サン・ジョルジョ級強襲揚陸艦

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サン・ジョルジョ級ドック型揚陸艦
San Giorgio L9892.jpg
「サン・ジョルジョ」(改修後の艦影)
艦級概観
艦種 ドック型揚陸艦
建造期間 1985年 - 1993年
就役期間 1987年 - 就役中
次級 サン・ジュスト
性能諸元
排水量 基準:6,687t
満載:7,960t
全長 133.3m
全幅 12.9m
吃水 5.3m
機関 GMT A-420.12ディーゼルエンジン(8,400bhp 2基
可変ピッチ式スクリュープロペラ 2軸
バウスラスター (1,000 bhp) 1基
速力 20ノット
航続距離 7,500海里 (16ノット巡航時)
電力 3,330 kW
(770 kW×4基+250 kW×1基)
乗員 士官17名+曹士146名
陸戦部隊 345名
兵装 MMI 62口径76mm単装砲
※後日撤去
1基
20mm単装機銃
※後日、25mm単装機銃に換装
2基
12.7mm機銃 2基
C4I 海軍戦術情報システム
(IPN-20戦術情報処理装置リンク 11)
アルゴNA10 GFCS
※後日撤去
レーダー SPS-702 対空・対水上捜索用 1基
SPN-748 航海用 1基
RTN-10X 射撃指揮用
※後日撤去
1基

サン・ジョルジョ級強襲揚陸艦イタリア語: navi d'assalto anfibio classe san giorgio)は、イタリア海軍ドック型揚陸艦の艦級。

ほぼ全通した飛行甲板ウェルドックを備えており、公称は強襲揚陸艦であるが、NATOではドック型揚陸艦に分類される。

来歴[編集]

イタリア海軍は従来、アメリカから譲渡されたカオルレ級戦車揚陸艦(LST)を運用してきた。1980年代になり、老朽化した同級の更新、および練習艦任務にあたっていたヘリコプター巡洋艦「カイオ・デュイリオ」の後継に充当するため、建造されたのが本級である[1]

ネームシップである「サン・ジョルジョ」のほか、「サン・マルコ」及び「サン・ジュスト」の3隻が建造された。「サン・ジョルジョ」と「サン・マルコ」は1987年とその翌年に就役したが、「サン・ジュスト」は練習艦任務を兼ねていたことから、1994年と若干遅れて就役し、設計が若干異なることから、公式には級の異なる準同型艦として扱われている[2]

設計[編集]

船型としては遮浪甲板型を採用している。01甲板は全通甲板とされており、上部構造物は右舷側に寄せたアイランド方式とされている。艦首部には飛行甲板がなく、第1甲板レベルで錨甲板が露天で設けられており、その後方に一段上がったところから01甲板レベルの飛行甲板が設置されている。第1甲板はギャラリー・デッキを形成しており、居住区などが設けられている[1]

その下の船体内には、第3甲板を底面として2層分の高さを確保して、艦首・尾に全通した車両甲板が設置されている。またその後方には、第4甲板を底面としてウェルドックが設けられており、車両甲板との間はランプで連絡されている[1]

主機関としては、2基のGMT A-420.12ディーゼルエンジンにより2軸の可変ピッチ式スクリュープロペラ(CPP)を駆動している。また精密な操艦が要求される場合に備えてバウスラスターも備えている[2]

能力[編集]

航空運用機能[編集]

飛行甲板(01甲板)は、一見すると全通甲板であったものの、当初は全域が飛行甲板とされていたわけではなく、アイランドの左舷側にLCVP 2隻分のダビットが設置されていたため、甲板上にはローターをたたんだシーキングが通れる程度の余裕しかなく、事実上はほぼ前後に分断されていた。また整備・格納などの本格的な運用能力はもたないものとされていたが、中央部左舷には、飛行甲板と車両甲板を連絡するエレベーター(長さ13メートル×幅3メートル、力量30トン)が設置されており、小型ヘリコプターを車両甲板に格納することは可能であった[1]

その後、1999年の改修で、左舷側ギャラリー・デッキに5メートル幅のスポンソンが設けられた。LCVPがここに移されたことで、飛行甲板は完全に全通し、前後の連絡が容易になった。また、前甲板と後甲板にはそれぞれアグスタウェストランド AW101対応の発着スポットが2つ設定されていたが、さらにスポンソン上に飛行甲板が拡張され、ここに小型ヘリコプター用の発着スポットが2つ設けられた[2]

ドック揚陸艦機能[編集]

船首にバイザー型の扉とバウランプ、また船尾にはウェルドックのハッチを兼用した2段型の扉・ランプ、前部右舷側にも大型開口部が設置されており、これらと接続された車両甲板(長さ100メートル×幅20.5メートル)には、装甲兵員輸送車であれば36両、主力戦車であれば30両を収容できる。居住区とあわせると兵員345名が乗艦可能である。なお、「サン・ジュスト」ではバウランプは廃されていた[1]ほか、1999年の改修で、他2隻でも同様に廃止された。また補給物資として、冷蔵品99m3、ドライカーゴ300m3、航空燃料60トンが搭載されているほか、日量90トンの真水を生成可能とされている[2]

艦後部のウェルドックは、長さ23メートル×幅7メートルを確保している。第4甲板のドック底面は艦の吃水線より下となっているため、艦の吃水を調整せずとも、ウェルドックに漲水して艦尾ハッチを開けるだけで舟艇の運用が可能であり、艦の設備も簡素化できている。艦内には上陸用舟艇(18.5メートル型LCM)が3隻収容されており、1隻がドライアップされたドック内に、2隻が車両甲板後部に搭載されている。発進時は、まずドックに注水して1隻を発進させたのち、第1甲板下面に設けられた走行クレーンにより、2, 3番艇が順次にドック内に移される。なお、艦尾扉から車両を揚降する場合は、ドック上部に蓋をして、車両甲板と面一とする。また上陸用舟艇としては、これらのLCMのほか、飛行甲板上にダビットを設けて3隻の13メートル型LCVPが搭載されていた[1]が、後の改修で右舷側の1隻は撤去され、左舷側の2隻もギャラリー・デッキに移された[2]

個艦防御機能[編集]

01甲板の前端部には、建造当初はMMIアラーガト 76mm単装砲が設置されていたが、これは1999年から2001年にかけての改修で撤去された。またアイランド前後部にはMk.10 20mm単装機銃が設置されていたが、これは改修の際に25mm単装機銃に換装された。なお、「サン・ジュスト」の装備砲は76mmコンパット砲であり、こちらは現在も維持されている[2]

配備[編集]

同型艦一覧
# 艦名 起工 進水 就役
L 9892 サン・ジョルジョ
ITS San Giorgio
1985年 5月26日 1987年 2月25日 1988年 2月13日
L 9893 サン・マルコ
ITS San Marco
1985年 3月26日 1987年10月21日 1989年 5月 6日

イタリア海軍では、本級(「サン・ジュスト」を含む)と軽空母「ジュゼッペ・ガリバルディ」の更新用として、2万トン級強襲揚陸艦(LHD)3隻の建造を計画している[3]。また軽空母カヴール」も、1個大隊の兵員輸送能力を有する[4]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e f 鈴木昌「イタリア海軍の艦艇新造計画をさぐる」、『世界の艦船』第365号、海人社、1986年6月、 80-87頁。
  2. ^ a b c d e f Eric Wertheim (2007). Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World: Their Ships, Aircraft, and Systems. Naval Institute Press. ISBN 9781591149552. http://books.google.co.jp/books?id=TJunjRvplU4C. 
  3. ^ 「20,000トン級LHD(イタリア) (特集 世界の次世代揚陸艦)」、『世界の艦船』第770号、海人社、2012年12月、 160頁。
  4. ^ 「イタリアの新鋭軽空母「カブール」のメカニズム」、『世界の艦船』第682号、海人社、2007年11月、 88-91頁、 NAID 40015635563

外部リンク[編集]

関連項目[編集]