アイナメ科

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アイナメ科
Lingcod1.JPG
リングコッド Ophiodon elongatus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: カサゴ目 Scorpaeniformes
亜目 : アイナメ亜目 Hexagrammoidei
: アイナメ科 Hexagrammidae
学名
Hexagrammidae
T. N. Gill, 1863
英名
Greenlings
Atka mackerel
下位分類
本文参照

Hexagrammos アイナメ属
Ophiodon キンムツ属
Oxylebius
Pleurogrammus ホッケ属
Zaniolepis

アイナメ科学名Hexagrammidae)は、カサゴ目に所属する魚類の分類群の一つ。アイナメ亜目を構成する唯一ので、アイナメホッケなど沿岸魚を中心に5亜科5属12種が記載される[1]

分布・生態[編集]

アイナメ科の魚類はすべて海水魚で、北太平洋に固有の分布を示す[2]温帯から寒帯域まで広範囲に分布し、北極海に生息する種類も知られている[1]。生息水深は潮間帯から600mを超える深海にまで及ぶが、通常は沿岸から200m以浅の大陸棚にかけての範囲であることが多い[2]。日本の近海からは、アイナメ属およびホッケ属の少なくとも7種が報告されている[3]。ほとんどの種類が漁獲対象となり、食用魚として広く利用されている[3]

アイナメ類はその多くが岩礁や砂礫底の海底で生活する底生魚で、ホッケ属(ホッケキタノホッケ)のみ、中層での遊泳生活を送ることが知られている[1]食性肉食性で、甲殻類端脚類多毛類や他の魚類・魚卵など、捕食対象となる餌生物は多様である[2]。一部の種類は成長段階や性差によって著しい色彩変異を示し、生息地の違いや産卵周期に応じた変化も顕著である[2][3]

本科魚類の雌は粘着性の高い沈性卵を産み、雄は卵塊を孵化まで保護する習性がある[3]仔魚は表層での浮遊生活を経た後に海底に移行し、ごく限られた範囲での定住生活を送ることが多い[3]

形態[編集]

アイナメ科の仲間は左右に平たく側扁した、やや細長い体型をもつ[2]。多くの種類は体長45cm未満だが、最大種のリングコッドOphiodon elongatus)は全長1.5mに達することもある[1]。他のカサゴ目魚類に見られるような頭部のトゲや突起はもたず、両側の眼の直上に肉質の皮弁が1-2対存在する[2]側線は1本または5本で、浮き袋を欠く[1]。よく発達した前鼻孔を両側に1対備える一方で、後鼻孔は退化的である[1]はリングコッドのみ円鱗で、他のではすべて櫛鱗[2]

背鰭は1つで、16-28本の棘条と11-30本の軟条で構成される[1]。腹鰭は1棘5軟条、臀鰭は0-4棘12-28軟条で、臀鰭の棘条は退化的であることが多い[2]。顎と鋤骨に小さな歯を備え、口蓋骨の歯の有無はさまざま[2]。鰓条骨は6-7本、椎骨は36-63個[1]

分類[編集]

アイナメ科にはNelson(2006)の体系において5亜科5属12種が認められている[1]Zaniolepis 属を独立の科として扱う見解もある[2]

アイナメ亜科[編集]

アイナメ Hexagrammos otakii (アイナメ属)。日本各地の沿岸で観察される普通種で、食用魚としての価値が高い

アイナメ亜科 Hexagramminae は1属6種を含み、南日本からメキシコ北部にかけての太平洋岸に分布する[1]。頭部は鱗に覆われ、側線は1本あるいは5本[1]

背鰭のほぼ中央、棘条部と軟条部の境界に切れ込みをもつ[1]。臀鰭の棘条を欠き、尾鰭後縁の形状は円形からやや陥凹形までさまざま[1]頭蓋骨に明瞭な突起をもたず、椎骨は47-57個[1]

ホッケ亜科[編集]

ホッケ Pleurogrammus azonus (ホッケ属)。日本では馴染みの深い食用魚の一つ。本科魚類としては例外的に、広い範囲を回遊する習性がある
Oxylebius 属の1種(O. pictus)。本科魚類の特徴である、眼の上の皮弁が明瞭である

ホッケ亜科 Pleurogramminae は1属2種からなり、北日本からアラスカにかけての北太平洋に分布する[1]。遊泳性が強く、特に未成魚はしばしば大規模な回遊を行う[1][3]。頭部の鱗は部分的で、側線は5本[1]

背鰭に切れ込みをもたず、鰭条は21-24棘24-30軟条[1]。臀鰭は棘条を欠き23-32軟条で、尾鰭は二股に分かれる[1]。頭蓋骨によく発達した突起をもち、椎骨は59-62個[1]

Ophiodontinae 亜科[編集]

Ophiodontinae 亜科は1属1種で、リングコッドのみが記載される。アラスカからメキシコ北部にかけての東部太平洋に分布する[1]。頭部の鱗を欠き、側線は1本[1]。牙のように鋭い歯を備えた大きな口をもち、他の魚類や甲殻類イカ類を貪欲に捕食する[1]

背鰭に深い切れ込みをもち、24-28本の棘条部と20-24本の軟条部を分かつ[1]。臀鰭は3本の未分枝鰭条と21-25軟条で構成され、尾鰭後縁は截形あるいは陥凹型[1]。椎骨は57-59個[1]

Oxylebiinae 亜科[編集]

Oxylebiinae 亜科は1属1種で、ブリティッシュコロンビア州カナダ)からカリフォルニア州にかけての沿岸に生息する[1]。頭部は鱗に覆われ、側線は1本[1]

背鰭の切れ込みは浅く、尾鰭後縁は円みを帯びる[1]。臀鰭は3本の発達した棘条をもち、第2棘は特に長い[1]

Zaniolepidinae 亜科[編集]

Zaniolepis 属の1種(Z. latipinnis)。本属の仲間は細長く伸びた背鰭鰭条を特徴とする

Zaniolepidinae 亜科には1属2種が記載され、Oxylebiinae 亜科と同様の分布域をもつ[1]。側線は1本。

背鰭の切れ込みは深く後方に位置し、棘条のうち前方の3本(特に第2棘)は著しく伸長する[1]。腹鰭の鰭条は、前方の2本が厚みを増す[1]

  • Zaniolepis
    • Zaniolepis frenata
    • Zaniolepis latipinnis

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag Fishes of the World Fourth Edition』 pp.330-332
  2. ^ a b c d e f g h i j Hexagrammidae”. FishBase. 2012年1月8日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 『日本の海水魚』 pp.223-225

参考文献[編集]

外部リンク[編集]