ローラ・LC89

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ローラ・LC89
ローラ・LC89B
カテゴリー F1
コンストラクター ローラ・カーズ
デザイナー エリック・ブロードレイ
クリス・マーフィー
先代 ローラ・LC88
後継 ローラ・LC90
主要諸元[1][2]
シャシー カーボンファイバーモノコック
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン, プッシュロッド, ツインスプリング / ダンパー
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン, プッシュロッド, ツインスプリング / ダンパー
エンジン ランボルギーニ 3512 3,493 cc (213.2 cu in), 80°V12, NA, ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション ローラ 6速 MT
燃料 BP
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム ラルース・カルメル
エキップ・ラルース
ドライバー 29. フランスの旗 ヤニック・ダルマス
29. フランスの旗 エリック・ベルナール
29. イタリアの旗 ミケーレ・アルボレート
30. フランスの旗 フィリップ・アリオー
30. 日本の旗 鈴木亜久里
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
初戦 1989年モナコグランプリ
出走優勝ポールFラップ
16000
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ローラ・LC89 (Lola LC89) は、ラルース1989年F1世界選手権に投入したフォーミュラ1カーローラの創設者、エリック・ブロードレイが設計した。エンジンは元フェラーリの技術者であったマウロ・フォルギエリが開発したランボルギーニ3512を搭載した。LC89は同年のF1マシン中最良のハンドリングを持つマシンの1台として見なされた。

LC89は1990年の序盤2レースでも使用された。

概要[編集]

ランボルギーニ3512エンジン

1989年シーズン[編集]

ランボルギーニ製V12エンジンを搭載したLC89は第3戦のモナコグランプリでデビューした。空力特性に優れエンジンも600 bhp (447 kW; 608 PS)の出力を発揮するなど良好なパフォーマンスを示したが、信頼性に欠けていた。

フィリップ・アリオーヤニック・ダルマスの2台体制であったが、ダルマスは4戦連続で予選落ちと不振に陥り、チームは休養という形で彼を降板させる。後任として第7戦フランスGPと第8戦イギリスGPではルーキーのエリック・ベルナール、第9戦ドイツGP以降はミケーレ・アルボレートがドライブした[3]。最高位は第14戦スペインGPでアリオーが記録した6位で、1ポイントを獲得。これがLC89の獲得した唯一のポイントであった。5度のF1優勝経験のあるアルボレートだが、加入2戦目の第10戦ハンガリーGPで縁石を超えた際に肋骨骨折。身体コンデションが落ちたため第14戦スペインGPと第16戦オーストラリアGPで予備予選不通過、第15戦日本GPで予選落ちと結果を残せず、短い在籍で翌年からアロウズへと移籍した[4]

LC89は改良が施され、LC89Bとして最終戦終了後から1990年開幕までのテストで使用された。ラルースへの移籍加入が決まり、12月に行われたエストリル合同テストで初めてLC89Bに乗った鈴木亜久里は、「もう、ザクスピードとは全然違うよ、何が違うって全部だよ全部。はじめてF1マシンに乗ったよ。タイヤもグッドイヤーで踏めばちゃんと進むし、ミッションはカチッと入るし、ダウンフォースもあって路面に食いついて曲がる。これがF1だよ!」とコメント、前シーズンのザクスピードのマシンが不作だったこともあるが、LC89への好印象を述べた[5]

1990年シーズン[編集]

新車の完成までの間、1990年の序盤2戦でも実戦使用された。1990年アメリカグランプリエリック・ベルナールが8位完走、鈴木亜久里もリタイヤするまで7位を走行した。第3戦サンマリノGPからローラ・LC90が投入された。

F1における全成績[編集]

(key) (太字ポールポジション

シャシー エンジン タイヤ ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント 順位
1989年 LC89 ランボルギーニ 3512
V12
G BRA
ブラジルの旗
SMR
サンマリノの旗
MON
モナコの旗
MEX
メキシコの旗
USA
アメリカ合衆国の旗
CAN
カナダの旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
POR
ポルトガルの旗
ESP
スペインの旗
JPN
日本の旗
AUS
オーストラリアの旗
1 16位
ヤニック・ダルマス DNQ DNQ DNQ DNQ
エリック・ベルナール 11 Ret
ミケーレ・アルボレート Ret Ret Ret Ret 11 DNPQ DNQ DNPQ
フィリップ・アリオー Ret NC Ret Ret Ret Ret Ret DNPQ 16 Ret 9 6 Ret Ret
1990年 LC89B ランボルギーニ 3512
V12
G USA
アメリカ合衆国の旗
BRA
ブラジルの旗
SMR
サンマリノの旗
MON
モナコの旗
CAN
カナダの旗
MEX
メキシコの旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
POR
ポルトガルの旗
ESP
スペインの旗
JPN
日本の旗
AUS
オーストラリアの旗
11* 6位
エリック・ベルナール 8 Ret
鈴木亜久里 Ret Ret

* ローラ・LC90でのポイントを含む。

参照[編集]

  1. ^ Lola LC89 F1 Stats
  2. ^ Lola LC89B F1 Stats
  3. ^ ラルースからF1復帰!流浪のアルボレート F1GPX 1989年西ドイツGP号 28頁 山海堂
  4. ^ アルボレート来シーズンはアロウズに決定 F1GPX 1989年第14戦スペインGP号 29頁、山海堂
  5. ^ AGURI in ESTORIL ドン底から這い上がれ F1GPX '90カレンダー号 2-3頁 1989年12月29日発行