nutrition. (October) 2006; 84(4).
  6. ^ 尾上佳子・太田博明「食習慣と骨粗鬆症」『臨床栄養』2009年5月、484 - 489頁。

関連項目

外部リンク