無効票
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無効票(むこうひょう)とは、定められた要件を満たしていないとして、効力が認められない票のこと。
日本[編集]
日本では公職選挙での投票の効力は公職選挙法第68条で定められており、法律に反した投票は無効になる。法律で規定されている無効票は以下の事例がある。
- 所定の用紙を用いない場合
- 候補者の氏名(衆議院比例の場合は政党名・参議院比例は政党名・候補者名のいずれか)以外を記入した場合
- 候補者の氏名(衆議院比例の場合は政党名・参議院比例は政党名・候補者名のいずれか)に他事記載をした場合(候補者の職業、身分、住所又は敬称の類は有効。衆議院比例・参議院比例は政党等本部の所在地、政党等の代表者の氏名または敬称は有効)
- 一枚の投票用紙に複数の候補者・政党名を記入した場合
- 候補者の氏名(衆議院比例の場合は政党名・参議院比例は政党名・候補者名のいずれか)を自書しない場合
- 候補者の氏名(衆議院比例の場合は政党名・参議院比例は政党名・候補者名のいずれか)を確認し難い場合(無記載の場合は白票)
例[編集]
- 1950年第2回参議院議員通常選挙
- 1989年第15回参議院議員通常選挙
- 2001年第19回参議院議員通常選挙
- 2003年第43回衆議院議員総選挙
- 2007年長崎市長選挙 - 市長射殺事件で死亡した伊藤一長前市長への票等で無効票が1万5435票(無効投票率は7.69%)に[3]。
- 2009年第45回衆議院議員総選挙
- 2012年第46回衆議院議員総選挙
- 2014年大阪市長選挙 - 無効票は6万7506票(投票総数の13.53%)、うち白票が4万5098票(同9.04%)で、大阪市長選については共に記録が残る1951年以降の最高記録である。出直し選挙を決意した前職の橋下徹が率いる大阪維新の会以外の主要政党が擁立を見送ったことで橋下以外はいわゆる泡沫候補であったため、橋下市政に批判的な有権者によるものと思われる。出直し選挙そのものに対する批判も多く、落選者3人の得票合計の5万3895票よりも無効票のほうが多い事態となった。
- 2014年第47回衆議院議員総選挙
- 2016年第24回参議院議員通常選挙
- 徳島県・高知県選挙区 - 合同選挙区で徳島県出身の候補のみで高知県出身の候補が不在だったこともあり、高知県において無効票が1万7569票(無効投票率は6.14%)と前回と比較して約6割増加し、「合区反対」と書かれた票も存在した[6]。
- 鳥取県・島根県選挙区 - 合同選挙区で与党候補が島根県出身だったこともあり、鳥取県において無効票が1万1012票(無効投票率は4.04%)と前回と比較して約4割増加し、「合区反対」と書かれた票も存在した[7]。
- 2018年雫石町議会議員補欠選挙 - 当選枠1人に対して2人が立候補し、1位当選候補は3710票で2位落選候補は2476票だったが、無効票が3138票(無効投票率は33.66%)となった[8]。町長選と同時に行われた一方で、2人の候補は選挙ポスターに顔写真を掲載せず、選挙カーによる運動や街頭演説も行わなかったことで有権者の判断材料が少なかったことが大量の無効票につながったとみられた。
- 2019年第25回参議院議員通常選挙
- 徳島県・高知県選挙区 - 合同選挙区で高知県出身の候補のみで徳島県出身の候補が不在だったこともあり、徳島県において無効票が1万4841票(無効投票率は6.04%)であり、「合区反対」と書かれた票も存在した[9]。
このほか、選挙のたびに「係員が間違った投票用紙を渡し(比例区の用紙を渡すべきところで選挙区の用紙を渡してしまうなど)、前記概要の1に該当して無効票」という事例が報道される。
ネットでの炎上[編集]
ネット環境の発達に伴い、有権者が自らの無効票を撮影したものをSNS等にアップロードして炎上する事例も確認されるようになり、有権者のモラルが問われる事態に発展している。
- 2017年第48回衆議院議員総選挙
- 投票日当日の10月22日、Twitter上であるユーザーがイラストを描いた無効票の画像をアップロードしたことと、そのユーザーの妻が「みんなが見ている前で(投票用紙を)破り捨てた」と発言したことに批判が集まり、炎上する騒ぎとなった。有権者の投票行為について、公職選挙法第60条では「投票所において演説討論をし若しくはけん騒にわたり又は投票に関し協議若しくは勧誘をし、その他投票所の秩序をみだす者があるときは、投票管理者は、これを制止し、命に従わないときは投票所外に退出せしめることができる」と規定されており、今回の場合“投票所の秩序を乱す”行為に当たる可能性があるものの、候補者に投票したことにより勧誘をしていることには当たらないため、罰則の適用対象になることはないとされている。また、投票時の撮影及び画像の掲載について、同法第60条では明確に撮影行為を禁止していないが、選挙管理委員会では他の有権者とのトラブルや周囲に誤解を招く危険性を考慮し、撮影行為の自粛を呼びかけている[10]。
アメリカ合衆国[編集]
アメリカ合衆国では連邦の選挙も含め、一義的には州当局が選挙の責任を負うため、投票のシステムや無効票の判定基準や作業は各州の定めによる。無効票の判定基準や判定結果が合衆国憲法の定める平等な投票権に関する問題とされた場合は、連邦の選挙・州の選挙を問わず連邦裁判所の管轄となる。
例[編集]
2000年大統領選挙ではフロリダ州で僅差となり再集計を行ったところ、パンチカード式投票用紙が用いられていた郡において、投票者が穿孔しようとした形跡があるにも拘らず穴が開ききっていない票が大量にあり、それらが無効票とされていたことが判明。人手による再判定の基準や再判定の回数について紛糾する。最終的には連邦最高裁判所で決着(ブッシュ対ゴア事件)。
スウェーデン[編集]
スウェーデンでは既成政党へのノーの意思表示としてしばしば「ドナルドダック党」への投票が行なわれ、得票が必ずある(多い時では200数十票)。
脚注[編集]
- ^ 読売新聞 2001年7月30日
- ^ 朝日新聞 2003年11月11日
- ^ 朝日新聞 2007年4月24日
- ^ 読売新聞 2012年12月19日
- ^ 朝日新聞 2014年12月15日
- ^ 高知新聞 2016年7月12日
- ^ 日本海新聞 2016年7月13日
- ^ “「受かる気なかった」けど町議に当選 名前すら未掲載で”. 朝日新聞 (2018年11月13日). 2018年11月15日閲覧。
- ^ 毎日新聞 2019年7月28日
- ^ “公職選挙法第六十条に抵触!? 投票用紙にイラスト無効票を書いて『Twitter』にアップ→炎上”. ガジェット通信 (2017年10月23日). 2017年10月22日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 無効票となる場合(総務省)