トゥザヴィクトリー

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トゥザヴィクトリー
1999年4月11日 阪神競馬場
欧字表記 To The Victory
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 1996年2月22日(28歳)
死没 (現役繁殖牝馬)
登録日 1998年11月5日
抹消日 2002年4月4日
サンデーサイレンス
フェアリードール
生国 日本の旗 日本北海道早来町
生産者 ノーザンファーム
馬主 金子真人
調教師 池江泰郎栗東
厩務員 市川明彦
競走成績
生涯成績

21戦6勝(日本国外2戦0勝)

金 = 6億1664万6900円(円換算)
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トゥザヴィクトリー (To The Victory) は日本競走馬である。主な勝ち鞍は2001年エリザベス女王杯

戦績

1998年、1999年

1998年にデビューし、新馬戦を快勝。翌1999年1月の福寿草特別ではスリリングサンデーの2着に敗れる。ちなみにこの競走の3着は、その年の東京優駿(日本ダービー)を2着、菊花賞を優勝したナリタトップロードである。他にもこの競走にはのちの重賞馬であるミッキーダンスが出走していた。

続くつばき賞を勝ち、報知杯4歳牝馬特別を目指すが体調不良で回避。翌週のアネモネステークスに出走するが3着に敗れ、桜花賞への優先出走権を逃す。結局桜花賞には抽選で出走したが、プリモディーネらに差され3着に敗れる。1番人気に推された優駿牝馬(オークス)では先行するも、ゴール直前でウメノファイバーの末脚に屈し2着に敗れる。休み明けのローズステークスは1番人気に推されながら、期待を裏切り4着。秋華賞でも1番人気に推されたが13着と惨敗し、休養を余儀なくされた。

2000年

復帰3戦目のクイーンステークスで重賞を初制覇すると、次の府中牝馬ステークスも勝ち、エリザベス女王杯へ出走。2番人気に支持されるもファレノプシスの4着に敗れる。1か月後の阪神牝馬特別で勝って重賞3勝目を挙げた。

2001年、2002年

悲願のGI制覇に向け、陣営はダートに路線変更を決め、2001年のフェブラリーステークスに出走。初のダート挑戦ながらノボトゥルーの3着と好走した。

その後、ドバイ遠征を計画し、ドバイワールドカップドバイデューティーフリーゴドルフィンマイルに登録。ドバイワールドカップはウイングアローレギュラーメンバーが選出され、トゥザヴィクトリーはドバイデューティーフリーに選出された。しかし、ウイングアローが体調不良により辞退したため、トゥザヴィクトリーが出走意思を表明しドバイワールドカップに選出された。 ドバイワールドカップでは世界の強豪を相手に奮闘し、牝馬としてはドバイワールドカップ史上最高着順となる2着で入線し、史上初めて(そして2014年現在でも唯一の)ドバイワールドカップで賞金を獲得した牝馬となった。

帰国後初戦となるエリザベス女王杯では、長期休み明もあり歳下の牝馬二冠馬テイエムオーシャンらに人気を許すものの、それまでの先行策から一転、道中は脚をためてゴール寸前で差し切り、混戦を制して遂に悲願のGIタイトルを奪取した。レース後、鞍上の武豊は「ヴィクトリーに勝たせるにはこれしかないという乗り方をした」と語っている。次走ジャパンカップでは四位を鞍上に迎えたが、道中で引っかかってしまい14着と大敗した。しかし、続く有馬記念では逃げてマンハッタンカフェの3着に粘り、テイエムオペラオーに先着した唯一の牝馬となった。そして、ドバイでの善戦やエリザベス女王杯での勝利が評価され、この年のJRA賞で最優秀4歳以上牝馬に選ばれ、ようやく5歳にしてJRA賞初受賞となった。

2002年初戦となったフェブラリーステークスは4着、2年連続の出走となったドバイワールドカップでは11着に惨敗。同レースを最後に現役を引退し、繁殖生活に入った。

競走成績

年月日 競馬場 競走名 人気 倍率 着順 距離 タイム 3F 騎手 勝ち馬 / (2着馬)
1998 12. 13 阪神 3歳新馬 1人 1.4 1着 芝1600m(良) 1:39.1 (36.4) 幸英明 (スピードマニア)
1999 1. 10 京都 福寿草特別 2人 2.8 2着 芝2000m(良) 2:02.2 (35.4) 武豊 スリリングサンデー
1. 30 京都 つばき賞 1人 1.2 1着 芝2000m(良) 2:02.0 (35.8) 武豊 (タヤスタモツ)
3. 20 阪神 アネモネS 1人 1.4 3着 芝1400m(重) 1:25.6 (39.0) 武豊 ハギノスプレンダー
4. 11 阪神 桜花賞 GI 5人 9.4 3着 芝1600m(良) 1:35.9 (36.9) 幸英明 プリモディーネ
5. 30 東京 優駿牝馬 GI 1人 3.6 2着 芝2400m(良) 2:26.9 (35.1) 武豊 ウメノファイバー
9. 26 阪神 ローズS GII 1人 1.4 4着 芝2000m(良) 2:01.0 (35.9) 武豊 ヒシピナクル
10. 24 京都 秋華賞 GI 1人 3.3 13着 芝2000m(良) 2:01.0 (37.9) 武豊 ブゼンキャンドル
2000 6. 11 東京 エプソムC GIII 3人 7.0 5着 芝1800m(不) 1:50.1 (37.5) 蛯名正義 アメリカンボス
7. 9 阪神 マーメイドS GIII 1人 2.8 2着 芝2000m(良) 1:59.1 (36.0) 幸英明 フサイチエアデール
8. 13 札幌 クイーンS GIII 1人 1.8 1着 芝1800m(良) 1:46.8 (35.5) 藤田伸二 エイダイクイン
10. 15 東京 府中牝馬S GIII 1人 2.7 1着 芝1800m(良) 1:48.3 (33.5) 四位洋文 (ハイフレンドコード)
11. 12 京都 エリザベス女王杯 GI 2人 3.1 4着 芝2200m(良) 2:13.4 (34.5) 四位洋文 ファレノプシス
12. 17 阪神 阪神牝馬特別 GII 3人 4.3 1着 芝1600m(良) 1:33.8 (35.1) 四位洋文 (タイキダイヤ)
2001 2. 18 東京 フェブラリーS GI 4人 6.1 3着 ダ1600m(良) 1:35.8 (36.6) 武豊 ノボトゥルー
3. 24 UAE ドバイワールドC GI 2着 ダ2000m(-) 2:00.4 (-) 武豊 Captain Steve
11. 11 京都 エリザベス女王杯 GI 4人 5.9 1着 芝2200m(良) 2:11.2 (33.9) 武豊 ローズバド
11. 25 東京 ジャパンC GI 11人 34.1 14着 芝2400m(良) 2:30.5 (42.4) 四位洋文 ジャングルポケット
12. 23 中山 有馬記念 GI 6人 17.7 3着 芝2500m(良) 2:33.3 (34.8) 武豊 マンハッタンカフェ
2002 2. 17 東京 フェブラリーS GI 3人 5.4 4着 ダ1600m(良) 1:35.5 (36.6) 武豊 アグネスデジタル
3. 23 UAE ドバイワールドC GI 11着 ダ2000m(-) 2:01.2 (-) O.ペリエ Street Cry

繁殖入り後

2002年春よりノーザンファームで繁殖入りした。

2006年7月11日、ノーザンホースパークで行われたセレクトセールで、2006年生まれの産駒が6億円(お台8000万円〜)という日本最高額かつ牝馬世界最高額で取引され話題となった(競走馬登録はされず未出走のまま繁殖入りし、ディナシーという繁殖名をつけられた)。

2007年2月8日、2番仔となるアゲヒバリ船橋競馬場で行われた3歳未出走未受賞(ダート1500メートル、9頭立て)でデビュー。石崎駿騎乗で単勝1.1倍の圧倒的1番人気に推され、3馬身差で勝利した。その後は4月のナイスビット特別で2勝目を挙げ、東京プリンセス賞で4着、そして関東オークスでは両親ともに騎乗経験のある武豊が騎乗したが11着で、2008年3月6日の草萌特別で1着となったのを最後に3月21日付で地方競馬の競走馬登録を抹消され繁殖入りが発表された。

2010年3月14日、4番仔となるトゥザグローリーが阪神競馬6日目第5競走の3歳新馬でデビュー。圧倒的1番人気に推され、産駒初の中央競馬での勝利を飾った。本馬は春のクラシック戦線で東京優駿まで駒を進め(7着)、2010年12月11日中日新聞杯で産駒による重賞初勝利を飾った。その後も京都記念日経賞日経新春杯鳴尾記念といった重賞を制し、また有馬記念では2年連続3着の成績を残している。

繁殖成績

誕生年 馬名 毛色 厩舎 馬主 戦績・用途
2003年 トゥザヴィクトリーの2003 芦毛 *クロフネ - - (死亡)
2004年 アゲヒバリ 船橋・川島正行 吉田俊介 9戦4勝
繁殖牝馬
2006年 ディナシー 鹿毛 キングカメハメハ - 山本英俊 未出走
繁殖牝馬
2007年 トゥザグローリー 栗東・池江泰郎
→栗東・池江泰寿
キャロットファーム 33戦8勝
中日新聞杯京都記念日経賞日経新春杯鳴尾記念
種牡馬
2008年 プルスウルトラ 鹿毛 *シンボリクリスエス 栗東・池江泰寿 金子真人ホールディングス 3戦1勝
2009年 トゥザハピネス 鹿毛 - キャロットファーム 未出走
繁殖牝馬
2010年 トゥザレジェンド 栗毛 キングカメハメハ 栗東・池江泰寿 キャロットファーム 14戦2勝
(現役)
2011年 トゥザワールド 鹿毛 キングカメハメハ 栗東・池江泰寿 キャロットファーム 12戦4勝
弥生賞
(種牡馬[1]
2012年 トーセンビクトリー 鹿毛 キングカメハメハ 栗東・角居勝彦 島川隆哉 3戦1勝
(現役)
2014年 鹿毛 キングカメハメハ

血統表

トゥザヴィクトリー血統サンデーサイレンス系 / (Almahmoud 4×5=9.38%、Native Dancer 5×5=6.25%) (血統表の出典)

* サンデーサイレンス
1986 青鹿毛
父の父
Halo
1969 黒鹿毛
Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
父の母
Wishing Well
1975 鹿毛
Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss

* フェアリードール
1991 栗毛
Nureyev
1977 鹿毛
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Special Forli
Thong
母の母
Dream Deal
1986 栗毛
Sharpen Up Atan
Rocchetta
Likely Exchange Terrible Tiger
Likely Swap F-No.9-f

外部リンク

脚注

  1. ^ トゥザワールド号・ディアデラマドレ号が競走馬登録抹消日本中央競馬会、2015年10月21日閲覧