アダパレン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
アダパレン
Adapalene.svg
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
胎児危険度分類
  • C
法的規制
投与方法 経皮投与
薬物動態データ
生物学的利用能 非常に低い
排泄 胆汁
識別
CAS番号
106685-40-9
ATCコード D10AD03 (WHO)
PubChem CID: 60164
DrugBank APRD00780
KEGG D01112
化学的データ
化学式 C28H28O3
分子量 412.52 g/mol

アダパレン英語: Adapalene)とは、尋常性ざ瘡(ニキビ)の外用治療剤に使用される有効成分。レチノイド様の作用を有するナフトエ酸(ナフタレンカルボン酸)誘導体である。毛孔性苔癬等の皮膚疾患に適応外使用される[1]

解説[編集]

ガルデルマ (Galderma:皮膚科学専業のスイス合弁企業) 社が創製した、アダパレンを含有した外用治療剤(ゲル、クリーム)は、同社により「ディフェリン® (Differin)」という製品名で世界80カ国以上で承認・販売されている。日本では2008年7月にガルデルマ社の日本法人であるガルデルマ株式会社により、ディフェリン®ゲル0.1%が製造販売承認を取得した。同製品の国内販売権は承認後8年間塩野義製薬が取得している。

作用[編集]

ニキビは毛包脂腺系の皮脂分泌の亢進と、角化亢進による毛包の閉塞により面皰(非炎症性皮疹)として発生する。その後、炎症を伴った赤い丘疹・膿疱(炎症性皮疹)へ進展する。アダパレンはレチノイン酸受容体(RAR)に選択的に結合し、表皮角化細胞英語版の角化を制御することで面皰の形成を抑制するため、非炎症性皮疹と炎症性皮疹の数を共に減少させる。in vivo 研究では、アダパレン製剤は担体に較べて面皰の数を50〜60%減少させた。

相互作用[編集]

アダパレンは局所使用したクリンダマイシンの効果を増強するが、その副作用も増加する[2]。クリンダマイシン塗布の3〜5分前にアダパレンを塗布すると、クリンダマイシンの皮膚への浸透を増加させ、単剤に比べて作用が強くなる[3]

トレチノインとは異なりアダパレンは化学的に安定であるので、 過酸化ベンゾイルと同時に用いても失活しないと思われる[4]

薬物動態[編集]

経皮的に吸収されるアダパレン量は少ない。6名のニキビ患者に、1日1回2gのアダパレンクリームを面積1,000cm2の皮膚に5日間塗布した試験では、血中から検出されたアダパレン濃度は0.35ng/mL未満又は未検出であった[5]

臨床的応用[編集]

日本皮膚科学会による尋常性座瘡治療ガイドライン2016[6]にて、面皰並びに軽症から重症の炎症性皮疹、さらには維持療法において推奨度A(使用を強く推奨)である。

  • 妊娠または妊娠の可能性がある場合は使用しない[7]。また、乳汁中に移行する為、授乳中の使用は使用しないことが望ましい[7]

出典[編集]

  1. ^ Rolewski S (2003). “Clinical review: topical retinoids”. Dermatol Nurs 15 (5): 447–50, 459–65. PMID 14619325. http://www.medscape.com/viewarticle/464026. 
  2. ^ “Efficacy and tolerability of combined topical treatment of acne vulgaris with adapalene and clindamycin: a multicenter, randomized, investigator-blinded study”. J Am Acad Dermatol 49 (3 Suppl): S211–7. (2003). doi:10.1067/S0190-9622(03)01152-6. PMID 12963897. 
  3. ^ “Adapalene pretreatment increases follicular penetration of clindamycin: in vitro and in vivo studies”. Indian J Dermatol Venereol Leprol 73 (5): 326–9. (2007). doi:10.4103/0378-6323.34010. PMID 17921613. 
  4. ^ “Chemical stability of adapalene and tretinoin when combined with benzoyl peroxide in presence and in absence of visible light and ultraviolet radiation”. Br J Dermatol 139 Suppl 52: 8–11. (October 1998). doi:10.1046/j.1365-2133.1998.1390s2008.x. PMID 9990414. 
  5. ^ DIFFERIN® (adapalene) Cream, 0.1% Label (PDF)”. FDA (2000年5月25日). 2011年10月4日閲覧。
  6. ^ 林伸和、赤松浩彦、岩月啓氏、大森遼子、上中智香子、黒川一郎、幸野健、小林美和、谷岡未樹、古川福実、古村南夫、山㟢修、山㟢研志、山本有紀、宮地良樹、川島眞 (2016-05-21). “尋常性座瘡治療ガイドライン2016” (pdf). 日本皮膚科学会雑誌 (日本皮膚科学会) 126 (6): 1045-86. doi:10.14924/dermatol.126.1045. https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/126/6/126_1045/_pdf 2016年9月16日閲覧。. 
  7. ^ a b ディフェリン ゲル0.1% (PDF) 医薬品情報データベース

外部リンク[編集]