V2500 (エンジン)

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MD-90-30に搭載されたV2528-D5
V2500を搭載したbmiのエアバスA320-232

V2500は2軸式の高バイパスターボファンエンジンである。これまでエアバスA320ファミリー(A320A321A319 とエアバス社用ジェット)とマクドネル・ダグラスMD-90エンブラエル C-390に採用された。[1] 日本の企業も参加した国際的合弁事業であるインターナショナル・エアロ・エンジンズが製造する。

開発[編集]

インターナショナル・エアロ・エンジンズは1983年設立の航空機エンジン製造を目的とした航空機エンジン製造会社4社で構成されている会社である。 構成各社の分担内容:

V2500は1988年FAAの認証を取得した。

ことの始まりは、1960年代、プラット&ホイットニー社の開発した燃焼器と空冷式高圧2段タービンとRB211で採用されていたロールス・ロイス社のファンブレードと研究中のRB401-06実証エンジンで使用された8段構成の研究用高圧圧縮機であるRC34Bを拡大してさらに前段に1段、後段に1段追加して組み合わせる事でエンジンの共同開発を始めた事にある。日本航空機エンジン協会は低圧圧縮機、MTUアエロエンジンズは5段式低圧タービンを担当した。

1970年代後半、日本航空機エンジン協会とロールス・ロイスが独自に推力89kNのRJ500ボーイング737向けに2台の試作エンジンの懸垂試験まで進んでいたが、1980年代初頭に中止された。 1982年、推力111kNのエンジンの開発計画が持ち上がったが、一社単独での開発はリスクが大きく、また、採算が取れるか疑問であった。当初、RJ500-35と呼ばれたが、後にプラット&ホイットニーとMTUフィアットが加わってV2500と呼ばれるようになった。名前のVは当初の5社を表している。2500は推力2500ポンドを意味する。後にフィアットは離脱した。

V2500はRJ500よりも先進的であった。ファンの直径は拡大された。軸流式圧縮機の段数を増やす事により圧縮比が高められた。より高いバイパス比を得る為に低圧タービンが2段増え全部で5段になった。

開発に参加する各社はV2500の開発においてはパートナーだが、他のエンジンでは競合関係にある為、何度か解散の危機に瀕したが、紆余曲折を経て開発に成功した。

4,000基目のV2500エンジンはブラジルのフラッグ・キャリアであるTAM航空に納入され、エアバスA320シリーズの4,000機目の機体 (A319)に搭載された。[2][3]

種類[編集]

エアバスA320に装着されたIVA V2500エンジンファン

V2500-A1[編集]

原型機種、アドリア航空で就航

V2533-A5[編集]

コアの流量を増やすために4段目の昇圧段が基本仕様に導入された。これに伴い、ファン直径/空気流量の増強により推力は33,000 lbf (147 kN)に増強されより大型のエアバス A321-200の要求水準を満たした。 エアバスA321-200用。

後期型[編集]

複数の後期型がある。ステージ4 の低騒音型は "-A5" として規定されている:

  • V2524-A5
推力23,500 lbf (105 kN) エアバスA319向け
  • V2527-A5
推力27,000 lbf (120 kN) エアバスA320向け
  • V2533-A5
推力33,000 lbf (147 kN) エアバスA321向け
  • V2528-D5
推力28,000 lbf (125 kN) マクドネル・ダグラスMD-90向け
  • V2535-E5
推力35,000 lbf (156 kN) エンブラエルKC-390向け

V2500セレクトワン[編集]

2005年10月10日、IAE は後にV2500セレクトワンと称されるV2500セレクトをIndiGoのA320シリーズの動力として販売する事を発表した。V2500セレクトワンは性能増強パッケージと販売後の下取りを組み合わせる。2009年2月、プラット&ホイットニーはUSエアウェイズが1998年以来使用する最初のV2500-A5からセレクトワンに更新するとした。

V2500セレクトトゥー[編集]

2011年3月15日、IAEはV2500セレクトワンエンジンの更新選択しとしてセレクトトゥー計画を発表した。[4] ソフトウェアの更新により燃料消費を0.58%削減でき、2013年からV2500-A5の派生機種に対して対応可能である。

搭載機[編集]

仕様[編集]

形式 推力 (kN) 推力 (lbf) バイパス比 圧縮比 ファン
直径 (m)
全長 (m) 重量 (kg) 製造開始年度 搭載機
V2500-A1 111 25,000 5.4 : 1 35.8 : 1 1.587 3.2 2,327 1989 A320
V2522-A5 97.86 22,000 4.9 : 1 32.8 : 1 1.613 3.2 2,359 1992 A319
V2524-A5 106.75 24,000 4.9 : 1 32.8 : 1 1.613 3.2 2,359 1996 A319
V2525-D5 111 25,000 4.8 : 1 34.5 : 1 1.613 3.2 2,484 1995 MD90
V2527-A5 117.88 26,400 4.8 : 1 32.8 : 1 1.613 3.2 2,359 1993 A320
V2528-D5 124 27,800 4.7 : 1 35.2 : 1 1.613 3.2 2,484 1995 MD90
V2530-A5 139.67 31,300 4.6 : 1 36.2 : 1 1.613 3.2 2,359 1994 A321
V2533-A5 146.80 33,000 4.5 : 1 35.2 : 1 1.613 3.2 2,359 1996 A321
V2500-E5 139,40 31,330[1] 4.6 : 1 36.2 : 1 1.613 3.2 2,484 2014 KC-390

関連項目[編集]

  • FJR710 - 日本において産学官連携で研究が進められてきた高バイパス比ターボファンエンジンであり、得られた研究結果の一部はV2500の開発に活かされている。

出典[編集]

参考文献[編集]

- 『ジェットエンジンに取り憑かれた男』 講談社〈講談社文庫〉、1992年6月ISBN 978-4061852044
- 『ジェットエンジンに取り憑かれた男〈上〉国産ジェット機「橘花」』 講談社〈講談社+α文庫〉、2003年3月ISBN 978-4062567138
- 『ジェットエンジンに取り憑かれた男〈下〉世界水準V2500』 講談社〈講談社+α文庫〉、2003年3月ISBN 978-4062567145

外部リンク[編集]