マエストラーレ級フリゲート

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マエストラーレ級フリゲート
Maestrale-Class MAESTRALE (F 570).jpg
艦級概観
艦種 フリゲート
就役期間 1982年 - 就役中
前級 ルポ級
後級 カルロ・ベルガミーニ級
性能・諸元
排水量 軽荷 2,700トン
常備 3,060トン
満載 3,200トン
全長 122.73 m
全幅 12.88 m
吃水 4.10 m
機関 CODOG方式
BL-230-20-DVMディーゼルエンジン (5,073 bhp) 2基
LM2500ガスタービンエンジン (25,000 shp) 2基
スクリュープロペラ(5翼) 2軸
速力 最大32ノット
航続距離 11,100km/15ノット
乗員 232人
兵装 127mm単装速射砲 1基
ブレダ40mm連装機銃 2基
アルバトロス短SAM 8連装発射機 1基
テセオMk.2 SSM発射筒 4基
533mm魚雷発射管 2基
ILAS-3 3連装短魚雷発射管 2基
艦載機 AB-212 哨戒ヘリコプター 2機
C4I 海軍戦術情報システム
(IPN-20+リンク 11/14)
レーダー RAN-11L/X 対空捜索用 1基
RAN-10S 対空・対水上用 1基
SPN-703 航法用 1基
RTN-30X 砲/SAM射撃指揮用 1基
RTN-20X 機銃射撃指揮用 2基
ソナー DE 1160B 船底装備式 1基
DE 1163 可変深度式 1基
電子戦
対抗手段
ニュートン・ラムダ電波探知妨害装置
SCLAR チャフフレア発射機 2基
AN/SLQ-25 対魚雷デコイ 1式

マエストラーレ級フリゲートイタリア語: frigate classe maestrale)は、イタリア海軍フリゲートの艦級。

先行するルポ級フリゲートの発展型として開発され、その後継として1983年から全部で8隻就役した。なお各艦名はイタリア語における各方位の風向を意味する。

設計[編集]

船体設計は、ルポ級のそれを拡大したものとされており、排水量にして500トン大型化した。船型としては、艦首に強いシアを有する中央船楼船型が採用されており、船体は15の水密区画に区分されている。船体動揺軽減のため固定式のフィンスタビライザーが1組搭載されているほか、水中放射雑音低減のためにプレーリー・マスカーも設置された[1]。なお上部構造物は軽合金製とされた[2]

主機関もルポ級を踏襲して、フィンカンティエリ系列のグランディ・モトーリ・トリエステ(GMT; 現バルチラ・イタリア)社製のBL-230-20-DVMディーゼルエンジンと、フィアット社のライセンス生産によるゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジンによるCODOG構成とされた。ただし船体の大型化に対応して、ディーゼルエンジンは大出力化された発展型とされた。また船体が小型であったことから、主機関はパラレル配置とされている。機関区画は、前方から補機室(長さ7.2m)、ガスタービン主機室(長さ9.0m)、歯車減速機室(長さ6.0m)、ディーゼル主機室(長さ9.6m)が配置されている。このCODOG機関は、後に、より大型のミサイル駆逐艦であるデ・ラ・ペンネ級駆逐艦においても踏襲されたが、こちらでは主機関の出力が増強されたほかシフト配置とされている[3]

電源としては、出力780キロワットのディーゼル発電機を4基搭載しており、補機室とディーゼル主機室に2基ずつ配置されている[1][3]

装備[編集]

本級の装備は、いずれもルポ級のものを踏襲、ないしはそれを発展させたものとされている。

C4ISR[編集]

C4Iシステムの中核となる戦術情報処理装置は、制式名称はかわらずSADOC-2であるが、強化型のIPN-20に更新された[1]

レーダーとしては、前檣の中段にRAN-10Sが、また艦橋構造物後端の後檣上にRAN-11L/Xが搭載される[1]。RAN-10SはSバンドを使用する対空・対水上捜索用レーダーで、最大探知距離は90海里 (170 km)である。一方、RAN-11L/Xは、長距離捜索用にLバンドを、低空警戒用にXバンドを使用するデュアル・バンド・レーダーであるが、送信機はそれぞれ異なるものを使用している[4]

ソナーとしては、アメリカ合衆国レイセオン社のDE 1164が搭載される[1]。これは船底装備式のDE 1160Bと可変深度式のDE 1163を統合したものであり、可変深度ソナーの吊下深度は600-900メートルとされている[4]

武器システム[編集]

武器システムはおおむねルポ級のものを踏襲しているが、対潜火力を増強するため、A184両用魚雷(最大雷速38ノット、最大雷速時射程17km)のための533mm魚雷発射管が追加された。また個艦防空ミサイル・システムは、ルポ級ではアメリカ製のシースパローIBPDMSが採用されていたのに対して、本級ではこれを元にした国産のアルバトロスとされ、その8連装発射機の装備位置も、艦橋直前の船楼前端部とされている[1]

砲熕兵器としては、ルポ級と同様に、オート・メラーラ社製127mmコンパット砲1基とブレダ社製40mm連装機銃が2基搭載された。前者はNA-30A射撃指揮装置による統制を受けており、これは射撃指揮レーダーとしてRTX-30Xと、これを補完する光学方位盤としてOG-30と連接されている。なお、RTX-30Xは個艦防空ミサイルの誘導にも用いられる。一方、後者はRTX-20X射撃指揮レーダーおよびMM59補助光学方位盤と連接されて、近接防空用のダルド・システムとして構築されている[1]

電子戦システムとしては、電子攻撃電子戦支援の両用機であるエレットロニカ社製ニュートン・ラムダ電波探知妨害装置が搭載された。またこれと連動するチャフフレア発射機としては、105mm口径・20連装の多用途発射機であるSCLARが煙突両脇の01甲板レベルに1基ずつ搭載されている[1]

航空システム[編集]

船体の大型化に伴って航空艤装も強化されており、ハンガーはより大型の固定式のものとされた。これによって艦載機は2機に増加している。ヘリコプター甲板は、長さ27m×幅12mを確保した[1]

配備[編集]

本級は、ルポ級・アルティリエーレ級とともにイタリア海軍のフリゲート戦力の一翼を担い、艦隊のワークホースとして活躍してきた。しかし老朽化と防衛予算縮減に伴い、2013年以降、次世代のフリゲートと入れ替わりで退役する予定である。2012年のジェーン誌および世界の艦船誌の報道によれば、近い将来、2隻の退役艦がフィリピン軍に売却される交渉が行われていたが、フィリピン政府が国際入札による護衛艦の新造を決心したため、交渉は白紙となった。2013年7月8日、フィリピン政府は入札に先立ちAFP通信を通じて記者会見を開催し、イタリア政府に対して「マエストラーレ級を新造するならば、護衛艦として新造される2隻を購入する」旨のラブコールを送っている。

同型艦一覧
# 艦名 造船所 起工 就役 母港
F570 マエストラーレ
ITS Maestrale
リヴァ・トリゴソ 1978年3月 1982年3月 ラ・スペツィア
F571 グレカーレ
ITS Grecale
ムッジャーノ 1979年3月 1983年2月
F572 リベッチオ
ITS Libeccio
リヴァ・トリゴソ 1979年8月 ターラント
F573 シロッコ
ITS Scirocco
1980年2月 1983年9月 ラ・スペツィア
F574 アリセオ
ITS Aliseo
ターラント
F575 エウロ
ITS Euro
1981年4月 1984年4月 ラ・スペツィア
F576 エスペロ
ITS Espero
1982年8月 1985年5月 ターラント
F577 ゼッフィーロ
ITS Zeffiro
1983年3月

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. p. 277. ISBN 978-0870212505. 
  2. ^ SPG Media Limited (2012年). “Maestrale Class Frigates, Italy” (英語). 2012年12月8日閲覧。
  3. ^ a b 鈴木昌「イタリア海軍の艦艇新造計画をさぐる」、『世界の艦船』第365号、海人社、1986年6月、 80-87頁。
  4. ^ a b Norman Friedman (1997). The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 9781557502681. http://books.google.co.jp/books?id=l-DzknmTgDUC. 

関連項目[編集]