ニキビ

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尋常性痤瘡
(ニキビ)
Akne-jugend.jpg
14歳の思春期男性頭部に出現したニキビ。
軽度の炎症を起こしている。
分類及び外部参照情報
ICD-10 L70.0
ICD-9 706.1
DiseasesDB 10765
MedlinePlus 000873
eMedicine derm/2
Patient UK ニキビ
MeSH D000152
顔・体幹部に出現したニキビ
黒ニキビを潰して出てきた皮脂の塊(角栓

ニキビ面皰: acne, spots, zits)とは、皮膚の炎症性疾患。顔・胸・背に見られるものは、医学的に尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)、または単に痤瘡(ざそう)という。一般にニキビという語は青年の顔面に発生するものをいい、それ以外のものは吹き出物(ふきでもの)ということも多い。ニキビの語源は諸説ある[1]

原因と症状[編集]

ニキビは、毛包 (毛穴) がホルモンと細菌と皮脂の相互作用によって炎症を起こすことでできる。従って、皮脂が多く分泌される部位にできやすい。ニキビは、皮脂を分泌する毛穴が詰まるところから始まる。詰まった毛穴の中に乾いた皮脂や角質(死んだ細胞)がたまり、この状態が黒ニキビ(毛穴が開いて中身が見えている状態)または白ニキビ(毛穴が閉じている状態)と呼ばれるものである。

黒ニキビ、白ニキビの状態から赤いニキビを作り出すのは、ブドウ球菌と同様に皮膚に非常に多く存在する皮膚常在菌のアクネ桿菌(プロピオニイバクテリウム・アクネス英語版P.acnes)である。アクネ桿菌は、嫌気性の細菌のため酸素のない脂腺の奥に生息する。また、皮脂を好むため、詰まった毛穴の中で皮脂を栄養として過剰に増殖し、脂肪分解酵素のリパーゼを分泌し、皮脂を遊離脂肪酸にしてコメドとなる。また紫外線や空気中の酸素が皮脂を過酸化脂質に変化させる。このように皮脂が遊離脂肪酸へ変化し酸化され過酸化脂質へと酸化された結果、炎症が起きて赤くなったり、がたまって黄色い部分ができるという症状が出る。また、さらに進行すると、毛穴が破れて中身が流れ出し炎症が広がることもある。その場合は皮膚の深い部分を傷つけてしまうため、炎症が治っても痕(瘢痕あばた)が残る場合が多い。なお、ニキビのできるメカニズムは完全には解明されていない。また粉瘤腫というほぼ同じ外見の腫れが身体のいずれかの場所にできる場合もあるが発生機序は異なり、治療方法も切開が必要である等の違いがある。

化粧品の使用は毛穴を詰まらせ、にきびを悪化させる場合がある。チョコレートなど特定の食品や性行動が原因とする噂があるが、科学的根拠は存在しない。思春期に発生するものはテストステロンの分泌量移行に対する反応であることが多い。[要出典] ほとんどの人では、その反応は時間がたつにつれて減少する。その結果、20代前半までにはにきびは改善するか少なくともその数を減じる。またホルモン分泌の乱れや、睡眠不足ストレスや食生活などの不摂生な生活によっても皮脂分泌が多くなる。

経口ピルの有効性も示唆されているため、女性ホルモンの影響である可能性がある。[要出典]

時にベーチェット病Sweet病潰瘍性大腸炎に伴う壊疽性膿皮症などの随伴症状であることがあり、注意を要する。[2]

疫学的調査[編集]

2012年フランスで行われた15〜24歳を対象とした疫学的な調査では、チョコレート甘いお菓子を毎日食べている人はニキビになるリスクが2.38倍であった。一方、タバコを毎日10本以上吸っている人はリスクが0.44倍、大麻を使用している者はリスクが2.88倍であった。これらは統計学的に有意であり、ニキビに関連していることが分かった。タバコがニキビのリスクを下げていることが判明した砂糖脂質ミルクの関係性については不明[3]

治療[編集]

以下のような目的に沿って、治療薬の処方や生活指導が行われる。

  • 抗酸化物質の塗布
  • アクネ菌の殺菌
  • 厚くなった角質を正常化させる
  • 皮脂分泌の正常化

一般的なにきび治療は、にきびができた部位を、日に1〜2回低刺激性のせっけんで洗うのが望ましい[4]。抗菌せっけんやスクラブ入りせっけんの使用は、有用な皮膚常在菌を過剰に洗い流し、且つ皮膚を刺激し悪化させる恐れがある[4]

医薬品による治療[編集]

現在日本では、一般的に皮膚科で処方されるニキビ治療には外用の局所抗菌剤として、ダラシンゲル(クリンダマイシン)、ナジフロキサシン()の2種類のほか、殺菌作用を持つベピオ®ゲル2.5%(過酸化ベンゾイル; : Benzoyl peroxide 2.5% w/w.)や抗炎症剤が使われている。外用の抗菌薬が効かない場合、毛穴の詰まりを取る効果のあるトレチノインなどを使うが、トレチノインは日光に対し過敏になる作用があり慎重な処方が行われる必要がある。2008年7月にアダパレン(商品名ディフェリン®ゲル0.1%)が日本で認可された(それまではアダパレンは自由診療もしくは個人輸入でしか用いられなかった。)。処方なしで入手できる物として、サリチル酸レゾルシノール硫黄を含んだクリーム状の薬(軟膏)で、これらは吹き出ものを乾かす効果があるが、若干のかさつきが生じる場合がある[4]。 尋常性痤瘡治療ガイドラインでは、軽症ではアダパレン外用と抗菌剤外用を推奨している。[5]

古くからある民間療法としては、硫黄液がある。粉末硫黄(薬屋で沈降硫黄を取り寄せる)を薬瓶の中で水溶液にして(傷薬や美容液を加えても良し)、爪楊枝の柄を使用し患部に塗る方法である。硫黄は、吹き出物治療には大変有効である。硫黄が角質を軟化させ剥がれ易くすることで毛穴の目詰まりを防ぎ、皮脂抑制、乾燥効果などが得られのである。また、硫黄の黄色みが炎症の赤みを隠してくれる。硫黄の黄色みが目立たない様に薄く塗ることが肝要。擦るのではなく、被せる様に塗ること。

漢方薬十味敗毒湯荊芥連翹湯麻杏薏甘湯抑肝散加陳皮半夏により治療効果があったとする報告もある[6]

抗生物質内服療法[編集]

重症なニキビでは、ミノサイクリンテトラサイクリンエリスロマイシンなどの経口用抗生物質が使用される場合もあるが、長期服用が必要で重い副作用を引き起こす場合がある[4]

ミノサイクリンテトラサイクリンエリスロマイシンなどの経口抗生物質適応外処方となり、原則として保険適用外である。痤瘡の適応があるのはロキスロマイシン(商品名:ルリッドなど)のみである。

米国での抗生物質の平均使用期間は331.3日。33.6%が1年以上の使用。複数の医療機関を利用しているケースに限ると平均使用期間は380.2日[7]

ミノサイクリンシステマティック・レビューでは、有効な治療法であることが示されたが、他の一般的なニキビ治療法よりも優れている証拠は無かった。ミノサイクリンドキシサイクリンがより重篤有害作用と関連していることが示唆された。第一線での治療法として正当化できる、信頼性のある根拠は見つからなかった。他のテトラサイクリン系抗生物質と比較して安全性に懸念が残る。長期的なエビデンスは無い[8]

公益社団法人日本皮膚科学会の尋常性痤瘡治療ガイドラインでは、上記文献[8]を根拠に「強く推奨する」としている。上記の引用文献では「推奨している」との記述は見当たらない[9]

海外ではミノサイクリンドキシサイクリン内服は放出調整剤が用いられている。米国では体重毎に1mg/kg用量でSolodyn(55mg・65mg・80mg・105mg・115mg)またはMinocycline ER(45mg・90mg・135mg)が処方される。用量が多いと有効性が落ち、重篤な副作用のリスクが高まる為としている[10]。2016年2月時点で30錠入りボトルが$1,000を超えている。

治療薬による副作用[編集]

市販薬及び医療用医薬中に非ステロイド性外用薬として配合されるイブプロフェンピコノールを含有する薬剤(軟膏)による接触皮膚炎の発生が報告されている[11]

医薬品によらない治療[編集]

内服薬では、皮膚の新陳代謝を促すビタミンB2、皮膚の抵抗力を高めるビタミンB6の他、色素沈着などを防ぐ為にビタミンCを使用する。基本的に皮膚科での治療は上記に書かれたように保険適用の範囲内である外用の抗菌剤や抗炎症剤やビタミン剤だけであり、下記の美容行為は保険適用外であり治療費が高くなる。赤くなる前の段階(黒ニキビ、白ニキビ)を治療する薬は、海外にはあるが日本では認可されていない。しかし、その中には市販はされていないが開業医が自家調合することが可能な治療薬もある。[要出典]

1998年以降よりリン酸ビタミンCなどのビタミンC誘導体レチノイドのようなビタミンA誘導体リン酸ビタミンEのようなビタミンE誘導体といった皮膚に直接吸収されやすいビタミンを成分とした薬剤の外用塗布によって、抗酸化作用によるニキビの改善や色素沈着の改善が国内外で継続的に報告されている[12]。また、紅茶エキスによる治療効果も報告されている[13]

科学的な根拠は存在しないものの、チョコレートなどのスナック菓子や揚げ物などの油っこい食べ物はニキビの治療に好ましくないと言われている。野菜果物など食物繊維ビタミンを含んだ食べ物を多く摂取することによって改善する事も多いようである。[要出典]

民間療法薬の種類[編集]

鑑別疾患[編集]

類似の所見を示す別の疾患。

文化[編集]

前述の通り、ニキビは人に恋し恋される青年や思春期に主に用いられる言葉であり、日本ではそれを表現する「思い面瘡思われ面皰」(おもいおもくさおもわれにきび)といったことわざも存在する。また、ニキビ治療薬クレアラシルCM1986年島田奈美)では、「思い思われ振り振られ」(=思い、=思われ、左頬=振り、右頬=振られ)という、ニキビの部位による占いが登場したこともある。

脚注[編集]

  1. ^ ニキビ・面皰(にきび) 語源由来辞典
  2. ^ 岡田 定 編, 最速!聖路加診断術, p.17
  3. ^ Wolkenstein P, Misery L, Amici JM, Maghia R, Branchoux S, Cazeau C, Voisard JJ, Taïeb C. (November 2014). “Smoking and dietary factors associated with moderate-to-severe acne in French adolescents and young adults: results of a survey using a representative sample.”. Dermatology. 230 (1): 34-39. doi:10.1159/000366195. PMID 25413494. 
  4. ^ a b c d にきび メルクマニュアル家庭版
  5. ^ 林 伸和,ほか.: 日皮会誌. 2008:118;1893-1923.
  6. ^ 桜井 みち代, 石川 由香子, 大塚 吉則, 八重樫 稔, 宮坂 史路, 今井 純生, 本間 行彦: 漢方薬が奏効した脂漏性皮膚炎の5症例 日本東洋医学雑誌, 60, 155-159, 2009
  7. ^ Arielle R. Nagler, MD, Emily C. Milam, AB, Seth J. Orlow, MD, PhDcorrespondence (2015). The use of oral antibiotics before isotretinoin therapy in patients with acne.. doi:10.1016/j.jaad.2015.09.046. PMID 26525749. 
  8. ^ a b Garner SE 1 , Eady A , Bennett C , Newton JN , Thomas K , Popescu CM . (2012). “Minocycline for acne vulgaris: efficacy and safety.”. Cochrane Database Syst Rev.. doi:10.1002/14651858.CD002086.pub2. PMID 22895927. 
  9. ^ 尋常性痤瘡治療ガイドライン”. www.dermatol.or.jp. 公益社団法人日本皮膚科学会. 2015年8月26日閲覧。
  10. ^ James Q. Del Rosso, DO, FAOCD, Section Editorcorresponding author James Q. Del Rosso, Dr. James Del Rosso, DO, FAOCD, is Dermatology Residency Director, Valley Hospital Medical Center; Clinical Associate Professor (Dermatology), University of Nevada School of Medicine, Las Vegas, Nevada; and Associate Professor (Dermatology), Touro University College of Osteopathic Medicine, Henderson, Nevada. (2009). “Weight-based Dosing and Extended-release Formulation of Minocycline Tablets”. J Clin Aesthet Dermatol. 2 (1): 44-47. PMC 2958190. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=2958190. 
  11. ^ 症例で学ぶ接触皮膚炎 Vol.5 市販のにきび治療薬で顔面が腫れる日経メディカル オンライン 記事:2011.10.20 閲覧:2011.11.04
  12. ^ 池野宏「ビタミン療法の現状と課題」『フレグランスジャーナル』No.324, 35(8), 39-42, 2007-08, NAID 40015612271
  13. ^ 伊藤洋子 川嶋善仁「紅茶エキスによるニキビケア」『フレグランスジャーナル』 No.321, Vol.35(5), 42-46, 2007-05, NAID 40015493547
  14. ^ イボ(ウイルス性疣贅)には、どんな種類がありますか? 日本皮膚科学会
  15. ^ 毛包炎と皮膚膿瘍 メルクマニュアル医学百科 家庭版

関連項目[編集]

外部リンク[編集]