ウィンナ・コーヒー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
カフェ・ヴィエノワ
メランジェの例
アインシュペナー

ウィンナー・コーヒー (Wiener Kaffee) は、オーストリア発祥のコーヒーの飲み方のひとつ。「ウィンナー(ヴィーナー)」とは「ウィーン風の」を意味する。

日本では、濃くいれたコーヒーにホイップクリームを浮かべたもの、またはカップに入れたホイップクリームに熱いコーヒーを注いだものを一般的に「ウィンナー・コーヒー」と称する。アメリカイギリスでは、エスプレッソにホイップクリームを載せたエスプレッソ・コン・パンナ(Espresso con panna, イタリア語でクリームを添えたエスプレッソの意)というものが、同じくウィーン風コーヒーという意味であるカフェ・ヴィエンヌ (Café Vienne) またはカフェ・ヴィエノワ (Café Viennois) と呼ばれることがある。

ウィーンには「ウィンナー・コーヒー」という名称のコーヒーは存在しない。ウィーンの人々が日常的に多く飲んでいるのは、エスプレッソと温かいミルクを加えた上にミルクの泡を載せたメランジェドイツ語版フランス語で「混ぜる」の意)という種類で、カプチーノとほぼ同じものである。日本でいうウィンナー・コーヒーや前述のエスプレッソ・コン・パンナに近いものとして、メランジェのミルクの泡の代わりにホイップクリームを載せたフランツィスカーナードイツ語版と呼ばれるものがある。これは「フランシスコ会修道士」という意味で、その僧服の色が似ているからという説があり、カプチーノの名の由来に近い。

このほか、似たものにアインシュペナー(Einspänner, 一頭だての馬車の意。コーヒーにクリームを載せることで冷めにくくし、馬車の御者が手を温めるのに役立てたとも言われる)やカフェー・ミット・シュラークオーバース (Kaffee mit Schlagobers) などがある。アインシュペナーはコーヒーにほぼ同量の生クリームが載っていて、カップではなくグラスに注がれている。カフェー・ミット・シュラークオーバースは、コーヒーカップとは別の器に砂糖をかけたホイップクリーム(シュラークオーバース)が添えられている。

オーストリアは地方によってもコーヒーの呼び名が違い、また、コーヒーや入れるミルクの状態などによっても名前が変化する。たとえばフェアレンゲルター(Verlängerter,「薄めたもの」の意)と呼ばれるミルク入りのコーヒーや、さらに温かいミルクを若干多めに入れたミルヒカフェー (Milchkaffee) などがある。

関連項目[編集]

トーマス・マンが1947年に発表した小説『ファウストゥス博士』の執筆の過程を記した自伝的作品『『ファウストゥス博士』の成立』(Die Entstehung des Doktor Faustus. Roman eines Romans, 1949年)の第6章で、マンと同様にアメリカに亡命していたアルノルト・シェーンベルク宅で、Wiener Kaffee を飲んだことが記されている。

Zum Abendessen bei Schönbergs in Brentwood. Vorzüglicher Wiener Kaffee.(ブレントウッドのシェーンベルク家で夕食。素晴らしいWiener Kaffee)

この Wiener Kaffee がどんなコーヒーであるかは、作中では説明されていない。