ロブスタコーヒーノキ
ロブスタコーヒーノキ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Coffea canephora Pierre ex A.Froehner | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
C. robusta |
ロブスタコーヒーノキ(学名: Coffea canephora)は、アカネ科に分類される被子植物で、ビクトリア湖から西アフリカ原産のコーヒーノキの1種である[1][2]。コーヒー豆の品種としてはロブスタ種、あるいはカネフォラ種と呼ばれることもある[3]。主に栽培されているロブスタコーヒーノキはロブスタ、ウガンダという2種であるが[4]、ブラジルのエスピリトサント州ではコニロンという新種も栽培されている[5]。アラビカコーヒーノキやリベリカコーヒーノキとともにコーヒー3大原種の1つに数えられる[6]。
特徴
[編集]成長すると樹高2メートルから9メートル程度にまで成長し、大きな傘のような形になる[7]。果実は小さく、熟すと赤色になる[7]。
栽培地
[編集]高温多湿の気候にも順応するため、アラビカコーヒーノキの栽培に不向きなアフリカやアジアで栽培されている[8]。海抜500メートル以下の低地でも栽培することができるが、低温には弱く[9][10]、主にブラジル・ベトナム・インドネシア・コートジボワールなどで生産されている[10]。アラビカコーヒーノキよりも収穫高が多い[11]。また病気や害虫にはアラビカコーヒーノキやリベリカコーヒーノキよりも強いといわれており、ロブスタ (Robusta) の語源は英語で「強健な」を意味する"robust"に由来すると言われている[9]。
自生地
[編集]アラビカコーヒーノキやリベリカコーヒーノキと同じように原産地は熱帯アフリカ東部の、主にエチオピアであるといわれる[2][9]。ロブスタコーヒーノキがコーヒーノキ属に分類される植物と知られるようになったのはアラビカコーヒーノキがコーヒーノキ属と認識されてから約1世紀経過した19世紀になってのことである[12]。
利用
[編集]ロブスタコーヒーノキの生産が始まったのは20世紀初めごろであると言われ[13]、現在では世界で生産されるコーヒーのうちおよそ15〜20パーセントがロブスタコーヒーである[14][15]。主要生産国のひとつであるベトナムにはもともと19世紀の終わりにフランスの入植者がベトナムに持ち込んだと言われるが、ブラジルやアフリカでも同じように栽培され、これらの地域ではコニロンと呼ばれるようになった[15][16]。ベトナムは21世紀初頭、ロブスタ種のコーヒー豆の生産量は世界一である[17]。さらにベトナムでは2000年代最初の約10年間でコーヒーの生産高が約7倍となりブラジルに匹敵するロブスタコーヒーの生産国となったが[10]、依然としてブラジルは世界全体のコーヒー生産量のうちの3分の1を生産している(ただしその80パーセントはアラビカコーヒー)[18]。
ロブスタコーヒーはアラビカコーヒーのような他の主要なコーヒー種よりも管理しやすく生産量も多いため、比較的低コストでの生産が可能である[19]。焙煎された豆でいれたコーヒーは濃くて独特の荒々しい香りがし、含有するピラジン有機化合物のためにアラビカコーヒーよりも苦い[20][21]。アラビカコーヒーは酸味が強すぎるという人もいるが、一般的にはロブスタコーヒーよりもアラビカコーヒーのほうが口当たりがよく高級品と考えられ、ロブスタコーヒーは低品質なブレンドコーヒーの量増しのために混ぜられたり、インスタントコーヒーの原料に用いられる[7][22][23]。しかしコーヒーにより深い「コク」と「パンチ」をブレンドするため香りの強いロブスタコーヒーが好まれることもあり[24]、品質の良いロブスタコーヒーの豆はイタリアのエスプレッソのクレマ(イタリア語: crema)と言われる泡に苦みを与えるために用いられる[25][26]。ただしアラビカ種のようにストレートで飲まれることは稀である[24]。ロブスタコーヒーはアラビカコーヒーの約2倍のカフェインを含有する[27]。
脚注
[編集]- ^ “コーヒーノキ”. 社団法人宮城県薬剤師会. 2012年12月14日閲覧。
- ^ a b “コーヒー分析”. UCC上島珈琲. 2012年12月14日閲覧。
- ^ “コーヒーの基礎知識”. 三本コーヒー株式会社. 2012年12月14日閲覧。
- ^ J. Dagoon (2005). Agriculture & Fishery Technology Iv. Rex Bookstore, Inc.. p. 58 22 July 2011閲覧。
- ^ 妹尾裕彦 (2009). “コーヒー危機の原因とコーヒー収入の安定・向上策をめぐる神話と現実” (PDF). 千葉大学教育学部研究紀要 (千葉大学) 57: 224頁。 2012年12月14日閲覧。.
- ^ 田口護『田口護の珈琲大全』NHK出版、2003年、8-9頁。ISBN 4-14-033193-3。
- ^ a b c “Coffea canephora” (英語). Ecocrop. 国際連合食糧農業機関. 2013年3月30日閲覧。
- ^ a b 日本コーヒー文化学会『コーヒーの事典』柴田書店、2001年、pp. 219-220
- ^ a b c “コーヒー豆知識”. アサヒ飲料株式会社. 2012年12月14日閲覧。
- ^ a b c “東京ロブスタコーヒー”. フジフューチャーズ株式会社. 2012年12月14日閲覧。
- ^ Mark Nesbitt (2005). The Cultural History of Plants. Taylor & Francis. p. 177 22 July 2011閲覧。
- ^ Mark Nesbitt (2005). The Cultural History of Plants. Taylor & Francis. p. 176 22 July 2011閲覧。
- ^ 山内秀文. “コーヒー生豆の見方(1)”. カフェ・マニアックス. 辻調グループ. 2013年3月30日閲覧。
- ^ “Coffee Plant: Arabica and Robusta - CoffeeResearch.org”. coffeeresearch.org (2007 [last update]). 22 July 2011閲覧。
- ^ a b A. Rami Horowitz (2004). Insect pest management: field and protected crops. Springer. p. 41 2012年12月14日閲覧。
- ^ Roseane M Santos (2009). An Unashamed Defense of Coffee. Xlibris Corporation. p. 269 23 August 2011閲覧。
- ^ ロブスタコーヒー生豆
- ^ “EXPORTS BY EXPORTING COUNTRIES TO ALL DESTINATIONS: July 2011”. 国際コーヒー機関. 4 September 2011閲覧。
- ^ Miyanari, Walter (2008). Aloha Coffee Island. Savant Books & Publications. p. 7 13 December 2011閲覧。
- ^ Andrew J. Taylor, Robert Linforth (2010). Food Flavour Technology. John Wiley and Sons. p. 68 13 December 2011閲覧。
- ^ Wintgens, Jean Nicolas (2009). Coffee: Growing, Processing, Sustainable Production: A Guidebook for Growers. Wiley-VCH. p. 799 13 December 2011閲覧。
- ^ Miyanari, Walter (2008). Aloha Coffee Island. Savant Books & Publications. p. 6 13 December 2011閲覧。
- ^ The West Indies year book 1938. Thomas Skinner & Co.. (1938) 13 December 2011閲覧。
- ^ a b 香月麻里 (2001年3月掲載、2012年3月改稿). “ロブスタ~コーヒー界のタフガイ”. UCC上島珈琲. 2012年12月14日閲覧。
- ^ Reynolds, Richard (February 1, 2006). “Robusta's Rehab”. CoffeeGeek. Coffee Geek. January 5, 2010閲覧。
- ^ Robertson, Carol (2010年). “The Little Book of Coffee Law”. American Bar Association. p. 52. 13 December 2011閲覧。
- ^ Spiller, Gene A. (1998). Caffeine. CRC Press. p. 99 13 December 2011閲覧。