ダンロップ

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ダンロップ・タイヤDunlop Tyres)はイギリスを発祥とするゴムタイヤメーカー。

概要[編集]

1888年、アイルランド人獣医師のダンロップは息子のジョニーから自転車をもっと楽に早く走れるようにするにはどうしたらいいと聞かれ、その時はただ、「練習しなさい」とだけ答えた。しかし、ジョニーが自転車のタイヤを壊してしまった時に、あるヒントが頭に浮かんだ。  それは、タイヤの構造が動物のおなかと似ているという事であった。ジョン・ダンロップは、ジョニーのために獣医の知識を動員し、ゴムのチューブとゴムを塗ったキャンバスで空気入りのタイヤを作り、木の円盤の周りに鋲で固定した。これが世界初となる空気入りタイヤの発明であり、同年に特許を取得し翌年の1889年にダンロップを設立した。

歴史[編集]

創業した1889年には既に現代とほぼ同じ構造の自転車用クリンチャータイヤを完成させたが、その後は自動車用タイヤにシフトしていく。1905年、自動車用タイヤのトレッドに横溝を付けた製品を発表。日本での展開も早く、1909年には兵庫県神戸市に工場を設立、これが日本における最初のタイヤ工場となった。馬車・人力車のタイヤに始まり、1913年には日本初となる自動車用タイヤを製造した。なお、神戸市の工場は阪神・淡路大震災によって甚大な被害を受けたため閉鎖され、国内生産の中心は福島県白河市などに移っている。

1922年、自動車用タイヤに外れ難いようにリムを付けたワイドタイヤを発表、1924年にはワイドタイヤを標準として改良を推進した。また同時期にレーシングドライバーにテストを依頼し、改良されたタイヤが空気が抜けた状態でもリムから脱落しにくい事を実証。もう一つの目的は空気圧を下げて乗り心地を良くすることであった。実際に1900年代の初めには現代のスポーツ自転車並みの6.3~7.0kg/cm2であった自動車タイヤの空気圧は、改良とワイド化により1920年代には4.2~4.9kg/cm2、1948年頃には1.7kg/cm2までになっている。

技術開発が経験や勘に頼るものから科学的なものへと変化し、1920年頃より同社の研究所ではゴムの弾性や特性、摩耗等を測定する試験機を開発、得られた試験結果を元にタイヤの発熱と摩耗等の関係を研究し、タイヤを懸架システムの一つとして捉えていくという考え方が生まれている。1927年、ツインエンジンを搭載したスペシャルカーに装着された高速タイヤが320kmの壁を破る世界記録に挑戦し、326.6kmの世界新記録を達成した。

自動車の性能向上と高速道路網の広がりにより、タイヤにはより高性能かつ安全性が求められていた。特に問題となっていたのは、摩耗したタイヤが水のたまった路面を高速で走行すると水の膜に浮いた形となりグリップを失うことであった。1960年、濡れたガラス板上を高速で走行出来る実験装置を作りトレッドの接地状況を撮影しハイドロプレーニング現象を初めて解明、装置の改良とともに更なる研究結果から有効なトレッドパターンが生み出された。1968年、ドイツのライプツィヒ国際見本市でラジアルタイヤ「ダンロップ SPスポーツ」が金賞を受賞している。

当初はゴム製品全般を扱うメーカーであったが、1980年代前半に経営難に陥り、1985年にイギリスのコングロマリットであるBTR (en:BTR plc) に買収された。その際にBTRはタイヤ部門を住友ゴム工業に売却したため、これ以降タイヤメーカーとしてのダンロップとその他ゴム製品を扱うダンロップが分離された。

その後1999年に住友ゴムがグッドイヤーと提携を結んだため、ダンロップブランドのタイヤ製造・販売についても、北米・欧州市場をグッドイヤーが、日本を含むアジア市場を住友ゴムがそれぞれ担当する形となった。2010年現在、企業としてのダンロップタイヤは、資本的にはグッドイヤーが株式の75%を、残る25%を住友ゴム工業がそれぞれ所有している。タイヤを除くゴム製品については、部門・ブランドごとに分割され他社へ売却される例が多く、現在では多くの企業が「ダンロップ」ブランドによる製品を発売している(詳しくはen:Dunlop Rubberを参照)。

モータースポーツにおいては、1970年代まではF1における主力タイヤメーカーの一つであったが、1977年を最後に撤退した。F1での通算83勝は歴代5位の記録である(2013年現在)。現在は二輪のロードレース世界選手権での活動がメインで、2010年に新設された「Moto2」クラス、2012年に新設された「Moto3」クラスの2クラスに対し、ワンメイクタイヤを供給している。

住友ゴム工業による活動[編集]

前述のとおり、住友ゴム工業による「ダンロップ」ブランドでの活動は、2013年現在はアジア市場のみの展開となっている。

ゴルフテニスアウトドア用品も取り扱っていたが、2003年の企業再編に伴い、住友ゴムの子会社として設立されたダンロップスポーツ (旧: SRIスポーツ) 株式会社がブランド・事業を継承し、シューズについては継続して広島化成がライセンス生産を行なっている。タイヤ以外ではゴム手袋や医療用の水枕が有名で、住友ゴムの子会社であるダンロップホームプロダクツが継承している。アウトドア部門は住友ゴムグループから切り離され、株式会社エイチシーエスがダンロップテントの商標を取得している。

2005年1月にダンロップタイヤ株式会社とファルケンタイヤ株式会社 (旧オーツタイヤ) が合併しダンロップファルケンタイヤ株式会社が発足した。同社は住友ゴム工業の子会社としてダンロップ、ファルケン両ブランドのタイヤ販売を行っている。日本ダンロップが住友ゴム工業に吸収された2003年以降、日本でのダンロップは住友ゴム工業の一ブランドになっている。

環境への取り組み[編集]

燃費向上へ繋がる転がり抵抗の少ないエコタイヤの開発と共に、早くから将来的な石油資源の枯渇や環境への関心の高まりを見据えている。石油以外の天然資源を使用した環境に優しいタイヤを作れないかという発想から、他社に先駆けて2001年にプロジェクトがスタート。タイヤの性能を落とさずに化石資源から脱却するという試みは難しく、従来のタイヤに少しずつ改良を加えながら足掛け6年の歳月を要した[1]

2006年に石油外天然資源(天然ゴムシリカ植物油レーヨンなど)比率を従来の44%から70%にまで高めた「ENASAVE ES801」を発売、2008年には比率を97%にまで高めた「ENASAVE 97」を発売した。タイヤの転がり抵抗を従来品 (同社のデジタイヤ Eco EC201) に比べて35%削減、燃費向上とタイヤ原料の“脱石油”をほぼ両立している。2008年度グッドデザイン賞を受賞[2]

"Reduce3" (リデュース・スリー) という「つくるとき」「使うとき」「廃棄するとき」それぞれの場面でのCO2削減を実現した「ENASAVE 97」は、バイオマス(化石資源を除く生物由来の有機性資源)率が57%と高く、廃棄時には94%ものCO2削減効果があるという[3]。日本国内におけるタイヤの出荷数は取り替え用だけでも年間約7000万本に上ると言われており、将来的にこれらのタイヤが石油外天然資源比率の高いエコタイヤに置き換わると考えれば環境負荷の低減効果は絶大である[4]

2009年、日本上陸100年を契機に地球とクルマをテーマとした環境広告に取り組み福山雅治をキャラクターにテレビCMと共にウェブで連動CMを展開。「これまでの100年はこれからの100年のためにある」とする、“タイヤ・フロンティア”を掲げている。

自動車タイヤ国産第1号誕生から100年目を迎えた2013年には、天然素材・天然由来既製品への置き換えに加え、天然ゴムの長所を生かしながら、合成ゴムが持つ安全性・耐久性・気密性を兼ね備えた「改質天然ゴム」の採用と自然界には存在しない素材(老化防止剤・加硫促進剤・カーボンブラック・ワックス・硬化性樹脂)をトウモロコシ・松の木・菜種油を主原料としたバイオマス技術で創生して置き換えたことで、合成ゴムが主流となってからは世界初となる石油外天然資源100%を実現するとともに、「ENASAVE 97」に比べて耐摩耗性能も同時に高めた「エナセーブ100」が発売された[5]

モータースポーツ[編集]

かつては全日本F3000選手権全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)などにタイヤ供給を行っていたが、阪神・淡路大震災においてモータースポーツ用タイヤの開発・生産拠点だった神戸工場が壊滅的な打撃を被ったため、モータースポーツ関連の活動を大きく縮小せざるを得なかった。2002年より全日本GT選手権(現・SUPER GT)へ本格的に復帰し、現在はSUPER GTを中心にタイヤ供給を行っている。

2009年までFJ1600スーパーFJのタイヤサプライヤーであったほか、2006年よりフォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)に、2012年よりフォーミュラ4にタイヤを供給するなど、若手ドライバー育成を目的とするジュニア・フォーミュラへのタイヤ供給にも積極的である。

2011年までGRAN TURISMO D1GPシリーズにタイヤ供給を行っていた。(2012年よりファルケンが供給)

主な製品ブランド[編集]

4輪車用[編集]

1998年2月以降発売された殆どのタイヤでデジタイヤ技術(デジタルローリングシミュレーション技術)を採用している。

  • VEURO(ヴューロ) - 静粛性や乗り心地に優れた高級車向け。2013年2月に発売した現行の「VE303」は特殊吸音スポンジの採用に加え、構造やパターンの見直しにより静粛性能と耐摩耗性能を高め、「VEURO」向けに最適化された「低発熱密着ゴム」の採用により転がり抵抗を低減したことで「低燃費タイヤ」に適合させた。
  • LE MANS(ル・マン)- 軽からミニバンまで幅広い車種に対応しており、路面適応はドライ寄り。現行の「LE MANS 4」は静粛性を高める特殊吸音スポンジを採用した。耐久性は先代「LE MAN 3」比で17%向上し「低燃費タイヤ」に適合。
  • ENASAVE(エナセーブ)- 独自の低燃費技術を採用し転がり抵抗を大幅に低減、全シリーズ・全サイズでタイヤラベリング制度の「低燃費タイヤ」に適合した環境配慮型。日本国内での交換用タイヤはカタカナ表記(エナセーブ)で用いる。現在は4種類があり、新材料開発技術「4D NANO DESIGN(フォーディー ナノ デザイン)」を採用し、高い転がり抵抗性能を実現した「PREMIUM」、豊富なタイヤサイズがあり、転がり抵抗の低減と更なるロングライフ化を実現した「EC203」、「低発熱密着ゴム」を採用してウエットグリップ性能を高めたミニバン専用「RV503★(スター)」、低燃費だけでなく、天然置換え・改質置換え・創生置換えを駆使することで合成ゴムが主流となってからは世界初となる化石資源を不使用化した「エナセーブ100」がある。さらに、国内メーカー車種への純正採用の実績がある新車装着用の「EC300」も存在する。また、2012年2月からは商用バン向けの「VAN01」、トラック向けの「SP LT38」をラインナップしている。
  • SP SPORT(エスピー スポーツ)- 非対称パターンを採用したことでウェット性能やハイドロプレーニングに優れた輸入外国車向け。「GT」はハンドリング性能と高速安定性に重点を置いたスーパーハイパフォーマンスタイプ。「TT」は高い操舵安定性を実現したハイパフォーマンスタイプ。「GT」は輸入外国車への純正採用も多い。
  • SP QUATTROMAXX(エスピー クワトロマックス) - 最新テクノロジーを駆使し、スポーツカー用と同等の高性能を追求したSUV専用タイヤ。
    デザインはイタリアピニンファリーナが担当している。
  • DIREZZA(ディレッツァ) - スポーツドライブ及びモータースポーツ向け。サーキット走行に重点を置いたハイグリップタイプの「ZII★(STARSPEC)」とストリート走行に重点を置いたスポーツドライブタイプの「DZ102」の2種類。なお、「ZII★」には、トヨタ・86向けに専用構造を採用した「ZII★86」が設定されている。
  • GRANDTREK(グランドトレック) - 4×4 (SUV) 車用。街乗りに対応したオンロード指向の「PT3」、走りを追求したオフロード指向の「MT2」、オンにもオフにも対応したオールマイティタイプの「AT3」、「DSX-2」の技術を取り入れたスタッドレス「SJ7」の4種類。
  • WINTER MAXX(ウインター マックス) - 2012年8月発売。「MAXXシャープエッジ」とナノフィットゴムにより氷上性能高めた高機能スタッドレスタイヤ
以前のブランド[編集]
  • FORMULA(フォーミュラ) - スポーツ及びモータースポーツ向け。90年代以降はZERAシリーズが統合されスポーティータイヤも展開、2003年以降はDIREZZAシリーズに移行。現在はごく一部のモデルのみ販売が続けられている。
  • ZERA(ゼラ) - スポーティータイプ。90年代中期以降は同社の戦略によりFORMULAに統合された。
  • WINDSOR(ウィンザー) - コンフォート指向。90年代の同社のブランド整理により消滅し、同社は2002年のVEURO VE301発売までプレミアムコンフォートタイヤが存在しない状態が続いた。
  • SPシリーズ(SP65e/SP70e/SP10等) - ベーシックタイヤ。2004年にモデルチェンジでDIGI-TIRE ECO EC201となり、後継モデルはENASAVE EC202として販売されている。

2輪車用[編集]

  • SPORTS MAX - ラジアルタイヤ。Rideenシリーズの後継。
  • GP - バイアスハイグリップタイヤ。多くのライダーに支持され続けている。
  • ARROWMAX - バイアスツーリングタイヤ。耐摩耗性、ウェット性能に優れる。
  • KABUKI - バイアスタイヤ。アメリカンモデル用。
  • BURORO - トレールモデル用。舗装路寄りのものから純オフロード向けまで幅広く揃っている。
  • ENDURO - オフロードレース用。公道走行には不向き。
  • POLSO! - スクーター用バイアスタイヤ。純正採用も多い。

ダンロップ・ワークスドライバー経験者[編集]

服部尚貴 / 野村謙

関連CMに出演歴のある人物[編集]

福山雅治 / 平井理央 / 赤井英和 / 常盤貴子 / 川原亜矢子 / 久石譲 / 上原多香子 / 中島常幸 / 中居正広 / DREAMS COME TRUE / デニス・ロッドマン / ロマーリオ / ロナウド

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]