信頼区間

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信頼区間(しんらいくかん、: Confidence interval)とは、統計学母数がどのような数値の範囲にあるかを確率的に示す方法である。ある母数 θ (観測できない)を含んだ確率分布に従う標本 X1, ..., Xn に依存して決まる a, b と実数 \alpha \in (0, 1)

P(a \leq \theta \leq b) = 1 - \alpha

を満たすとき、閉区間 [a, b] を「母数 \theta(100 \cdot (1 - \alpha)) \% 信頼区間」という。値 1 - \alpha (または(100 \cdot (1 - \alpha)) \%)は、信頼水準: confidence level)または信頼係数: confidence coefficient)と呼ばれ、慣習的には95%や99%などの数値を用いる。

信頼区間は普通、標本から計算された統計量とともに与えられる。

例えば「信頼水準95%で、投票者の35%から45%がA候補を支持している」といったとき、95%というのが信頼水準で、35%から45%というのが信頼区間、θに当たるのはA候補の支持率である。

解釈[編集]

95%信頼区間の例。50の信頼区間のうち3つには母数 μ が含まれていない。

上の言い方は「候補Aの支持率が35%から45%である確率は95%である」 というふうにとられやすいが、これは(少なくとも従来の統計学の主流的考え方としては)誤解である。

別の例として、観測値から海王星の質量を推定する場合を考えよう。

1.「信頼水準90%で、海王星の質量は a から b の間である」

とは言えるが、観測から得られた値 ab に基づいて

2.「海王星の質量が a から b の間に入る確率は90%である」

と言うことはできない。質量はあくまで定数であって、誤差が生じるのは観測による、つまり ab が誤差を含む統計量だからである。従来の統計学(確率を頻度として定義する頻度主義)の考え方では海王星の例(1)を言い直せば、

1'.「『海王星の質量は a から b の間である』といえば、10回に9回くらいは当たっているだろう」

ということになる。

ただし、確率を信頼の度合いとして定義するベイズ推計学の考え方では、2のような言い方は必ずしも誤りではない。この場合、普通用いられる考え方はベイズ確信区間(Bayesian credible interval)である。これはまず θ の値として予想される事前確率分布から出発して、次に観測データが与えられた条件での θ の条件付確率分布を求め、これを事後確率分布として”信頼”区間の表現に用いる方法である。

具体例[編集]

X1, ..., Xn を、平均 μ分散 σ2正規分布に従う母集団から抽出した独立な標本とする。そこで標本平均不偏分散をそれぞれ

\overline{X}=(X_1+\cdots+X_n)/n
S^2=\frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^n\left(X_i-\overline{X}\,\right)^2

とおけば

T=\frac{\overline{X}-\mu}{S/\sqrt{n}}

は自由度 n − 1 のt分布に従う。 ここで T が従う分布は母数 μσ2 (観測できない)にはよらないことに注意。

自由度 ν のt分布の確率密度関数 f(t) とその上側100α%点 tα,ν の図示。

tn−1(α) をこの分布の上側100α%点とすれば

P\big( -t_{n - 1}(\alpha/2) \leq T \leq t_{n - 1}(\alpha/2) \big) = 1 - \alpha

となる。したがって

P\left( \overline{X} - t_{n - 1}(\alpha/2) \frac{S}{\sqrt{n}} \leq \mu \leq \overline{X} + t_{n - 1}(\alpha/2)\frac{S}{\sqrt{n}} \right) = 1 - \alpha

が成り立ち、平均 μ の 100(1 − α)% 信頼区間

\left[ \overline{X} - t_{n - 1}(\alpha/2) \frac{S}{\sqrt{n}}, \overline{X} + t_{n - 1}(\alpha/2) \frac{S}{\sqrt{n}} \right]

が得られる。

関連項目[編集]