モカエキスプレス

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ビアレッティ社(Bialetti)製 モカエキスプレス

モカエキスプレス(Moka Express、又はモカ・ポット:Moka pot、エスプレッソ・ポット:Espresso pot)は、伊・ビアレッティ社の商標で、沸騰した水の蒸気圧でコーヒーを抽出する方式の直火式のエスプレッソ・メーカーである。日本では、このタイプの器具をマキネッタ(macchinetta)と呼ぶ場合がある。

概要[編集]

この器具はアルフォンソ・ビアレッティ(Alfonso Bialetti)により1933年に発明された。オリジナルの物はベークライト製の柄が付いたアルミニウム製であった。ビアレッティ社(Bialetti)ではモカエキスプレスの名称で知られる代表的なモデルを販売し続けており、現在はモカエキスプレスには1杯用から18杯用まで様々な大きさがある[1]

現在では多くのメーカーがオリジナルのビアレッティ社製モカエキスプレスを原型としたモカ・ポットを製造している。各社のモカ・ポットはビアレッティ社製のものとは異なる外観をしているが、これらはモカエキスプレスと同サイズのガスケットを使用しているためビアレッティ社製の補修部品が他社製のモカ・ポットに使用できることもある。

ビアレッティ社(Bialetti)の英語ウェブサイトではこの器具をエスプレッソ・メーカーではなくコーヒーメーカーと称している。[2] ヨーロッパで広く普及しており、ロンドンサイエンス・ミュージアムの様な近代産業美術博物館にも展示されているアイコン的デザインとして知られている。

ビアレッティ社があるイタリアではモカエキスプレスは多くの家庭にあり、マキネッタ(小型のコーヒー抽出器)といえばモカエキスプレスを指すほどである。

なお、エスプレッソと呼ばれるのはマシンで高圧抽出したコーヒーだけで、これらの直火式器具で作られたものは「モカ」と呼ばれ、全く別の飲み物として認識されている。また、しばしば「直火式エスプレッソ(stovetop espresso)」という語でも言い表される。

なお、ここで言う「モカ」の名称はコーヒー産地のモカを表すものではない。

モカエキスプレスでのコーヒーの抽出[編集]

断面図

モカエキスプレスでコーヒーを抽出するまでの準備工程を説明する。

  1. 右の装置断面図のAの部位にあたるボイラー部に水を入れる
  2. 漏斗状の金属製漏斗状のフィルター(断面図のB)を取り付ける。
  3. 細挽き、あるいは微粉まで挽いたコーヒーをフィルターに充填する(右下写真参照)
  4. 本体上部(C)を台座部に固定する。
  5. 本体を熱源に加熱
モカエキスプレスでのコーヒーの抽出工程

加熱によりボイラー部(A)では水が蒸発し、水蒸気により加圧状態となる。この蒸気の加圧により、熱湯が徐々に漏斗に沿ってフィルター(B)を経て本体上部(C)達する。これによりコーヒーを抽出することができる。 パーコレーターと異なり、器具を熱源の上に置いたままでも容易にコーヒーが煮立つことはないが、ボイラーが「空焚き」の状態になるため、早めに熱源から降ろすようにする。実践的な些細なコツは、ボイラー部内がほぼ空になると蒸気の泡が上昇する湯と混じりあいゴボゴボという独特の音を発するので、その直前に熱源から器具を降ろしてしまうことである。そうすると上部室の半分位にコーヒーが入った状態となる。

ガスケットが本体上部と台座部を確実に密着させボイラー部内で安全に圧力を発生させる。内部の圧力が高くなり過ぎた場合(フィルターがきれいな場合には起こりえないが)に、これを逃がすためにボイラー部には安全弁が装着されている。フィルター(B)に装填するコーヒーは微細化しているため、加圧状態でないと水は通過しない。したがって、熱源から本体を遠ざけたとしても、本体上部からボイラー部にコーヒーが逆流はしない。

モカ・コーヒー 対 ドリップ・コーヒー[編集]

モカエキスプレスで淹れられたコーヒーは直火式エスプレッソとして知られるエスプレッソである。[3]このエスプレッソの風味は、豆の種類、焙煎度合い、粉の細かさと使用する熱源の種類に大いに依存している。高圧で湯と蒸気が混合しているため温度は100°C以上に達し、これがより効果的に粉からカフェインと風味を抽出しその結果ドリップ方式で淹れられたものに比べかなり濃厚なエスプレッソが淹れられる。しかしながら通常のエスプレッソ用のカップは約30mlなので1杯当りのカフェインの実質含有量は少ない。

器具の手入れ[編集]

モカエキスプレスは定期的にゴム製シールとフィルターの交換及び安全弁が固着していないかの確認をする必要がある。

使用後は漏斗管、フィルター、上部室の内側の表面にコーヒーのオイル分の膜が残っていることが望ましい。この薄い膜によってコーヒーが直接アルミニウム製の内壁に接することを防いで、コーヒーに金属臭が移ることがなくなる。この薄い膜は器具を完全に洗浄する替わりに水で洗い流すだけで保持できる。[4]

器具の種類[編集]

モカエキスプレスは直火や電気式レンジの上で使用できるように通常はアルミニウム製である。しかしビアレッティ社は現在異なるデザインで幾つかの電気式エスプレッソ・メーカーやステンレス製の直火式のエスプレッソ・メーカーを製造している。

ブリッカ[編集]

ブリッカ

ブリッカ(Brikka)はビアレッティ社製のモカエキスプレスの改良型である。漏斗管の吐出口に錘が仕込まれており、圧力鍋と同様の方法でボイラータンク内の圧力を発生させる。これにより抽出されたものはエスプレッソでは無いにもかかわらずクレマがあるという点では普通のモカエキスプレスで淹れられたものよりエスプレッソに近い。

ムッカエキスプレス[編集]

ムッカエキスプレス(Mukka Express)はビアレッティ社製のモカエキスプレスの改良型である。牛乳(牛乳と水は半々の量)を上部室に入れる。特殊なバルブがコーヒーを上部室内の牛乳へ放出し、牛乳を泡立てながらコーヒーと混ぜ合わせる。出来上がった飲み物はカフェ・ラッテカプチーノに似たものになる。このバルブにはブリッカと同様に錘が仕込まれている。「ムッカ」(Mukka)という名称はイタリア語の「牛」(mucca)と「モカ」(moka)の語呂合わせである。

その他のブランド[編集]

アレッシ社(Alessi)は自社製のモカ・ポットで知られる調理器具のメーカーである。ボダム社(Bodum)は自社の調理器具のシャンボール(Chambord)・シリーズに'直火式のエスプレッソ・メーカー'を追加した。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Moka Express factsheet (PDF)” (Italian). Bialetti. 2008年2月19日閲覧。
  2. ^ BialettiUSA homepage->COFEE MAKERS->MOKA EXPRESS (htm)” (English). Bialetti. 2008年9月28日閲覧。
  3. ^ Brewing espresso in a Moka
  4. ^ http://www.portanapoli.com/Eng/Gastronomy/moka-pot.html

出典[編集]

外部リンク[編集]