虫垂

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虫垂(ちゅうすい、英語:appendix, vermiform process, ラテン語:appendix vermiformis, 虫様突起(ちゅうようとっき)とも)は、大腸の一部である。右下腹部にあり、盲腸の端から細長く飛び出している。虫垂の根元は結腸ひもの端にある。虫垂間膜で後腹壁につながれ、虫垂動脈で栄養される。多数のリンパ小節を含むので、リンパ系器官に含められる。

概要[編集]

虫垂部位は炎症を起こしやすく(虫垂炎)、穿孔して腹膜炎に至ることがある。かつては生理機能がないと考えられ、虫垂炎を予防するために異常所見がなくても切除されることがあった。

ところが、後に虫垂はリンパ組織の一つとして扁桃などと同様に、胃腸の免疫機能に大きく関与しているとの見方(まだ研究段階ではあるが、免疫グロブリン(Ig)Aを産生などに関係しているとの2014年の大阪大の報告もある[1])があり、異常がなければ温存し、虫垂炎であっても健康なリスクのない成人で炎症が軽度であれば抗生物質投与など保存的治療で完了することも増えた。ただし現状、虫垂炎の治療は切除が原則であり、手術の遅れによる重症化、死亡は大きな脅威である。

かつては、ヒトにとって虫垂は欠かせない存在であった。それは善玉菌の備蓄機能を備えているからである。今日においても、この機能が失われたわけではないが、食糧事情の大幅な改善により善玉菌を摂取しやすいことから、さほどこの機能は重要視されていないと見られている。

一方、草食動物にとって虫垂は生命維持に欠かせない器官である。虫垂は草の繊維を構成するセルロースを分解するバクテリアの棲息場所となっており、食物の分解に欠かせないからである。

脚注[編集]

  1. ^ 虫垂は無用の長物にあらず、免疫に重要 サイエンスポータル 2014-4-11