ヨグ=ソトース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ヨグ=ソトース

ヨグ=ソトース(Yog-Sothoth、ヨグ=ソトホート)は、クトゥルフ神話に登場する架空の神性。

概要[編集]

ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説である『銀の鍵の門を越えて』に登場する存在[1]。作中では主人公のランドルフ・カーターが出会った際、次のように描写されている。

それこそ果てのない存在自己の<にして>、<全にして一>の状態にほかならなかった。単に一つの時空連続体に属するものではなく、存在の全的な無限領域制限をもたず空想数学もともに凌駕する最果の絶対領域―その窮極的な生気汪溢する本質に結びつくものだった。おそらく地球のある種の秘密教団ヨグ=ソトースと囁いていたものがそれだろう。これは他の名前を数多くもつ神性であり、ユゴス星の甲殻種族が<彼方なるもの>として崇拝し、渦状銀河の薄めいた頭脳が表現しようのないでもって知っている神性である―しかしカーターは瞬時のうちに、こうした考えがいかに浅薄皮相なものであるかを悟った。

— (『ラヴクラフト全集 6』、134頁より)

以下は森瀬繚の『図解 クトゥルフ神話』による。ヨグ=ソトースは時空制限を一切受けない最強神性にして、「外なる神」の副とされる。時間空間法則を超越しており、全てのと共に存在し、あらゆる空間に接しているという。「ひとつにして全てのもの」「全てにしてひとつのもの」ともいう。過去現在未来はヨグ=ソトースの中で一つであり、存在(「外なる神」や旧支配者すらも)がヨグ=ソトースに含まれている。ヨグ=ソトースこそが全情報を最大漏らさず記録している「アカシャ年代記」ともいわれる。この神は一つの概念であると同時に、手で触れられない「ヨグ=ソトースという現象」でもある[2]

外見[編集]

無定形の怪物とされる。時空間の底の底、混沌の只中で永遠に泡立ち続けており触覚があるが、その装いは一つ一つが太陽のように強烈なを放つ玉虫色球体の集積物であるという。ヨグ=ソトースの化身ウムル・アト=タウィルといい、ヴェールをまとう人間の姿をしており、銀の鍵の持ち主を窮極のへ案内する。この化身は「案内者」「窮極の門の守護者」「生命長き者」「最古なる者」とも呼ばれる[2]

銀の鍵が開く、「窮極の門」を超えた場所に座すというヨグ=ソトースは実体を備えた神性であり、かつてウェイトリー家の女性との間に子をなしたことすらあったという。ジョン・ディーや初代ランドルフ・カーターといったエリザベス朝の魔術師達は、ヨグ=ソトースを手に入れることで神の座に到達できるとすら考えていたとされる[2]

関連する呪文[編集]

ネクロノミコン(死霊秘法)』では、「外なる神」が住まう外宇宙への門こそヨグ=ソトースであるが、門のにして守護者であり、宇宙の秘密そのものともされている。この門を開くための呪文は『ネクロノミコン』に記されているが、17世紀刊行のラテン語版以外の版では肝心の部分が抜け落ちてしまっているという。「ユゴスよりのもの」はヨグ=ソトースを「彼方のもの」と呼んで崇拝しており、プロヴィデンスの黒魔術師ジョゼフ・カーウィンはヨグ=ソトース召喚の呪文を編み出し、これを唱えて彼の者の顔を見たとされる[2]

ヨグ=ソトースへ至る順序[編集]

以下はヨグ=ソトースへ至る順序の要約[3]。ヨグ=ソトースを目指す者はウムル・アト=タウィルに案内を受けつつ、「第一の門」から「窮極の門」へ向かうとされている。

  1. 「第一の門」にて、「窮極の門」へ行く意思確認が行われる。
  2. 異形のものが六角形台座で低い音を発し、輝く球体により体を揺らしリズムを取っている。
  3. 眠りに落ちる異形のものの夢により、「窮極の門」が物質的に顕在化する。
  4. 計り知れない深みに投げ入れられ、「窮極の門」へ至る障害である、薔薇の香りのするに漂う。
  5. 海の先に「窮極の門」の巨大な石組のアーチが見える。
  6. 儀式に従って「銀の鍵」を動かし、呪文を詠唱して前方へと漂い続ける。
  7. 「窮極の門」を抜ける。

その他[編集]

オーガスト・ダーレスの体系付けた「クトゥルフ神話」においては旧支配者の一柱とされ、全ての時間と空間に遍在するものとされ、「知識」を象徴する存在とされた。

アザトースは自らの意思の代行者を必要とし、そのために「無名の霧」と「闇」そしてニャルラトテップを生み出し、内「無名の霧」からヨグ=ソトースが生まれた。当然、その力はクトゥルフ達、旧支配者(The Great Old Ones)の比ではなく、旧支配者たちは巨大な力をもっていても所詮は地球スケールの存在であるが、外なる神は宇宙スケールの存在になる。

ヨグ=ソトースは時空連続体の外側、全てに隣接するがどこにも行けない場所に追いやられている。また、外世界にいるものどもは『銀の鍵』を使ってヨグ=ソトースを通過せねばならないとされている。

顕現の際、その姿は絶えず形や大きさを変える虹色の輝く球の集積として現れ、互いに接近したり離れたりしている。この球体に触れると火脹れ、組織の乾燥、骨の露出を起こす。

ネクロノミコンにも詳細な記述は少ない神性であるが、超古代の魔道書エイボンの書」にはヨグ=ソトースについてある程度詳細な記述があるようである。

しばしば時空そのものであるとも解釈される。

旧支配者と息子達の関係[編集]

リン・カーターによればクトゥルー、ハスターヴルトゥームは息子だとされる。

シュブ=ニグラスの夫ともされ、シュブ=ニグラスとの間にナグとイェブの双子をもうけたともされている。

特定の眷属は持たないようだが、『ダンウィッチの怪』に登場するウェイトリィ家の双子の場合のように、しばしば人間との混血児を作っている。

神性[編集]

「ネクロノミコン」には、「過去、現在、未来のすべてはヨグ=ソトースの中で一つである」と書かれている。

千匹の仔を孕みし森の黒山羊「シュブ=ニグラス」を妻とし、その婚姻により多くの子孫が生まれ、その一部が太古の地球に飛来した。それがクトゥルフとその眷属たちを始めとする旧支配者である。これらの事は、ラブクラフトが作家仲間に送った手紙の中などに書かれている。

ラブクラフトの作品の中では、クトゥルフを超越した存在としてヨグ=ソトートは描かれていた(参考文献、ラブクラフト著『ダンウィッチの怪』)。

別名[編集]

  • 「門にして鍵」
  • 「全にして一、一にして全なる者」
  • 「外なる神」
  • 「混沌の媒介」
  • 「原初の言葉の外的表れ」
  • 「虚空の門」
  • 「漆黒の闇に永遠に幽閉されるものの外的な知性」など

出典[編集]

[ヘルプ]

参考文献[編集]

その他の参考文献[編集]

関連項目[編集]