ラウンドアップ

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グリホサートイソプロピルアミン塩
グリホサートイソプロピルアミン塩の構造式
識別情報
CAS登録番号 38641-94-0
KEGG C18564
特性
化学式 C3H8NO5P. C3H9N
モル質量 228.1833
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ラウンドアップ (Roundup) は、1970年アメリカ企業のモンサント社が開発した除草剤農薬の一種)。

有効成分名はグリホサートイソプロピルアミン塩 (glyphosate-isopropylammonium)。グリシンの窒素原子上にホスホノメチル基が置換した構造を持つ。イソプロピルアンモニウム塩ではないグリホサート自体の分子量は169.07で、CAS登録番号は1071-83-6である。

5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素 (EPSPS, EC 2.5.1.19反応) 阻害剤で[1]、植物体内での5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸 (5-enolpyruvylshikimate-3-phosphate) の合成を阻害し、ひいてはアミノ酸トリプトファンフェニルアラニンチロシン)やこれらのアミノ酸を含むタンパク質や代謝産物の合成を阻害する(シキミ酸経路参照)。(茎葉)吸収移行型(接触した植物の全体を枯らす)で、ほとんどの植物にダメージを与える(非選択型)。

日本での商標権(登録商標第1334582号ほか)と生産・販売権は、2002年に日本モンサントから日産化学工業へ譲渡され、保有している(ただし2013年5月現在、日本で販売されているラウンドアップはモンサントのベルギーにあるアントワープ工場で生産されたものを輸入している)。

商品[編集]

  • ラウンドアップマックスロード:有効成分はグリホサートカリウム塩

廃止商品[編集]

  • ラウンドアップ:液剤、スプレー、粒剤など
  • ラウンドアップハイロード:有効成分はグリホサートアンモニウム塩(CAS: 40465-66-5)
  • ランドマスター:専用散布機で散布するラウンドアップのAL剤。

ラウンドアップ耐性作物[編集]

種類[編集]

遺伝子操作により分子育種されたラウンドアップに耐性を有する作物(遺伝子組み換え作物)が主流であるが、変異体もある。遺伝子操作により、ラウンドアップに耐性を有する遺伝子組み換え作物ラウンドアップレディー (Roundup Ready) と総称され、日本ではダイズトウモロコシナタネ(Brassica napus)、ワタテンサイアルファルファジャガイモ[2]ラウンドアップレディー 品種の一部の一種使用が認可されており[3]、世界的にはベントグラス[4]アブラナ(Brassica rapa)[5]コムギ[6]の耐性品種も開発されている。

世界における栽培状況[編集]

ラウンドアップ・レディーのような非選択性除草剤に対して耐性を有する遺伝子組換え作物の栽培面積が現在急速に拡大している[7]。これは農家の雑草管理が楽という面だけでなく、土壌流出を大幅に防ぐことのできる不耕起農法(不耕起栽培)を適用できるからである。現在、ダイズの主要生産国である北米や南米諸国では表土流出が大問題となっている。前作の植物残渣を放置できるため、植物残渣がマルチとなって風雨から土壌流出を防ぎ、土壌を耕すことによって土壌が流亡しやすくなることを不耕起農法によって防ぐことができる。即ち、除草剤耐性作物は環境保全と持続的農業に貢献している、という主張が組換え作物推進派にはある[8]。その他、有毒雑草の収穫物への混入を減らせるとの主張もある。2013年の全世界で遺伝子組換え作物の栽培面積は1億7520万haであり、その約9割は除草剤耐性作物か除草剤耐性と他の形質を併せ持つ作物である(ISAAA)。

耐性化機構と導入遺伝子[編集]

遺伝子工学を用いて、ラウンドアップに対して植物を耐性化させる機構として、様々な機構が利用可能である。その中で、現在は主にラウンドアップ(グリホサート)に非感受性のEPSPSの遺伝子とラウンドアップ分解・解毒酵素の遺伝子が用いられている。

  • 非感受性のEPSPSの利用:植物のEPSPSは核DNAにコードされ、細胞質で合成されプラスチドに移行するタンパク質である。一方、原核生物であるバクテリアにもEPSPSは存在し、その多くのものはグリホサートで阻害される。しかし、細菌であるアグロバクテリウム・ツメファシエンス Agrobacterium tumefaciens CP4株のEPSPSはグリホサートで阻害されないため、このバクテリアのEPSPS遺伝子を利用して植物にグリホサート耐性能を付与することになった。そこで、問題になったことが植物のEPSPSはプラスチドに存在するが、バクテリアのものは細胞質に存在することである。そのため、A. tumefaciens CP4株由来のEPSPS遺伝子にプラスチドに移行させるための輸送ペプチド (transit peptide) 部分のDNAを融合させたものを植物に導入して、バクテリア由来のEPSPSをプラスチドに輸送させてラウンドアップに植物を耐性化させている[9]。同様に、土壌細菌Arthrobacter英語版 globiformis由来のEPSPS遺伝子を改変してグリホサート耐性にした遺伝子・改変 epsps grg23ace5も用いられている[10]。更に、植物であるトウモロコシ由来のEPSPS遺伝子epspsに点突然変異を起こした、2変異EPSPS遺伝子(2mepsps)がコードするタンパク質は、グリホサートに対する耐性を有する。なお、2mEPSPSタンパク質では、野生型EPSPSタンパク質のアミノ末端から102番目のアミノ酸残基トレオニンイソロイシンに、また、106番目のプロリンセリンにそれぞれ置換されている。この2mepspsが用いられた耐性作物も開発されている[11](薬剤とその標的との親和性の低下による耐性化)
  • グリホサート酸化還元酵素の利用:自然界に広く存在する酵素、グリホサート酸化還元酵素 (glyphosate oxidoreductase: GOX) を用いてグリホサートを2つの無毒な化合物アミノメチルホスホン酸英語版(AMPA) (CAS No. 1066-51-9)とグリオキシル酸に分解する手法でも耐性化されている。この酵素の遺伝子 goxv247 は土壌細菌Ochrobactrum anthropi英語版より単離され、プラスチドに移行させるための輸送ペプチド部分のDNAを融合させたものが植物に導入されている。その結果、薬剤の分解によるラウンドアップ耐性化と残留ラウンドアップ(グリホサート)の除去に役立つ[12](薬剤の分解・修飾による無毒化)
  • グリホサート N-アセチル基転移酵素の利用:バクテリアの一種であるBacillus licheniformis英語版の3つの株(ST401株、B6株及びDS3株)由来のN-アセチル基転移酵素英語版(N-acetyltransferase) 遺伝子を基に、変異が導入されて作製された改変型グリホサート N-アセチル基転移酵素遺伝子(改変gatgat4621遺伝子と表記)(Castle et al., 2004、GenBank Accession No: CS022547)は、グリホサートをN-アセチル化して解毒する酵素(改変GAT:GAT4621)をコードしているので、これを用いることもある。このgat4621遺伝子を植物に導入し発現させると、ラウンドアップ(グリホサート)に耐性となる[13](薬剤の分解・修飾による無毒化)

食品としての安全性[編集]

遺伝子組換え作物は、様々な安全性審査を受け、合格してから初めて上市される。それでも、多世代にわたる摂取による安全性が確認されていないと非難する意見が、組換え食品反対派にある。そこで、遺伝子組換えによって分子育種されたラウンドアップレディー大豆の安全性に関しては、多世代の動物飼育実験により、客観的・科学的検証がなされた。例えば、サウスダコタ大学のグループは4世代にわたってマウスにラウンドアップレディー大豆を給餌しても、何ら悪影響を見いだすことができなかった[14]。また、東京都の健康安全研究センターも2世代にわたるラットへの給餌試験を行ったが何ら有意差を見いだせなかった[15][16]。同様な研究は多数ある。そのため、少なくとこれらの世代数では「遺伝子組換え大豆」に対する危険性を見いだすことができなかったといえる。

ラウンドアップ耐性雑草の世界的な問題[編集]

ラウンドアップの主成分であるグリホサートに耐性を持つ雑草が問題となっている。

米国オーガニックセンターの2009年の報告によれば、栽培が始まった1996年から13年経過し、ラウンドアップ除草剤に対する耐性により2008年には、遺伝子組み換え作物のほうが散布した農薬の金額が28%多く増加傾向は続くとし[要出典](引用文献中に2008年に28%多いという記述はない。)、また遺伝子組み換え種子の収穫量が期待ほどではなく、ラウンドアップ耐性雑草の防除が難しくコストもかかるため、通常の種子の需要が増えている[17]。なお、収量の高い第二世代のラウンドアップ耐性ダイズ品種Roundup Ready 2 Yieldが既に上市されている。一方、正しい除草剤の使用法を守れば、除草剤耐性雑草の出現は問題にならないという報告もある[18]。つまり、不適切な使用は除草剤耐性雑草の出現を招くということでもある。

米国科学アカデミー全米研究評議会は、除草剤耐性遺伝子組換え作物の採用の際に農民はより毒性の強い除草剤から(それらに比べると安全性の高い)ラウンドアップに主に切り替えた(When adopting GE herbicide-resistant (HR) crops, farmers mainly substituted the herbicide glyphosate for more toxic herbicides.)が、ラウンドアップの過剰な散布により少なくとも9種の雑草がラウンドアップに耐性を持つように進化しているために元のより強い毒性を持つ農薬が必要となり、そのために利得を損なう恐れがあるこという研究を2010年4月に発表した[19]。同研究において、そのような懸念を示すとともに遺伝子組換え作物のもたらした最大のメリットは「河川・貯水池の水質浄化と土壌流出低減(Adoption of herbicide-resistant crops could help improve soil and water quality)」であることを明らかにした[19]。これはBt作物による殺虫剤使用量の大幅な減少と除草剤耐性作物によって不耕起栽培が普及した結果である。そのため、開発メーカーや農業普及指導所はグリホサートだけに頼らず、旧来の土壌処理型除草剤も合わせて使うように指導しているが、同研究評議会は「これらの除草剤はグリホサートよりも残効性が高いため、水質への環境負荷が大きい。水質浄化というメリットが失われることにつながる。」と指摘していること[19]が「そのために利得を損なう恐れ」の意味するところである。同研究において、グリホサート耐性雑草の進化を抑えるために、除草剤耐性作物を栽培する農民はもっと異なった雑草管理作業、例えば異なる除草剤(とその耐性作物)のローテーションや(複数の除草剤に耐性を持つ作物に対する)複数の除草剤の混合使用を取り入れるべきである(To limit the evolution of glyphosate-resistant weeds, farmers of herbicide-resistant crops should incorporate more diverse management practices, such as herbicide rotation and tank-mixes of more than one herbicide.)と提言している[19]。不耕起栽培は水質浄化以外にも農業機械の燃料代や労働コスト(人件費)の削減にも貢献した[20]。同研究において、遺伝子組換え作物の多くの栽培者は生産コストの低減か高収量のどちらか、場合によっては双方を経験している(Many adopters of GE crops have experienced either lower costs of production or higher yields, and sometimes both)[19]、また、農民は(遺伝子組換え作物を栽培することによる)農場労働者の安全性の増加、農場管理における簡便性と柔軟性の大幅な増加を評価している(Farmers value increased worker safety and greater simplicity and flexibility in farm management)[19]と報告しているように、今後も遺伝子組換え作物の有効性を維持する上で除草剤耐性雑草の制御は重要な問題となっている。

ポストラウンドアップ時代の農業形態とその到来防止法[編集]

グリホサート使用地において雑草がグリホサートに耐性を持ち始めており、除草剤耐性雑草の国際調査[21]によれば、世界中では23種の雑草がグリホサート抵抗性を発達させ、このうち少なくとも10種はほかの除草剤にも耐性があった。この数は過小評価されているとも指摘されている。実際、アーカンソー州ではダイズ畑の61%とワタ畑の80%にグリホサート耐性雑草アマランサス(オオホナガアオゲイトウ・タリノホアオゲイトウ・Palmer amaranth, Amaranthus palmeri) が蔓延している[22]。ラウンドアップ耐性雑草が蔓延すればラウンドアップの除草剤としての利用価値は低下し、その結果、ラウンドアップとグリホサート耐性作物を使用している現代農業は大きな影響を受けることになる。そこで、そのような時代をポストラウンドアップ時代(a post-Roundup era)と名付け、その時代の農業形態を予測するとともにポストラウンドアップ時代が来ない様に対策が検討されている。

2010年4月の報告書を経て2012年5月10日、米国科学アカデミーは雑草対策のためのサミット(除草剤耐性雑草の課題を管理するための戦略に関する全国サミット: National Summit on Strategies to Manage Herbicide-Resistant Weeds Agenda)を開催した[23][24]。 除草剤ラウンドアップの主成分であるグリホサートへの耐性を獲得した雑草には、すでに単一もしくは複数の除草剤に耐性を持つ383種類の雑草が知られている[25]。グリホサートとジカンバに耐性を持つ穀類やグリホサートと2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)に耐性を持つ遺伝子を組み込んだトウモロコシが開発されている様に複数の除草剤に耐性な作物が存在するが、2,4-Dは枯葉剤のオレンジ剤 (Agent Orange) の一成分であることから環境保護団体は反対し、これらが複数の除草剤に耐性を持つ雑草の出現を早めることを懸念している研究者もいる[22]

モンサント社とアメリカ雑草科学会は見解として前述の様に、単一の除草剤ではなく複数の除草剤を使うという解決策を2012年5月時点でも提案している(In a set of recommendations released earlier this month (May 10), the Weed Science Society of America suggested that in addition to minimizing herbicide use, farmers also diversify the chemicals they apply to their plants in order to keep herbicides effective for the long term.)が[22]、ある研究者はこの解決策は雑草に複数の除草剤に耐性を与える可能性を示唆した[22]。耐性雑草の出現率は低いとする推定に対し、雑草は無視しているという証拠をあげている[26]

多くの者はポストラウンドアップ時代の農業は(ラウンドアップとラウンドアップ耐性作物を利用可能な現代よりも)困難になるだろうということに同意している(Most agree that farming in a post-Roundup era will be more complicated.)[25]。オレゴン州立大学の雑草科学者は、多耐性の脅威が昔の雑草防除方法への復帰を推し進めているとしている(The threat of multiresistance has prompted a return to older methods of weed control.)[25]。昔の方法について、ワシントン州立大学の研究者は、「グリホサートという特効薬がない場合(ポストラウンドアップ時代)の雑草管理とは困難な方法 -輪作、耕作、耕起、適切な除草剤の使用- に戻る必要があるということであり(“The reality of weed management without the silver bullet of glyphosate is that we need to revert to a many-hammers approach — crop rotations, cultivations, tillage, appropriate herbicide application,”)、その方法は、より時間と雑草管理に注意と多分より費用がかかるであろう(“It's going to take more time, it will take more management care, and it will probably cost more money.”)。」と述べた[25]。このような除草剤だけに頼らない雑草管理法を「統合された雑草管理・総合雑草防除」(IWM: integrated weed management)という。なお、前述の2010年4月の全米研究評議会の研究は、機械による耕起除草も対しても批判的であり、畑の土や水が河川・貯水池に流入し、水質汚染につながり、遺伝子組換え作物による水質浄化というメリットが失われかねないと指摘している[19]ように、また、コスト面や管理面でも劣るために旧来の方法に復帰するにしても大きな障害が存在する。そのため、そのような大変なポストラウンドアップ時代に至らないために、ラウンドアップ耐性雑草の蔓延を事態を防ぐ方策として、複数の除草剤に対して耐性を持つ作物と複数の除草剤の混用、異なる除草剤とその除草剤耐性作物の複数の組み合わせを用いた定期的な輪作などを推奨する[20]ものは現在でも存在する。多剤耐性雑草の出現が上記の様に危惧されてはいるが、2012年においてもアメリカ雑草科学会はこの立場をとっている[22]。そして、これらの勧告は下記の様に現実として反映されている。

(このような除草剤耐性雑草に対する)伝統的な手法はその除草剤とは異なった除草剤とそれに耐性な作物に切り替えることである。そこで、それらの承認過程を2012年初頭に加速しているアメリカ農務省の監督下で、多数の(ラウンドアップ以外の除草剤耐性)組換え作物が作り出されている。また、ラウンドアップと2,4-Dの双方に耐性なトウモロコシも承認された。(The conventional approach is to switch to a different herbicide and engineer crops to withstand it. This has produced a wave of genetically modified crops under review by the USDA, which earlier this year made changes to speed up its approval process. Next to receive a green light could be maize (corn) that is tolerant to glyphosphate and 2,4-dichlorophenoxyacetic acid (2,4-D).)[25]

現在、このように様々な非選択性除草剤とその耐性作物のセットは開発されてきている。しかし、広い殺草範囲、高い防除効果、低環境負荷という点でグリホサートにまさる除草剤開発のめどは、現時点ではたっていない[20]

ジェネリック品[編集]

ラウンドアップの成分グリホサートは特許で保護される期間を過ぎているため、他社から同成分もしくは類似成分の除草剤が販売されている(ジェネリック剤)。これらは比較的安価で効果もほぼ同等である。大きく分けて、農薬登録を取得したものと、取得していないため非農耕地向けの2種類がある。
非農耕地専用(農薬登録がないもの)を農耕地に使った場合、農薬取締法等に抵触する[27]

農薬登録を取得したおもな製品は以下のとおり。

  • グリホサートイソプロピルアミン塩
    • ポラリス液剤
    • クサトリキング
    • 三共の草枯らし
    • クサクリーン
    • エイトアップ液剤
    • ターンアウト液剤
    • ラウンドアップ
    • サンフーロン液剤
    • 園芸用サンフーロン液剤
    • グリホス
    • ネコソギAL1.0
    • グリホキング
    • グリホキングシャワー
    • グリホエキス
    • マイター液剤
    • ラムロード
    • ランドマスター液剤
    • クサトローゼ
    • 草退治シャワー
    • クサクリア
    • コンパカレール液剤
    • ハーブ・ニート液剤
    • サンダーボルト007(但し、他剤も含有)
    • ネコソギクイックプロFL(但し、他剤も含有) - 上記製品の家庭園芸向け商品名違い。
    • サブゾーン液剤(但し、他剤も含有)
    • ネコソギWクイック微粒剤(但し、他剤も含有)
  • グリホサートアンモニウム塩
    • ラウンドアップハイロード
    • ラウンドアップドライ
    • 草当番
  • グリホサートカリウム塩
    • ラウンドアップマックスロード
    • タッチダウンiQ
    • ザッソージエース
  • グリホサートトリメシウム塩 - 英国・旧ICI社(後のゼネカ→シンジェンタ)が開発。
    • タッチダウン
    • サンダーボルト(但し、他剤も含有)
  • グリホサートナトリウム塩
    • ラウンドアップライトロード
    • インパルス(但し、他剤も含有)

安全性・毒性[編集]

 安全性[編集]

ラウンドアップシリーズを日本で販売している日産化学の見解[28][29]では、

  • 処理後1時間以内に土の粒子に吸着し、その後微生物が自然物に分解する。
  • 約3~21日で半減、やがて消失する。
  • 土壌に速やかに吸着するため、土に落ちた成分は除草剤としての効果は失われる。
  • 土壌に吸着しやすい性質を持っているため、有効成分が土壌中を移動することはほとんどない。

とし、散布後も土を悪くする心配は不要であるとしている。また、グリシンから成る「アミノ酸系除草剤」であり、毒劇物に該当しない「普通物」であることも強調している。

2000年5月20日、日本農薬学会に受理された『グリホサートの毒性試験の概要』[30]では、

  • 各種毒性試験の結果、いわゆる普通物に相当。
  • 眼に対する刺激性は軽度~中等度、皮膚に対しては軽度、皮膚感作性は認められない。
  • マウス、ラット、ウサギにおいて、催腫瘍性、繁殖能に対する影響、催奇形性はいずれも認められない。
  • 変異原性(復帰変異、DNA修復、染色体異常)試験はいずれも陰性。
  • 一日摂取許容量(ADI)は0.75mg/kg/day。

としている。

 発がん性[編集]

2015年3月20日、WHOの外部組織である国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer publish; IARC)は除草剤グリホサートを、殺虫剤マラチオンダイアジノンとともに、グループ1に次ぎ2番目にリスクの高いグループ2A「ヒトに対しておそらく発がん性がある(probably carcinogenic to humans)」に指定した。同じ報告で殺虫剤テトラクロロビンホスパラチオンはグループ2B「ヒトに対して発がん性があるかもしれない(possibly carcinogenic to humans)」に指定している[31][32] 。この報告の中でグリホサートは、噴霧中の空気中、水中、食品中で検出されていること、また、曝露を受ける対象として噴霧地の近くに居住している場合、家庭で利用した場合に加えて、水または食品を摂取した場合、と言及している。

同月24日、日産化学はグリホサートに発がん性は無いと判断しているとする声明を出した[33]

各国の対応[編集]

  • デンマーク - 2003年9月15日、デンマーク政府はグリホサートの散布を禁止した。デンマーク・グリーンランド地質調査研究所(Denmark and Greenland Geological Research Institution; DGGRI)の行った検査で、グリホサートが土壌を通り抜けて地下水に到達し、飲料水として許容されている5倍の濃度(0.54μg/L)で地下水を汚染していることを発表[34]したため。
  • ロシア - 2014年4月5日、ロシア政府最大与党のUnited Russia議会は、ラウンドアップ耐性遺伝子組換え食品の輸入を禁止した[35]
  • スリランカ - 2014年5月12日、スリランカ政府はラウンドアップの販売を禁止した[36] 。これはカドミウムとヒ素を含んだ土壌でラウンドアップが使われた場合、飲料水や米を通して重い慢性腎疾患(CKDs)の原因となる、とした研究報告を受けたもの。
  • オランダ - オランダ議会は、2015年末をもってグリホサートの使用禁止を決定した[37]
  • ブラジル - 2015年3月25日、ブラジルの連邦検察官(Federal Public Prosecutor)は司法省に対して、グリホサートを暫定的に使用禁止とするように求めた[38]

虚偽広告の判決[編集]

1996年、ニューヨークで、モンサントのグリホサート製品のラウンドアップ除草剤に関し、「ラウンドアップが生分解性で土壌に蓄積されません」「安全で人や環境への有害な影響を引き起こすことはありません」といった一連の安全性に関する広告が、虚偽かつ誤解を招く広告と判決された[39]

フランスの最高裁は、ラウンドアップの主な成分のグリホサートは、欧州連合(EU)が環境に危険だと分類しているため争われていた裁判で、生分解性できれいな土壌を残すという広告を虚偽広告と判決した[40]

脚注[編集]

  1. ^ Heldt, Hans-Walter (2000), 金井 龍二 訳, ed., 植物生化学, シュプリンガー・フェアラーク東京, 2000-06, p. 244, ISBN 443170857X 
  2. ^ Biotechnology Consultation Note to the File BNF No. 000048ニューリーフ・プラスRBMT22-82系統はラウンドアップ耐性で選択されているが、品種特性としての除草剤耐性は厚生労働省医薬食品局食品安全部の「安全性審査の手続を経た旨の公表がなされた遺伝子組換え食品及び添加物一覧」には記載されていない。
  3. ^ 安全性審査の手続を経た旨の公表がなされた遺伝子組換え食品及び添加物一覧
  4. ^ ASR368, APHIS Preliminary Risk Assessment on the Petition for a Determination of Nonregulated Status for Creeping Bentgrass (Agrostis stolonifera) Genetically Engineered (Event ASR368) for Tolerance to the Herbicide Glyphosate submitted by Monsanto Company and the Scotts Company.
  5. ^ ZSR500/502/503
  6. ^ MON71800
  7. ^ 江指 隆年 他 『食品衛生検査指針』理化学編、日本食品衛生協会、2005年、317頁。ISBN 9784889250039
  8. ^ 有井 彩, 山根 精一郎 2006. 除草剤耐性遺伝子組換え作物の普及と問題点 . 雑草研究 Vol.51 (2006) No.4 P263-268
  9. ^ 除草剤グリホサート耐性セイヨウナタネ(改変cp4 epsps, Brassica napus L.)(MON88302, OECD UI: MON-88302-9), 多数存在する中の一例を示した。
  10. ^ 除草剤グリホサート耐性トウモロコシ(改変 epsps grg23ace5, Zea mays subsp. mays(L.)Iltis)(Event VCO-Ø1981-5, OECD UI: VCO-Ø1981-5)申請書等の概要, 一例を示した。
  11. ^ 除草剤グリホサート及びグルホシネート耐性並びにチョウ目害虫抵抗性ワタ(2mepsps, 改変bar, 改変cry1Ac, 改変cry2Ab, Gossypium hirsutum L.)(GHB614 × LLCotton25 × 15985 , OECD UI: BCS-GHØØ2-5 × ACS-GHØØ1-3 × MON-15985-7)(GHB614、LLCotton25 及び15985 それぞれへの導入遺伝子の組合せを有するものであって当該ワタから分離した後代系統のもの(既に第一種使用規程の承認を受けたものを除く。)を含む。)申請書等の概要, 多数存在する中の一例を示した。
  12. ^ 除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性並びに雄性不稔及び稔性回復性セイヨウナタネ(改変bar, 改変cp4 epsps, 改変goxv247, barnase, barstar, Brassica napus L.)(MS8×RF3×RT73, OECD UI: ACS-BNØØ5-8 × ACS-BNØØ3-6 × MON-ØØØ73-7)(MS8、RF3及びRT73それぞれへの導入遺伝子の組合せを有するものであって当該セイヨウナタネから分離した後代系統のもの(既に第一種使用規程の承認を受けたものを除く。)を含む。)申請書等の概要。
  13. ^ 除草剤グリホサート耐性セイヨウナタネ(gat4621, Brassica napus L.)(73496, OECD UI: DP-Ø73496-4)申請書等の概要
  14. ^ Brake, D. G.; Evenson, D. P. (2004). "A generational study of glyphosate-tolerant soybeans on mouse fetal, postnatal, pubertal and adult testicular development". Food and Chemical Toxicology 42: 29–36. PMID 14630127. 
  15. ^ 東京都健康安全研究センター情報誌 くらしの健康 第8号 (2005年6月)「生体影響試験が教えてくれること」
  16. ^ "「生体影響試験が教えてくれること」-緑茶抽出物及び遺伝子組み換え大豆の動物実験の結果から-", 知っておきたい暮らしの中の健康と安全, 東京都健康安全研究センター公開セミナー, 2004年度(平成16年度), 9月30日(木), 東京都庁都民ホール
  17. ^ Charles Benbrook (2009-11) (pdf). Impacts of Genetically Engineered. Crops on Pesticide Use in the United. States: The First Thirteen Years. (Report). The Organic Center. http://www.organic-center.org/reportfiles/13Years20091126_ExSumFrontMatter.pdf 2012年8月28日閲覧。. 
  18. ^ 農業と環境 No.111 (2009年7月1日), GMO情報: 除草剤抵抗性雑草 正しく使えば問題なし, 白井洋一, 独立行政法人 農業環境技術研究所
  19. ^ a b c d e f g Committee on the Impact of Biotechnology on Farm-Level Economics and Sustainability; National Research Council (2010) (pdf). Impact of Genetically Engineered Crops on Farm Sustainability in the United States. National Academy. ISBN 978-0-309-14708-8. https://download.nap.edu/login.php?record_id=12804&page=%2Fcatalog.php%3Frecord_id%3D12804. 
  20. ^ a b c 農業と環境 No.122 (2010年6月1日), "GMO情報: 組換え作物のメリットとデメリット", 白井洋一, 独立行政法人 農業環境技術研究所
  21. ^ International Survey of Herbicide Resistant Weeds
  22. ^ a b c d e Amy Coombs (2012年5月20日). “Revenge of the Weeds”. The Scientist. http://the-scientist.com/2012/05/20/revenge-of-the-weeds/ 2012年8月27日閲覧。 
  23. ^ Summit”. National Academy of Sciences. 2012年8月27日閲覧。
  24. ^ Agenda”. National Academy of Sciences. 2012年8月27日閲覧。
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関連項目[編集]

外部リンク[編集]