陸軍大臣

日本 陸軍大臣 りくぐんだいじん
大日本帝国陸軍軍旗
担当官庁	陸軍省
初代	大山巌
創設	1885年（明治18年） 12月22日

陸軍大臣（りくぐんだいじん）は、陸軍省を担当した日本の国務大臣。陸軍三長官の一つ。親任官であるため、中将の就任者であっても大将に対し行政命令を発することが出来た。

概要

1885年（明治18年）12月22日の内閣制度発足当初は将官が陸軍大臣になることが規定された。1890年（明治23年）3月27日には「職員は武官に限る」という規定が削除されるも、1900年（明治33年）の定員表の備考で陸軍大臣は現役将官がなることが規定された（軍部大臣現役武官制）。この制度によって、陸軍大臣が反対をすれば閣議決定ができず、陸軍が大臣を推挙しなければ内閣を組閣できなくなる事例が出て来て、日本の政治は陸軍によって大きく左右される恐れが出てきた。

1913年（大正2年）6月13日の定員表では「現役」の文言を削除し、任用資格が予備役、後備役、退役将官まで広がり、組閣の苦労が減った。この現役制は1936年（昭和11年）の二・二六事件を受けて廣田内閣の時に復活、以降再び、内閣の進退対する陸軍の意向の影響が大きくなった。

1945年（昭和20年）8月、終戦。12月に陸軍省が第一復員省に改変になるとともに、陸軍大臣は廃止となった。

歴代大臣

代	氏名	内閣	就任日	退任日	兼務
1	大山巌	第1次伊藤内閣	1885年（明治18年）12月22日	1888年（明治21年）4月30日
2		黒田内閣	1888年（明治21年）4月30日	1889年（明治22年）12月24日	文部大臣臨時兼務 ：1889年（明治22年）2月16日 〜1889年（明治22年）3月22日
3		第1次山縣内閣	1889年（明治22年）12月24日	1891年（明治24年）5月6日
4		第1次松方内閣	1891年（明治24年）5月6日	1891年（明治24年）5月17日
5	高島鞆之助		1891年（明治24年）5月17日	1892年（明治25年）8月8日
6	大山巌	第2次伊藤内閣	1892年（明治25年）8月8日	1896年（明治29年）9月18日
7		第2次松方内閣	1896年（明治29年）9月18日	1896年（明治29年）9月20日
8	高島鞆之助		1896年（明治29年）9月20日	1898年（明治31年）1月12日	拓殖務大臣 ：〜1897年（明治30年）9月2日
9	桂太郎	第3次伊藤内閣	1898年（明治31年）1月12日	1898年（明治31年）6月30日
10		第1次大隈内閣	1898年（明治31年）6月30日	1898年（明治31年）11月8日
11		第2次山縣内閣	1898年（明治31年）11月8日	1900年（明治33年）10月19日
12		第4次伊藤内閣	1900年（明治33年）10月19日	1900年（明治33年）12月23日
13	児玉源太郎		1900年（明治33年）12月23日	1901年（明治34年）6月2日	台湾総督
14		第1次桂内閣	1901年（明治34年）6月2日	1902年（明治35年）3月27日	台湾総督
15	寺内正毅		1902年（明治35年）3月27日	1906年（明治39年）1月7日
16		第1次西園寺内閣	1906年（明治39年）1月7日	1908年（明治41年）7月14日
17		第2次桂内閣	1908年（明治41年）7月14日	1911年（明治44年）8月30日	外務大臣臨時兼任 ：〜1908年（明治41年）8月27日
18	石本新六	第2次西園寺内閣	1911年（明治44年）8月30日	1912年（明治45年）4月2日
19	上原勇作		1912年（明治45年）4月5日	1912年（大正元年）12月21日
20	木越安綱	第3次桂内閣	1912年（大正元年）12月21日	1913年（大正2年）2月20日
21		第1次山本内閣	1913年（大正2年）2月20日	1913年（大正2年）6月24日
22	楠瀬幸彦		1913年（大正2年）6月24日	1914年（大正3年）4月16日
23	岡市之助	第2次大隈内閣	1914年（大正3年）4月16日	1916年（大正5年）3月30日
24	大島健一		1916年（大正5年）3月30日	1916年（大正5年）10月9日
25		寺内内閣	1916年（大正5年）10月9日	1918年（大正7年）9月29日
26	田中義一	原内閣	1918年（大正7年）9月29日	1921年（大正10年）6月9日
27	山梨半造		1921年（大正10年）6月9日	1921年（大正10年）11月13日
28		高橋内閣	1921年（大正10年）11月13日	1922年（大正11年）6月12日
29		加藤友三郎内閣	1922年（大正11年）6月12日	1923年（大正12年）9月2日
30	田中義一	第2次山本内閣	1923年（大正12年）9月2日	1924年（大正13年）1月7日
31	宇垣一成	清浦内閣	1924年（大正13年）1月7日	1924年（大正13年）6月11日
32		加藤高明内閣	1924年（大正13年）6月11日	1926年（大正15年）1月30日
33		第1次若槻内閣	1926年（大正15年）1月30日	1927年（昭和2年）4月20日
34	白川義則	田中義一内閣	1927年（昭和2年）4月20日	1929年（昭和4年）7月2日
35	宇垣一成	濱口内閣	1929年（昭和4年）7月2日	1931年（昭和6年）4月14日
36	南次郎	第2次若槻内閣	1931年（昭和6年）4月14日	1931年（昭和6年）12月13日
37	荒木貞夫	犬養内閣	1931年（昭和6年）12月13日	1932年（昭和7年）5月26日
38		齋藤内閣	1932年（昭和7年）5月26日	1934年（昭和9年）1月23日
39	林銑十郎		1934年（昭和9年）1月23日	1934年（昭和9年）7月8日
40		岡田内閣	1934年（昭和9年）7月8日	1935年（昭和10年）9月5日
41	川島義之		1935年（昭和10年）9月5日	1936年（昭和11年）3月9日
42	寺内寿一	廣田内閣	1936年（昭和11年）3月9日	1937年（昭和12年）2月2日
43	中村孝太郎	林内閣	1937年（昭和12年）2月2日	1937年（昭和12年）2月9日
44	杉山元		1937年（昭和12年）2月9日	1937年（昭和12年）6月4日
45		第1次近衛内閣	1937年（昭和12年）6月4日	1938年（昭和13年）6月3日
46	板垣征四郎		1938年（昭和13年）6月3日	1939年（昭和14年）1月5日
47		平沼内閣	1939年（昭和14年）1月5日	1939年（昭和14年）8月30日
48	畑俊六	阿部内閣	1939年（昭和14年）8月30日	1940年（昭和15年）1月16日
49		米内内閣	1940年（昭和15年）1月16日	1940年（昭和15年）7月22日
50	東條英機	第2次近衛内閣	1940年（昭和15年）7月22日	1941年（昭和16年）7月18日
51		第3次近衛内閣	1941年（昭和16年）7月18日	1941年（昭和16年）10月18日
52		東條内閣	1941年（昭和16年）10月18日	1944年（昭和19年）7月22日	内閣総理大臣 外務大臣兼任 ：1942年（昭和17年）9月1日 〜1942年（昭和17年）9月17日 内務大臣兼任 ：〜1942年（昭和17年）2月17日 文部大臣兼任 ：1943年（昭和18年）4月20日 〜1943年（昭和18年）4月23日 商工大臣兼任 ：1943年（昭和18年）10月8日 〜1943年（昭和18年）11月1日 軍需大臣兼任 ：1943年（昭和18年）11月1日〜
53	杉山元	小磯内閣	1944年（昭和19年）7月22日	1945年（昭和20年）4月7日
54	阿南惟幾	鈴木貫太郎内閣	1945年（昭和20年）4月7日	1945年（昭和20年）8月14日
55	東久邇宮稔彦王	東久邇宮内閣	1945年（昭和20年）8月17日	1945年（昭和20年）8月23日	内閣総理大臣
56	下村定		1945年（昭和20年）8月23日	1945年（昭和20年）10月9日
57		幣原内閣	1945年（昭和20年）10月9日	1945年（昭和20年）12月1日

記録

• 専任大臣最短在任記録 中村孝太郎 8日間

関連項目

• 大日本帝国陸軍
• 陸軍省
• 大日本帝国海軍
• 海軍省
• 海軍大臣
• 陸軍三長官
• 国務大臣
• 軍部大臣現役武官制
• 自衛隊
• 防衛省
• 防衛大臣
• 陸上自衛隊
• 陸上幕僚監部
• 陸上幕僚長