醍醐

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醍醐(だいご)とは、五味の一つ。牛乳を加工した、濃厚な味わいとほのかな甘味を持った液汁とされ[1]、最も美味しい味の代名詞として使われた。すでに製法は失われており、後述の様な諸説(バターのようなもの[2]、又は現代で言うカルピス飲むヨーグルトのようなもの、または(レアチーズ)を熟成させたもの等[3])入り乱れ実体は不明である[4]。再現実験を行った有賀らは、バターオイルのような物質であるとしている[5]

概要[編集]

仏教大乗経典『大般涅槃経』の中に、五味として順に乳→酪→生酥→熟酥→醍醐と精製され一番美味しいものとして、涅槃経も同じく最後で最上の教えであることをたとえとして書かれている。これを五味相生の譬(ごみそうしょうのたとえ)という。

譬如從牛出乳 從乳出酪 從酪出生蘇 從生蘇出熟蘇 從熟蘇出醍醐 醍醐最上 若有服者 衆病皆除 所有諸藥、悉入其中 善男子 佛亦如是 從佛出生十二部經 從十二部経出修多羅 從修多羅出方等経 從方等経出般若波羅蜜 從般若波羅蜜出大涅槃 猶如醍醐 言醍醐者 喩于佛性 — 『大般涅槃経』

牛より乳を出し、乳より酪(らく)を出し、酪より生酥(せいそ)を出し、生酥より熟酥(じゅくそ)を出し、熟酥より醍醐を出す、仏の教えもまた同じく、仏より十二部経を出し、十二部経より修多羅(しゅたら)を出し、修多羅より方等経を出し、方等経より般若波羅密を出し、般若波羅密より大涅槃経を出す

とある。これが醍醐味の語源として仏教以外でも広く一般に知られるようになった。

製造方法[編集]

延喜式では、納税に用いるの製造が規定されている。蘇は醍醐を製造する前段階の乳製品であることから、蘇の製造方法を参考にしてさまざまな手法で濃縮、熟成させ、醍醐を作り出す試みが食品研究家らの手でなされている[4][5][6]

その他[編集]

  • ラクトー株式会社(現:カルピス株式会社)は、1919年(大正8年)7月7日に誕生した「カルピス」を命名する際に、カルシウムの「カル」と醍醐(サルピルマンダ)の「ピル」を合わせた「カルピル」が考えられたが語感がよくないとされた。そのため五味の次位である熟酥(サルピス)の「ピス」と合わせ「カルピス」と命名した[7][8]

脚注[編集]

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  1. ^ 大辞林 第三版 だいご(醍醐) 三省堂 2013年10月17日 閲覧
  2. ^ 松長有慶 「密教大系(9巻)」 1994年 法藏館
  3. ^ 森嘉兵衛 「岩手をつくる人々 - 古代・近世篇(上)」 1983年 法政大学出版局
  4. ^ a b 有賀秀子、高橋セツ子、倉持泰子 ほか、日本における古代乳製品の"酥"および"醍醐"の本草網目(李著)にもとづく再現試験 日本畜産学会報 Vol.59 (1988) No.3 P.253-260, doi:10.2508/chikusan.59.253
  5. ^ a b 有賀秀子、大谷能子、竹内真澄、「本草綱目」に基づき再現した熟酥と醍醐の性質についての研究 日本酪農科学会 酪農科学・食品の研究 (39) 5, 1990, p.A196-A202
  6. ^ 平田昌弘、「酪・生酥・熟酥・醍醐論考 : 古・中期インド・アーリア文献「Veda文献」「Pali聖典」を基にした再現実験」 畜産技術 (708), 9-14, 2014-05, NAID 40020093356
  7. ^ 日本初の乳酸菌飲料「カルピス」の誕生秘話:カルピス
  8. ^ 「カルピス」の命名:カルピス

関連項目[編集]

外部リンク[編集]