バーソルフ級カッター

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バーソルフ級カッター
USCG National Security Cutter BERTHOLF (WMSL-750).jpeg
USCGC Bertholf (WMSL-750)
船級概観
船種 カッター
就役 2008年 - 現在
前級 ハミルトン級カッター
次級
性能要目
排水量 4,306 t
全長 125.2m
全幅 16.5m
深さ 6.42m
機関 CODAG方式
MTU 1163ディーゼルエンジン
(9,655 hp
2基
GE LM2500 ガスタービンエンジン
(30,565 bhp)
1基
推進器 2軸
航続距離 12,000 nmi
速力 28kt
乗員 126名 (士官19名/下士官13名/水兵94名)
兵装 Mk.110 57mm単装砲 1基
Mk.15 20mmCIWS 1基
艦載機 HH-65 ドルフィン or
HH-60J ジェイホーク
2機
C4I CGC2 戦術情報処理装置
SPQ-14 ASDS
Mk.160 砲FCS
レーダー TRS-3D 3次元対空
AN/SPQ-9B 低空警戒/対水上
AN/SPS-73 対水上
電子戦
対抗手段
AN/SLQ-32(V)2 ESM装置
Mk.53 Nulka 展開装置
Mk 36 SRBOC チャフフレア発射機

バーソルフ級カッター(バーソルフきゅうカッター)は、アメリカ沿岸警備隊の保有する大型海洋保安カッター: Maritime Security Cutter, Large, WMSL)の船級。いずれも著名な沿岸警備隊員に由来して命名されていることから、レジェンド級カッター英語: Legend class cutter)とも称される。計画名はNSC (National Security Cutter)。

ハミルトン級カッターの更新用として、2008年より順次就役しつつあり、最終的には8隻の建造が計画されている。

来歴[編集]

本級は、アメリカ沿岸警備隊が21世紀初頭より整備を開始した統合ディープウォーター・システム計画の一環であり、その外洋における中核となることが構想されている。

当初は、アメリカ海軍沿海域戦闘艦と同一の設計に基づいての建造が計画されていたが、沿海域戦闘艦計画の遅延などもあり、最終的には沿岸警備隊独自の設計によって進められることとなった。建造は、ノースロップ・グラマンが一括して行なっている。

設計[編集]

遠縁の姉妹に当たる海軍の沿海域戦闘艦が非常に先進的な設計を模索していたのに対し、本級は従来通りのモノハル船型を採用している。また、バウスラスターを有しており、精密な操艦が要求される状況で使用される。

推進機関はCODAG方式を採用しており、ガスタービンエンジンとしては、海軍で長い実績を有するゼネラル・エレクトリック LM2500を、ディーゼルエンジンとしてはMTU 1163V型20気筒版を使用する。

能力[編集]

本級は、アメリカ国土安全保障省が海洋に有する最大の戦力であり、従来のカッターと同様に法執行任務、防衛任務、そして長距離捜索救難任務などを担当するほか、海外においても海軍の戦闘群に随伴して、米艦コール襲撃事件でアメリカ海軍が直面したような攻撃を排除することも期待されている。

このため、従来のカッターと同様の洋上警備・救難用に加え、海洋対テロ、および、中程度脅威環境下において艦隊の一員として行動するために必要な最低限度の戦闘装備を施されている。

個艦防御機能[編集]

洋上にて公試中の1番艦。艦首の57mm砲、マスト上のレーダー類が見える。

本級がどのような戦闘システムを有するかは公表されていないが、海軍の沿海域戦闘艦に搭載されるものの派生型あるいはその簡易型であるとされている。沿海域戦闘艦の搭載システムは、イージス・システムのベースライン7、SSDS Mk.2およびAN/SQQ-89の技術をベースとしており、AN/UYQ-70端末による分散処理方式とオープン・アーキテクチャーの採用を特徴とした統合戦闘システムである。本級の搭載システムは、フリーダムに搭載されたCOMBATSS-21と75%の互換性を有する。

本級の主たる捜索センサーは、TRS-3D対空レーダーと、海軍・沿岸警備隊で実績のあるSPS-73対水上レーダーである。TRS-3Dは極めて評価の高い EADS社の軽量3次元レーダーで、ドイツ本国のほか多数の国で使用されているが、アメリカ政府の艦艇では初の採用となる。また、これは沿岸警備隊の船艇が3次元レーダーを搭載する初の例でもある。一方、SPS-73は古野電気製の対水上レーダーで、アメリカ海軍・沿岸警備隊で定番のものである。

一方、中程度脅威環境において、攻撃対処に用いられるセンサーがAN/SPQ-9BレーダーとAN/SLQ-32(V)2 ESMシステム、UPX-36 IFFである。AN/SPQ-9Bレーダーは海軍のSSDS (艦艇自衛システム) Mk.2において対ミサイル対処の中核となるセンサーで、捜索中追尾能力を有するXバンドのフェーズド・アレイ・レーダー、目標捜索・射撃指揮に用いることができる多機能レーダーである。これらの情報は、SPQ-14 ASDSによって統合され、戦術情報処理装置 (単にCGC2 (Coast Guard Command and Control) System と呼ばれている)に入力される。

後方より。航空機格納庫と搭載艇揚収用の傾斜路が見える。

本級は戦闘艦ではないため、自艦への直接的な脅威に対して取りうる手段は決して多くはなく、57mm単装速射砲Mk 110および20mmファランクスCIWSによるハードキルと、Mk 36 SRBOC急速展開欺瞞システム、そして新型のMk 53 Nulka対ミサイル・デコイ・システムによるソフト・キルがある。57mm単装速射砲は方位盤としてMk 46 FLIRを用いるMk 160射撃指揮装置によって管制され、脅威対処以外に、法執行任務や対テロ任務における抑止力・制圧力としても用いられる。また、20mmCIWSも、対水上対処が可能なブロック1Bが装備されており、対テロでの使用を考えているとされる。

本級の火器装備は海軍の沿海域戦闘艦のそれと基本的に同一であり、RAM対空ミサイルがファランクスCIWSに変更されている点のみが相違点であるが、これはファランクスCIWSの運用の柔軟性を評価したものと考えられる。

警備救難機能[編集]

本級は、艦尾に複合艇の揚降を行うための傾斜路を有しており、CB-OTH 2隻、あるいはSRP 1隻を搭載・収容できる。これは、警備・救難に幅広く活用される。また、船体にはフロッグマンを探知できる小型ソナーが装備されるとされており、搭載艇および固有の火器と連携して洋上対テロ作戦を実施する。

航空運用機能[編集]

艦尾には15m×24mのヘリコプター甲板が設置されており、艦載の救難ヘリコプターとして、HH-65 ドルフィンを2機搭載することができる。

同型艦[編集]

# 艦名 起工 就役 母港
WMSL-750 バーソルフ
USCGC Bertholf
2005年3月 2008年8月 アラメダ, カリフォルニア州
WMSL-751 ウェイシー
USCGC Waesche
2006年9月 2010年5月
WMSL-752 ストラットン
USCGC Stratton
2009年7月 2012年3月
WMSL-753 ハミルトン
USCGC Hamilton
2011年8月 建造中(2014年就役予定)
WMSL-754 ジョシュア・ジェームズ
USCGC Joshua James
計画中

参考文献[編集]

関連項目[編集]