フアン・カルロス1世 (揚陸艦)

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LHD Juan Carlos I in Málaga (3).jpg
艦歴
起工 2005年
進水 2008年3月10日
就役 2010年9月30日
要目
艦種 強襲揚陸艦
満載
排水量
軽空母任務: 24,660t
揚陸艦任務: 27,082t
全長 230.82m
全幅 32m
吃水 7.07m
機関 CODAGE方式、ポッド推進
GE LM2500ガスタービン発電機(19,750kW) 1基
MAN 16V32/40ディーゼル発電機(7,860kW) 2基
アジマススラスター
(11Mw)
2基
速力 軽空母任務: 21kt
揚陸艦任務: 19.5kt
航続距離 9,000nmi/15kt
乗員 運用要員: 243名
司令部要員: 103名
航空要員: 172名
地上部隊: 902名
武装 20mm単装機関銃 4基
12.7mm機関銃 2基
PDMS(予定; ESSMまたはRAM
艦載機 ヘリコプター
CH-47, NH90, SH-3D, AB212など
12機
V/STOL機
AV-8B, 将来はF-35も考慮
10機
艦載艇 LCM-1E型上陸用舟艇 4隻
スーパーキャットRIB 4〜
6隻
C4I 海軍戦術情報システム
(SCOMBAリンク 11/14/16/2)
レーダー LANCE-N 3次元式
ARIES 対水上用

フアン・カルロス1世スペイン語: SPS Juan Carlos I; L-61)は、スペイン海軍強襲揚陸艦。艦名は、スペイン国王フアン・カルロス1世にちなむ。またファン・カルロス1世、レイ・ファン・カルロス1世(「レイ」はスペイン語で「王」の意)と表記される事もある。

来歴[編集]

本艦は、スペインがはじめて開発した強襲揚陸艦(LHD)である。マルチハザード化およびグローバル化に伴う任務の多様化に対処するため、揚陸艦任務や軽空母任務のほか、水陸両用作戦を排した戦力投射、また戦争以外の軍事作戦人道援助など)まで考慮した多用途性を備えている。

建造はナバンティアフェロル造船所において行なわれ、起工は2005年、2008年3月10日に進水した。

本艦の開発計画は、「戦略投射艦」(BPE: Buque de Proyección Estratégica)として開始された。直接の目的は、2隻のエルナン・コルテス級揚陸艦の更新であったことから、主眼は揚陸作戦に置かれている。が、「プリンシペ・デ・アストゥリアス」退役後は唯一の空母任務が可能な艦としても期待されていることから、かなり強力な航空運用能力も備えており、多任務に運用される。

なお、準同型艦として、オーストラリア海軍が2隻の導入を計画しているキャンベラ級強襲揚陸艦があり、こちらは2014年以降に就役の予定である。

設計[編集]

艦尾側から。エレベータやウェルドックのハッチが設置されているのが見える。

本艦は、全通甲板を有する長船首楼船型を採用している。満載排水量は、揚陸艦任務の際には27,079トンであるが、軽空母任務においては搭載物が軽くなるため24,660トンとなる。

主機関としては、電気推進方式によるアジマススラスター推進を採用して、船体設計の自由度が向上している。その発電機としては出力19,750kWゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジンが1基と、出力7,860kWのMAN 16V32/40 V型16気筒ディーゼルエンジンが2基搭載されており、CODAGE方式と称される。アジマススラスターとしては、出力11Mwのジーメンス・ショッテル社製のポッドが2基搭載されている。ポッド式であることから舵を持たないが、細かい操艦のために、船首にサイドスラスターを有する。

能力[編集]

航空運用機能[編集]

El L-61 "Juan Carlos I" en Vigo (6200293049).jpg

本艦は02甲板を飛行甲板としており、その前部左舷には傾斜角12度のスキージャンプを有する。飛行甲板には6個のヘリコプター発着スポットが設けられているが、これは中型のNH90を前提としたものであり、大型のCH-47を運用する場合には4個に制限される。

飛行甲板全長は202.3メートルにおよび、「プリンシペ・デ・アストゥリアス」よりも27メートル長い。本艦のほうがアストゥリアスより速度が遅いが、この長い飛行甲板により、固定翼機の運用が可能になるものと見られている。また、航空機の安定運用のために格納式のフィンスタビライザーを有する。エレベーターの配置はアストゥリアスと同様で、艦橋構造物前方の右舷寄りと艦尾の2基が設置される。エレベーターの耐荷重は27トンとかなり大きい。

飛行甲板直下にはハンガーが設けられている。ハンガーは第1甲板を底面として2甲板分の高さを確保しており、長さ138.5×幅22.5メートルで、CH-47×12機とAV-8B×10機を収容することができる。これに飛行甲板上に露天係止する機体を含めると、合計で30機を搭載できるとされている。また、ハンガーは必要に応じて軽車両の格納庫に転用されることになっており、左舷中央に車両甲板と連絡する固定ランプとリフトが設置されている。

ドック揚陸艦機能[編集]

ハンガー直下の主船体内には、第4甲板を底面としてやはり2甲板分の高さを確保して、車両甲板が設けられている。車両甲板は1,400m²の面積を有しており、レオパルト2主力戦車×46輌などの重装備を収容できる。右舷側前方に2か所のサイドランプが設けられているほか、後方はウェルドックと連続している。

ウェルドックは長さ69.3m×幅16.8mを確保し、LCM-1E型上陸用舟艇(満載排水量108トン、全長23.3メートル、速力14ノット、戦車1両搭載可能)×4隻とスーパーキャット型複合艇(RIB)×4〜6隻を同時に収容できる。LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇の運用も可能であるが、ウェルドックの前半部中央に隔壁が設置されているため、1隻しか収容することができない。また、揚陸を想定しない純粋な輸送艦任務で使用される場合には、ウェルドックも車両格納庫として転用されるほか、これらのスペースはコンテナの搭載も考慮して設計されている。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

関連項目[編集]