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ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は[[抗不安薬]]としても使われ、逆に抗不安薬(マイナートランキライザー)や[[抗精神病薬]](メジャートランキライザー)を睡眠導入剤として利用することもある。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は[[抗不安薬]]としても使われ、逆に抗不安薬(マイナートランキライザー)や[[抗精神病薬]](メジャートランキライザー)を睡眠導入剤として利用することもある。

文献上の調査では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬およびZ系薬の薬剤は、人々に公衆衛生上のリスクをもたらし、耐性形成のため長期的な有効性が欠如していると結論づけた。これらのリスクには、依存性・事故・およびその他の副作用がある。睡眠薬の段階的廃止が睡眠を悪化せずに健康を改善につながる。可能であれば、最小有効用量で数日間のみの処方に留めなければならない。また高齢者には可能な限り投与してはならない。<ref>{{cite journal |author= |title=What's wrong with prescribing hypnotics? |journal=Drug Ther Bull |volume=42 |issue=12 |pages=89?93 |year=2004 |month=December |pmid=15587763 |doi= 10.1136/dtb.2004.421289|url=http://www.nelm.nhs.uk/en/NeLM-Area/Evidence/Drug-Class-Focused-Reviews/498264/}}</ref>


==種類==
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**[[ベゲタミンA/B]]([[塩酸クロルプロマジン]]、[[塩酸プロメタジン]]、[[フェノバルビタール]]混合薬)
**[[ベゲタミンA/B]]([[塩酸クロルプロマジン]]、[[塩酸プロメタジン]]、[[フェノバルビタール]]混合薬)
**[[ラメルテオン]](メラトニン受容体作動薬)<ref>[http://www.takeda.co.jp/press/article_26201.html 日本における不眠症治療薬ラメルテオンの製造販売承認申請について]</ref>
**[[ラメルテオン]](メラトニン受容体作動薬)<ref>[http://www.takeda.co.jp/press/article_26201.html 日本における不眠症治療薬ラメルテオンの製造販売承認申請について]</ref>

==ベンゾジアゼピン==
近年は新しい非ベンゾジアゼピン系睡眠薬とホルモンのメラトニンに置き換えられ、処方量も増えているが、ベンゾジアゼピンは最も著名で最も頻繁に処方される催眠薬である。ベンゾジアゼピンは、短期的には有効であるが、1-2週間後には耐性が形成され、そのため長期間の使用には無効となる。そのため入院の原因となり、とりわけ高齢者に頻繁である。

中止時には[[ベンゾジアゼピン離脱症候群]]が形成される。これはリバウンド不眠・不安・混乱・見当識障害・不眠・知覚障害が特徴である。従って、耐性・薬物依存・長期使用の副作用を避けるために処方は短期使用に制限される。<ref>{{cite journal |author=Frighetto L, Marra C, Bandali S, Wilbur K, Naumann T, Jewesson P |title=An assessment of quality of sleep and the use of drugs with sedating properties in hospitalized adult patients |journal=Health Qual Life Outcomes |volume=2 |issue= 1|pages=17 |year=2004 |month=March |pmid=15040803 |pmc=521202 |doi=10.1186/1477-7525-2-17 }}</ref>


== 注意 ==
== 注意 ==

2011年5月30日 (月) 02:16時点における版

睡眠導入剤(すいみんどうにゅうざい,Hypnotic pills)は、不眠状態や睡眠が必要な状態に用いる薬物。睡眠時の緊張や不安を取り除き、寝付きを良くするなどの作用がある。「睡眠薬」とも呼ばれる。

化学構造によりベンゾジアゼピン系チエノジアゼピン系バルビツール酸系シクロピロロン系抗ヒスタミン薬などに分類される。また、作用時間により、超短時間作用型、短時間作用型、中時間作用型、長時間作用型に分類される。

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は抗不安薬としても使われ、逆に抗不安薬(マイナートランキライザー)や抗精神病薬(メジャートランキライザー)を睡眠導入剤として利用することもある。

文献上の調査では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬およびZ系薬の薬剤は、人々に公衆衛生上のリスクをもたらし、耐性形成のため長期的な有効性が欠如していると結論づけた。これらのリスクには、依存性・事故・およびその他の副作用がある。睡眠薬の段階的廃止が睡眠を悪化せずに健康を改善につながる。可能であれば、最小有効用量で数日間のみの処方に留めなければならない。また高齢者には可能な限り投与してはならない。[1]

種類

ベンゾジアゼピン

近年は新しい非ベンゾジアゼピン系睡眠薬とホルモンのメラトニンに置き換えられ、処方量も増えているが、ベンゾジアゼピンは最も著名で最も頻繁に処方される催眠薬である。ベンゾジアゼピンは、短期的には有効であるが、1-2週間後には耐性が形成され、そのため長期間の使用には無効となる。そのため入院の原因となり、とりわけ高齢者に頻繁である。

中止時にはベンゾジアゼピン離脱症候群が形成される。これはリバウンド不眠・不安・混乱・見当識障害・不眠・知覚障害が特徴である。従って、耐性・薬物依存・長期使用の副作用を避けるために処方は短期使用に制限される。[3]

注意

自己判断で量の増減を行わない。アルコールと一緒に服用すると効果増強のおそれがある。事故のおそれがあるため自動車や機械を運転しない。譲渡・転売は麻薬及び向精神薬取締法により処罰される。

以前はバルビツール酸系の薬剤がよく用いられていたが依存傾向が強く、耐性が2・3日から1か月ぐらいの間に生じやすいため、比較的安全なベンゾジアゼピン系の薬剤が用いられる。副作用として、依存形成のほか、一過性の健忘、覚醒後の眠気、悪夢などがある。

日本では1960年代初頭に、若者を中心に乱用がいわばブームとなった経緯があり、規制が強化された経緯がある[4]。しかしながら1980年代からは、ハルシオンを中心とする睡眠薬の乱用がみられ、社会問題化している[5]

睡眠導入剤の過量服薬に関して、現在主流となっているベンゾジアゼピン系の薬物を用いると、急性薬物中毒の症状は意識障害、運動失調、昏睡、呼吸抑制などであって、死の危険は大きくないといえるが、バルビツール酸系の薬物の場合は、死に至ることがある[6]

アメリカ空軍での使用

アメリカ空軍では任務遂行後のパイロットの疲労回復のため、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用を認める。砂漠の作戦ではトリアゾラムが使用される。ベンゾジアゼピン系の副作用を避けるために、ゾルピデムが使用されることもある[7]

参考文献

脚注

  1. ^ “What's wrong with prescribing hypnotics?”. Drug Ther Bull 42 (12): 89?93. (December 2004). doi:10.1136/dtb.2004.421289. PMID 15587763. http://www.nelm.nhs.uk/en/NeLM-Area/Evidence/Drug-Class-Focused-Reviews/498264/. 
  2. ^ 日本における不眠症治療薬ラメルテオンの製造販売承認申請について
  3. ^ Frighetto L, Marra C, Bandali S, Wilbur K, Naumann T, Jewesson P (March 2004). “An assessment of quality of sleep and the use of drugs with sedating properties in hospitalized adult patients”. Health Qual Life Outcomes 2 (1): 17. doi:10.1186/1477-7525-2-17. PMC 521202. PMID 15040803. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC521202/. 
  4. ^ http://showa.mainichi.jp/news/1961/11/post-3005.html?inb=yt 睡眠薬遊びが流行(1961年11月12日毎日新聞)
  5. ^ 『精神科ポケット事典 新訂版』 p.200 より
  6. ^ 『精神科ポケット事典 新訂版』 p.200 より
  7. ^ 『詳しくわかる 睡眠薬と精神安定剤』(p67 - 68)より。