ユキヒョウ

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ユキヒョウ
ユキヒョウ
ユキヒョウ
保全状況評価[1][2]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 EN.svgワシントン条約附属書I
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目 Carnivora
: ネコ科 Felidae
: ヒョウ属 Panthera
: ユキヒョウ P. uncia
学名
Panthera uncia (Schreber1775)
シノニム

Uncia uncia (Schreber1775)

和名
ユキヒョウ
英名
Snow leopard

Snow leopard range.png

ユキヒョウPanthera uncia、雪豹)は、哺乳綱ネコ目(食肉目)ネコ科ヒョウ属の1種である。

かつて単型属のユキヒョウ属 Uncia Gray1854 に分類されたが、実際はヒョウ属のトラ Panthera tigris に近縁である[3][4]

分布[編集]

アフガニスタン東部、インド北部、ウズベキスタン東部、カザフスタン東部、キルギスタジキスタン中華人民共和国西部、ネパールパキスタン北部、ブータンモンゴルロシア南部のアルタイ山脈天山山脈ヒマラヤ山脈ヒンドゥークシュ山脈パミール高原[5][6][7]

形態[編集]

ユキヒョウはヒョウよりも体躯は小柄で、体長100-150センチメートル[5][6][7]。尾長80-100センチメートル[6][7]。肩高60センチメートル[7]体重オス45-55キログラム、メス35-40キログラム[7]。尾は太くて長く、斜面や雪上でバランスをとるのに適している[7]。尾も含めた全身は長い体毛で被われ、冬季には特に伸長(例として腹部は夏季5センチメートル、冬季12センチメートル)し温度の低い高山帯に適応している[6][7]。体色は背面が淡灰色や淡黄色、腹面は白い[5][6][7]。体側面には大型で不明瞭な黒や暗褐色の斑紋で縁取られた褐色の斑紋がまばらに入り[6]、正中線に沿って黒い筋模様が入る[5][7]

耳介は小型[7]。眼は上部に位置し、岩陰に隠れながら獲物を探すのに適している[6]虹彩は灰黄色で、瞳孔は丸い[6]鼻孔は幅広く、これにより冷たい空気を吸い込んでも温めて湿度を与えることができる[7]。足裏は体毛で被われ、防寒や接地面積が大きく雪面でも滑りにくくなっている[5]

出産直後の幼獣の体重は0.4–0.5キログラム[7]

生態[編集]

標高600-6,000メートルにあるステップハイマツからなる針葉樹林、岩場などに生息し[5][6][7]、大型のネコ科動物として、また、食肉目としては最も高い場所に生息する。獲物や積雪にあわせて夏季は標高の高い場所へ、冬季は標高の低い場所へ移動する[6][7]夜行性[5]、昼間は岩の隙間やヒゲワシの古巣などで休む[5][7]

食性は動物食で、主に中型の哺乳類を食べるが、小型哺乳類、鳥類なども食べる[6]。また家畜を捕える事もある[6]。主に夜間に狩りを行う[6]

繁殖形態は胎生。1-5月に交尾を行う[5][6]。妊娠期間は90-105日[6][7]。岩の隙間や洞窟、樹洞に体毛を敷いた場所に、1回に2-5頭(主に2-3頭)の幼獣を産む[6][7]。授乳期間は2か月[7]。生後2-3年で性成熟する[7]。寿命は10年以上、21年に達するとする説もある[7]

人間との関係[編集]

毛皮が利用されたり[5]が薬用になると信じられている[7]

ユキヒョウはヒョウのように人を襲う事はないが、家畜を襲う害獣とみなされることもある[8] [7]

毛皮用や薬用の乱獲、害獣としての駆除などにより生息数は激減している[5][7]

日本では1987年札幌市円山動物園が、日本国内の動物園で初めて飼育下繁殖に成功した[6]

生息地ではなかなか姿を見せない事と、その遠吠えから、チベットなどでは、ユキヒョウの咆吼を雪男の声と錯覚していた事もあった[9]

紋章学的な意味[編集]

ユキヒョウは、その生息域の民族や国家によって、重要な生物とみなされており、様々な紋章や意匠に利用されている。

紋章学において、ユキヒョウはタタール人カザフ人などのテュルク系民族を象徴するものであり、カザフスタンキルギスタタールスタン北オセチアなどの中央アジア諸国で、様々な団体の紋章として利用されている。

マスコットキャラクター[編集]

第22回オリンピック冬季大会(2014年・ソチ)においてはホッキョクグマ、野ウサギと共にユキヒョウがマスコットキャラクターに選ばれた。

画像[編集]

参考文献[編集]

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  1. ^ Appendices I, II and III (CITES)
  2. ^ Jackson, R., Mallon, D., McCarthy, T., Chundaway, R.A. & Habib, B. 2008. Panthera uncia. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1.] (The IUCN Red List of Threatened Species)
  3. ^ Johnson, W. E., Eizirik, E., Pecon-Slattery, J., Murphy, W. J., Antunes, A., Teeling, E., O'Brien, S. J. (2006). “The late miocene radiation of modern Felidae: a genetic assessment”. Science 311 (5757): 73–77. doi:10.1126/science.1122277. PMID 16400146. 
  4. ^ Sakamoto, Manabu; Ruta, Marcello (2012), “Convergence and Divergence in the Evolution of Cat Skulls: Temporal and Spatial Patterns of Morphological Diversity”, PLoS ONE 7 (7), doi:10.1371/journal.pone.0039752, http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0039752 
  5. ^ a b c d e f g h i j k 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科1 食肉類』、平凡社1986年、36-43頁。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、168頁。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社2000年、9、12、141頁。
  8. ^ 『野生ネコの百科』 データーハウス 今泉忠明 ISBN 4-88718-772-6
  9. ^ 動物の世界30 データハウス 1982

外部リンク[編集]