ホワイトリカー
ホワイトリカーとは、製糖残渣の廃糖蜜を発酵させ、連続式蒸留器で得たエタノールに加水し、アルコール度数36度未満とした日本の酒税法における焼酎(主に焼酎甲類)を指す。無色透明で香りやクセもなく、純粋なエタノール水溶液に近い。
和製英語であり、英語の"White liquor"は別の意味(製紙業におけるパルプ材料の白液)になる("white distilled liquor"という言い方であれば無色の蒸留酒という意味)。ウイスキーやブランデーなどの熟成蒸留酒を「ブラウンリカー」と呼び、これに対比させた呼称とみられる。
梅酒などの果実酒(リキュール)や、チューハイなど風味付けアルコール飲料の原材料として利用される。「ホワイトリカー」として販売される甲類焼酎の場合、いずれの用途においても高いアルコール度数が有利なことから(果実酒のエキス分浸出にはアルコール濃度が高い方が有利であり、またチューハイなど単純飲用ベースならアルコール度数は高い方がコストが安い)、市場では、法律上の上限一杯のアルコール度数35度で販売される製品が多い。
日本の税法上では「連続式蒸留焼酎(焼酎甲類)」を「ホワイトリカー(1)」と表示してもよい[1]。また税法上では製法等がやや異なる、原料にコーンスターチなど精製された穀類由来物質を用いた「単式蒸留焼酎(焼酎乙類)」(アルコール度数45度以下)も「ホワイトリカー(2)」と表記してもよい[1]。ホワイトリカー(2)も果実酒用・各種混和用として市販されている[要出典]。ホワイトリカー(2)は癖が少ないとされる[要出典]。
なお、消毒用アルコールには、上述のような発酵により製造されたものと、ナフサから化学合成されたものがどちらも使用されている[2](合成エタノールは酒や食品添加物などには利用できない)。
無色の蒸留酒
[編集]1970年代アメリカ市場でウォッカの販売量がウイスキーを抜き「白色革命[3]」と称されるなど、近年の蒸留酒市場では無色透明で樽香やピート香などのないもののシェアが大きい。
無色の蒸留酒のうちでアクアビット、ウォッカ、ソジュおよびラム酒のうちホワイトラムは、日本の「ホワイトリカー」(焼酎甲類)同様に無色でエタノール以外の香りは少ない。
いっぽう、キルシュヴァッサー、テキーラ、茅台酒などの白酒 (中国酒)、カシャッサ、ピスコ、オードヴィー、焼酎乙類、泡盛等は、エタノール以外の香りも強く、日本の「ホワイトリカー」とは少々異なる。
注釈
[編集]- ^ a b “酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則”. e-Gov (2020年3月31日). 2020年9月12日閲覧。
- ^ 新型コロナ拡大 合成アルコール需要増 化学工業日報、2020年4月10日(2020年5月5日閲覧)。
- ^ “玄地 昭八,「甲類焼酎は日本の〈白色革命〉の担い手」,『日本釀造協會雜誌』79巻7号, pp.462-466, 1984”. 2022年5月5日閲覧。 →この論文のp.463左下に、アメリカの'74年の〈白色革命〉について記載されている。