クラシック (ロードレース)

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自転車ロードレースにおけるクラシック (: Classic,: Classique,: Classiche) とは、一般的には自転車ロードレースのうち、一日で競技を終了する「ワンデイレース(シングルデーレース)」のなかで、特に長い歴史を持ち、高い格式を誇るレースを指す。ツール・ド・フランスのように複数日にわたって行われる「ステージレース」は、いかに歴史や格式があってもクラシックとは呼ばれない。ただし、ヴァッテンフォール・サイクラシックスクラシカ・サンセバスティアンのように歴史が浅くても「クラシック」を名乗るレースや、ワールド・ポーツ・クラシックのようにステージレースであるにも関わらず「クラシック」を名乗るレースも存在する。

クラシックと呼ばれるレース[編集]

ロードレースにおいては、厳密な定義はないものの、以下のレースが「クラシック」と呼ばれることが多い[1]

※ ()内は第1回大会の開催年度

ミラノ〜サンレモは「プリマヴェーラ(春)」「クラッシチッシマ(最高のクラシックレース)」、パリ〜ルーベが「北の地獄」「クラシックの女王」、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュが「ラ・ドワイエンヌ(最古参)」、ジロ・ディ・ロンバルディアが「落ち葉のクラシック」と呼ばれるなど、いずれのクラシックレースにもさまざまな異名が付けられて親しまれている。

モニュメント[編集]

ミラノ〜サンレモロンド・ファン・フラーンデレンパリ〜ルーベリエージュ〜バストーニュ〜リエージュジロ・ディ・ロンバルディアの五つは、クラシックの中でも、とりわけ古い歴史があり、記念碑的なレースという意味合いを込めて、モニュメント (The Monuments) と呼ばれる。過去にモニュメント全制覇を達成した選手は、以下の3人がおり、最多優勝回数はメルクスの19回となっている。達成順に列挙する。


リック・ファン・ローイ(ベルギー)…8回
大会 優勝回数 優勝年度
MSR [3] 1回 1958
RVV [4] 2回 1959・62
PR [5] 3回 1961・62・65
LBL [6] 1回 1961
GDL [7] 1回 1959
エディ・メルクス(ベルギー)…19回
大会 優勝回数 優勝年度
MSR 7回 1966・67・69・71・72・75・76
RVV 2回 1969・75
PR 3回 1968・70・73
LBL 5回 1969・71・72・73・75
GDL 2回 1971・72
ロジェ・デ・フラミンクベルギー)…11回
大会 優勝回数 優勝年度
MSR 3回 1973・78・79
RVV 1回 1977
PR 4回 1972・74・75・77
LBL 1回 1970
GDL 2回 1974・76

※バンローイとメルクスは、ワンデイレースの最高峰と目される世界選手権・個人ロードレース種目でも優勝経験がある。

モニュメント優勝回数ランキング[編集]

選手名 国籍 MSR RVV PR LBL GDL 通算
エディ・メルクス ベルギーの旗 ベルギー 7 2 3 5 2 19
ロジェ・デフラミンク ベルギーの旗 ベルギー 3 1 4 1 2 11
コスタンテ・ジラルデンゴ イタリアの旗 イタリア 6 3 9
ファウスト・コッピ イタリアの旗 イタリア 3 1 5 9
ショーン・ケリー アイルランド共和国の旗 アイルランド 2 2 2 3 9
リック・バンローイ ベルギーの旗 ベルギー 1 2 3 1 1 8
ジーノ・バルタリ イタリアの旗 イタリア 4 3 7
トム・ボーネン ベルギーの旗 ベルギー 3 4 7
ファビアン・カンチェラーラ スイスの旗 スイス 1 3 3 7
アンリ・ペリシエ フランスの旗 フランス 1 2 3 6
アルフレッド・ビンダ イタリアの旗 イタリア 2 4 6
フレット・デ・ブリュイヌ ベルギーの旗 ベルギー 1 1 1 3 6
フランチェスコ・モゼール イタリアの旗 イタリア 1 3 2 6
モレノ・アルジェンティン イタリアの旗 イタリア 1 4 1 6
ヨハン・ムセウ ベルギーの旗 ベルギー 3 3 6
ガエターノ・ベローニ イタリアの旗 イタリア 2 3 5
リック・バンステーンベルヘン ベルギーの旗 ベルギー 1 2 2 5
ベルナール・イノー フランスの旗 フランス 1 2 2 5
ミケーレ・バルトリ イタリアの旗 イタリア 1 2 2 5
パオロ・ベッティーニ イタリアの旗 イタリア 1 2 2 5

モニュメント歴代優勝者(1990年以降)[編集]

ミラノ〜サンレモ ロンド・ファン・フラーンデレン パリ〜ルーベ リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ジロ・ディ・ロンバルディア
2014 アレクサンダー・クリストフ ファビアン・カンチェラーラ ニキ・テルプストラ サイモン・ジェラン ダニエル・マーティン
2013 ゲラルト・シオレック ファビアン・カンチェラーラ ファビアン・カンチェラーラ ダニエル・マーティン ホアキン・ロドリゲス
2012 サイモン・ジェラン トム・ボーネン トム・ボーネン マクシム・イグリンスキー ホアキン・ロドリゲス
2011 マシュー・ゴス ニック・ニュイエンス ヨハン・ファンスュメレン フィリップ・ジルベール オリヴァー・ツァウグ
2010 オスカル・フレイレ ファビアン・カンチェラーラ ファビアン・カンチェラーラ アレクサンドル・ヴィノクロフ フィリップ・ジルベール
2009 マーク・カヴェンディッシュ ステイン・デヴォルデル トム・ボーネン アンディ・シュレク フィリップ・ジルベール
2008 ファビアン・カンチェラーラ ステイン・デヴォルデル トム・ボーネン アレハンドロ・バルベルデ ダミアーノ・クネゴ
2007 オスカル・フレイレ アレッサンドロ・バッラン スチュアート・オグレディ ダニーロ・ディルーカ ダミアーノ・クネゴ
2006 フィリッポ・ポッツァート トム・ボーネン ファビアン・カンチェラーラ アレハンドロ・バルベルデ パオロ・ベッティーニ
2005 アレサンドロ・ペタッキ トム・ボーネン トム・ボーネン アレクサンドル・ヴィノクロフ パオロ・ベッティーニ
2004 オスカル・フレイレ シュテフェン・ヴェーゼマン マニュス・バクステッド ダヴィデ・レベッリン ダミアーノ・クネゴ
2003 パオロ・ベッティーニ ペーター・ヴァン・ペテヘム ペーター・ヴァン・ペテヘム タイラー・ハミルトン ミケーレ・バルトリ
2002 マリオ・チポリーニ アンドレア・タフィ ヨハン・ムセウ パオロ・ベッティーニ ミケーレ・バルトリ
2001 エリック・ツァベル ジャンルカ・ボルトラーミ セルファイス・クナーフェン オスカル・カメンツィント ダニーロ・ディルーカ
2000 エリック・ツァベル アンドレイ・チミル ヨハン・ムセウ パオロ・ベッティーニ ライモンダス・ルムシャス
1999 アンドレイ・チミル ペーター・ヴァン・ペテヘム アンドレア・タフィ フランク・ヴァンデンブルック ミルコ・チェレスティーノ
1998 エリック・ツァベル ヨハン・ムセウ フランコ・バッレリーニ ミケーレ・バルトリ オスカル・カメンツィント
1997 エリック・ツァベル ロルフ・ソレンセン フレデリック・ゲドン ミケーレ・バルトリ ローラン・ジャラベール
1996 ガブリエーレ・コロンボ ミケーレ・バルトリ ヨハン・ムセウ パスカル・リシャール アンドレア・タフィ
1995 ローラン・ジャラベール ヨハン・ムセウ フランコ・バッレリーニ マウロ・ジャネッティ ジャンニ・ファレジン
1994 ジョルジオ・フルラン ジャンニ・ブーニョ アンドレイ・チミル エフゲニー・ベルツィン ビアチェスラフ・ボブリック
1993 マウリツィオ・フォンドリエスト ヨハン・ムセウ ジルベール・デュクロラサール ロルフ・ソレンセン パスカル・リシャール
1992 ショーン・ケリー ジャッキー・デュラン ジルベール・デュクロラサール ダーク・デヴォルフ トニー・ロミンゲル
1991 クラウディオ・キアプッチ エドヴィッヒ・バンホーイドンク マルク・マディオ モレノ・アルゼンティン ショーン・ケリー
1990 ジャンニ・ブーニョ モレノ・アルゼンティン エディ・プランカール エリック・バンランケル ジル・ドリオン

開催時期[編集]

3月にミラノ〜サンレモで春のクラシックシーズンが幕を開け、4月に入るとベルギー北部のフランドル地方を中心として、「北のクラシック」もしくは「石畳のクラシック」と呼ばれる3連戦、ロンド・ファン・フラーンデレンヘント〜ウェヴェルヘムパリ〜ルーベが開催される。

4月の後半からは舞台をベルギー南部のアルデンヌ地方へと移し、「アルデンヌクラシック」と言われるアムステルゴールドレースフレッシュ・ワロンヌリエージュ〜バストーニュ〜リエージュが行われる。

以後ジロ・デ・イタリアツール・ド・フランスといったグランツールによるしばらくの中断をはさみ、8月にはクラシカ・サンセバスティアンヴァッテンフォール・サイクラシックスが開催される。

最後のグランツールであるブエルタ・ア・エスパーニャの終了後には秋のクラシック、ジロ・ディ・ロンバルディアパリ〜ツールが行われる。

レースの特徴[編集]

アルデンヌクラシックのようにアップダウンが絶え間なく続くレースがあれば、パリ〜ツールのように延々平坦なコースが続くレースもあるほか、ジロ・ディ・ロンバルディアのように長い上りが設定されるレースもあるといった具合に特徴的なコースレイアウトがされているものが多い。

またパリ〜ルーベロンド・ファン・フラーンデレンのように通常走らないような悪路や急坂を走る、あるいはミラノ〜サンレモのように極端な長距離を走るなど、独特な性格のあるものもある。

こうしたことに加え「1日で勝負が付くこと」「レースの格式が高いこと」があいまって、クラシックでは間断の無いアタック合戦の様相を呈することが多いため、ステージレースとはまた異なるそれぞれのレースの特徴にあわせた戦略や走り方が必要になってくる。

ミラノ〜サンレモパリ〜ツールなどはスプリンターがエースになることが多いが、上りが多かったり、ゴール手前が上りになっているアルデンヌクラシックのようなレースはパンチャーオールラウンダークライマーが勝利を狙う。ただ、パンクや落車などの不確定要素も多く、序盤〜中盤で集団からエスケープしたルーラーたちが、そのまま逃げ切ってしまうことも少なくない。

ロードレースにおける位置づけ[編集]

クラシックでの勝利は極めて価値の高いものであり、1勝でもすれば生涯の勲章となる。自国で開催されるクラシックに対してはグランツールでの勝利以上に重きを置く選手も多い。ファンらは俗に彼らのことを、「クラシックハンター」と呼んで尊敬している。

「クラシックハンター」と呼ばれる主な選手[編集]

一方、ファウスト・コッピ (イタリアの旗 イタリア)、エディ・メルクス (ベルギーの旗 ベルギー)やベルナール・イノー (フランスの旗 フランス)も多くのクラシックを制しているが、彼らはステージレースでも同様の強さを発揮したためか、そのように呼ばれることはほとんどない。

脚注[編集]

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  1. ^ ワンデイレースの最高峰に位置づけられているのは世界選手権だが、チーム戦でなく国別対抗戦であるという理由でクラシックとしては扱われない。また、広義では「オムロープ・ヘット・フォルク」のように有名な大会ではあるが比較的歴史が浅いなどの理由で「セミクラシック」と呼ばれるワンデイレースも含めて「クラシック」と呼ぶ。
  2. ^ 2008年シーズンより、UCIヨーロッパツアー1.HC扱い。
  3. ^ MSR=ミラノ〜サンレモ
  4. ^ RVV=ロンド・ファン・フラーンデレン
  5. ^ PR=パリ〜ルーベ
  6. ^ LBL=リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ
  7. ^ GDL=ジロ・ディ・ロンバルディア

関連項目[編集]