ウィナーズカップ
概要 | |
---|---|
開催時期 | 3月 |
開催地域 | 持ち回り |
分野 | 競輪 |
カテゴリー | GII |
形態 | 4日間トーナメント |
主催者 | 持ち回り |
歴史 | |
初回開催年 | 2017年 |
開催回数 | 7回 |
初代優勝者 | 郡司浩平 |
直近優勝者 | 松浦悠士(2023年) |
ウィナーズカップは、毎年3月中旬から下旬に開催される、競輪のGII競走。
概要[編集]
長らく(1977年(1972年、1973年、1975年も含む)~2016年の間)、毎年3月にはGI・日本選手権競輪が行われてきたが、同競走が2016年度以降はゴールデンウィーク期間中に開催することとなった[注 1] ため、その『空いた』3月に新たに開催することとなった特別競輪が、新規GII格付けであるこの「ウィナーズカップ」である。伝統あるGI開催に加え、競輪界に新たな歴史を築くために創設された。
大きな特徴として、車券に最も貢献している1着回数上位者を中心に選抜することにより、他のGI・GIIにはない特色を出してアピールを高めるとともに、より多くの選手にGII出場のチャンスを与えている。そのため、S級2班在籍であっても選考期間中の1着回数が上位であった場合は、初日の特別選抜予選(シードレース)に出走できる[1][2]。
- なお、本大会における選考基準である「1着回数」について、9車立てであるGIなどグレードレースと7車立てであるS級シリーズ(7車立ては2020年6月以降)を同列で扱っていることについて、中野浩一は疑義を抱いており苦言を呈している[3]。
また、同開催最終日第9レースでは「ガールズケイリンコレクション[注 2]」●●ステージ(●●は開催地名)も併せて行われる。
第1回大会は、2017年3月17日 - 20日(春分の日)に高松競輪場で開催され、郡司浩平が初代王者[注 3]となった。
第2回大会(2018年)も決勝戦が春分の日に当たる日程となったが、第3回大会(2019年)は春分の日が木曜日であったため春分の日を初日とし決勝戦は翌週日曜日という日程で行われた。
ただ、第1回大会をピークに売り上げは低迷が続いており、第3回大会の総売り上げは69億1438万6600円と、前回の93.4%であった[5]。
第4回大会(2020年)では賞金額が増額されたが、COVID-19の流行と感染拡大を防止する観点で、特別競輪としては史上初の無観客開催として行われた。当時は全国的に全ての競輪場・競輪場外車券売場が閉鎖されていたため車券の購入は電話投票ないしインターネット投票のみとなったことから、総売り上げは25億6160万5100円と前回の37%に留まった。結果として、三日制以上の特別競輪としては総売り上げワースト記録[注 4] ともなった。
第5回大会(2021年)では2年ぶりに観客を入れて開催されたが、前年同様の理由で三重県在住者のみの抽選による入場制限[注 5] を行ったうえで開催された[6]。なお、シリーズ四日間の総売り上げは68億7267万8300円[7] で、前年比では大幅増だが2年前の売り上げを下回る結果で終わった。
第6回大会(2022年)では、前年同様の理由で宇都宮本場の滞留を最大2,500名にした上で開催された[注 6][8]。また、4日間の総売上額は85億5773万3500円となり、前回比で25%近い大幅増加となっただけでなく、第1回大会の76億8742万4800円を約7億円上回り過去最高の売上額となった[9]。
第7回大会(2023年)では、サブタイトルにオランダ王国友好杯が付いた上で開催された。また、4日間の総売上額は75億2861万7700円[10]となり、前回を10億円下回る結果となった。
賞金[編集]
以下は、近年の決勝戦における各着順の賞金額。( )内は副賞(1〜3着に授与)を含んだ金額。
大会(年) | 1着 | 2着 | 3着 | 4着 | 5着 | 6着 | 7着 | 8着 | 9着 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第4回(2020年)[11] | 1,980万円(2,180万円[12]) | 946万円(1,010万円[12][13]) | 591万円(621万円[12][13]) | 316万円 | 234万円 | 194万円 | 183万円 | 173万円 | 163万円 |
第5回(2021年)[14] | 1,980万円(2,170万円[13]) | ||||||||
第6回(2022年)[15] | 2,079万円(2,279万円[16]) | 993万円(1,057万円[16]) | 621万円(651万円[16]) | 332万円 | 246万円 | 204万円 | 192万円 | 181万円 | 171万円 |
第7回(2023年)[17] | 2,391万円(2,581万円[18]) | 1,142万円(1,206万円[18]) | 714万円(744万円[18]) | 381.8万円 | 282.9万円 | 234.6万円 | 220.8万円 | 208.2万円 | 196.7万円 |
第8回(2024年)[19] | 2,600万円 | 1,326万円 | 741万円 | 421.1万円 | 311.9万円 | 257.8万円 | 243.2万円 | 229.4万円 | 216.4万円 |
出場選手選抜方法[編集]
ウィナーズカップの出場選手は、車券に最も貢献している1着回数の多い選手を中心に選抜される。毎回若干変更・修正されるものの、概ね以下の資格順位により正選手108名、補欠選手8名を選抜する[20]。
- 選考期間…前年7月〜12月(6ヶ月)、選考月…1月、最低出走回数…24出走
- S級S班在籍者
- 1.を除く1位回数上位30名
1位の回数が同数の場合は2位の回数の多い選手を、2位の回数が同数の場合は3位の回数の多い選手を順次選抜する
3位の回数が同数の場合は平均競走得点上位者を優先して選抜する - 前年のヤンググランプリ出走者
- FI開催(S級シリーズ)の決勝での1〜3位回数の上位者
1位の回数が同数の場合は2位の回数の多い選手を、2位の回数が同数の場合は3位の回数の多い選手を順次選抜する
3位の回数が同数の場合は平均競走得点上位者を優先して選抜する
正選手のうち、S級S班在籍者と1着回数上位者の合計27名については、初日は特別選抜予選に出走できる。
なお、補欠選手は正選手を除くFI開催(S級シリーズ)の決勝での1〜3位回数の上位者からさらに順次選抜される。
勝ち上がり方式[編集]
初日〜3日目は12レース、4日目(最終日)のみ11レース(他に「ガールズケイリンコレクション」1レース)が行われる。
優秀 | 初日 | 2日目 | 3日目 | 最終日 |
---|---|---|---|---|
毘沙門天賞(1) | 準決勝(3) | |||
特選予選(3) | 二次予選(6) | 決勝(1) | ||
一次予選(9) | ||||
敗者戦 | - | (5) | (9) | (10) |
- 初日
- 「一次予選」 合計9レース行われ、各レース1〜4着36名が「二次予選」進出。
- 「特別選抜予選」 一次予選の後に合計3レース行われ、各レース1〜3着9名は無条件で2日目の「毘沙門天賞」と、3日目の「準決勝」進出権利が同時に得られる。4〜9着18名は「二次予選」進出。
- 2日目
- 「二次予選」 合計6レース行われ、各レース1〜3着18名が「準決勝」進出。
- 「毘沙門天賞[注 7]」 二次特別選抜予選として、最終レースに行われる。失格にならない限り、9名全員が「準決勝」進出。
- 3日目
- 「準決勝」 後半3レース。各レース1〜3着9名が「決勝」進出。
- 4日目(最終日)
- 「決勝」 最終レース。上位3着は表彰式で表彰台に上がることができる。また、優勝者には優勝インタビューやウイニングランなどが執り行われる。
- 「特別優秀」 「決勝」前の合計2レース。「準決勝」各レース4〜6着9名と、二次予選敗退選手による3日目「特選」各レース1〜3着9名の18名により行われる。
- 「ガールズケイリンコレクション[注 2]」 女子選手による一発勝負。「特別優秀」前の第9レースに行われる。
その他、2日目以降に予選敗退者を対象とした「特一般」(2日目)、「一般」、「選抜」、「特選」(3日目以降)が開催される。
最終日は「ガールズケイリンコレクション」が行われる関係で「ウィナーズカップ」としての競走は11レースしか設定されていないため、基本的に3日目「一般」各レース7〜9着9名が最終日を待たずに強制的に(失格はなくても)途中帰郷(「お帰り」)させられることとなっている。ただ、実際は失格や棄権などで途中欠場が発生することもあり、欠車やレースカットを防ぐため必ずしも全員が強制的に途中帰郷させられるわけではない。
過去の優勝者[編集]
回 | 開催年 | 開催場 | 優勝者 | 府県 | 毘沙門天賞勝者 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2017年(平成29年) | 高松 | 郡司浩平 | ( | 神奈川)平原康多 |
2 | 2018年(平成30年) | 松山 | 武田豊樹 | ( | 茨城)三谷竜生 |
3 | 2019年(平成31年) | 大垣 | 脇本雄太 | ( | 福井)脇本雄太 |
4 | 2020年(令和2年) | 福井 | 松浦悠士 | ( | 広島)郡司浩平 |
5 | 2021年(令和3年) | 松阪 | 清水裕友 | ( | 山口)郡司浩平 |
6 | 2022年(令和4年) | 宇都宮 | 松浦悠士 | ||
7 | 2023年(令和5年) | 別府 | 松浦悠士 | ( | 広島)平原康多 |
今後の開催予定[編集]
決勝戦テレビ中継[編集]
- 第1回大会(2017年)から第3回大会(2019年)までは、BS日テレにて放送されていたが、第4回大会(2020年)以降はSPEEDチャンネルのみの中継が続いている。
エピソード [編集]
- 第6回(2022年)では、以下の記録が生まれた[21]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 2016年の日本選手権は、3月に引き続き5月にも開催された。これは、3月が2015年度(年度末のGI)の、5月が2016年度(年度最初のGI)の、それぞれの開催であるため。
- ^ a b 2024年まで。2025年以降はガールズ フレッシュクイーンが行われる。
- ^ 郡司浩平はGII以上の特別競輪を初制覇[4]。
- ^ 従来のワースト記録は、第14回サマーナイトフェスティバル(2018年)での40億3758万8000円だった。
- ^ 実際は、最終日の624名が最高だった。なお、第16回サマーナイトフェスティバル(2020年)最終日の965名を下回り特別競輪最終日の入場者数ワーストとなった。
- ^ 実際には、最終日の4,616名が最高だった。また、最終日のみ時間によって入場制限を行った時間があった。
- ^ 2017年と2018年は当時放送されていたBS日テレ『パンサーの競輪はじめました』の冠レースとして、毘沙門天賞・パンサー杯として行われた。
出典[編集]
- ^ “『第7回ウィナーズカップ“オランダ王国友好杯”』出場予定選手の決定について”. KEIRIN.JP (2023年1月26日). 2023年1月28日閲覧。
- ^ “第7回 ウィナーズカップ“オランダ王国友好杯” 特別選抜予選競走出場予定選手一覧表” (PDF). KEIRIN.JP (2023年1月26日). 2023年1月28日閲覧。
- ^ 日刊スポーツ大阪本社版、2023年3月18日15面
- ^ “【競輪】高松で郡司浩平がG2初制覇 最終2角まくりで2130万円ゲット”. デイリースポーツ (神戸新聞社). (2017年3月20日) 2017年3月20日閲覧。
- ^ 日刊スポーツ大阪本社版、2019年3月25日21面
- ^ “「第5回ウィナーズカップ」抽選による有観客開催について”. KEIRIN.JP (2021年1月20日). 2021年1月20日閲覧。
- ^ “総売り上げは前年比大幅増も目標に届かず/松阪G2”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2021年3月28日) 2021年3月29日閲覧。
- ^ 特設サイト
- ^ “清水連覇達成 ウィナーズカップ”. 西日本スポーツ (西日本新聞社). (2022年3月22日) 2022年3月22日閲覧。
- ^ “ウィナーズカップ&ガルコレの総売り上げは75億円で目標に届かず 前年比12%減/別府”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2023年3月22日) 2023年3月23日閲覧。
- ^ ウィナーズカップ(GⅡ)(SU1) (PDF) 副賞を含まない金額
- ^ a b c 日刊スポーツ大阪本社版、2020年3月29日12面
- ^ a b c 日刊スポーツ大阪本社版、2021年3月28日14面
- ^ ウィナーズカップ(GⅡ)(SU1) (PDF) 副賞を含まない金額
- ^ ウィナーズカップ(GⅡ)(SU1) (PDF) 副賞を含まない金額
- ^ a b c 日刊スポーツ大阪本社版、2022年3月21日14面
- ^ ウィナーズカップ(GⅡ)(SU1) (PDF) 副賞を含まない金額
- ^ a b c “守沢太志「まっすぐ走っていたら…」落車シーンを振り返り「瞬時の判断がまだまだ」/別府G2”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2023年3月22日) 2023年3月22日閲覧。
- ^ ウィナーズカップ(GⅡ)(SU1) (PDF) 副賞を含まない金額
- ^ 選考基準 ⇒ ここから「ウィナーズカップ(GII)」をクリック
- ^ “GII最高払戻金額更新!!(3連単・2車単)”. KEIRIN.JP (2022年3月18日). 2022年3月21日閲覧。