側棘鰭上目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
側棘鰭上目
Треска.jpg
マダラ Gadus macrocephalusタラ目
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 側棘鰭上目 Paracanthopterygii
下位分類

本文参照

側棘鰭上目(そくきょくきじょうもく、Paracanthopterygii)は、硬骨魚類の分類群の一つ。現生の魚類としてはサケスズキ目タラ目アシロ目ガマアンコウ目およびアンコウ目の5目が含まれ、計36科270属1,340種が記載される。他に絶滅したグループとして Sphenocephaliformes 目が所属する。

概要[編集]

側棘鰭上目は正真骨亜区(Euteleostei、真骨類の下位分類)に所属する硬骨魚類のうち、現生のサケスズキ目・タラ目・アシロ目・ガマアンコウ目・アンコウ目、および化石種のみが知られる Sphenocephaliformes 目の計6目をまとめた一群である。1960年代後半にGreenwoodらによって提唱され[1]、正真骨亜区の中では棘鰭上目に次いで進化の進んだ高位群として位置づけられている。

側棘鰭上目は分類群としての厳密な定義付けを欠いたまま設置され、その単系統性は当初より疑問視されてきた[2]。近年、ミトコンドリアDNAの解析などの分子生物学的手法に基づき、本上目が側系統群であることを示唆する報告が相次いでいる。サケスズキ目とタラ目はそれぞれギンメダイ目(ギンメダイ上目)およびマトウダイ亜目(棘鰭上目)と姉妹群の関係にあり[3]、これらの4群をひとまとめのグループとして扱うことで初めて側棘鰭上目は単系統になるとされる[4]

残るアシロ目・ガマアンコウ目・アンコウ目の3群は、相互の類縁関係が実際にはさほど近くないとみられ、側棘鰭上目から除外される方向で検討が進んでいる。アシロ目は「Percomorph」(棘鰭上目のうちクジラウオ目以降の一群を指す)の中でもっとも原始的なグループとされ、一方でアンコウ目はより高位な群であるヒシダイ科スズキ目)と近縁である可能性が指摘されている。また、ガマアンコウ目はタウナギ目トゲウオ目との類縁関係が示されている[4]

以上のような分子生物学的手法に基づく新たな系統分析の結果は、従来の形態学による分類との矛盾点がみられるケースも多く、Nelson(2006)は側棘鰭上目の大幅な改変を実施するには、両者の方法を組み合わせたさらなる検討が必要と指摘している[2]

分類[編集]

サケスズキ科の化石種 (Amphiplaga brachyptera)。最古のサケスズキ目魚類の化石は、暁新世後期の地層から出土している
ヨーロッパヘイク European hakeMerluccius merlucciusメルルーサ科)。タラ目には本種を含め数多くの水産重要種が所属している
ソコボウズ Spectrunculus grandis (アシロ科)。アシロ目はサンゴ礁から深海まで幅広い分布域をもつ。本種は海溝の深部に分布する大型深海魚である
ガルフトードフィッシュ Opsanus beta (ガマアンコウ科)。生理学研究のモデル動物として利用される
アメリカアングラー Lophius americanus (アンコウ科)の骨格標本。アンコウ目の魚類は肋骨を欠く

現生の側棘鰭上目はサケスズキ目(3科7属9種)、タラ目(9科75属555種)、アシロ目(5科100属385種)、ガマアンコウ目(1科22属78種)およびアンコウ目(18科66属313種)の5目で構成され、合計36科270属1,340種が所属する[2]。その多くは海水魚であり、淡水産種は20種程度に過ぎない。

Sphenocephaliformes 目はヨーロッパ白亜紀前期の地層から知られる海産魚の一群である。かつては亜目としてサケスズキ目に含められていたが、椎骨の形態などの特徴に基づき、現在では独立の目として扱われている。Sphenocephalus 属のみが所属し、脂鰭を欠く。

出典・脚注[編集]

  1. ^ Greenwood PH, Rosen DE Weitzman SH, Myers GS (1966). “Phyletic studies of teleostean fishes, with a provisional classification of living forms”. Bull Amer Mus Nat Hist 131: 339-456. 
  2. ^ a b c Nelson JS (2006). Fishes of the world (4th edn). New York: John Wiley and Sons. 
  3. ^ Wiley EO, Johnson GD, Dimmick WW (2000). “The interrelationships of acanthomorph fishes: a total evidence approach using molecular and morphological data”. Biochem Syst Ecol 28: 319-350. 
  4. ^ a b Miya M, Satoh TP, Nishida M (2005). “The phylogenetic position of toadfishes (order Batrachoidiformes) in the higher ray-finned fish as inferred from partitioned Bayesian analysis of 102 whole mitochondrial genome sequences”. Biol J Linn Soc 85: 289-306. 

参考文献[編集]