デストロイア

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デストロイア (Destoroyah) は、映画『ゴジラvsデストロイア』に登場する架空の怪獣。別名「完全生命体」。

この他、特撮テレビ番組『ゴジラアイランド』(1997年)、パチンコ『CRゴジラ3』にも登場する。

概要[編集]

シリーズ第1作『ゴジラ』でゴジラを倒した兵器オキシジェン・デストロイヤーの影響により誕生した怪獣。「平成VSシリーズ」の完結に際してゴジラの最後の敵として用意されたオキシジェン・デストロイヤーの化身ともいうべき存在と位置づけられている[1]

増殖と合体を繰り返し、微小体(クロール体)・幼体・集合体・飛行体・完全体へと変化する。「変身・成長する怪獣」はプロデューサーの田中友幸が長年温めていたアイディアであった[1]。五段階の成長・変化はゴジラ映画初とされたが[1]、過去に登場したヘドラとの類似性も指摘される[2][3]

非常に高い戦闘能力を持つ上に、身体は群体によって構成されているため、欠損しようが何度も修復し蘇る。形態を変化させることで地上、海中、空中で活動可能(形態によっては、これら全てを行う事も可能)。体液は緑色で、高温の環境だと突然変異が促進されるが、逆に極低温では活力源であるミクロオキシゲンが無力化するため、それが活動停止に繋がる弱点となっている。

  • 玩具アンケートでは昭和怪獣を押さえて上位を獲得し、ガシャポンHGシリーズで2度商品化された他、ソフトビニール製人形のムービーモンスターシリーズでも商品化された。『CRゴジラ3』には新撮カットで登場する。
  • 製作初期には「バルバロイ」の名で検討されていたが[4]、ギリシア語で蔑称の意味合いもあったことから変更された[3]

『ゴジラvsデストロイア』のデストロイア[編集]

もともとは25億年前、地球上に酸素がほとんどなかった頃の先カンブリア時代に生きていたとされる、三葉虫に似た甲殻類の一種。古代の地層で眠っていたが、1954年に芹沢博士がゴジラを倒す際に使用したオキシジェン・デストロイヤーが無酸素状態を作ったために復活し、酸素を含む現代の大気に適応するため異常進化して怪獣「デストロイア」となる。

劇中での命名者は物理化学者の伊集院研作博士。

各形態の解説[編集]

微小体・クロール体[編集]

  • 微小体
    • 全長:3ミリメートル - 5ミリメートル
    • 体重:0.5グラム
  • クロール体
    • 全長:2ミリメートル - 30センチメートル
    • 体重:2グラム - 1.5キログラム
東京湾横断道路工事現場の地層に閉じ込められていたが、掘削機により酸素が充満する大気に触れ酸素の毒性を克服、有酸素状況下での活動が可能な生物となった。
オキシジェン・デストロイヤーの影響を受けて蘇生したため、体内にミクロオキシゲン[5]を有する。
しながわ水族館の水槽内に現れ、ミクロオキシゲンの効果で魚の体組織を分解、白骨化させる。事件を調査するビデオ映像のコンピュータ解析で存在が判明する。なお伊集院博士は「初めからこの姿ではなかったはずだ」と発言しており、もともとは甲殻類ですらなかった模様。
  • 大きいものは「クロール体」と呼ばれ、微小体と区別されることがある[6][7][4]

幼体[編集]

  • 全長:2メートル - 18メートル
  • 体重:350キログラム - 260トン
カニやクモのような脚部に、無脊椎動物ではありえない長い首と尾を備えた、甲殻類と脊椎動物の両方の特徴を備えた形態。
東京湾横断道路の工事現場に出現。最初は人間の成人程度の大きさで、光線状のミクロオキシゲンを放射して物体を分解、消滅させてしまう。工事現場の機材などを消滅させた後、有明のプレミアムビルを占拠する。架空の警視庁対ゲリラ特殊部隊SUMPと交戦し、隊員の体を溶かして殺害するなどの被害を与えるも、無反動砲や火炎放射器、手榴弾によって一部が撃破される。
成長が早いようで、翌日に登場した際には軒並み巨大化しており、あるものは地中から、あるものは海中から姿を表し再び交戦、冷凍メーサー攻撃によって大きな被害を出すが、密かに進化の片鱗を見せる。
  • スタッフには「カニさんタイプ」と呼ばれていた[1]

集合体・中間体[編集]

  • ゴジラジュニア対戦時
    • 全長:60メートル
    • 全高:40メートル
    • 体重:1万5千トン
東京港湾部に出現した複数の幼体が自衛隊の冷凍攻撃に有明クリーンセンターへ追い詰められて生命の危機に瀕した結果、1ヶ所に集まって合体した形態。
幼体時よりも更に巨大化したことで形勢が逆転し、冷凍メーサーもほとんど効果がなくなり、自衛隊を圧倒するようになる。
外見は幼体を巨大化したもので、肩からは長い触手が2本、胴体からは鋏が生えている。任意で飛行体への変身も可能である。体内のミクロオキシゲンはオキシジェン・デストロイヤーに変化し、口から光線状の「オキシジェン・デストロイヤー・レイ」として放射する。また、全身の至る所から蒸気のようなガスを噴射している。
ゴジラジュニアとの交戦時には、タガメのように体液を獲物の体内に抽入して内部を溶かす攻撃で泡を吹かせるが、隙を突かれて至近距離から熱線を立て続けに受けて左右の突起を吹き飛ばされ、下記の飛行体に変身して逃げようとするもさらに追い打ちの熱線をくらって火力発電所に激突し、爆発する。
ゴジラとの交戦時には完全体が複数の集合体に分離して集中攻撃を浴びせるが、ほとんど効果はなく全滅する(ただし再び合体し、再生している)。この時の集合体は、ゴジラジュニアとの対戦時に比べて小さい。
  • ゴジラジュニアとの対決時のスーツアクターは柳田英一。
  • 『ゴジラvsデストロイア超全集』では、デストロイアはミクロオキシゲンで溶かした相手の細胞を吸収することができるとしており、ゴジラジュニアに口を突き刺していたのは二足歩行の怪獣型(完全体)に進化するためだったのではないかと推測している[8]

飛行体[編集]

  • 全長:65メートル
  • 翼長:80メートル
  • 体重:1万5千トン
集合体が空を飛ぶために変身したもので、顔は昆虫のような形から爬虫類のような形に変わり、頭部には大きな角が生えているなど、完全体に近い形になっている。体長や、体重などは集合体から、変形しただけであるためか、集合体と然程の変化はない。
両肩の触手と胴体の間に膜が形成され、主翼となる。集合体と同様に口からオキシジェン・デストロイヤー・レイを吐く事も可能で、飛行しながらの体当たり攻撃はゴジラジュニアを転倒させるほどの威力を発揮する。
集合体からこの形態に自在に変化でき、品川駅周辺を襲撃し、ゴジラジュニアの攻撃を受けてこの姿になり逃げようとするが、ジュニアの熱線が直撃し品川火力発電所に墜落、爆発に巻き込まれる。
  • 一部の資料では「飛翔体」とも表記される[9][7][4]

完全体[編集]

  • 全長:230メートル
  • 全高:120メートル
  • 翼長:210メートル
  • 体重:8万トン
ゴジラジュニアのDNAと、火力発電所のエネルギーを吸収した事、ゴジラジュニアの放射能火炎の影響で進化が異常促進した結果、変化した形態。
甲殻類のようであった集合体までと異なり、直立二足歩行で両腕があり、背中には巨大な翼を持った姿になっている。顔は飛行体に似る。
集合体と同様、体のあちこちからガスのようなものを噴射している。大幅な変身を経る事なく陸海空を活動する事が可能となり、頭部の角や先端が鋏状の尻尾、鋭い爪などを武器にゴジラに戦いを挑む。口から吐くオキシジェン・デストロイヤー・レイはより強力なものに変わり、角からはミクロオキシゲンを放出して敵を切り刻む「ヴァリアブル・スライサー」を用いる。また、尻尾を獲物の身体に絡めて体内のエネルギーを吸収することもできる。
品川火力発電所の炎の中から出現、羽田空港に飛来しゴジラジュニアをさらった後、有明上空で空中から落としてとどめを刺し、そのまま怒り狂うゴジラと対峙する。肉弾戦でゴジラを圧倒し、尾で引きずりまわしたまま海に突き落とすなど優位に戦いを進めるが、核エネルギーが暴走していたゴジラに対してはオキシジェン・デストロイヤーすら決定打となりえず、加えてゴジラの怒りの猛攻により、度重なるダメージを受けて徐々に劣勢に回り始め、胸の開口部を熱線の三連射で集中攻撃されて大量に出血と吐血[10]をして一度は倒れ破砕される。
その直後、複数の集合体に分裂してゴジラを攻撃し、これが全滅させられた後も再生、ゴジラに対し、三度目の戦いを挑む。
しかし、自らの熱で背びれが溶け始めたゴジラが猛烈な熱と熱線を放射し、全身を焼かれた上、ゴジラの更なる猛攻の末、顔面に熱線をまともにくらい、顔面を砕かれるほどの重傷を負い空中へ逃走しようとするが、スーパーXIIIや冷凍メーサー戦車の攻撃によって翼を破壊されて地上に墜落し、爆発する[11]。ゴジラ映画で人類が止めを刺す数少ない怪獣のひとつ。
腹部が開いて光線を出すが、弱点でもあるという未使用の設定もあり撮影も行われた。このギミックは劇中、ベイエリアにおける決戦でゴジラがこの部分を集中攻撃、破られて大量の血を撒き散らすというシーンに使われた。
  • スーツアクターは播谷亮。
  • この完全体がデストロイアの一応の最終形態とされているが、映画パンフレットには、この状態で進化が止まる保証はないと書かれている[1]
  • 『ゴジラvsデストロイア超全集』では、完全体でのミクロオキシゲン噴出量は幼体の500倍としている[12]

造形[編集]

デザインは幼体から飛行体が吉田穣、完全体が岡本英郎による[13]。甲殻類のイメージでまとめられる以前は他の生物を取り込んで成長するという設定で、様々な生物を組み合わせたデザインが描かれており[3]、その案の中にはアンギラスを模したものも存在した[14]

造形はMONSTERS。デザインが難航したため、製作期間は集合体・飛行体・完全体を同時進行で40日という短い期間となり、総勢22名のスタッフが集められた[13]

幼体と集合体の着ぐるみのボディは同じ粘土原型から造られた[13]。集合体の触手や足の爪は操演による[1]。幼体・集合体とも着ぐるみのほかにメカ内蔵のものやアップ用の頭部のみのものなども用意された[1]。メカ内蔵のものは腹の下にキャスターを付けて自走させている[1]。遠景ではバンダイソフビ人形も使用された[15]

ゴジラに群がるシーンではパペット1体が使用され、合成で無数に増やしている[15]

完全体のスーツはMONSTERSの伊藤成昭を中心に製作された[16]。戦闘でのダメージ描写や破損が多かったためアクションの度に修復が行われていた[1]

微小体はCGで描かれた[1]

『ゴジラアイランド』のデストロイア[編集]

X星人の操る怪獣として完全体のみ登場。メガロと共に行動することが多い。「オキシジェン・デストロイヤー光線」を武器にしており、ゴジラの苦手な光線と説明され、直撃するとゴジラでも一撃で倒れる威力を持つ。

初登場の際はジュニア誘拐作戦に失敗したザグレスが、切り札として送り込んでくる。かなりの戦闘力を持っており、この時はゴジラ、ジュニア、モスラ、ラドン、モゲラを相手に互角に渡り合う。初戦ではゴジラに投げ飛ばされ、至近距離で赤外線自動砲の熱線を浴びて爆発する。その後、Gガードの科学技術班が再生し、エネルギー抑制剤を注射の後怪獣刑務所に収監されるが、メガロと共に脱獄。以後はメガロとセットで行動するようになる。映画同様非情かつ凶暴な性格であり、ジュニアを執拗に襲ったり、モスラの卵を襲撃するなど凶悪怪獣としての側面が強い(メガロを子分のように扱う部分からもそれは垣間見える)。物語終盤では、酸素がなくても活動出来るように遺伝子操作されるなど、X星人の主力怪獣として活躍する。

  • 前半は『VSデストロイア』と同じ鳴き声だが、後半は元の鳴き声にゴジラの鳴き声を混ぜたような声に変更され、終盤ではまたオリジナルの鳴き声に戻されるなど、本作に登場する怪獣の中では鳴き声が一定していない。
  • 造形物はバンダイのソフビ人形

『CRゴジラ3』のデストロイア[編集]

実写カットはオリジナル(『vsデストロイア』当時のもの)のパペットを使用。

脚註[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j 『ゴジラvsデストロイア』劇場パンフレットより。
  2. ^ 『ゴジラ大辞典』 笠倉出版社2004年、347頁。ISBN 4773002921 
  3. ^ a b c 平成ゴジラパーフェクション 2012 pp.92 - 94 「ゴジラVSデストロイアアートワークス」。
  4. ^ a b c 『東宝特撮映画大全集』 ヴィレッジブックス2012年、248 - 251頁。ISBN 9784864910132 
  5. ^ 酸素を微小化したもので、酸素の性質と生物の成長促進効果性質を有する一方、その分子の細かさから、物体を形作る原子の隙間に侵入し破壊する作用がある。零下183.2度で液化し、ミクロオキシゲンとしての性質を喪失する。
  6. ^ 間宮尚彦 1996, pp. 16.
  7. ^ a b 間宮尚彦 『てれびくんデラックス愛蔵版 ゴジラ1954-1999超全集』 小学館2000年1月1日、51 - 56頁。ISBN 4091014704
  8. ^ 間宮尚彦 1996, pp. 64.
  9. ^ 間宮尚彦 1996, pp. 20.
  10. ^ カットされたシーンでは、熱線が貫通して背中の肉が弾け飛んでいる。
  11. ^ 最終的にはカットされているが、この後再び立ち上がり、自衛隊の冷凍弾を受ける中、戦闘を続けるシーンも撮影されている
  12. ^ 間宮尚彦 1996, pp. 65.
  13. ^ a b c 間宮尚彦 1996, pp. 71.
  14. ^ 平成ゴジラパーフェクション 2012, p. 156, 「平成ゴジラバーニング・コラム」.
  15. ^ a b 間宮尚彦 1996, pp. 79.
  16. ^ 間宮尚彦 1996, pp. 72.

参考文献[編集]