組閣

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組閣(そかく)とは、内閣を組織すること。

日本における組閣[編集]

日本国憲法下における組閣[編集]

日本において、本来の意味としては、国会内閣総理大臣指名選挙により指名を受けた内閣総理大臣就任予定者が、新たに内閣を組織すること、またその作業(とくに国務大臣の人選作業)・手続を指すが、一般的には内閣改造の際の作業・手続も含める。本記事においては、前者の例を解説する。後者の内閣改造の場合の組閣については内閣改造の項目を参照。

組閣の手順[編集]

前内閣の内閣総辞職から内閣総理大臣指名選挙を経て新内閣の組閣に至るまでの手続としては一般的に以下の手順が踏まれる。

  1. 前内閣の内閣総辞職
    内閣は、衆議院不信任決議案が可決又は信任決議案が否決され、10日以内に衆議院の解散を選択しない限り総辞職しなければならない(日本国憲法第69条)。また、内閣総理大臣が欠けたときや衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときにも内閣は総辞職をしなければならない(日本国憲法第70条)。内閣は総辞職したときには国会法に基づいて直ちに両議院に対して通知を行う。総辞職した内閣は新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続き職務を行う(日本国憲法第71条職務執行内閣も参照)。
  2. 内閣総理大臣指名選挙
    内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名する(日本国憲法第67条前段)。この指名は他のすべての案件に先だって行うこととされているが(日本国憲法第67条後段)、その趣旨は内閣総理大臣が指名されないままの状態にあることは国政上において重大な支障をきたすためである[1]。ただし、条理上、院の構成など正常に議事運営を行い議院が有効に活動するための前提となる手続(議長選挙や議席の指定等)については先決問題とされ内閣総理大臣指名選挙よりも前に行われるが(昭和53年衆議院先例集69、昭和53年参議院先例録77)、これは憲法が予定するところあるいは憲法の許容するところと解されている[1][2][3][4]。国会で内閣総理大臣指名選挙が行われ新しく内閣総理大臣となるべき人物(国会議員)についての議決が確定すると、衆議院議長天皇にその旨を奏上する(国会法第65条)。
  3. 組閣本部における人事選考
    一般には組閣本部における人事選考は内閣総理大臣の任命前に行われる。つまり次期内閣総理大臣となる者は、国会の指名を受けた者という資格において組閣の準備に取りかかることが一般的となっている[5]。後述のように内閣総理大臣の任命によって従前の内閣はその地位を完全に失うことになる(日本国憲法第71条[6]。したがって、内閣総理大臣任命後に組閣作業をとるとすると、その間、内閣は内閣総理大臣のみで構成されることになる。しかし、そもそも内閣は合議体であることを本質としていることから、内閣総理大臣の任命の時期から国務大臣の任命・内閣の成立までは極めて短い期間であることが憲法上期待されていると考えられている[5][6]。かつて片山内閣では1947年5月27日の内閣総理大臣の任命後の同年6月1日に国務大臣が任命され、また、第2次吉田内閣でも1948年10月15日の内閣総理大臣任命後の同年10月19日に国務大臣が任命されたが、内閣総理大臣任命から組閣完了まで数日を要しており、このような手続のとり方に対しては合議体たる内閣制度の本旨に反するもので妥当でないといった批判があった[6]。これに対して第3次吉田内閣では1949年2月11日の内閣総理大臣指名後の同年2月16日に組閣が完了した上で内閣総理大臣と国務大臣の任命が同時に行われ、このような手続をとる慣行が憲法の趣旨に合致するといった評価を受けた[6]。このようなことから次期内閣総理大臣となる者は指名を受けた者の資格において組閣の準備に取りかかり、組閣本部で国務大臣とする者を予め選定した上で、その後、内閣総理大臣の任命と時間的に密着する形で国務大臣の任命と認証の手続がとられることが一般的となっている[5]。新内閣総理大臣となるべき人物は総理大臣官邸において与党幹部や内閣官房長官就任予定者らと「組閣本部」を立ち上げて組閣作業に着手し、国務大臣に任命する人物及びその補職を決め、自らの新内閣の布陣を整える(この時点では宮中での任命・認証は行われていないため、新首相を含め全員が就任予定者である)。内閣を構成する際には国務大臣の過半数は国会議員としなければならない(日本国憲法第68条但書)。これは内閣の構成上の要件とされ[7]、ここでいう「過半数」は国務大臣の定数の過半数ではなく現在する国務大臣の過半数の意味とされる[8]。組閣作業の後、総理大臣官邸において内閣官房長官就任予定者がこの人事を発表し、続いて新閣僚予定者が就任会見を行いその抱負等を述べることが慣例となっている。ただし、過去4例ほど内閣総理大臣の親任式のあとに組閣作業を行った例がある(一人内閣参照)。
  4. 親任式認証官任命式
    天皇は国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命する(日本国憲法第6条1項)。内閣総理大臣の任命について定める日本国憲法第6条には日本国憲法第7条とは異なり「内閣の助言と承認」の文言がないが、内閣総理大臣の任命は日本国憲法第4条の「この憲法の定める国事に関する行為」(国事行為)に含まれ日本国憲法第3条の効果として内閣の助言と承認を要することになる[9][10]。そして、内閣総理大臣の任命について先例では日本国憲法第71条の規定によって従前の内閣が助言と承認を行うことになっている[9][10]。内閣総理大臣の任命においては衆議院議長と参議院議長の列席のもと任命式が行われる[11][12](実際の例では内閣総理大臣を任命する儀式として親任式が行われる[13])。内閣総理大臣の任命によって従前の内閣はその地位を完全に失うことになる[6]日本国憲法第71条の「新たに内閣総理大臣が任命されるまで」)。内閣総理大臣以外の国務大臣は内閣総理大臣により任命され(日本国憲法第68条第1項本文)、天皇によって認証される(日本国憲法第7条第5号)。認証は天皇の国事行為であり内閣の助言と承認を要するが(日本国憲法第7条第5号)、性質上、それは新たに任命された内閣総理大臣のみによって行われることになる[14]。国務大臣の認証においては認証式が行われる[15][12]。実際の例では天皇の認証を必要とする認証官の任命式については認証官任命式という形で行われ[16]、内閣総理大臣による任命において天皇がその辞令に親署するという形式で認証が行われることになる[17][10]
    以上の宮中において内閣総理大臣の親任式、次いで国務大臣の認証官任命式が行われた時から新内閣が正式に発足する。
    また組閣後に初閣議後に首相と全閣僚が一斉に並んで記念撮影が行われるのが慣例となっている。記念撮影の場所は首相官邸の階段が多いが、過去には首相官邸の中庭で行われた例もある。

組閣と人事[編集]

国務大臣(閣僚)は過半数を国会議員から選出することが規定されている。閣僚を適材適所に配置させたり、後継者を重要ポストで処遇し、さらには与党内のライバルを閣内に取り込んで反対行動を封じるなど、内閣の行政遂行能力を向上させることが肝要となる。

自由民主党政権が長期化するにつれ、与党内の派閥連立与党参議院とのバランスを重視し、派閥の推薦枠や参議院枠、また大臣病の政治家のために当選回数などが閣僚登用の基準として用いられた。小渕恵三内閣の組閣の際には内閣総理大臣枠として堺屋太一を起用するなど、一部で独自性を見せたが、大半は旧来のままであった。しかし、2001年から2006年まで内閣総理大臣に在任した小泉純一郎派閥のバランスを考慮せずに組閣を行い、政界に驚きを与えた。

大日本帝国憲法下の組閣[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b 伊藤正己著 『憲法 第三版』 弘文堂、1995年、518頁
  2. ^ 松澤浩一著 『議会法』 ぎょうせい、1987年、115頁
  3. ^ 樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法III(第41条〜第75条)』 青林書院、1998年、211頁
  4. ^ 参議院総務委員会調査室編 『議会用語事典』 学陽書房、2009年、316頁
  5. ^ a b c 佐藤功著 『新版 憲法(下)』 有斐閣、1983年、865-866頁
  6. ^ a b c d e 樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法III(第41条~第75条)』 青林書院、1998年、229頁
  7. ^ 佐藤功著 『新版 憲法(下)』 有斐閣、1984年、839頁
  8. ^ 樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法III(第41条〜第75条)』 青林書院、1998年、217頁
  9. ^ a b 佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、69-70頁
  10. ^ a b c 樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法I(前文・第1条〜第20条)』 青林書院、1994年、96頁
  11. ^ 佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、70頁
  12. ^ a b 行政制度研究会編 『現代行政全集1政府』 ぎょうせい、1983年、127頁
  13. ^ 親任式 宮内庁
  14. ^ 佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、56頁
  15. ^ 佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、88頁
  16. ^ 認証官任命式 宮内庁
  17. ^ 阿部照哉著 『青林教科書シリーズ 憲法 改訂』 青林書院、1991年、34頁

関連項目[編集]

外部リンク[編集]