ルポ級フリゲート

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ルポ級フリゲート
MM Sagittario Distant Drum 1983.jpg
イタリア海軍 サジタリオ (F-565)
艦級概観
艦種 フリゲート駆逐艦
建造期間 1974年~1995年
就役期間 1977年~就役中
前級 アルピノ級フリゲート
次級 マエストラーレ級フリゲート
性能・諸元
排水量 基準: 2,208t
満載: 2,525t
全長 113.2m
全幅 11.3m
吃水 3.7m
高さ 7.9m
機関 CODOG方式 2軸推進
フィアットLM2500ガスタービンエンジン(50,000PS) 2基
Grandi Motori Trieste製BL-230-20Mディーゼルエンジン(7,800PS) 2基
速力 最大35ノット
ディーゼル推進最大21ノット
航続距離 4,000海里(15ノット巡航)
乗員 185人
兵装 127mm単装速射砲 1基
40mm連装砲(CIWS、改は4基) 2基
テセオ/オトマットSSM単装発射機 8基
シースパロー短SAM8連装発射機(改はアスピーデ短SAM) 1基
ILAS-3 3連装魚雷発射管(改は無し) 2基
艦載機 AB-212 ASW 哨戒ヘリコプター 1機
C4I SADOC 2 (IPN-10)+リンク 11/14
レーダー SPS-774 (RAN-10S) 1基
SPQ-2F レーダー 1基
SPS-702 CORA 水上レーダー 1基
Mk 95 レーダー
ソナー レイセオンDE 1160B ソナー
FCS ミサイル・127mm砲:SPG-70 (RTN-10X) 2基
CIWS:SPG-74 (RTN-20X) 2基
電子戦
対抗手段
SCLAR チャフフレア発射機 2基
SLQ-D ジャマー 2基
SLR-4 デコイ
AN/AN/SLQ-25 ニクシー 対魚雷デコイ

ルポ級フリゲート:Fregata Classe Lupo)は、イタリアのリウニーティ造船(Cantieri Navali Riuniti:CNR)が建造したミサイル[1]フリゲート対艦兵器が充実しており改良型を含めて、本国イタリア海軍に4隻の他、ペルー海軍に4隻、ベネズエラ海軍に6隻、イラク海軍に4隻(後にイタリア海軍が買い上げ)がそれぞれ販売・建造される。建造数は全部で18隻。改良型はアルティリエーレ級(Artigliere class)、日本語文献では改ルポ級とも呼称される[2]

概要[編集]

1970年代、イタリア海軍は長大な海岸線を防衛するにあたりソビエト連邦軍の脅威に直面していた。この脅威に対抗するためイタリア海軍は対艦兵装と対潜兵装を充実させた新型フリゲートを導入する海軍拡張計画が進められた。

リウニーティ造船に提示した仕様には、高速力を発揮でき重装備を備え2,500tの船体に納めることが示された。35ノットの速力発揮を成し遂げるため、CODOG推進方式が採用される事となる。甲板上には単装式対艦ミサイルが8基、3連装魚雷発射管2基、複数の火砲が装備され、さらに対潜ヘリコプター1機を搭載・格納できる様になっている。重量の軽減化を求めて、非常に省力化・自動化が進められ、同等級のリアンダー級フリゲートの乗員250人よりも少なく200人以内に抑えられている。

基準排水量2,000t程度の船体にこれだけの兵装を備えた軍艦は、当時ヨーロッパ各国海軍でも見受けられなかった。ただし、これだけの船体には過大な装備で全体として余裕が無かった為、マエストラーレ級フリゲートが新たに建造される事となった。

イタリア海軍向けには一旦、4隻の調達で終わる事となるが、本級の輸出は成果を収めた。ペルー向けの2隻が1979年に引き渡されたのを皮切りに、更に2隻がペルー国内で建造される。これは南米で初めて建造されためぼしい軍艦とされる[3]。1980年以降にはベネズエラに6隻が相次いで引き渡され、イラクにも4隻が引き渡される予定であった。しかし、イラク側の代金未払いのため引渡しは延期され、さらに1990年代に入ると湾岸危機が発生、国際連合の輸出禁止措置のためイタリア国内の留められた。

結局1992年にイタリア軍が引き取る事となり、1993年に予算承認、1994年から順次、就役する事となる。

イタリア海軍[編集]

イタリア海軍は1977年から1980年にかけて4隻を就役させた。これらの艦はイラン・イラク戦争の終盤、タンカー戦争においてタンカー護衛の任務に就いた。1990年には湾岸危機で出動し、多国籍軍に参加、湾岸戦争にいたる。

この任務の後に全艦はSPS-702 CORA水上捜索レーダーとSATCOMを設置する為の近代化改修を受ける。20年に及ぶ運用の後に廃船され、2000年代にペルーに売却された。

ペルー海軍[編集]

ペルー海軍は1974年に4隻を発注した。ペルー海軍向けには異なるレーダーを装備し、シースパローSAMの代わりにアスピーデSAMが装備される。最初の2隻はリヴァ・トリゴソ造船所(リグーリア州)で建造され、残りの2隻はペルーカヤオにある海軍産業部門(Servicio Industrial de la Marina、SIMA)でライセンス建造される。

ペルー向けのルポ級は、格納庫には入らないがシコルスキー S-61の燃料補給を可能とするため、着艦スペースが拡大されている。2004年には中古の改ルポ級を購入し、11月に引き渡され、2006年8月に最後の1隻が到着した。

ベネズエラ海軍[編集]

ベネズエラ海軍は1975年に6隻を発注した。これらは1980年から1982年にかけて相次いで就役する。全般の状態は、一部電子装置の違いを除いてペルー向けと類似している。

最初の2隻の「F-21 マリスカル・スクレ」と「F-22 アルミランテ・ブリオン」は1998年から2002年の4年をかけてインガルス造船所で改修工事を受ける。

他の艦については、簡易バージョンの改修を受ける事となっている。

イラク海軍[編集]

イラク海軍はイラン・イラク戦争中の海軍拡張計画の一環として1981年に4隻を発注した。1985年から1987年にかけて完成したが、戦時規制の為イタリア国内に留め置かれた。1993年になりイタリア海軍で引き取ることになり、対潜装備を除去した哨戒艦に改装され1996年までに相次いで就役する。

同型艦[編集]

イタリア海軍向け[編集]

イタリア海軍向けルポ級
艦番号 艦名 建造所 起工 進水 就役
F 564 ルポ
Lupo
リヴァ・トリゴソ造船所 1974年10月11日 1976年7月29日 1977年9月20日
F 565 サジッタリオ
Sagittario
リヴァ・トリゴソ造船所 1976年2月4日 1977年6月22日 1978年11月18日
F 566 ペルセオ
Perseo
リヴァ・トリゴソ造船所 1977年2月28日 1978年7月8日 1980年3月1日
F 567 オルサ
Orsa
リヴァ・トリゴソ造船所 1977年8月1日 1979年3月1日 1980年3月1日

改ルポ級[編集]

イラク海軍向け改ルポ級
艦番号 艦名 建造所 旧名 起工 進水 就役 母港
F 582 アルティリエーレ
Artigliere
アンコーナ造船所 F-14 ヒッティン
Hittin
1982年3月31日 1983年7月27日 1994年10月29日 ターラント
F 583 アヴィエーレ
Aviere
アンコーナ造船所 F-15 ジーカール
Thi Qar
1982年9月3日 1984年12月18日 1995年1月4日 ターラント
F 584 ベルサリエーレ
Bersagliere
アンコーナ造船所 F-16 アル=ヤルムーク
Al-Yarmuk
1982年6月20日 1985年6月20日 1995年11月28日 ターラント
F 585 グラナティエーレ
Granatiere
リヴァ・トリゴソ造船所 F-17 アル=カディーシャー
Al-Qadissiah
1983年12月1日 1985年11月14日 1996年3月20日 ターラント

ペルー海軍向け[編集]

ペルー海軍向けルポ級(改良型も含む)
艦番号 艦名 建造所 起工 進水 就役
(再就役)
FM-51 カルバハル
Carvajal
リヴァ・トリゴソ造船所 1974年10月8日 1976年11月13日 1978年12月23日
FM-52 ビジャビセンシオ
Villavisencio
リヴァ・トリゴソ造船所 1976年4月21日 1978年2月7日 1979年6月29日
FM-53 モンテロ
Montero
SIMAカヤオ造船所 1976年6月16日 1982年10月8日 1984年6月29日
FM-54 マリアテギ
Mariátegui
SIMAカヤオ造船所 1976年8月13日 1984年10月8日 1987年12月28日
FM-55 アギーレ
Aguirre
リヴァ・トリゴソ造船所 1977年8月1日 1979年3月1日 2004年11月3日
FM-56 パラシオス
Palacios
リヴァ・トリゴソ造船所 1974年10月11日 1976年7月29日 2004年11月3日
FM-57 ボログネシ
Bolognesi
リヴァ・トリゴソ造船所 1977年2月28日 1978年7月8日 2006年1月23日
FM-58 クイニョネス
Quiñónes
リヴァ・トリゴソ造船所 1976年2月4日 1977年6月22日 2006年1月23日

ベネズエラ海軍向け[編集]

艦隊行動中の「マリスカル・スクレ」および「ヘネラル・サロン」。
ベネズエラ海軍向けルポ級
艦番号 艦名 建造所 起工 進水 就役
F-21 マリスカル・スクレ
Mariscal Sucre
リヴァ・トリゴソ造船所 1976年11月19日 1978年9月28日 1980年7月14日
F-22 アルミランテ・ブリオン
Almirante Brión
リヴァ・トリゴソ造船所 1977年6月 1979年2月22日 1981年3月7日
F-23 ヘネラル・ウルダネタ
General Urdaneta
アンコーナ造船所 1978年1月23日 1979年3月23日 1981年8月8日
F-24 ヘネラル・ソウブレテ
General Soublette
リヴァ・トリゴソ造船所 1978年8月26日 1980年1月4日 1981年12月4日
F-25 ヘネラル・サロン
General Salóm
アンコーナ造船所 1978年11月7日 1980年1月13日 1982年4月3日
F-26 アルミランテ・ガルシア
Almirante García
リヴァ・トリゴソ造船所 1979年8月21日 1980年10月4日 1982年7月30日

脚注[編集]

  1. ^ イタリア語01:41, 28 ago 2009版による。
  2. ^ 「世界の艦船」など
  3. ^ 「世界の艦船」No.488 P93

参考文献[編集]

  • 世界の艦船 特集 イタリア海軍』No.488 海人社、1994年

関連項目[編集]