ガタノトーア

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ガタノトーア:Ghatanothoa、邦訳はガタノソアガタノゾーアとも)は、クトゥルフ神話に登場する架空の神性。

ヘイゼル・ヒールドの短編『永劫より』[1]中の伝説に登場(ただし、実質的な作者はハワード・フィリップス・ラヴクラフト)。


ユゴス星の生物が崇拝し、彼らと共に地球にやって来た神性。

原始ムー大陸で20万年前から確認されているとされる。ムー大陸の聖地クナアの中心部にそびえるヤディス=ゴー山の頂にユゴスよりのものによる巨石造りの巨大な要塞があり、その地下の穴倉に身を横たえていた。クナアにはガタノトーアを崇拝する教団があり毎年12名の若い戦士と12名の娘を生贄にしていた。生贄を捧げる儀式は、ヤディス=ゴー山の麓に近い大理石造りの神殿の、燃え上がる祭壇において行われた。クナアおよびムーのすべての土地がガタノトーアに恐怖した為、ガタノトーアの神官たちは絶大な権力を握り、その威勢は時の王をも凌いだ。

しかし、赤い月の年(『無名祭祀書』の著者フォン・ユンツトの推定では紀元前173148年)にトゥヨグというシュブ=ニグラスの神官がガタノトーアを打ち倒す試みをする。トゥヨグは、身を護る呪文を認めたプタゴン皮紙(絶滅したヤキス蜥蜴の内皮)の巻物を、ラグ金属製(ユゴス星から来た先住者がもたらした、地球上に存在しない金属)の彫刻入りの円筒容器に入れ、「空の燃える日」の夜明けに玄武岩の斜面を登ってヤディス=ゴー山の頂を目指した。しかし、円筒容器の中身は、自分達の権威が失墜することを恐れたガタノトーアの大神官・イマシュ=モにより、何の効力も持たない別の巻物にすりかえられていた。トゥヨグが下山することはなく、それ以後ガタノトーアに挑もうという者は現れなかった。イマシュ=モによって盗まれた巻物は、大神官によって代々受け継がれ、ムー大陸が沈んだ後も、それは密かに伝え続けられているという。

ガタノトーアの姿を一目見たものは肌が石化してしまうが、脳だけは半永久的に生き続ける。またガタノトーアの姿を忠実に模した彫刻を見るだけでも体に変異が生じるといわれる。その姿は定かではないが、とある手段でその姿を垣間見たキャバット考古学博物館館長リチャード・H・ジョンスン博士の手記によれば「巨大で、触腕があり、象のような長い鼻が備わり、蛸の目を持ち、なかば不定形で、可塑性があり、鱗と皺に覆われている」とされる。

クトゥルーの三柱の息子の一柱で、一番上の息子とも言われる[2]

ムー大陸の水没とともに海底に沈んだが、ガタノトーアの信仰は環太平洋を中心に世界各地で見られ、後のアトランティス、エジプト、カルデア、ペルシア、中国、メキシコ、ペルーなどで確認されている。フォン・ユンツトによれば、伝説の地下世界クン・ヤン(崑央)でも崇拝されたとされ、ロイガー族の指導者ともいわれる。

また1878年5月11日にニュージーランドとチリの間の海域に浮上し、その後再び海中に没した島の、切頭円錐の形状をした場所はヤディス=ゴー山だといわれる。そこで発見されたミイラはボストンのキャバット考古学博物館に保管されている。

関連項目[編集]

脚注・出典[編集]

  1. ^ 『ラヴクラフト全集 別巻下』東京創元社 ISBN 4-488-52309-1
    『暗黒神話大系シリーズ クトゥルー7』青心社 ISBN 978-4915333644
  2. ^ ブライアン・ラムレイ「タイタス・クロウの帰還」(東京創元社ISBN 4-488-58903-5