ジェット風船

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阪神甲子園球場でジェット風船が舞う様子(2005年公式戦中に撮影)

ジェット風船ジェットふうせん)とは、飛ばすことを目的に開発されたゴム風船のことを言う。

構造[編集]

ゴム風船は、風船を構成するゴムの収縮時よりも大量の空気が入っている場合、ゴムが伸張され、ゴムの収縮作用により中の体積を圧縮しようとする働きを起こす。この時、風船内部の気圧と外部の大気圧に大きな差が生じ、風船の口を開ければ風船内部から勢いよく空気が吹き出す。これを推進力にして飛ばすことを目的とした物がジェット風船である。

ゴム風船の吹き口には、飛ばす時に音が出るようにプラスチック製のが仕組まれている。この笛の構造は至って簡単で、2枚の日本五円玉を少し間隔をおいたような構造になっている。元はラムネなどの駄菓子に見られた構造でそれを流用した物である。

ジェット風船の始まり[編集]

日本において、ジェット風船は1970年代から駄菓子屋、祭り屋台のくじ引き等で子供向け販売されていた。形は大きく分けて2種類あり、球形の物と棒型の物が存在した。

紙テープからの移行[編集]

かつてはプロ野球コンサート等でファンが紙テープを投げる光景がよく見られていたが、その芯が歌手の目を直撃する傷害事故があって禁止された。ただし、優勝時などの特別な状況に限り紙テープが解禁されることがある。

プロ野球観戦におけるジェット風船[編集]

どこのファンが始めたかという発祥に関しては諸説入り乱れているが、一般的にプロ野球の応援の代名詞的なイメージとして定着したのは1985年阪神タイガース優勝時に甲子園を埋め尽くした阪神ファンが一斉に放ってからである。広島系の『中国新聞』や兵庫県の『神戸新聞』、福岡の『西日本新聞』は、1978年広島東洋カープの私設応援団『近畿カープ後援会』のメンバーが、甲子園球場ジェット風船を飛ばしたのが始まりであるとの説を掲載している[1][2][3][4]

球場のスタッフ等がイニングの合間にグラウンドに落ちたジェット風船を回収している。

民放テレビのプロ野球中継では、通常イニングの間はCMということが多いが、7回裏(厳密には7回表終了直後)のジェット風船飛ばしの瞬間は放送されることがある。

2000年代以降では各球団ファンがチーム勝利時にも飛ばすようになった(1990年代の時点で福岡ダイエーホークス(現:福岡ソフトバンクホークス)ファンが勝利時に風船を飛ばしていた)。その時は、勝利を表す「白星」とかけて白色の風船を飛ばすファンや、色をホームでは白、ビジターゲームではチームカラーに統一している応援団も存在する(主催球団の選手は白のユニフォームを着るため。阪神の場合は、勝利決定時にラッキー7と同様に白以外の様々な色の風船を内野応援席のファンが飛ばす)。

2012年からはパ・リーグチームのファンは全て(最低限本拠地の試合では)風船飛ばしを行うようになった。

ジェット風船で埋め尽くされた福岡Yahoo!JAPANドームの観客席(鷹の祭典2007にて撮影)。ライトスタンド(写真中央)は、2色の風船を使って福岡ソフトバンクホークスの球団旗と同じ黄-白-黄のストライプに見えるように膨らませてあるのが分かるが、これは私設応援団が協力を呼びかけて実現したもの。

2009年のジェット風船規制[編集]

2009年新型インフルエンザ問題では兵庫県神戸市で感染者が見つかったこともあり、飛沫感染の危険性を考慮し京セラドーム大阪で使用を自粛するようになったのを皮切りに、追随する形で全国各地の全ての球場で規制を実施、5月下旬以降は全ての球場からジェット風船を飛ばす光景が消滅した。6月下旬には鎮静したと判断され、ゴミ飛散防止を理由にそのまま使用禁止となった神宮球場を除く各球場で順次ジェット風船を再開した。しかし、8月に入り再び新型インフルエンザが流行化。そのため、全ての球場で再びジェット風船使用が自粛されるようになった。その後、2010年シーズンの開幕と同時に解禁された。

なお、甲子園ではジェット風船規制の代わりとしてラッキー7の攻撃時に、ビジター球団の応援歌と、『六甲おろし』の合唱を振り替えで行っていた。また、ソフトバンクとロッテのファンは、風船打ち上げ自粛の間タオルを広げていた。西武ファンはフラッグを振っていた。

ジェット風船禁止球場[編集]

下記の日本の球場が「天井に風船が引っかかる」と言う理由、あるいは条例抵触等のその他特殊な事情で観戦規則に禁止規定を設けている。

  • 東京ドーム
    球場の屋根は空気圧による膨張で持たせており(場外より3hPaだけ高い)、変圧などで破損のおそれがあるため。場内の圧抜けを防ぐため、全てのゲートにはエアロックがある。
    1998年12月31日から1999年1月1日にかけて行われたJ-FRIENDSのカウントダウンライブではジェット風船が飛ばされていた。
  • ナゴヤドーム
    換気の妨げ(旧本拠地のナゴヤ球場では使用が認められていた)
    2012年8月8日の試合で7回裏に試験的にジェット風船の使用が許可された[5]2013年6月8日に2度目の使用許可がされた。
  • 明治神宮野球場
    球場周辺への風船ゴミ飛散防止
    感染症防止
    元々はライトスタンドを除いて使用が認められていたが、2009年新型インフルエンザの影響で一時禁止し、その後も再開を求める意見がなかった。
  • 相模原市立相模原球場
    試合進行妨害。
    外野スタンド後方にある住宅地や高校に風船が入り込む危険性があるため。

ジェット風船制限球場[編集]

下記の日本の球場についてはジェット風船の使用について制限事項を設けている。

  • 札幌ドーム
    2011年まではバックスクリーン付近のスタンド部分等の可動部が多く、除去されなかった風船を巻き込むことで稼働装置が故障することを懸念して使用禁止となっていたが、同年6月12日の横浜戦で使用を許可した。その後、稼働装置に問題がなかったことと観客から好評だったことを受けて、2012年から全試合で使用可能となった(ただし、衛生上の観点上ハンドポンプを使うという条件があり、口から息を使って膨らますことは引き続き禁止されている)。
  • 福岡ドーム(福岡Yahoo!JAPANドーム)
    天井まで飛ばない形状の専用の風船のみ使用可能。
  • MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島
    飛距離が伸びないように作られた専用の風船のみ使用可能。レフト側の西日本旅客鉄道(JR西日本)山陽本線の線路まで飛んでいかないよう、レフト側スタンドにネットを取り付けるなど、飛散防止の工夫がなされている。
  • 横浜スタジアム
    2012年までは横浜市ポイ捨て・喫煙禁止条例に抵触すること[6](球場が横浜公園の施設の一部であることから)や、試合進行妨害、近くを通る東日本旅客鉄道(JR東日本)京浜東北根岸線の架線に引っかかり、電車の運行の妨げになるためということで通常時は使用禁止となっていたが、2013年から「スタージェット」(球場外へ飛び出す可能性が低く、球場周辺の公園の環境面や、近くを走る電車への影響という安全面でも優れた風船)との専用の風船のみ使用可能となった[7]
    2012年にはジェット風船の代用としてシャボン玉を使用した応援が行なわれていた。
    1995年のオールスターゲームのみ特別に許可され、チームカラーの1つである黄色い風船で埋め尽くされた。

野外に落ちた風船を野鳥が誤って食べて窒息死することがあるほか、自然環境へ影響を及ぼす可能性もある。このため、禁止されているか否かに関わらず、野外球場では使用すべきでないという意見もある。

横浜スタジアムでは2002年に、札幌ドームでは2003年に、当時それぞれジェット風船を禁止していたにもかかわらず、阪神ファンが風船を飛ばしたことで、当時阪神監督の星野仙一がファンに対して激怒したというエピソードがある。ジェット風船禁止時代の横浜スタジアムにおける阪神ファンのジェット風船飛ばしは、禁止がアナウンスされているにもかかわらず一部のファンにより行われていた。

現在(2013年 - )の使用状況[編集]

飛ばす[編集]

  • 阪神タイガース
    色の統一はなく、カラフル。勝利時にも飛ばす(勝利時も同じくカラフル)。白と黄色が一番人気がある。
  • 広島東洋カープ
    以前は統一せず、カラフルであった。後に基本は赤一色となり、のマークが入っている。勝利時にも飛ばす場合あり。
  • 横浜DeNAベイスターズ
    2013年シーズンから本拠地・横浜スタジアムで風船使用が解禁された。7回表終了後に青色の風船を飛ばし、勝利時には水色の風船を飛ばす。
    解禁される前は、2006年5月27日にスカイマークスタジアムでオリックスと対戦した際、スポンサーの神戸トヨペットが先着2万人に配った創立50周年記念のジェット風船は、横浜ファンも飛ばした。また、後述の2011年6月12日の札幌ドームの日本ハム戦において、横浜ファンも青色のジェット風船を飛ばした。
  • 北海道日本ハムファイターズ
    2012年シーズンから本拠地・札幌ドームで先述の専用ポンプ使用を条件として解禁された。7回表終了後に青色の風船を飛ばし、勝利時には金色の風船を飛ばす。6月16・17日のヤクルト戦では「選手プロデュースデー」で、両日とも赤色の風船を飛ばした。また、道内地方球場(函館オーシャンスタジアム旭川スタルヒン球場帯広の森野球場)でも風船の使用が解禁となった。東京ドームは引き続き全面使用禁止のまま。
    解禁される前は、2007年9月28日に千葉マリンスタジアムでロッテと対戦し、勝利を収めリーグ優勝(2連覇)を決めた試合のラッキー7に日本ハムファンは赤色の風船を飛ばしていた。また、同球団の2軍での試合では緑色(2軍の同球団のチームカラー)の風船を飛ばすことがある。札幌ドームでは、2011年6月12日の横浜戦で使用可能となった(7回表終了後に青色の風船を飛ばした。試合は日本ハムが勝利し、試合終了後に白色の風船を飛ばした)。
  • 東北楽天ゴールデンイーグルス
    基本は赤一色であり、勝利時には白色の風船を飛ばす。
  • 埼玉西武ライオンズ
    基本は青一色である。以前は勝利時には白色の風船を飛ばしており、2008年より一時は青と白が分けられて販売されていたが、後に青い風船しか販売されなくなった(通常時)。2010年ライオンズクラシックでは赤い風船、2012年の西武鉄道創立100周年シリーズでは水色と緑の風船が飛ばされた。
  • 千葉ロッテマリーンズ
    元々はカラフルだったが2000年代中期頃より基本は白一色となった。Marinesの球団ロゴと、球団スポンサー・ハートフォード生命保険のマークが入っていたが、2010年以降は無地。勝利時にも飛ばす場合あり。
  • オリックス・バファローズ
    基本は赤と青のツートンだったが、ユニフォームが変更された2011年度からは青と金色のツートンへと移行している(復刻ユニフォーム着用などのイベントによっては例外あり)。勝利時にも飛ばす。
    大阪ドーム(京セラドーム大阪)では開場以来禁止されていたが、阪神戦を多く誘致したいドーム側の意向があり、2000年シーズン後から解禁された。関東の球場では飛ばさない傾向にある。
  • 福岡ソフトバンクホークス
    基本は黄一色(イベントによって例外あり)。勝利時には白色の風船を飛ばす。ダイエー時代は統一せずにカラフルだったが、1990年代後半から緑とオレンジを販売開始した。

ビジター・地方球場でのみ飛ばす[編集]

いずれも禁止球場では飛ばさない。

  • 読売ジャイアンツ
    統一色はなく、カラフル。
  • 中日ドラゴンズ
    ビジター・地方球場(かつての本拠地・ナゴヤ球場でも同様だった)で飛ばす際は、統一色はなく、カラフル。先述の通り、2012年以降のナゴヤドームでのジェット風船使用解禁試合では、中日ファンは青色の風船を飛ばしている。

ほとんど飛ばさない[編集]

  • 東京ヤクルトスワローズ
    7回は東京音頭を青もしくは緑色のビニールで踊ることが恒例となっているため、ファンに浸透していない。2009年途中からホームの神宮球場では全面使用禁止となった(その以前もライトスタンドはジェット風船禁止となっていた)。

Jリーグ観戦におけるジェット風船[編集]

Jリーグサポーターもジェット風船を飛ばすことがある。クラブ呼びかけで、試合開始時・ハーフタイム時・勝利時にジェット風船を飛ばすこともある。ただし、クラブルール・スタジアムルールで禁止されているところもある。

その他[編集]

四国アイランドリーグplusベースボール・チャレンジ・リーグといった独立リーグでもファンがジェット風船が飛ばすことがある。台湾プロ野球でもファンによるジェット風船飛ばしが行われる。

2012年5月20日の甲子園球場での阪神-楽天(セ・パ交流戦)において、阪神ファンが阪神の不甲斐なさに抗議する形で7回表の楽天攻撃時に風船を飛ばすということがあった。

ワールド・ベースボール・クラシックでの日本ラウンドでは、風船使用可能球場でもジェット風船の使用は禁止される(WBC絡みの壮行試合も同様)。

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関連項目[編集]