レッサーパンダ

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レッサーパンダ
レッサーパンダ
レッサーパンダ Ailurus fulgens
保全状況評価[a 1][a 2]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 VU.svgワシントン条約附属書I
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目 Carnivora
: レッサーパンダ科 Ailuridae
: レッサーパンダ属 Ailurus
: レッサーパンダ A. fulgens
学名
Ailurus fulgens F. Cuvier, 1825
和名
レッサーパンダ
英名
Lesser panda
Red panda

Leefgebied kleine panda.JPG

レッサーパンダAilurus fulgens)は、中国南部からヒマラヤにかけて棲息する哺乳類の一種である。「パンダ」と名にあるが種類的にジャイアントパンダとの繋がりはない。縞模様のある尾が特徴。

ネコ目(食肉目)レッサーパンダ科に属し、本種のみでレッサーパンダ属を構成する。亜種としてネパールレッサーパンダニシレッサーパンダAilurus fulgens fulgensシセンレッサーパンダ Ailurus fulgens styani の2亜種があり、日本の動物園で飼育されているほとんどはシセンレッサーパンダである。

かつてイタチグマと呼ばれていたことがあった。中国では小熊猫繁体字小熊貓)と呼ばれる。英語ではred panda(レッドパンダ)と呼ばれることが多い。

クマ科アライグマ科のどちらに属するか、長年議論の的だったが、遺伝子解析の結果、北アメリカ大陸のアライグマ類が近縁であることが判明し、イタチ上科(Musteloidea)のレッサーパンダ科(Ailuridae)に分類されることとなった[1][2]

目次

[編集] 分類

A. f. fulgens ネパールレッサーパンダ
インド北東部、ネパールブータン[3][4][5]
A. f. styani シセンレッサーパンダ
中華人民共和国南部、ミャンマー北部[3][4][5]

[編集] 形態

体長50-63.5センチメートル[5]。尾長28-50センチメートル[4][5]体重3-6キログラム[5]。全身は長く柔らかい体毛で被われる[4][5]。指趾の裏側も体毛で被われる[5]。背面の毛衣は赤褐色[5]、腹面や四肢の毛衣は黒い[3][4]。鼻面や唇、頬、耳介の外縁は白い体毛で被われる[4][5]。尾には淡褐色の帯模様が入る[4]

耳介はやや大型で三角形[5]。指趾の数は5本[4]。爪はやや引っ込めることができる[4][5]。前肢の種子骨が指状の突起に変化し、また指と向かい合っているため物をつかむことができる[4]。肛門の周辺に臭腺(肛門腺)がある[4][5]

後破裂孔内に頸動脈が開く[4]。後口蓋孔は上顎口蓋縫合よりも後方にある[4]。歯列は門歯が上下6本、犬歯が上下2本、小臼歯が上顎6本、下顎8本、大臼歯が上下4本で計38本[4]。裂肉歯内側に咬頭(錐)が2つあり、歯根が3本[4]。胸椎の数は13-14、腰椎の数は4-6、仙椎の数は3[4]

出産直後の幼獣は体長15センチメートル[4]。体重0.1キログラム[4]。全身は体毛で被われているが、眼は開いていない[4]。乳頭の数は8個[4]

[編集] 分類

内部形態の比較からクマ科に近縁とする説もあるが、DNA配列や免疫反応などの分子系統学的解析ではアライグマ科に近縁と推定されている[4]イタチ上科(Musteloidea)のレッサーパンダ科に分類されることとなった[6][7]

  • Ailurus fulgens fulgens F. Cuvier, 1825 ネパールレッサーパンダ
  • Ailurus fulgens styani Thomas, 1902 シセンレッサーパンダ

[編集] 生態

標高1,500-4,000メートルにある森林や竹林に生息する[4][5]。樹上棲と考えられている[5]夜行性もしくは薄明薄暮性で昼間は休むが[4]、夏季には昼間も活動する[5]。縄張りを形成して生活すると考えられ、オスは臭腺による臭い付けや一定の場所に排便することで縄張りを主張する[3]

食性は雑食で、タケやタケノコを食べるが小型哺乳類、鳥類の卵、昆虫、動物の死骸、果実、地衣類なども食べる[3][5]

繁殖形態は胎生。妊娠期間は90-150日だが、受精卵の着床が遅滞する期間が含まれる[4][5]。樹洞や岩の隙間などで1回に1-4頭(主に2頭)の幼獣を産む[3][4][5]。授乳期間は5か月[3][5]。18-20か月で性成熟する[3][5]。寿命は8-10年[4]

[編集] 生息状況

開発による生息地の破壊[3]、毛皮目的やペット用の密猟などにより生息数は減少しており[5]、野生での生息数は5000頭以下と推定される。ワシントン条約の附属書I(絶滅のおそれのある種で取引による影響を受けており又は受けることがあるもの)に掲載され、取引が厳しく制限されている。全世界の動物園で約650頭が飼育され、日本ではそのうち約230頭が動物園など約50園で飼育されている[要出典]

中華人民共和国での1994年における生息数は2,500頭、ネパールでの1994年における生息数は300頭、シッキム州での1999年における生息数は2,500頭以上と推定されている[5]

日本では1976年釧路市動物園が初めて飼育下繁殖に成功した[4]

[編集] 名称

初めはレッサーパンダは単に「パンダ」と呼ばれていたが、後にジャイアントパンダが発見されて有名になると、単に「パンダ」といった場合はジャイアントパンダの方を指すようになってしまった。このため、従来のパンダの方には「小さい方の」という意味の英語「レッサー」(lesser) を付けて、レッサーパンダと呼ぶようになった。 現在は、レッサーは蔑称の意味があるので、英語ではなるべくレッドパンダを使うようにする動きがある。

中国語では、ジャイアントパンダのことを「大熊猫」と記すのに対し、レッサーパンダは「小熊猫」と記す。また、「パンダ」同様本来「熊猫」はレッサーパンダを指す。

ジョルジュ・キュヴィエの弟であるフレデリック・キュヴィエは、レッサーパンダの標本を見て感動し、ラテン語で「炎色のネコ」という意味をもつ "Ailurus fulgens" という学名を付けた。

英語では、“Red Panda”以外にも“Wah”(チベット語キツネを意味する ཝ་ wa に由来)や“Firefox”など多数の別名がある。

[編集] ブーム

千葉市動物公園の「風太」

もともと各地の動物園で人気者になりつつあったレッサーパンダだが、2005年5月、千葉市動物公園で飼育されているオスの「風太」(ふうた、報道などでは君付けされ風太くんと称される)が、30秒程度の間、後ろ足二本で直立する、と内外のマスコミで取り上げられ、話題となった。レッサーパンダは元来、周囲の様子をうかがうときに直立することがある。このニュースが話題になると、風太の祖父や母までも直立することがわかった。また、よこはま動物園ズーラシアの「デール」や佐世保市亜熱帯動植物園の「海」のように、二足で数歩歩く個体もいる。

これを機に、各地の動物園で、後ろ足で立つレッサーパンダが取り上げられ、「風太」がJTCMに起用されるなど、あまりにも話題が過熱してしまったため、旭山動物園北海道旭川市)や世界自然保護基金などから、商用目的でレッサーパンダへ過剰な負担をかけることへの疑問や懸念が表明されている。また、ブームの発端となった千葉市動物公園では、ラジオ番組の電話インタビューにおいて、「当初地方紙のみの記事であったはずが、いきなり全国的に取り上げられたため、その過熱ぶりに困惑気味であった」と語っている。二足で歩くズーラシアのデールについてもバッシングがあったが、その内容は「無理やり芸を仕込んでいる」という誤解に基づくものであった。

基本的に、二本足で直立という状態は、レッサーパンダにとっては頻繁に行う形態ではないにもかかわらず、ブーム下においては、直立したレッサーパンダの縫いぐるみなどのグッズが多数商品化され、ハピネットの『動物大百科』のソフビ人形は直立形態を前提に造形され、挙句エポック社からは『レッサーパンダが立ちました』という、そのまんまのフィギュア(カプセルトイ)が商品化された。

[編集] 参考文献

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  1. ^ Whence the Red Panda
  2. ^ Salesa MJ et al. (2005). Evidence of a false thumb in a fossil carnivore clarifies the evolution of pandas. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Dec 30
  3. ^ a b c d e f g h i 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科1 食肉類』、平凡社1986年、120-121頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、14-15、67、182-185頁。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』、講談社2000年、24-25 、145頁。
  6. ^ Whence the Red Panda
  7. ^ Salesa MJ et al. (2005). Evidence of a false thumb in a fossil carnivore clarifies the evolution of pandas. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Dec 30

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

  1. ^ CITES homepage
  2. ^ The IUCN Red List of Threatened Species
    • Wang, X., Choudhury, A., Yonzon, P., Wozencraft, C. & Than Zaw 2008. Ailurus fulgens. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1.


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