宇宙からの色

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宇宙からの色』(うちゅうからのいろ、The Colour Out of Space)、または、『異次元の色彩』(いじげんのしきさい)は、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトによる小説作品。今日では、作品中に登場する宇宙生物を指すこともある。

概要[編集]

宇宙から飛来した奇妙な隕石に端を発する奇怪な事件を目撃者の農夫から聞いて再構成した形のSF短編小説。執筆は1927年3月。アメージング・ストーリーズ1927年9月号に掲載。

物語[編集]

1882年の6月にアーカムの西の丘陵と谷の向こうの平野部に住む農夫ネイハム・ガードナーの家の井戸の近くに隕石が落下した。ミスカトニック大学の3人の教授たちが同地に赴き調査したところ、隕石は様々な不可思議な性質を持っていることが分かる。ビーカーに入れておくとビーカーもろとも消滅してしまい、平野部に落下していた本体は日に日に小さくなっていき、鉛の箱に入れて保管したかけらも1週間で全て消滅した。隕石の内部には、隕石が示すスペクトルと似た色の光沢のある球体があり、ハンマーで叩くと破裂して消滅してしまった。隕石本体もその晩の雷雨で6回も稲妻を引き寄せた挙句、消滅してしまった。

隕石の落下場所の近くに住むネイハムのその年の夏の作物は、生育も良く色艶も素晴らしかったが、隕石が土壌を汚染していたためか、みな不快な味がし、とても食べられる代物ではなかった。そして冬には異常な跳躍力を見せる兎や奇形のマーモットが現れた。ネイハムの家の周囲の雪は溶け方が早く、近くに生えるミズバショウは隕石のスペクトルに似た色をし、奇妙な臭いを放っていた。やがて全ての植物が同じように異常な色を見せて輝き、しかも木々の枝は勝手に動き、昆虫たちも巨大化し異常な動きを示した。ガードナー家の人間は肉体的精神的に弱っていき、妻のナビーは発狂した。ネイハムは彼女を精神病院には入院させず、症状が悪化してからは屋根裏部屋に閉じ込めた。

馬は全て狂って厩から走り出し、連れ戻しても使い物にならなかったので全て処分した。近くの草花は全て灰色になって枯れ、昆虫も死に絶え、井戸の水はひどい味に変化した。井戸の底に何かを見た次男のタデウスも発狂し、ナビーと同じように屋根裏部屋に閉じ込められた。家畜や犬猫も灰色に変じて死に、その死体は乾燥し悪臭がした。やがてタデウスは死に、三男のマーウィンと長男のジナスは行方不明となる。

ネイハムから助けを求められた隣人のアミ・ピアースは、ナビーが既に死んでいるのを発見し、そこで奇妙な色彩の蒸気のようなものに遭遇する。そして身体が腐敗したネイハムは死の寸前、自分の見たもの知ったものをアミに伝える。光る何かが井戸の中におり、それが家族に取り憑いて命を吸っていたというのだ。

ガードナー一家が死に絶えた後、アミは警察を呼び、事情聴取を受けた後、警官3人を案内する事になった。マーウィンとジナスは井戸の底で白骨化して発見された。また、井戸から汲み上げられた水は、隕石の中から発した光と同じ色に輝いていた。彼等は夜に井戸が輝くのを眼にする。隕石の中にあった球体の内部に居た何者かが、井戸の中に居るのだ。悪臭が漂い、木々の枝の先は光り、勝手に動き出していた。アミ達がその場を離れ、振り返ると、ガードナーの家の井戸とその周辺の地は木々や建物や草花までもが光を放っていた。そして、最後に井戸から光が迸ると、それは白鳥座のデネヴの方向へ消えて行った。そして、後には広い灰色の荒地が残され「焼け野」と呼ばれ、そこは44年経った今日でも灰色の荒地のままだった。この地は、後に貯水池として水没する予定となっている。

隕石の特徴[編集]

  • 熱には何の影響も受けず、変化も生じない。
  • 可塑性があると言っていい程に柔らかく、鉄床の上では可鍛性を示す。
  • 常に輝いており、特に暗闇では輝きが顕著になる。
  • 分光器を前にして熱した時に発するスペクトルは、既知のどんな色とも異なる。
  • 珪素化合物に親和性があり、接触させると互いに崩壊し、消滅してしまう。
  • 磁性を帯び、特異な電気的性質を持っている。
  • 塩酸・硝酸・王水等のあらゆる試薬を用いても傷がつかない。強い酸を使うとわずかに冷える。
  • 大気中で縮小し続け、やがて消滅する。

奇妙な色彩である生物の設定について[編集]

本ラヴクラフト作の「宇宙からの色(異次元の色彩)」では他の生物の生命力を糧とする生き物で、この生物の影響を受けた生き物は精神を病む。農夫から話を聞いた人物はガス状の生命体であろうと推測しているが、正体は不明であり最後は宇宙へ帰って行った。

半世紀以上後の1984年マイケル・シェイ作の「異"時間"の色彩」(The Color Out of Time)では、ラヴクラフトが書いた「異"次元"の色彩」は現実の事件を元に人物の名前と最後の顛末を変えたものであったとされ、この生物はまだ地球に潜んでいたとするもの[1]。これは生物の生命力と恐怖心を糧とする生き物で、人間の眼には奇妙な色彩そのものに映るエネルギー生物。人間の肉を直接喰らうこともあり、その場合には獣のような形に実体化する。旧神の印に弱い。

テーブルトーク版では「宇宙からの色(異次元の色彩)」と「異時間の色彩」の両者を融合させたような設定。幼生時はゼリー状の姿をとり、成長すると非実体化する。[2]

出典[編集]

  • ハワード・フィリップス・ラヴクラフト著 『宇宙からの色』(「ラヴクラフト全集4」 ISBN 4-488-52304-8 所収)

脚注[編集]

  1. ^ マイクル・シェイ 『異時間の色彩』 ISBN 4150201358
  2. ^ 『クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム』 ISBN 4757741421 P29