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あなたのことはそれほど

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
あなたのことはそれほど
ジャンル 恋愛
漫画
作者 いくえみ綾
出版社 祥伝社
掲載誌 FEEL YOUNG
レーベル フィールヤングコミックス
発表号 2010年10月号 - 2017年8月号
巻数 全6巻
ドラマ
脚本 吉澤智子
演出 金子文紀、竹村謙太郎、福田亮介
制作 ドリマックス・テレビジョンTBSテレビ
放送局 TBS系
放送期間 2017年4月18日 - 6月20日
話数 全10話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

あなたのことはそれほど』は、いくえみ綾による日本漫画作品。『FEEL YOUNG』(祥伝社)にて2010年10月号から[1]2017年8月号まで[2]不定期に[3]連載された。単行本は全6巻[4]。既婚者の女性が小学校の頃から好きだった同級生と再会し、不倫関係に陥る物語。2017年TBSテレビ系でテレビドラマ化された[5][6]

あらすじ

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29歳の美都(みつ)は偶然小中学校の同級生で初恋の人・有島光軌と再会し、不倫関係となる。有島は妻の出産を機に既婚者であると明かし別れようとするが、美都は自らも夫がいることを明かした上で交際の継続を求める。

2人はその後も逢瀬を重ねるが、有島が常に育児を優先することや、美都の夫・涼太が浮気を知っていたと明かしたことから美都は衝動的に有島宅を訪れ、妻の麗華と面会する。その後涼太も有島夫妻と接触したため、勘のよい麗華は夫への疑念を深めていく。

涼太は浮気を知っても美都を愛し続けると言い、美都も涼太との婚姻を維持したまま有島とも関係を続けようとするが、有島は日に日に冷たくなる麗華を恐れて別れを切り出す。当初は別れ話に応じなかった美都も涼太の束縛を嫌がり、家を出たのち有島との別れを受け入れる。その後美都は涼太に連れ戻されるも、離婚を拒む涼太の執着に恐怖し別居する。

有島が浮気を認めたため、麗華は娘の亜胡を連れて実家に帰る。有島は毎日朝と晩に片道2時間ずつかけて麗華と亜胡のもとに通う。頑なに拒み続けた麗華だが、光軌の浮気に乱された自身の心に興味が湧いたと復縁を受け入れる。

美都は涼太と離婚し、脳出血の後遺症が残る母親の介護に明け暮れる日々を過ごす。涼太は美都への未練を抱えながら、下書きのままになっているメッセージを送ることができずにいる。

登場人物

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渡辺 美都(わたなべ みつ)
旧姓:三好(みよし)。小学6年生(12歳)の時に転校してきた有島に一目惚れした。中学生の頃、母が経営していたスナックの常連客の占い師に「2番目に好きな人と結婚するといい」と言われ、ショックを受ける。中学2年の冬、自宅兼店舗の騒音に耐え兼ね外にいたところ、偶然中学でも一緒の有島と会い、成り行きで関係を持つ。
眼科で受付をしていた時に涼太と知り合い、占い師の助言通り「2番目に好きな人」である涼太と結婚した。
30歳目前で偶然有島と再会し、既婚者であることを隠したまま関係を持つ。有島も既婚者であり、子供が産まれたことを知ると自身も夫がいることを告白し、「無茶なこと言わないから安心して」と不倫関係の続行を申し出る。
有島と再会してからは周囲(特に親友の香子)から違和感を持たれるほど大いに浮かれており、危機感もあまりない。自身の浮気を知りながらも結婚生活を続けようとする涼太の異常性に怯え、家出する。
有島 光軌(ありしま こうき)
美都の小学6年から中学時代の同級生。イケメンで女子から人気があった。いつも自分を見つめてくる美都を気持ち悪いと思っていたが成り行きで関係を持ち、以降は美都を避けたまま中学を卒業する。高校卒業後、クラスメイトだった麗華と交際を始め、結婚する。育児にも協力的で、一人娘の亜胡(あこ)を溺愛している。
麗華の里帰り中に偶然美都と再会し、不倫関係となる。お互い既婚者であり、自身に子供が産まれたことを知っても関係を続けようとする美都を「変な奴」だと言いつつ、逢瀬を重ねる。
中学時代はクールで寡黙だったが、高校からは明るくノリの良い性格になった。
渡辺 涼太(わたなべ りょうた)
美都の夫。インテリア関係の会社に主任として勤めている。眼科を受診した際、受付業務の美都と知り合い、結婚した。料理好きで家事も得意。SNSに写真を載せることが趣味。
有島と再会する前、彼の夢を見ていた美都が寝言で「有島くん」と言ったのを聞いたことで不安に駆られ、美都の携帯電話を盗み見する癖が付いてしまう。優しく穏やかな性格だが、美都の不倫に気づいてからは狂気的で異常な行動をとり、美都への愛情は執着的である。
36歳を迎えた直後に離婚したが、美都の母が倒れたことを知らせてくれた。
涼太が10代のときに母・姿子(しなこ)を既に亡くしている。たった一人の父親とともに母の墓参りをいつも訪れている。
有島 麗華(ありしま れいか)
旧姓:戸川(とがわ)。光軌の妻。光軌の高校時代のクラスメイトで、学級委員長を務める真面目だが地味な生徒だった。家計を助けるため地元の焼肉屋でバイトをしている。光軌を好きな女生徒の言動がきっかけで光軌への気持ちを自覚し、強引にキスをする。高校卒業後から付き合い始め、結婚に至る。職場の産休と育休をとりながら一人娘の亜胡を出産し、子育てに勤しんでいる。いわゆる優等生タイプで、光軌の浮気に勘づいても感情的になることはなく、正論で光軌を追い詰める。
離婚を求める父とそれを拒否する母が長らく別居状態にあり、高校時代から何かと苦労が絶えなかった。2歳年下の妹の優華がいる(ニュージーランド人の夫と結婚して娘がいる。ニュージーランド在住)。

書誌情報

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  • いくえみ綾『あなたのことはそれほど』祥伝社〈フィールヤングコミックス〉 全6巻
    1. 2012年11月8日発売、ISBN 978-4-396-76563-7
    2. 2014年7月8日発売、ISBN 978-4-396-76611-5
    3. 2015年10月8日発売、ISBN 978-4-396-76655-9
    4. 2016年10月8日発売、ISBN 978-4-396-76683-2
    5. 2017年4月25日発売、ISBN 978-4-396-76703-7
      • 「スイカにマヨネーズ」(初出:『マリカ』2008年8月号)収録
    6. 2017年11月20日発売、ISBN 978-4-396-76718-1

テレビドラマ

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あなたのことはそれほど
別名 あなそれ
ジャンル テレビドラマ
原作 いくえみ綾
『あなたのことはそれほど』
(祥伝社フィールコミックス)
脚本 吉澤智子
演出 金子文紀
竹村謙太郎
福田亮介
出演者 波瑠
東出昌大
仲里依紗
鈴木伸之劇団EXILE
大政絢
中川翔子
黒川智花
大友花恋
山崎育三郎
橋本じゅん
麻生祐未
エンディング 神様、僕は気づいてしまったCQCQ
製作
プロデューサー 佐藤敦司
製作 ドリマックス・テレビジョン
TBSテレビ
放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2017年4月18日 - 6月20日
放送時間火曜 22:00 - 22:54
放送枠火曜ドラマ
放送分54分
回数10
公式サイト

特記事項:
初回・最終回は15分拡大(22:00 - 23:09)。
テンプレートを表示

2017年4月18日から6月20日までTBSテレビ系「火曜ドラマ」枠で放送された。主演は波瑠[6]

キャスト

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主要人物

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その他

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スタッフ

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放送日程

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各話 放送日 サブタイトル[9] 演出 視聴率[10]
Story1 4月18日 春の恋、満開!優しすぎる夫×忘れられない運命の人 金子文紀 11.1%
Story2 4月25日 暴走する春の恋!背徳の温泉旅行 09.0%
Story3 5月02日 ヤバい夫の哀しみ全てがバレる夜 竹村謙太郎 09.5%
Story4 5月09日 最愛の妻への最凶のプレゼント 09.9%
Story5 5月16日 夫VS愛人!地獄の公園デビュー 福田亮介 09.8%
Story6 5月23日 変身夫と家出妻!決別の赤ワイン 金子文紀 11.5%
Story7 5月30日 遂に覚醒!誰よりも恐いうちの妻 竹村謙太郎 12.4%
Story8 6月06日 私、妊娠しました…炎上するW不倫 福田亮介 13.5%
Story9 6月13日 ずっと好きだった…切なすぎる結末 竹村謙太郎 10.1%
Story10 6月20日 生まれ直しても今の相手を選びますか夫婦2組の決断 金子文紀 14.8%
平均視聴率 11.2%(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)

評価

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テレビドラマ『あなたのことはそれほど』は、概ね好意的な評価を受けた。作家山下柚実は、主人公の美都が空っぽ、屈折や罪悪感や負の感情がなく、暗さがなく湿度がない、ある意味空虚という意味で、このドラマをドロドロの対極にある「透明な不倫ドラマ」と称した。また、その主人公の姿がこれまでにはない面白味を生んでいるのではないかと指摘した[11]朝日新聞[12]コラムニストペリー荻野[13]、ライターの吉田潮[14]も同様の指摘をしている。情報サイトモデルプレスは、主人公の美都が『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』、『不機嫌な果実』、『奪い愛、冬』などのこれまで描かれてきた不倫劇の主人公とは一線を画している理由は、彼女の行動の原動力が純粋な「恋する気持ち」でしかないからだと指摘している[15]。ドラマ批評家の成馬零一は、本作は同じ放送枠でヒットした『逃げるは恥だが役に立つ』(略称「逃げ恥」)が取りこぼした結婚と恋愛(あるいは性愛)の分離の可能性という難題に容赦なく踏み込んだ結果、「逃げ恥」に対する強烈なカウンター[16]、あるいはセルフパロディ[17]になっていると評価した。

出演俳優も肯定的な評価を受けた。主演の波瑠についてオリコンは、今まで中性的な役柄が多かった彼女が今作で「女の顔」を全開にした役を演じ、新境地を開いたとコメント[18]。ネットメディアBusiness journalは、ドラマが複数回重ねた時点で、「清純派の波瑠が汚れ役を演じるのはまだ早いのではないか」と論評したが[19]、最終回を迎えた後、「今となっては謝りたい。ここまでもあっけらかんとして悪びれない、不倫をするクズ女なのに透明感のある波瑠の演技がなければ、今作がこれほど注目を集めることも視聴率を残すこともなかったに違いないからだ」と述べ、賛辞を送った[20]。主人公の夫・涼太役を演じた東出の演技は「怪演」と称され、1992年に放送されたドラマ『ずっとあなたが好きだった』で佐野史郎が演じたマザコン夫「冬彦さん」を彷彿とさせるという意見が聞かれた[21][22][23][24]。これに対して佐野は自身のTwitterで、「噂は届いております」と反応。さらに「若き日の演技はその時だけのものかもですが、ご期待に応えられるようにしなきゃ」と俳優として刺激を受けている様子を示した[25]

受賞

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TBS 火曜ドラマ
前番組 番組名 次番組
カルテット
(2017年1月17日 - 3月21日)
あなたのことはそれほど
(2017年4月18日 - 6月20日)
カンナさーん!
(2017年7月18日 - 9月19日)

脚注

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  1. ^ フィーヤン、いくえみが新作。ヤマシタ×河内対談も”. コミックナタリー (2010年9月8日). 2013年3月18日閲覧。
  2. ^ 45歳のシゲタ描く「後ハッピーマニア」がFYに! 「あなそれ」は最終回”. コミックナタリー (2017年7月7日). 2017年7月7日閲覧。
  3. ^ いくえみ綾がW不倫描く「あなたのことはそれほど」再登場”. コミックナタリー (2011年5月7日). 2013年3月18日閲覧。
  4. ^ s-book.net Library Service(「あなたのことはそれほど」検索結果)”. 2017年4月25日閲覧。
  5. ^ いくえみ綾「あなたのことはそれほど」実写ドラマ化決定!アラサーのW不倫劇”. コミックナタリー (2016年1月7日). 2017年1月7日閲覧。
  6. ^ a b c d “波瑠&東出、不倫ドロ沼夫婦…さわやか朝ドラから一転、4月TBS系連ドラ「あなたのことはそれほど」”. スポーツ報知. (2017年2月24日). https://web.archive.org/web/20170224010144/http://www.hochi.co.jp/entertainment/20170223-OHT1T50248.html 2017年2月24日閲覧。 
  7. ^ a b ““逃げ恥”枠で禁断の“4角関係” 東出昌大が浮気される夫に”. 毎日新聞. (2017年2月24日). https://mainichi.jp/articles/20170223/dyo/00m/200/031000c 2017年2月24日閲覧。 
  8. ^ a b c d e f g “ドラマ「あなたのことはそれほど」大政絢、中川翔子、山崎育三郎らも出演”. マイナビニュース. (2017年3月8日). http://s.news.mynavi.jp/news/2017/03/08/039/ 2017年3月12日閲覧。 
  9. ^ あなたのことはそれほど - U-NEXT
  10. ^ “波瑠が不倫主婦役の「あなそれ」最終回14.8% 開始以来、最高視聴率で有終の美”. スポーツ報知. (2017年6月21日). https://web.archive.org/web/20170824012805/http://www.hochi.co.jp/entertainment/20170621-OHT1T50053.html 2017年6月21日閲覧。 
  11. ^ “「透明な不倫ドラマ」 波瑠『あなそれ』の楽しみ方”. NEWSポストセブン. (2017年6月10日). https://www.news-postseven.com/archives/20170610_562880.html?DETAIL 2017年6月21日閲覧。 
  12. ^ “「CRISIS」「小さな巨人」に満点/春ドラマ評”. 朝日新聞. (2017年5月1日). https://web.archive.org/web/20170501023021/http://www.asahi.com/and_M/articles/CCfumtp017042700521.html 2017年6月21日閲覧。 
  13. ^ “あなそれ 他の不倫ドラマとの違いは行動への後悔のなさ”. NEWSポストセブン. (2017年6月14日). https://www.news-postseven.com/archives/20170614_563735.html?DETAIL 2017年6月21日閲覧。 
  14. ^ “全部他人のせいにする不倫女の行く末を見守るドラマ「あなたのことはそれほど」(TVふうーん録)”. デイリー新潮. (2017年5月21日). https://www.dailyshincho.jp/article/2017/05210800/?all=1 2017年6月21日閲覧。 
  15. ^ “波瑠主演・不倫ドラマ「あなそれ」が「昼顔」「奪い愛」より「ヤバイ」と言われる理由 共感出来なくても面白い”. モデルプレス. (2017年4月26日). https://mdpr.jp/news/detail/1681846 2017年6月21日閲覧。 
  16. ^ “『あなたのことはそれほど』は『逃げ恥』への強烈なカウンターだーー春ドラマ意欲作を読む”. Real Sound. (2017年5月7日). https://realsound.jp/movie/2017/05/post-4980.html 2017年6月21日閲覧。 
  17. ^ “視聴者を苛立たせるW不倫ドラマ『あなたのことはそれほど』は裏『逃げ恥』か?”. ドラマジャーナル. (2017年5月30日). https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ab3e1effe0b766a8c24c9e1c88b34bbeea73a871 2017年6月21日閲覧。 
  18. ^ “ドラマ『あなたのことはそれほど』波瑠が新たに魅せる“女の顔”に注目!”. オリコン. (2017年4月24日). https://www.oricon.co.jp/special/49948/ 2017年6月21日閲覧。 
  19. ^ “観月ありさや波瑠の主演は失敗?『あなたのことは〜』『櫻子さん〜』…明暗分けた女優たち”. ビジネスジャーナル. (2017年5月3日). http://biz-journal.jp/2017/05/post_18954.html 2017年6月22日閲覧。 
  20. ^ “『あなたのことはそれほど』、リアリティーある結末に視聴者も納得?クズ女を演じきった波瑠にも称賛の声”. ビジネスジャーナル. (2017年6月21日). http://biz-journal.jp/2017/06/post_19536.html 2017年6月22日閲覧。 
  21. ^ “「あなそれ」東出昌大の猟奇的演技にネット騒然「21世紀の冬彦さん」”. スポーツニッポン. (2017年4月19日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/04/19/kiji/20170419s00041000149000c.html 2017年6月21日閲覧。 
  22. ^ “波瑠主演「あなそれ」初回から急展開で衝撃走る 狂気に満ちた東出昌大に「第2の冬彦さん」期待の声”. モデルプレス. (2017年4月18日). https://mdpr.jp/news/detail/1679756 2017年6月21日閲覧。 
  23. ^ “不倫より東出昌大が怖い…新ドラマ「あなたのことはそれほど」にネットざわつく”. モデルプレス. (2017年4月20日). https://www.cinematoday.jp/news/N0091121 2017年6月21日閲覧。 
  24. ^ “〈あなそれ〉”有島君”もリアルに恐れる“平成の冬彦さん”東出昌大&仲里依紗の怪演”. デイリー新潮. (2017年6月1日). https://www.dailyshincho.jp/article/2017/06061900/?all=1 2017年6月21日閲覧。 
  25. ^ “TBS系「あなたのことはそれほど」で東出昌大が怪演 あの冬彦さんも反応する"奇行"に目が離せない”. 産経スポーツ. (2017年5月15日). https://www.sanspo.com/article/20170515-FKUTOQGZQFK63A3Z4FUGLAMGTU/ 2017年6月21日閲覧。 
  26. ^ 第8回 コンフィデンスアワード・ドラマ賞コンフィデンスアワード(2017年7月21日), 2017年7月22日閲覧。
  27. ^ 第93回ザテレビジョンドラマアカデミー賞 , 2018年1月2日閲覧。

外部リンク

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