ウェルドック

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フランス海軍の揚陸艦「ウラガン」のウェルドックに収容される上陸用舟艇

ウェルドック (Well deck or Well dock) とは、艦艇の船尾、喫水レベルに設置されるデッキ状のドック式格納庫である。

概要[編集]

揚陸艦上陸戦を行なう際には、揚陸艦とウェルドック内の上陸用舟艇の間で物資や人員を移乗させ、ドックに注水して揚陸艦の船尾を下げて氾水させ、揚陸艦外に上陸用舟艇を進水させることができる[1]。ウェルドックは、上陸作戦の効率を向上させるために第二次世界大戦期に実用化され、ドック型揚陸艦および強襲揚陸艦ヘリコプター揚陸艦などに装備される。

日本海上自衛隊が保有するおおすみ型輸送艦はウェルドックを装備し、他国のドック型揚陸艦に相当する揚陸機能を持つ。また近年では、海上治安活動の重要性が増したことから、巡視船戦闘艦にも、警備用の小型高速艇を運用するために、小規模なウェルドックが設置されることがある。海上保安庁では、おじか型巡視船のネーム・シップで採用されたものの、不評であったため、2番船以降では廃止された。これは、当初は20ノットでも搭載艇の降下・揚収に対応するとされていたにも関わらず、実際に運用した場合、母船が10ノット以上で航行していると、船尾流場が盛り上がって、搭載艇の運用が事実上不可能となってしまったほか、追い波を受けて搭載艇が破損する事故が発生したことによるものである。その後、あまみ型巡視船においては、注水式のドックではなく、ウィンチによって斜面を昇降させるというスリップ・ウェイ方式が採用された。これは運用者からの評価は良好であったものの、ネームシップが九州南西海域工作船事件に参加し、北朝鮮工作船からの射撃を回避するために全速後進をかけた際に搭載艇が破損したことから、後続のとから型巡視船では、搭載艇をクレーンで吊り下げるシングル・ポイント・リフティング方式を採用している。

ただし、21世紀に入ってから、アメリカ合衆国では戦闘艦へのウェルドック装備を進めており、海軍沿海域戦闘艦沿岸警備隊センチネル型カッターにはウェルドックを、バーソルフ級カッターにはスリップ・ウェイを設置している。

脚注[編集]

  1. ^ “Amphibious Landing Ships”. The Oxford Essential Dictionary of the U.S. Military. Berkley Books/Oxford University Press. (2001).