条鰭綱

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
条鰭亜綱から転送)
移動: 案内検索
条鰭綱
Port Ghalib march 2006-0107.jpg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
上綱 : 顎口上綱 Gnathostomata
: 条鰭綱 Actinopterygii
学名
Actinopterygii Klein, 1885[1]
亜綱

条鰭綱(じょうきこう、Actinopterygii)は、脊椎動物亜門の下位分類群の一つ。現生の魚類の大部分にあたる2万6,891種が所属し、肉鰭綱と合わせ硬骨魚類と総称される。およそ4億年前のシルル紀後期に出現して以降、多様な進化および水中環境への適応を遂げた条鰭綱の魚類(条鰭類)は、現代のあらゆる海洋陸水域で繁栄するグループとなっている。

このグループはかつて硬骨魚綱の下に条鰭亜綱として設置されていたが、現在では側系統群である硬骨魚綱を廃し、条鰭綱肉鰭綱に分割する体系が一般的となっている。条鰭類は原則として、硬骨化の進んだ内部骨格と、鰭条および鰭膜によって支えられたをもち、の代わりに(ひょう/うきぶくろ)をもつなどの特徴を有している[2]

進化史[編集]

条鰭綱魚類のレントゲン写真。骨格の硬骨化と身体の軽量化を共に果たした条鰭類は、最も多様な種分化を遂げた脊椎動物となっている

最古の条鰭綱魚類は古生代シルル紀後期に出現したとみられ、Andreolepis 属など5属が知られている。続くデボン紀から中生代三畳紀にかけて栄えた軟質亜綱の仲間は、ジュラ紀終盤までにチョウザメ目を残しほとんどが絶滅している。白亜紀以降は、高い運動能力と効率的な摂餌機構を発達させた新鰭亜綱の仲間が支配的な地位を獲得し、水圏のあらゆる環境に適応放散を果たした[3]。新鰭亜綱の魚類は、現代では約2万6800種を擁する脊椎動物亜門の中で最大のグループとなっている[3]

特徴[編集]

条鰭綱はシーラカンスハイギョの仲間が所属する肉鰭綱と合わせて硬骨魚類とも呼ばれ、その骨格は一部の原始的な分類群を除き、ほぼ完全に硬骨によって構成されている[4]の形態は硬鱗、円鱗あるいは櫛鱗など多様で、鱗をもたないグループも多い。は担鰭骨に支えられる鰭条と、鰭条同士をつなぐ鰭膜によって構成される。ポリプテルス目を除き、胸鰭の射出骨は肩甲骨烏口骨複合体と接続する。ほとんどの仲間は間鰓蓋骨と鰓条骨をもつ[5]。咽頭板を欠き、鼻孔は頭部の比較的上方に位置し内鼻孔をもたない[6]

これまでに多くの分類学的研究が蓄積されているが[7][8][9]、形態学的特徴の相同性に関する知見はいまだ不充分で、条鰭綱の起源、および内部の系統関係は今後さらに見直しが進むものと考えられている[6]

分類[編集]

条鰭綱には分岐鰭亜綱・軟質亜綱・新鰭亜綱の3亜綱が置かれ、その下に44目453科4289属2万6891種の現生種が所属し、うち44%は淡水魚である[6]分岐鰭亜綱軟質亜綱ポリプテルスチョウザメなど一部の原始的な条鰭類からなり、新鰭亜綱には白亜紀以降に爆発的な種分化を遂げた大多数の硬骨魚類が含まれる。条鰭綱が単系統群であることは概ね受け入れられているが、ひとまとめのグループとして特徴づける形質は決して強固なものではない[6]

条鰭綱は、(肉鰭綱+四肢動物)の姉妹群であり、両者の特徴を兼ね備えた Psarolepis などの化石群が、共通祖先の候補と考えられている。条鰭綱に所属しながらも、内部での位置付けが不明(incertae sedis)な群として、白亜紀の Diplospondichthys などが知られる。

以下に現生種を含む分類群を、系統順位に沿っての単位まで示す。各グループの詳細、内部に含まれる絶滅群については、それぞれの項目を参照のこと。

ケイロレピス Cheirolepis trailli(Palaeonisciformes 目)の想像図。デボン紀の化石が知られる、初期の条鰭類である
ポリプテルス目の1種 Polypterus weeksii。空気呼吸が可能で未成魚は外鰓をもつなど、現生の条鰭類としては最も原始的な特徴を残す一群
リングコッド Ophiodon elongatusカサゴ目アイナメ科)の骨格標本。上顎は前上顎骨によって縁取られ、可動性が高くなっている
ウツボ類による咽頭顎の突出機構。条鰭類は進化の過程で主上顎骨を遊離させるとともに、舌弓・下顎骨と鰓蓋骨との靱帯による連結構造を発達させ、顎の可動性・伸出性を飛躍的に高めることに成功した
イエロージャック Carangoides bartholomaeiスズキ目アジ科)の群れ。スズキ目は現代の水圏で最も繁栄する条鰭類となっている

出典・脚注[編集]

  1. ^ 資料によって一定しない。[1] によると他に Cope1871, Cope1887, Cope1891, Woodward1891 など。[2] は(理由を挙げずに)「Cope1887 ではなく Klein, 1885」としている。
  2. ^ 原始的な形態を残すポリプテルス目ガー目アミア目は空気呼吸が可能な浮き袋をもつ。
  3. ^ a b 『日本の海水魚』 pp.14-18
  4. ^ 『魚学入門』 p.23
  5. ^ 分岐鰭亜綱は鰓条骨を、軟質亜綱は間鰓蓋骨をそれぞれ欠く。
  6. ^ a b c d 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.87–88
  7. ^ Lauder GV, Liem KF (1983). “The evolution and interrelationships of the actinopterygian fishes”. Bull Mus Comp Zool 150: 95-197. 
  8. ^ Springer VG, Johnson GD (2004). “Study of the dorsal gill-arch musculature of teleostome fishes, with special reference to the Actinopterygii”. Bull Bio Soc Wash 11. 
  9. ^ Cloutier R, Arratia G (2004). Recent advances in the origin and early radiation of vertebrates. München: Verlag Dr. Friedrich Pfeil. 
  10. ^ カンムリキンメダイ目とも呼ばれる。

参考文献[編集]