走れメロス

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走れメロス』(はしれメロス)は、太宰治による短編小説である。初出は1940年昭和15年)5月発行の雑誌『新潮』。なお、小説の最後に「古伝説とシルレルの詩から」と記述され、これはギリシア神話のエピソードとドイツの「シルレル」、すなわちフリードリヒ・フォン・シラーの詩をもとに創作したと明記されている。最近の研究で小栗孝則1937年(昭和12年)7月にシラーのバラード Die Bürgschaftde:Die Bürgschaft参照)初版[1]を訳した「人質」(『新編シラー詩抄』改造文庫)とされ、シラーの詩にはないセリヌンティウスの名など表現が一致している部分も多い。 この伝承を網羅して論じているのは杉田英明『葡萄樹の見える回廊』(岩波書店 2002年11月 ISBN 9784000246163[2]で、明治初期にも翻案があったと記されている。

目次

[編集] あらすじ


注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。


素朴な牧人の青年メロス(Möros)は、人間不信のために多くの人を処刑しているシラクスの暴君ディオニス王の話を聞き、激怒する。そして王の暗殺を決意する。しかし、あえなく衛兵に捕らえられ、即刻処刑されることになる。メロスは親友のセリヌンティウスを人質として王のもとにとどめおくことを条件に、妹の結婚式に出るため三日間の猶予を得る。王はメロスを信じておらず、死ぬために再び戻ってくることなどはないと言いのけた。

メロスは妹の結婚式からの帰途で、川の氾濫による橋の決壊や山賊の襲来(ただし山賊の襲来は、王の差し向けた刺客という可能性もある)など度重なる不運に出遭う。メロスはそのために心身ともに困憊し、一度は王のもとに戻ることをあきらめかけた。しかしその時、近くの岩の隙間から湧き出てきた水を飲み、疲労回復とともにわずかながら義務遂行の希望が生まれ、再び走り出す。人間不信の王を見返すために、自分を信じて疑わない友人の命を救うために、そして自分の命を捧げるために。

こうしてメロスは日暮れに町へ到着し、約束を果たす。そして王の気持ちを変えることに成功したのである。

[編集] 創作の発端

懇意にしていた熱海の村上旅館に太宰が入り浸って、いつまでも戻らないので、妻が「きっと良くない生活をしているのでは……」と心配し、太宰の友人である檀一雄に「様子を見て来て欲しい」とお願いする。

往復の交通費と宿代等を持たされ、熱海に向かった檀を、太宰は大歓迎する。檀を引き止めて連日飲み歩き、とうとう預かってきた金を全て使いきってしまう。呑み代や宿代も溜まってきたところで、檀を人質にと説得し、太宰は東京にいる井伏鱒二のところに借金をしに行ってしまう。

数日待ってもいっこうに音沙汰もない太宰にしびれを切らした檀は、宿屋飲み屋に支払いを待ってもらい、井伏のもとに駆けつけると、二人はのん気に将棋を指していた。太宰は今まで散々面倒をかけてきた井伏に、借金の申し出のタイミングがつかめずにいた。激怒しかけた檀に太宰は「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね。」 と言ったという。

後日、発表された『走れメロス』を読んだ檀は「おそらく私達の熱海行が少なくもその重要な心情の発端になっていはしないかと考えた。」と『小説 太宰治』に書き残している。

[編集] 映像化作品

[編集] パロディほか

この作品は、メッセージ性の高さや尺加減のよさなどから、義務教育の国語教科書などで扱われ、知名度が高いため、一話完結系の連載物などでパロディのネタにされることも多い。

  • ヤッターマン』(第1作)第74話「ハシレメドスの友情だコロン」(1978年5月27日放送、フジテレビ) - ハシレメドス(←メロス)を塩沢兼人が演じている。
  • オバケのQ太郎』(第3作)第184話「走れメロQ」(1985年11月7日放送、テレビ朝日) - 国語の授業で「走れメロス」を取り上げていたのだが、宿題を忘れた正太は立たされていた。正太は「宿題はやってあるが持ってくるのを忘れただけ」と言い、Q太郎はそれを信じ家まで宿題を取りに行く。先生には「時間内に持ってこなければトイレ掃除だ」と言われ、正太はQ太郎がなかなか戻らないため焦りだす。やがてQ太郎が学校に戻り正太と泣きながら抱き合い、「本当は宿題もやっていなかった」とウソをついたことを明かした。それを聞いていた先生も一応は感動するのだが、程なく「でもトイレ掃除はやってもらうぞ」とあっさり言った。
  • ザ・ウルトラマン (漫画)』「鎧を着込んだウルトラマン」というコンセプトのオリジナルキャラクター・メロスの名前の由来になっている。
  • AKB48 teamK 4thの楽曲『メロスの道』はこの作品をモチーフにしている。作詞は秋元康
  • 蒼き流星SPTレイズナー』オープニング主題歌『メロスのように-LONELY WAY-』(歌:AIRMAIL from NAGASAKI)はこの作品をモチーフにしている。作詞はやはり秋元康。
  • 『走れセリヌンティウス』漫画家ながいけんが、このタイトルのパロディ作を「ファンロード」誌上で執筆している。原作とは全く逆で、王がメロスを信じつつも苦渋の決断をする善人、メロスは犯罪者で妹の結婚式をでっち上げて脱走をはかろうとする極悪人で、セリヌンティウスはメロスに無理矢理身代わりにされて途中から走らされる。劇中の台詞も原作をいちいち反転させた利己的・邪悪なものばかりで、王の最後の台詞だけが原作と同じという、ブラックユーモア作品となっている。
  • もーれつア太郎』(第1作)第71話「走れニャロメロス」
  • ケロロ軍曹』(6thシーズン)第275話Bパート「ケロロ 走れケロロ であります」
  • 『【新釈】走れメロス』(【新釈】走れメロス 他四篇森見登美彦

[編集] その他

津軽鉄道・津軽21形気動車「走れメロス」
  • 津軽鉄道津軽21形気動車に「走れメロス」と車両の愛称が付けられている。
  • 青森市中央市民センター前に、この作品の一節を刻んだ文学碑「友情の碑」が設置されている。
  • 本作品をモチーフにしたパチスロ機がJPSよりリリースされた。

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  1. ^ シラーの作品は古代ローマのガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスの著作を基にしている。なお、ギリシャ神話のエピソードについては人物の名がDamonとPythiasとなっている伝承があり、ヨーロッパではそちらが有名であったため(ドイツ語版de:Damon und Phintias、英語版en:Damon and Pythias参照)シラーは初版の後作品名をDamon und PythiasSchiller - Damon und Pythias)に改訂し、主人公名もDamonに改訂。また1910年明治43年)11月鈴木三重吉がその伝承を翻訳し『赤い鳥』に「デイモンとピシアス」(青空文庫)という小説を掲載している。
    五之治、昌比呂 「『走れメロス』とディオニュシオス伝説」Hashire Meros and Dionysius Legends
  2. ^ 杉田英明『葡萄樹の見える回廊:中東・地中海文化と東西交渉』SUGITA Hideaki, The Corridor Looking onto Grapevines: The Middle East/Mediterranean Cultures and the East-West Relations

[編集] 外部リンク

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