チョウチンアンコウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
チョウチンアンコウ
Himantolophus groenlandicus by OpenCage.jpg
水槽内のチョウチンアンコウ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 側棘鰭上目 Paracanthopterygii
: アンコウ目 Lophiiformes
亜目 : アカグツ亜目 Ogcocephalioidei
上科 : チョウチンアンコウ上科 Ceratioidea
: チョウチンアンコウ科
Himantolophidae
: チョウチンアンコウ属
Himantolophus
: チョウチンアンコウ
H. groenlandicus
学名
Himantolophus groenlandicus
Reinhardt, 1837
英名
Atlantic footballfish

チョウチンアンコウ(提灯鮟鱇、学名Himantolophus groenlandicus)は、アンコウ目チョウチンアンコウ科に属する魚類の一種。丸みを帯びた体型と、餌を誘うために用いられる頭部の誘引突起(イリシウム)を特徴とし、深海魚として比較的よく知られた存在である。

目次

概要 [編集]

チョウチンアンコウ(H. groenlandicus)は主に大西洋深海に分布し、カリブ海などの熱帯域からグリーンランドアイスランドのような極圏付近まで幅広く生息する[1]太平洋インド洋からも報告があるものの、その数は非常に少ない[1]。生息水深ははっきりしていないが、熱帯・亜熱帯域の中層(特に水深200-800m)から捕獲されることが多い。一方で、大型の個体はより北方の海域から底引き網によって、あるいは漂着個体として得られる傾向がある[1]

およそ160種が含まれるチョウチンアンコウ類の中で、1837年に最初に記載されたが本種である[1]。原記載に使用された標本は1833年にグリーンランドの海岸に打ち上げられた漂着個体で、海鳥による食害を受けたため保存状態は非常に悪く、現存しているのは誘引突起の一部のみである[2][1]。以降、2009年までに143個体(変態後の雌)が標本として記録されているが、これは科全体の三分の一を超える数であり、本種はチョウチンアンコウ科の中で最もよく研究された種となっている[1]

生態 [編集]

1967年2月、鎌倉の海岸に打ち上げられたチョウチンアンコウが江の島水族館で8日間飼育された際に、世界で初めて誘引突起から発光液を噴出する様子が観察された。この個体の液浸標本は現在、新江ノ島水族館で展示されている。発光液の放出には、獲物の目を眩ますなどの効果があるとみられる。

形態 [編集]

1887年に描かれたチョウチンアンコウの骨格図

チョウチンアンコウは丸みを帯びた体型をしており、体表は小さな突起によって覆われる。体色は灰色から黒褐色で、これまでに得られた雌の体長は3.2-46.5cmの範囲であった[1][3]背鰭・臀鰭・胸鰭の鰭条数はそれぞれ5本・4本・14-18本。

誘引突起は背鰭第一棘が変形したもので、本科の場合その長さは体長の半分程度であることが多い[1]。誘引突起の先端には膨隆した擬餌状体(エスカ)と、そこから分岐した10本の皮弁がある[4]。擬餌状体の形態と、体長と比較した皮弁の長さの割合が、チョウチンアンコウ科の他の仲間から本種を鑑別するための重要な形質となっている。太平洋を主な生息域とする H. sagamius (Pacific footballfish)とは特に形態が類似しているため、小型の個体では区別が難しい[1]

雄は雌よりも極端に小さい矮雄(わいゆう)であるが、体長は4cm近くに達し、雌への寄生をしない自由生活性の矮雄としては最も大きく成長する[5]。チョウチンアンコウ科魚類の雄は形態学的な特徴に乏しく、これまでに本種の雄と確実に同定された個体はない[1]。本科の雄はいくつかのグループとして分類されており、本種は「H. brevirostris Group」に含まれるとみられている[1]

ギャラリー [編集]

出典・脚注 [編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b c d e f g h i j k 『Oceanic Anglerfishes』 pp.334-336
  2. ^ 『海の動物百科3 魚類II』 pp.98-99
  3. ^ 最大全長は60cmとされている(『日本の海水魚』 p.146)。
  4. ^ 『日本の海水魚』 p.146
  5. ^ 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.256-257

参考文献 [編集]

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]