脱脂粉乳
脱脂粉乳(だっしふんにゅう)とは、粉乳の一種で、生乳や牛乳または特別牛乳の乳脂肪分を除去したものからほとんどすべての水分を除去したもの。脱粉(だっぷん)と略称されることもある。
商品名としてスキムミルクが多用されているが、英語における "skim milk", "skimmed milk" は無脂肪乳の意味であり、乾燥品を意味しないため注意が必要である。
概要[編集]
保存性がよく、蛋白質、カルシウム、乳糖などを多く含んでおり、栄養価が高いことから、戦後しばらく学校給食に用いられた。学校給食に用いられたのは主にユニセフからの援助品である。戦後間もない頃の日本の食糧事情を知ったアメリカ合衆国の市民団体が、日本の子供たちの為に実行したララ物資だった。ただし、当時アメリカには脱脂粉乳が過剰となっており、支援にかこつけて在庫処理をしたとする説もある[1]。メロンパン、マフィンなどの菓子作りにも使われる。 また、ELISAやウェスタンブロッティングなどのタンパク質を扱う分子生物学実験ではブロッキングに用いられる。
歴史[編集]
ララ物資は1946年11月から1952年6月までに行われ、日本は脱脂粉乳の食糧援助を受けた。
ユニセフから日本は、1949年から1964年にかけて、脱脂粉乳などの食糧援助を受けた。
日本の学校給食では、1950年代半ばから通常の牛乳に切り替わり始め、早いところでは1966年(石崎岳によると1963年)に札幌市では姿を消した(地域にもよるが、遅いところでは1970年代前半まで供されていたと推定される)。 平成27年、日本では年間約13万トンが製造されており[2]。内、北海道産が約9割を占める。調整牛乳の[成分調整]用、食品原料、製菓・ホームベーカリー原料、一般家庭の調理用に用いられている。
その他[編集]
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- 保存性や栄養価などを評価されることは多いが、当時の学校給食で用いられた脱脂粉乳の味を知っている者(団塊の世代など)には、これが美味しかったという評は皆無に近く[注釈 1]、これが原因で牛乳に苦手意識を持つようになった人も多い。特に臭いが酷かったといわれるが、これは、当時学校給食に供されたものは、バターを作った残りの廃棄物で家畜の飼料用として粗雑に扱われたものだからで、また無蓋貨物船でパナマ運河を経由した為に、高温と多湿で傷んだからという説もある。現在市販されているものはそのような臭いはなく、品質も向上しているので十分飲用に耐えうるものになっている。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
関連項目[編集]
- クリーミングパウダー
- 雪印八雲工場脱脂粉乳食中毒事件
- 阿波丸事件
- ガリオア資金
- ララ物資
- カルピス、アイスクリン
- タバローグ - バターやスメタナを製造した際に生じる脱脂粉乳の様な残りカスに砂糖を加えて作るロシアの調味料。食感や味はカッテージチーズに似ており、パンなどに挟んで食べる。
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