尋常性ざ瘡

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尋常性ざ瘡
(にきび)
Akne-jugend.jpg
14歳の思春期男性頭部に出現したにきび。
軽度の炎症を起こしている。
分類および外部参照情報
ICD-10 L70.0
ICD-9-CM 706.1
DiseasesDB 10765
MedlinePlus 000873
eMedicine derm/2
Patient UK 尋常性ざ瘡
MeSH D000152
顔・体幹部に出現したにきび
黒にきびを潰して出てきた皮脂の塊(角栓

尋常性痤瘡尋常性ざ瘡じんじょうせいざそう英語: Acne vulgaris, 略語: AV)は、顔や背と胸に見られる炎症性皮膚疾患の一つ。単に痤瘡 / ざ瘡 / 座瘡ざそうAcne)または、面皰めんぽう)と表記されることもある。一般的に青少年の顔面に生じる皮膚病をにきびと呼び、それ以外は吹き出物(ふきでもの)とすることが多い。にきびの語源は諸説ある[1]。「尋常」とは、普通にという意味[2]。ざ瘡は、医薬品を処方する際の便宜上、表在性皮膚感染症に分類されることが多いものの、感染症とする根拠はない[3]。語源となっているアクネ菌 (P.acnesは、皮膚の常在菌である。日本では90%以上の者が経験する疾患であることから、「にきびは青春のシンボル」とも言われている[4]

症状[編集]

前額部(おでこ)、頬、口の周り、下顎、背中や胸の中央など皮脂分泌量の多い皮膚に生じる発疹で、面皰と呼ばれる毛包に角質や皮脂が詰まった皮疹で下述の種類がある[5][6]

  1. 白ニキビ - 毛穴に皮脂が詰まる。患部が薄い皮膜で覆われて表面はまだ閉じており、発疹は白から乳白色。
  2. 黒ニキビ - 毛孔が閉鎖している。白ニキビが少し進行した状態で、皮脂が盛り上がり穴があくことで患部を覆う被膜が開き、内容物が酸化して黒っぽく変色。
  3. 赤ニキビ - 黒ニキビが更に進行した状態で、毛穴に詰まった皮脂に雑菌やアクネ菌が繁殖。炎症を生じ炎症性皮疹である赤色丘疹や内部に膿が溜まった膿疱へと移行する。

囊腫壁が破裂すると皮下膿瘍や硬結となる。その後、囊腫を生じた部分に線維化が起きるとケロイドを生じる事もある。

原因[編集]

発症に関わり胃腸障害、内分泌障害、代謝障害、肝機能障害、細菌感染、精神的因子、遺伝的要素などいくつかの仮説[7]があるが、詳細は解明されていない。皮膚常在菌のアクネ菌 (P.acnesが炎症箇所の毛穴分泌物から検出される事から、毛包(毛穴)が男性ホルモンと細菌と皮脂の相互作用によって炎症を起こすとする説が有力である[8]

様々な薬剤の副作用薬物相互作用で生じる皮疹は薬疹として分類される。また、内分泌疾患の随伴症状としても皮疹が生じる事がある。

薬剤の副作用

テストステロン誘導体であるダナゾール[9]

随伴症例

時にベーチェット病自己免疫疾患)、Sweet病好中球性皮膚症)、潰瘍性大腸炎(UC)に伴う壊疽性膿皮症などの随伴症状であることがある[10]

鑑別疾患[編集]

鑑別すべき皮膚疾患は、

診断[編集]

WHO国際疾病分類(ICD-10)[編集]

疾病及び関連保健問題の国際統計分類

  1. 顔面尋常性ざ瘡(L70.0)
  2. 尋常性ざ瘡(L70.0)
  3. 膿疱性ざ瘡(L70.0)
  4. 面皰(L70.0)
  5. 集簇性ざ瘡(L70.1)
  6. 粟粒性壊死性ざ瘡(L70.2)
  7. 痘瘡性ざ瘡(L70.2)
  8. 熱帯性ざ瘡(L70.3)
  9. 小児ざ瘡(L70.4)
  10. 新生児ざ瘡(L70.4)
  11. 若年性女子表皮剥離性ざ瘡(L70.5)
  12. ステロイドざ瘡(L70.8)
  13. 膿痂疹性ざ瘡(L70.8)
  14. ざ瘡(L70.9)
  15. ざ瘡様発疹(L70.9)
  16. 顔面ざ瘡(L70.9)
  17. 口囲ざ瘡(L70.9)

鑑別疾患[編集]

類似の所見を示す副作用や別の疾患と区別する為、下記疾患との鑑別を行う。

重症度判定[編集]

日本皮膚科学会の尋常性痤瘡治療ガイドライン2016より引用[4]

重症度判定
程度 片顔の炎症性皮疹数
軽症 5 個以下
中等症 6 個以上 20 個以下
重症 21 個以上 50 個以下
最重症 51 個以上

治療[編集]

症状の段階により幾つかの治療方法がある。

  1. 皮脂分泌の正常化。
    • 皮脂分泌を過剰にする恐れのある、脂肪分の多い食品の摂食量削減。
    • 生活習慣の改善。
  2. 毛孔の詰まりを軽減・解消するための洗顔。
    • ざ瘡ができた部位を1日に1 - 2回低刺激性の石鹸で洗うのが望ましい[14]抗菌石鹸や”スクラブ入り洗顔フォーム”の使用は、有用な皮膚常在菌を過剰に洗い流し、かつ皮膚を刺激し悪化させるおそれがある[14]
  3. 雑菌により炎症化するのを抑制するための洗顔や軟膏(外用薬)の塗布。
  4. 皮下膿瘍や囊腫内での細菌増殖を抑える為の抗生物質内服。生じている炎症を抑える為にステロイド等の抗炎症剤の外用及び内服[4]

医薬品による治療[編集]

外用薬[編集]

処方箋医薬品

なお、イオウカンフルローション(硫黄を含んだクリーム状の薬(軟膏))は、ざ瘡への適応があるものの、治療ガイドライン2016では臨床試験が行われていないことから推奨する十分な根拠がないとされている[4]

一般医薬品
  • 処方箋不要の薬剤として、サリチル酸レゾルシノール、硫黄を含んだクリーム状の薬(軟膏)で、これらは吹き出ものを乾かす効果があるが、若干のかさつきが生じる場合がある[14]。また、古くからある民間療法としては硫黄液がある。
漢方薬

抗生物質内服[編集]

日本
米国
米国におけるざ瘡治療用ミノサイクリン
体重 1日用量 体重1kgあたりの用量 名称
45〜 49 kg 45 mg 0.92〜1.00 mg/kg Minocycline ER [17]
50〜 59 kg 55 mg 0.93〜1.10 mg/kg Solodyn [18]
60〜 71 kg 65 mg 0.92〜1.08 mg/kg Solodyn
72〜 84 kg 80 mg 0.95〜1.11 mg/kg Solodyn
85〜 96 kg 90 mg 0.94〜1.06 mg/kg Minocycline ER
97〜110 kg 105 mg 0.95〜1.08 mg/kg Solodyn
111〜125 kg 115 mg 0.92〜1.04 mg/kg Solodyn
126〜136 kg 135 mg 0.99〜1.07 mg/kg Minocycline ER
  • 米国では体重毎の1mg/kg徐放剤としてSolodynMinocycline ERが承認されている。Solodynの2mg/kg剤や3mg/kg剤の臨床試験では有効性が認められず、有害事象前庭障害と関連があった[19]SolodynMinocycline ERの様な徐放剤は、日本で認可されている標準製剤と生物学的同等性を有していない。
  • 副作用の強いイソトレチノイン使用前の抗生物質の平均使用期間は331.3日、1年以上使用した症例は33.6%であった。複数の医療機関を利用してたケースに限ると平均使用期間は380.2日。抗生物質の第一選択肢としてミノサイクリンが44.4%、ドキシサイクリンが40.5%、アジスロマイシンが3.2%。第二選択肢はアジスロマイシンが20.3%。ドキシサイクリン使用者の80%が次にミノサイクリンを使用した可能性が高い[20]
英国
  • 英国の一般開業医を対象とした後ろ向きコホート研究の報告。テトラサイクリン系による内服治療の平均継続期間は175.1日であった。29%の症例が6ヶ月を超えていた。ざ瘡の重症度と臨床転帰は不明[21]

イソトレチノイン内服[編集]

海外では、ざ瘡治療の主流となっている経口イソトレチノイントレチノインは、日本では副作用(特に催奇性)の懸念から未承認医薬品となっている[22]。経口イソトレチノインの胎児危険度分類カテゴリーXとされている。米国におけるざ瘡治療薬のシェアは、イソトレチノインが65.2%、ドロスピレノン (Drospirenoneが9.4%、ミノサイクリン(主に1mg/kg徐放剤)が7.0%、ドキシサイクリンが2.1%、などとなっている[23]

医薬品による副作用[編集]

市販薬および医療用医薬中に非ステロイド性外用薬として配合されるイブプロフェンピコノールを含有する薬剤(軟膏)による接触皮膚炎の発生が報告されている[24]

好中球性皮膚症もざ瘡内服治療薬の副作用として起こり[11]、自己免疫疾患との強い関連性も示されている[25][26]

医薬品によらない治療[編集]

内服薬では、皮膚の新陳代謝を促すビタミンB2、皮膚の抵抗力を高めるビタミンB6の他、色素沈着などを防ぐためにビタミンCを使用する。基本的に皮膚科での治療は上記に書かれたように保険適用の範囲内である外用の抗菌剤や抗炎症剤やビタミン剤だけであり、下記の美容行為は保険適用外であり治療費が高くなる。

1998年以降、リン酸ビタミンCなどのビタミンC誘導体レチノイドのようなビタミンA誘導体リン酸ビタミンEのようなビタミンE誘導体といった皮膚に直接吸収されやすいビタミンを成分とした薬剤の外用塗布によって、抗酸化作用によるにきびの改善や色素沈着の改善が国内外で継続的に報告されている[27]。また、紅茶エキスによる治療効果も報告されている[28]

民間療法薬の種類[編集]

各国のガイドライン[編集]

日本皮膚科学会ガイドライン[編集]

2016年[編集]

  • 尋常性痤瘡治療ガイドライン2016[4]
外用抗菌薬[編集]
内服抗菌薬[編集]

内服抗菌薬の種類と推奨度

薬剤名 適応分類 胎児危険度分類(US) 推奨度
ドキシサイクリン なし D [注 1] / (AU):D A (強く推奨)
ミノサイクリン なし D [注 1] / (AU):D A* (推奨)
ロキシスロマイシン あり B1 B(推奨)
ファロペネム あり B(推奨)
テトラサイクリン なし D [注 1] / (AU):D  C1 (選択肢の一つ)
エリスロマイシン なし B / (AU):A  C1 (選択肢の一つ)
クラリスロマイシン なし C / (AU):B3  C1 (選択肢の一つ)
レボフロキサシン あり C  C1 (選択肢の一つ)
トスフロキサシン あり  C1 (選択肢の一つ)
シプロフロキサシン なし C / (AU):B3  C1 (選択肢の一つ)
ロメフロキサシン なし  C1 (選択肢の一つ)
セフロキシム アキセチル あり  C1 (選択肢の一つ)
  • ざ瘡(炎症性皮疹)への適応を有するロキシスロマイシンは、ファロペネムやミノサイクリンと比較して有意差がなかった日本のRCT報告があり、副作用は軽微であった[4][注 1]
  • ミノサイクリンの有効性は確立されているものの、副作用の頻度が高く、重篤な副作用もあることから注意喚起されている[4]
コクラン・レビュー[編集]

ミノサイクリンが他の一般的なざ瘡治療(他のテトラサイクリン系を含む)よりも効果的であったというエビデンスはない[26]コクラン共同計画システマティック・レビューにおいて、ミノサイクリンが他のテトラサイクリン系より優れていると結論付けたのは、深刻な方法論的問題を有していた2つの研究だけであった[29]。他のテトラサイクリン系と比較して安全性に懸念が残った[25]

米国皮膚科学会ガイドライン[編集]

2016年[編集]

  • Guidelines of care for the management of acne vulgaris[30]
局所療法
薬剤 勧告の強さ エビデンスレベル
過酸化ベンゾイル A I, II
外用抗生物質 A I, II
抗生物質&過酸化ベンゾイル A I
局所レチノイド A I, II
レチノイド&過酸化ベンゾイル/抗生物質 A I, II
アゼライン酸 (英語版 A I
外用ダプソン A I, II
サリチル酸 B II
硫黄ニコチンアミドレゾルシノールスルファセタミドナトリウム (英語版塩化アルミニウム亜鉛 の推奨をサポートできる限られたエビデンスがある。
全身抗生物質
薬剤 勧告の強さ エビデンスレベル
テトラサイクリン系テトラサイクリン[注 2]ドキシサイクリン[注 2]ミノサイクリン[注 2] A I, II
マクロライド系アジスロマイシン[注 3]エリスロマイシン[注 4] A I
トリメトプリム[注 5] w/ または、スルファメトキサゾール[注 6] w/o B II
使用期間の制限と局所療法の維持 A I, II
エリスロマイシン、アジスロマイシン、アモキシシリン[注 7]セファレキシン[注 8]の有効性もサポートしている。
以前のガイドラインでは、英:P.acnesアクネ菌)の削減においてドキシサイクリンよりも優れたミノサイクリンを推奨していた。しかし、最近のコクランレ・ビューではミノサイクリンがざ瘡に有効であるものの、他の抗生物質より優れていないことが判明している。
ミノサイクリンは1mg/kg用量の徐放剤が最も安全であると示されているが、有効性については用量依存性が認められなかった。ドキシサイクリンは1.7 - 2.4mg/kg用量の範囲で効果的と示されている。
イソトレチノイン内服
薬剤 勧告の強さ エビデンスレベル
従来の投与 A I, II
中等度のざ瘡への低用量治療 A I, II
モニタリング B II
iPLEDGEと避妊 A II
イソトレチノイン内服は、米国でざ瘡治療に30年以上使用されてきた。中等度のざ瘡に0.25mg/kgからの低用量治療が有効である。

欧州皮膚科学会ガイドライン[編集]

2012年[編集]

  • European evidence-based (S3) guidelines for the treatment of acne[31]
軽度から中等度の丘疹膿疱性ざ瘡
軽度から中等度の丘疹膿疱性ざ瘡へ、「過酸化ベンゾイル(固定)とアダパレン」の組み合わせ、もしくは「クリンダマイシン(固定)と過酸化ベンゾイル」の組み合わせが勧告強度「高」で推奨されている[31]
重度の丘疹膿疱性ざ瘡
重度の丘疹膿疱性ざ瘡の治療にイソトレチノイン内服の単独療法が勧告強度「高」で推奨されている[31]
中等度から重度の結節性ざ瘡
中等度から重度の結節性ざ瘡の治療にイソトレチノイン内服の単独療法が勧告強度「高」で推奨されている[31]
抗生物質内服について
ドキシサイクリン、リメサイクリン (Lymecycline、ミノサイクリン、テトラサイクリンは全て同等の効果と示唆される[31]が、ドキシサイクリンよりもミノサイクリンで有害事象報告が多く、重篤な有害事象報告はミノサイクリンに多い。しかしドキシサイクリンはミノサイクリンにはない光線過敏がある。リメサイクリンの有害事象報告は少なく、テトラサイクリンに匹敵する[31]
ミノサイクリンやテトラサイクリンよりも、ドキシサイクリンやリメサイクリンを優先して選択する必要があるとされている[31]
イソトレチノイン内服によるうつ病リスク
イソトレチノイン内服によるうつ病リスクは関連が示されていない。実際には抑うつ状態を減少させている。自殺との関連も示されていない。しかし、うつ病リスクと自殺リスクは患者に知らされるべきである[31]

議論[編集]

DTB誌 「ミノサイクリンに別れを告げる時?」
コクラン・レビュー[29][25]は、紅斑性狼瘡 (LE様症候群 (DILEのリスクが「10万処方あたり約53症例」と報告し、それは「ざ瘡のためにミノサイクリンで治療した患者は、他のテトラサイクリン系や治療をしなかった人々よりも、狼瘡様の自己免疫症候群を発症するリスクが有意に高い」[注 9]と結論づけた。英:DTBは2006年に、ミノサイクリンの深刻な副作用と臨床的利点の欠如を強調し、ざ瘡患者の管理においてその使用を正当化することは困難であることを示した。DTBは2007年と2009年にメッセージを強化し、ざ瘡治療のために一日一回の他のテトラサイクリン系の利用可能性を強調した。DTBはこのことが、より緊急の活動が必要であると主張した。DTBは、ミノサイクリンの処方を除去することと、この薬の処方を正当化する全ての者に挑戦することを公表した[32]
The BMJ 「ミノサイクリンの使用をやめる時?」
コクラン・レビューは、ミノサイクリンについて「明確な優位性を示すエビデンスは見つけられなかった」ことを強調したが、彼らはテトラサイクリン系、特にミノサイクリンと関連した深刻な有害性に言及しなかった。DTBは2006年からミノサイクリンに関連した深刻な有害性を強調してきた。このような懸念は1990年代から、好酸球増加症 (DRES syndrome肺炎腎炎自己免疫性肝炎紅斑性狼瘡 (LE様症候群 (DILEなどを含む重篤で明らかに特有な副作用と関連していた。潜在的にミノサイクリンは、皮膚の不可逆的な青灰色の色素沈着を引き起こすことがある唯一のテトラサイクリン系。明確な臨床的優位性がなく、他のテトラサイクリン系よりも有害性が大きい傾向であり、ざ瘡の管理においてミノサイクリンの使用を正当化する根拠が殆どない[33]

疫学[編集]

サハラ砂漠以南のアフリカ諸国以外、世界的にざ瘡の有病率は増加傾向にある[34]。特に東アジアほど有病率が高く、途上国より先進国で有病率が高い[34]。男性より女性で有病率が高く、15歳がピークとなっている[34]。10歳と20歳の有病率がほぼ同じ水準[34]。内因性アンドロゲンであるジヒドロテストステロン(DHT)は男性と女性でざ瘡の原因となりうる[34]

有病率は地方農村社会ではより低いと思われ、いくつかの研究では全ての民族に影響を与えると示したものの、西洋ではない民族、パプアニューギニアパラグアイの人々にはざ瘡が発症しない場合があるとされる[要出典]

ざ瘡は、アメリカ合衆国の4,000万 - 5,000万人(16%)、オーストラリアの300万 - 500万人(23%)に影響を及ぼす。アメリカ合衆国では、 アフリカ系の人々よりも、白人のほうがより重度に傾向がある[要出典]

有病率[編集]

2008年
  • ざ瘡治療のために医療機関を受診する患者は11.8%と少ない。ざ瘡患者の平均年齢は、男性が19.0±4.4歳、女性が24.4±6.6歳、全体では23.5±6.6歳であった。来院患者で最も多いのは20代女性で、男性は10代の患者が多かった。男性の重症度は、軽症が20.3%、中等症が67.8%、重症が11.9%、最重症が0.0%であった。女性の重症度は、軽症が34.5%、中等症が54.9%、重症が9.9%、最重症が0.7%であった[35]
2010年
  • 2010年の時点で、ざ瘡は世界人口の約9.4%である約6億5千万人に影響を与える。現在、西洋社会における10代のおよそ90%に影響を及ぼし、大人になっても持続する。ざ瘡経験のある25歳の女性の54%に、男性の40%に影響が残る。そして、85%の生涯有病率とされる。影響を受けた人々の約20%が中等度または重度の症例経験がある。それは男性(9.0%)よりも女性(9.8%)で少しだけ多い。40歳以上では、男性の1%と女性の5%は依然として問題がある[要出典]
2011年
  • 12 - 35歳を対象とした調査報告では、過去1年間ににきび治療のために医療機関を受診した患者数は254万人と推定された。日本国内におけるにきびの罹患者数は約1,500万人と推定された[36]
2012年
  • 日本皮膚科学会ニキビ治療推進委員会の2011年の調査では、20代女性の71%がにきび、20代女性の97%が隠れにきびであることが明らかとなった[37]。にきび患者を100とした場合、医療機関を受診している割合は、フランス41%、イタリア39%、韓国29%、アメリカ23%、ドイツ20%に対して、日本は19%と相対的な低さが指摘された[38]
2015年7月
  • 15 - 39歳を対象とした調査報告では、にきび治療のために医療機関を受診した人は全体の3割(194/600人、32.3%)であった。女性の方が約7%高い結果となった。今回の調査対象の6割ににきび痕があった[39]
  • 2011年に行われたナイジェリアの南西部に位置するイバダンでの調査報告[40]。464人の学生のデータを分析した結果、被験者の標準偏差年齢は13.6歳(±3.6歳)、平均BMI指数は17.8kg/m2であり、合計299人(64.4%)が尋常性ざ瘡を有することが見出された[40]。ざ瘡が頻出していた人で報告が多かったのは、毎日牛乳を飲んでいる(72.6% vs. 62.0%; P=0.035)、 コーン(76.6% vs. 62.3%; P=0.016)、フライドビーフ(75.0% vs. 62.1%; P=0.042)、ケーキ(77.8% vs. 62.3%; P=0.012)[40]。ざ瘡が少ない学生に共通していたのは、毎日バナナを食べていた(55.3% vs. 67.6%; P=0.032)[40]

様々な仮説[編集]

牛乳、乳製品との関連性
  • 米国皮膚科学会(2016年8月の報告)は因果関係は不明であるが、ざ瘡と低脂肪牛乳無脂肪牛乳と関連(p=0.01)が示された。全ての乳製品の摂取量、飽和脂肪酸トランス脂肪酸(不飽和脂肪酸)血糖負荷との有意な関連はみられなかった。また、総エネルギー摂取量や体格指数(BMI)との有意な関連もみられなかった[41]
  • 牛乳の摂取制限は、肥満・糖尿病・癌・神経変性疾患・ざ瘡などの流行疾患の予防に多大な影響を与える[42]
  • 牛乳はざ瘡に悪影響である[43]
  • 牛乳の摂取量はざ瘡の有病率と重症度を増加させる研究報告がある[44]。乳製品やグリセミック指数が高い食品の影響があることを支持する説得力のあるデータが存在する[44]
  • ハーバード大学公衆衛生学部が4,237人の男性を対象とした調査では、総ミルク1.16 (95%CL 1.01-1.34, p=0.77)、全乳(2%)1.10(95%Cl 0.94-1.28, p=0.83)、低脂肪乳(1%)1.17(95%Cl 0.99-1.39, p=0.08)、無脂肪乳1.19 (95%Cl 1.01-1.40, p=0.02)[45]。無脂肪乳の摂取量とざ瘡の間に正の関連を示している[45]
  • ハーバード大学公衆衛生学部が47,355人の女性を対象とした調査では、総ミルク1.22(95%Cl 1.03-1.44, p=0.002)、全乳1.12(95%Cl 1.00-1.25, p=0.56)、低脂肪乳1.16(95%Cl 1.01-1.34, p=0.25)、無脂肪乳1.44(95%Cl 1.21-1.72, p=0.003)[46]。インスタントの朝食と飲み物、シャーベットカッテージチーズクリームチーズもざ瘡と積極的に関連していた[46]。全乳と無脂肪乳の摂取が、ざ瘡と正の関連を示している[46]
インスリン様成長因子1(IGF-1)との関連
  • 米国皮膚科学会(2016年10月の報告)
    • インスリン様成長因子1 (IGF-1の血漿濃度は、ざ瘡ではない人々と比較し有意(p=0.04)に高かった。また、重症度とも相関(p=0.01)していた[47]
注意欠陥・多動性障害(ADHD)との関連
食事の内容
  • 中等度から重度のざ瘡が無脂肪乳、チーズ、ヨーグルト、菓子、ケーキ、チョコレート、1親等の肥満(BMI≥30)家族歴、牛乳の高摂取、魚の低摂取、果物・野菜の低摂取と関連している[49]
  • 西洋型の食事に特徴づけられた、高血糖炭水化物・ミルク・飽和脂肪の過剰摂取は、尋常性ざ瘡の発症・悪化に関係している[50]
  • ざ瘡に対するグリセミック指数血糖負荷と牛乳の影響を、内分泌学的メカニズムの説明だけでなく食事の変更に関連する臨床的エビデンスを提供する[51]
  • 18 - 25歳の248人(男性115人・女性133人)に対して脂肪・砂糖・果物・野菜の摂取傾向を2012年1月 - 5月にニューヨーク市で調査した[52]。中度から重度のにきび患者は、グリセミック指数(P<0.001)、砂糖(P<0.001)、1日の牛乳摂取量(P<0.001)、飽和脂肪酸(P<0.001)、トランス脂肪酸(P<0.001)、1日の魚摂取(P=0.002)と関連があった[52]
  • 2012年にフランスで行われた15〜24歳を対象とした疫学的な調査では、チョコレートや甘い菓子を毎日食べている人は、ざ瘡になるリスクが2.38倍であった[53]。一方、煙草を毎日10本以上吸っている人はリスクが0.44倍、大麻を使用している者はリスクが2.88倍であった[53]。これらは統計学的に有意であり、ざ瘡に関連していることが分かった[53]。砂糖・脂質・ミルクの関連については未調査[53]
  • ミルクは潜在的なざ瘡の原因として最も検討すべき要因の一つである[54]乳清タンパク質の含有量が高い場合は特にIGF-1レベルの増加を誘発する[54]。IGF-1は[皮膚細胞の成長・分裂を促進し、皮脂産生、黄体形成ホルモンおよびエストロゲン産生の効果がある[54]。したがって、乳由来タンパク質のサプリメントの使用によって誘発されたざ瘡のメカニズムに関連しうる[54]。IGF-1の上昇は例えば、アンドロゲン成長ホルモングルココルチコイドなどの面皰因子を媒介すると思われる[54]
  • 西洋食によってmTORC1シグナル伝達が増強され、BMI指数が増加しインスリン抵抗性および早期初潮とざ瘡発症の関連を説明できる[55]
発症機序に関わる研究
  • この10年間でざ瘡の背後にあるメカニズムの理解が指数関数的である[56]。西洋食、乳製品、FOXO1mTORC1の相互作用やアゴニストおよびアンタゴニストの役割は解明されつつある[56]
  • 思春期の成長ホルモンおよびインスリンとIGF-1(インスリン様成長因子1)伝達の相互作用を支持するエビデンスが増えてきている[57]副腎性腺のアンドロゲン代謝に影響を与えることによってざ瘡の病因における因果的役割を有している[57]。牛乳摂取と高血糖の食事は、インスリンおよびIGF-1媒介PI3K/Aktの活性化により皮脂腺生成細胞ケラチン生成細胞の増殖、脂質生成・皮脂性を誘導し、ざ瘡を悪化させる[57]。様々な症候群の一部として、ざ瘡の発生は、IGF-1とざ瘡の間の相関を支持する証拠を提供する[57]
遺伝的要素
  • 中程度から重度のざ瘡は、一親等の親族にざ瘡患者がいる家族歴に強く関係していた(オッズ比3.41、95%信頼区間2.31-5.05)[58]。女性と比較し、男性でBMI指数が低い人ほどリスクは減少する[58]。喫煙との関連はみられない[58]。ミルクの摂取が多いとリスクが増加し、週3以上の摂取では(オッズ比1.78、95%信頼区間1.22-2.59)であった[58]全乳より無脂肪乳でリスクが高まる[58]。魚の摂取は保護影響(オッズ比0.68、95%信頼区間0.47-0.99)と関係していた[58]月経とざ瘡の関連はみられなかった[58]

社会と文化[編集]

前述の通り、にきびは人に恋し恋される青年や思春期に主に用いられる言葉であり、日本ではそれを表現する「思い面瘡思われ面皰」(おもいおもくさおもわれにきび)といったことわざも存在する。また、にきび治療薬クレアラシルCM1986年島田奈美)では、「思い思われ振り振られ」(=思い、=思われ、左頬=振り、右頬=振られ)という、にきびの部位による占いが登場したこともある。

社会的コスト[編集]

ざ瘡治療のための社会的経済コストは相当なもので、アメリカ合衆国では、医師による500万以上の診察の原因と、直接経費で毎年25億ドル(約2,500億円)以上のコストとされる。同様にイギリスでは、毎年350万の診察の原因とされる。

ざ瘡はカナダの多くの人々に影響を与え、心理社会的および財政的影響をもたらしている[59]

デンマークの初期医療における抗菌薬の大きな消費増加は、近年の若者のテトラサイクリン使用と高い関連があった[60]

参考文献[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ a b c d "Evidence of risk" 危険性の証拠がある
  2. ^ a b c 胎児危険度分類(US):D "Evidence of risk" 危険性の証拠がある / (AU):D
  3. ^ 胎児危険度分類(US):B / (AU):B1
  4. ^ 胎児危険度分類(US):B / (AU):A
  5. ^ 胎児危険度分類(US):C / (AU):B3
  6. ^ 胎児危険度分類(US):C / (AU):C
  7. ^ 胎児危険度分類(US):B / (AU):A
  8. ^ 胎児危険度分類(US):B / (AU):A
  9. ^ ミノサイクリン以外のテトラサイクリン系は「8.8症例/10万人/年」の割合で紅斑性狼瘡が認められている。
  10. ^ 海外で主流のイソトレチノインは自殺報告が非常に多い。

出典[編集]

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関連項目[編集]

ウィキメディア・コモンズには、尋常性ざ瘡に関するカテゴリがあります。

外部リンク[編集]