UDトラックス
UDトラックス本社 | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
市場情報 | |
略称 | 日デ、UD、Uトラ |
本社所在地 |
日本 〒362-8523 埼玉県上尾市大字壱丁目1番地 |
設立 | 1950年5月1日(創業1935年12月1日) |
業種 | 輸送用機器 |
法人番号 | 8030001043599 |
事業内容 | 自動車 |
代表者 | 代表取締役社長 村上吉弘 |
資本金 | 750億円 |
売上高 |
単独3,454億円、連結4,662億円 (2007年3月期) |
従業員数 | 単独7,323名 (2013年12月末日) |
決算期 | 12月31日 |
主要株主 | ボルボ・グループ |
外部リンク | 取締役会長 坂上優介 |
UDトラックス株式会社(ユーディトラックス)は、日本の埼玉県を拠点とする大型車専業(トラック・バスなど)の自動車メーカーである。2010年2月1日に旧社名の日産ディーゼル工業株式会社(にっさんディーゼルこうぎょう)から社名変更した。
現在は世界最大の重型トラックメーカー・ボルボ社傘下の外資系企業である。旧社名の元である日産自動車と資本関係は消滅するも業務提携は継続している。[1]
概要
主力商品はトラックで大型トレーラーの国内市場占有率筆頭である。旧会社名「日産ディーゼル」(ニッサンディーゼル)と共に「UD」(ユーディー/ユーデー)の名称でも広く親しまれている。かつてGM式の単流掃気方式2サイクルディーゼルエンジン「Uniflow Scavenging Diesel Engine」を製造し、その頭文字をエンジンの商標としていた。
他に自動車業界内では「日デ」(ニチデ)[2]、運輸事業の現場では単に「日産」の通称も用いられている[3]。UDの商標は2サイクルエンジン製造終了後も継続して使用され、現在はUDをUltimate Dependability(究極の信頼)の頭文字に由来するとしている。 日野自動車、いすゞ自動車、三菱ふそうについで普通トラックシェアは第4位。
1999年、ルノーは日産自動車との資本提携時に日産ディーゼルへ出資して株主名簿記載順位第2位となり、ルノー指揮下でリストラを進行した。2003年3月、日産デイーゼル車架装のおよそ6割を担っていた富士重工業伊勢崎製作所(群馬県伊勢崎市)[4]のバス車体製造撤退に伴い、バスボディーの調達先を西日本車体工業へ集約した。
2005年3月、経営再建が終了してルノー所有株式が放出され、再び日産自動車傘下になる。
2006年3月、筆頭株主の日産自動車が保有する株式19パーセント中13パーセントをスウェーデンのトラックメーカーボルボへ売却し、ボルボが筆頭株主になる。同年9月、残る6パーセントもボルボへ売却されて日産自動車と資本関係は消滅するも会社名は変更しないと発表された。
2007年2月20日、ボルボは完全子会社化を目的として株式公開買付けを実施すると発表し、日産ディーゼルも賛同を決議した。
2007年7月23日、買付け成立に伴い東京証券取引所上場廃止となった。
2009年11月、ウェブサイトにて2010年1月1日付で日本ボルボを吸収合併し、日産ディーゼル子会社のクリエイトセンターと、ボルボ・インフォメーション・テクノロジー・ジャパン[5]も同日付で吸収合併すると発表される。
2010年1月19日付の各紙朝刊で、同年2月1日に「UDトラックス」へ社名を変更すると報道されるが、「2月1日の社名変更は事実だが、新社名は1月26日に発表する」とウェブサイト上で発表[6]し、1月26日に「UDトラックス」への社名変更が2月1日付けで発表され、ブランドも「UDトラックス」に統一[7]された。
バス事業は、2007年5月の三菱ふそう・エアロスター-S販売開始以後、三菱ふそうと相互OEM供給が開始され、2009年8月31日にバス事業に関する合弁会社設立に向け協議開始の覚書を締結するが、2010年8月に西日本車体工業の車体製造終了及び会社解散に伴い相互OEM供給を事実上終了し、UDトラックス販売の車両は全て三菱ふそうからのOEM車種になる。2010年10月29日付で合弁会社設立協議打ち切りと、相互OEM供給終了[8]が発表され、バス車体製造施設を保有していないUDトラックスは事実上バス事業から撤退し、リコール対応のみ継続している。後に中国製ボルボバスの輸入を模索するも日本国内の道路運送車両法対応費用と売り上げ予測が釣り合わずに断念し、完全な撤退を決めたと2012年9月に報じられた[9]。
2014年3月19日、ボルボグループは新興国市場向けの新規開発バスに、「日本や東南アジアで強固なブランド力を有したUD」を「UD Buses」として用いると発表している。当初はインドで製造・販売し、バンガロールのバス工場を輸出ハブとする予定[10]だが、日本国内でのバス事業再開の計画はないとしている[11]。
沿革
- この節における出典:UDトラックス株式会社沿革
- 1935年12月1日 - 日本デイゼル工業株式会社として創業する。
- 1936年 - クルップ・ユンカースの特許を取得して上下対向ピストン式2ストロークディーゼルエンジンを開発し、社名からND型と命名する。
- 1938年 - 日本国内初の無気直噴エンジン、ND型を発売する。
- 1942年 - 社名を鐘淵デイゼル工業株式会社へ変更し、製品もKD型とする。
- 1946年 - 社名を民生工業株式会社へ変更する。
- 1950年5月1日 - 自動車部門が分社し、民生デイゼル工業株式会社として発足する。
- 1953年 - 日産自動車が資本参加する。
- 1955年 - GMからデトロイトディーゼル・シリーズ71ユニフロースカベンジングディーゼルエンジンに関するライセンスを取得し、自社設計によるUD型2ストロークディーゼルエンジンとして発表する。
- 1960年 - 商号を日産ディーゼル工業株式会社 へ変更する。
- 1979年 - 「NISSAN DIESEL」のロゴを変更。同年登場のレゾナより採用。(バスは1982年より採用)
- 1995年 - CI採用。楕円に「UD」と入ったエンブレムが登場。同時に「NISSAN DIESEL」のロゴを再び変更。
- 2002年2月 - キャブに高品位塗装する「純正カスタムペイント」サービスを開始する。
- 2003年4月 - 新エンブレム登場。楕円に「UD」と入ったエンブレムから新タイプの物に変更。
- 2004年6月 - 中型車のエンジンをトラックは6月、バスは8月以降順次日野自動車からのOEMへ変更し、電気二重層コンデンサを用いたパラレルハイブリッド方式の「キャパシタハイブリッド」技術を日野へ供与する。
- 2005年6月13日 - 自社開発の尿素SCR(選択的触媒還元)システム・「FLENDS」に関する技術を三菱ふそうトラック・バスにも供与し、両社の技術提携を発表する。
- 2006年3月27日 - ボルボ社は日産自動車より全株式数の13パーセントに当たる4000万株を取得して筆頭株主になる。
- 2006年9月28日 - ボルボ社は主要株主から優先株式、日産自動車保有残株の全てで全株式数約6パーセントに当たる1800万株を、それぞれ取得して日産自動車との資本関係が消滅する。
- 2007年3月29日 - ボルボ社は資産管理子会社エヌエー株式会社が日産ディーゼル株式公開買い付けを実施し、全株式数の96パーセントに当たる約2億9千万株を取得して筆頭株主並びに親会社となる。
- 2007年5月21日 - 三菱ふそうエアロスター-Sの販売開始により、2006年7月13日に発表された三菱ふそうトラック・バスとの相互OEM供給[12]が開始され、大型ノンステップバスや中型バスは日産デイーゼルが製造して三菱ふそうへ、大型観光バスや大型ワンステップバスなどは三菱ふそうから日産デイーゼルへ、バス用エンジンも相互に供給する。同時に日野製エンジンはトラック向けのみ採用継続になる。
- 2009年1月1日 - 直系の販売会社を日産ディーゼルトラックスに統合して設立する。
- 2009年8月31日 - 三菱ふそうトラック・バスとバス事業に関する合弁会社設立協議開始の覚書を締結[13]し、バスの企画・研究開発・生産・販売の事業を両社から合弁会社へ移管統合するため協議を進める。
- 2010年1月1日 - ボルボ社の完全子会社である「日本ボルボ株式会社」を吸収合併する。
- 2010年2月1日 - UDトラックス株式会社へ商号を変更する。以降エンブレムを楕円に「UD」のマークと「UD TRUCKS」の英文字に変更。
- 2010年2月15日 - ボルボ製大型トラックを大手企業へ向け販売開始する。
- 2010年8月24日 - 西日本車体工業製のバス最終生産車を出荷し、以後バスは三菱ふそうからOEM供給[14] される。
- 2010年10月29日 - 三菱ふそうトラック・バスとのバス事業に関する合弁会社設立協議と交渉を終了[8][15]し、OEM供給も終了した。
- 2013年5月31日 - 子会社DRDの全株式を、人材派遣会社テンプスタッフへ譲渡する。
- 2013年8月26日 - バンコクで新興市場向け大型トラック「クエスター」を発表[16][17]する。
- 2014年1月1日 - UDトラックスジャパンとボルボ・グループ・ジャパンの両社を吸収合併する。
- 2014年3月19日 - インドでUDブランドのバスを製造すると発表[10]する。
- 2014年6月25日 - 三菱ふそうトラック・バスからの小型トラックOEM供給に合意する。
- 2015年7月10日 - 本社新社屋が竣工。
生産拠点
かつての生産拠点
車種一覧
現行車種
トラック
- クオン(大型トラック・25トンクラス)
- コンドル(中型トラック・4-12トンクラスでエンジンはボルボと共同開発した自社製を搭載する。)
- カゼット(小型トラック・1-4トンクラスで三菱ふそう・キャンターのOEM車種である。)
- クエスター(新興国向け大型トラック。東南アジアや南アフリカ共和国で発売。)
産業エンジン
その他
絶版車種
発売順に掲載する。
バス
前述のとおり、2010年10月29日でバスの車種全ての販売が終了しているが、2014年3月19日にバス事業に再参入し、インドをはじめとする成長市場で販売を行うことが発表されている[10]。
- 大型観光バス
- スペースウイング(DA/RD系・3軸車)
- ユーロツアー(NDPC製の逆輸入車)
- スペースウィング(RA系・スーパーハイデッカー)
- スペースアロー(RA系・ハイデッカー・RP系は後述)
- スペースウィングA(AS系・スーパーハイデッカー・三菱ふそう・エアロクィーンのOEM)
- スペースアローA(AS系・ハイデッカー・三菱ふそう・エアロエースのOEM)
- 2階建てバス
- 大型路線バス
- 9m大型バス
- スペースアローRP(RP系・観光バス)
- スペースランナーRP(RP系・路線バス)
- スペースアローA ショートタイプ(AM系・観光バス。ハイデッカー・三菱ふそう・エアロエース ショートタイプMMのOEM)
- 普通型路線バス(中型幅の長尺路線バス)
- スペースランナーJP(JP系)
- 中型路線バス
- スペースランナーRM(RM系)
- 小型バス
- スペースランナー7(観光バス)
- RN(路線バス)
- オムニノーバ・マルチライダー
トラック
- 大型トラック
- 中型・小型トラック
その他
販売会社
UDトラックスへの変更に伴い、連結決算対象の3社(子会社1、持分法適用2)及び北海道販売は連動して社名を変更した[1][2]。
その後、岩手・栃木も変更し、現在は群馬のみが「日産ディーゼル」を含む名称となっている。
- UDトラックス道東(旧 日産ディーゼル道東販売)
- UDトラックス北海道(旧 日産ディーゼル北海道販売)
- UDトラックス岩手(旧 日産ディーゼル岩手販売)
- UDトラックス栃木(旧 日産ディーゼル栃木販売)
- 群馬日産ディーゼル&ロジスティクス
- UDトラックス新潟(旧 日産ディーゼル新潟販売)
宣伝・広告
- テレビCMは関西テレビ制作時代劇などにスポンサーを付いていた。1990年代後半以降はテレビCMは放映していない。
- 書籍・雑誌広告はバスラマ・インターナショナルなどに書籍・雑誌の広告を出していた。また、西武バスの車内広告下部などにも当社の広告が入ったものが存在した。
脚注
- ^ 日産自動車製の商用車に搭載されるディーゼルエンジンを生産していたこともある。
- ^ 1972年まで大型バスを、1976年まで大型トラックをそれぞれ製造していた日産自動車の車種と区分を明らかにするため、日本自動車工業会や自動車雑誌が主に用いている。鉄道ジャーナル誌など一部では「日産ディ」の表記も見られる。
- ^ 大阪市交通局発行の「大阪トラフィック・ログ」大阪市営バス保有車両一覧表では「日産」、三菱ふそうトラック・バスも「三菱」と記されている。
- ^ 2003年スバルカスタマイズ工房として独立、2011年桐生工業伊勢崎工場になる。
- ^ ボルボITジャパン、旧システムブレーン、ITサービス提供企業。
- ^ 当社の社名とブランドに関する報道について - 日産ディーゼル2010年1月19日付プレスリリース
- ^ 日産ディーゼル工業、会社名の変更とブランド名の統一 - 日産ディーゼル2010年1月26日付プレスリリース
- ^ a b バス事業に関する合弁会社の設立協議打ち切りのお知らせ - UDトラックス2010年10月29日付プレスリリース
- ^ UD、バス事業撤退 国内市場縮小 希望退職700人募る - 日本経済新聞電子版2012年9月17日(全文は会員のみ公開)
- ^ a b c “Volvo Group introduces UD buses”. Volvo Buses India (2014年3月19日). 2014年3月20日閲覧。
- ^ バスラマ・インターナショナル No.143 P.67 ぽると出版 ISBN 978-4-89980-143-6
- ^ 日産ディーゼル、三菱ふそう バスの相互OEM供給に関し基本合意 - 日産ディーゼル・三菱ふそうトラック・バス2006年7月13日付共同プレスリリース
- ^ 日産ディーゼルと三菱ふそう、バス事業における協力を拡大 - 日産ディーゼル・三菱ふそうトラック・バス2009年8月31日付共同プレスリリース
- ^ 最終生産車は西鉄バス壱岐自動車営業所配属の6265号車(スペースランナーRA)。バスラマ・インターナショナルSPECIAL10 西工の軌跡(ぽると出版) 2010年9月発行 ISBN 978-4-89980-017-0 P.9
- ^ UDトラックス社とのバス事業に関する合弁会社の設立協議交渉終了について - 三菱ふそうトラック・バス2010年10月29日付ニュースリリース
- ^ “新興国市場向け新大型トラック「クエスター」を発表”. UDトラックスプレスリリース (2013年8月26日). 2013年8月26日閲覧。
- ^ “様々な顧客ニーズに応える新大型トラック「クエスター」”. UDトラックスプレスリリース (2013年8月26日). 2013年8月26日閲覧。
関連項目
- 民生デイゼル工業
- 2ストローク機関
- 三菱ふそうトラック・バス(三菱ふそう製OEM車のバスボディー純正メーカー)
- 西日本車体工業(西鉄系のバスボディー指定メーカー、2010年10月解散)
- スバルカスタマイズ工房(2002年3月までのバスボディー指定メーカー、旧・富士重工業伊勢崎製作所)
- 輸送機工業(富士重工業系列のクレーン車指定メーカー・現在は航空宇宙関連部品製造に特化)
- DRD
- 日産ライトトラック(開発資源の選択・集中のため、1t/2tクラスの小型トラックの開発を当該会社に集約。)
- 東風日産ディーゼル
- 埼玉西武ライオンズ(後援企業として関係。また西武バスほか西武グループのバスも多くがUD製である)