「特定秘密の保護に関する法律」の版間の差分

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;賛成姿勢
;賛成、修正協議で合意
* 民主党、日本維新の会、みんなの党<ref name="nhk">[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131025/k10015538861000.html 特定秘密保護法案で与野党駆け引きへ] NHKニュース2013年10月25日</ref>。民主党、みんなの党の中には反対している議員もいる<ref>[http://www.asahi.com/politics/update/1010/TKY201310100284.html 秘密保護法案「反対」議連発足 沖縄密約の西山さん講演] 朝日新聞</ref>。また、民主党は政府の原案、および与党と日本維新の会、みんなの党の修正協議については反対であり、民主党の対案を全面的に受け入れるよう要求している<ref>{{cite news |title=民主、打つ手なく反対 秘密保護法案 遅延作戦見透かされ|newspaper=[[産経新聞]] |date=2013-11-22|url=http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131122/stt13112223320005-n1.htm |accessdate=2013-11-23}}</ref>。
* 日本維新の会、みんなの党<ref name="nhk">[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131025/k10015538861000.html 特定秘密保護法案で与野党駆け引きへ] NHKニュース2013年10月25日</ref>。維新の会、みんなの党の中には反対している議員もいる<ref>[http://www.asahi.com/politics/update/1010/TKY201310100284.html 秘密保護法案「反対」議連発足 沖縄密約の西山さん講演] 朝日新聞</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131121/stt13112111290001-n1.htm 維新にくすぶる不満、松野氏「反対もある」 秘密保護法案、幹部会で修正合意報告]</ref>。


;姿勢
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*民主党<ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013112302000118.html 秘密保護法案 民主は反対 維新、慎重審議を要求]</ref>:政府の原案、および与党と日本維新の会、みんなの党の修正案に反対しており、保護すべき対象を外交と国際テロ防止に関する情報に限ることを柱とした対案を提出している<ref>{{cite news |title=民主、打つ手なく反対 秘密保護法案 遅延作戦見透かされ|newspaper=[[産経新聞]] |date=2013-11-22|url=http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131122/stt13112223320005-n1.htm |accessdate=2013-11-23}}</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131119/stt13111911130003-n1.htm 秘密保護法案、民主が対案を決定、みんなは与党と正式合意]</ref>

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* 共産党、生活の党、社民党<ref name="nhk"/><ref>[http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-26/2013102601_02_1.html 「知る権利」に真っ向対立] しんぶん赤旗</ref>。



2013年11月24日 (日) 12:14時点における版

特定秘密保護法案特定秘密の保護に関する法律案)とは、日本安全保障に関する情報のうち「特に秘匿することが必要であるもの」を「特定秘密」として指定し、取扱者の適評価の実施や漏洩した場合の罰則などを定めることを目指す法案[1]

2013年10月25日、第2次安倍内閣はこの法案を安全保障会議の了承を経たうえで閣議決定し、第185回国会に提出した[2][3][4]。一部メディアや識者からは「平成の治安維持法」と呼ばれる[5]

概要

同法案は、日本の安全保障に関する事項のうち「特に秘匿を要するもの」について行政機関における「特定秘密の指定」、「特定秘密の取扱いの業務を行う者」に対する「適性評価の実施」、「特定秘密の提供」が可能な場合の規定、「特定秘密の漏えい等に対する罰則」等について定め、それにより「その漏えいの防止」を図り、「国及び国民の安全の確保に資する」趣旨であるとされる[6][7]

特定秘密の管理に関する措置

特定秘密の指定

行政機関の長は、どのような情報について「特定秘密として指定」しうるか、および「特定秘密の有効期間(上限5年で更新可能)」を規定

特定秘密の指定対象となりうる情報

適性評価の実施

「特定秘密の取扱いの業務を行うことができる者」は、「適性評価により特定秘密を漏らすおそれがないと認められた職員等」に限定される。

適正評価の対象事項
  1. テロ活動等との関係
  2. 犯罪・懲戒の経歴
  3. 情報の取扱いについての非違歴
  4. 薬物の濫用・影響
  5. 精神疾患
  6. 飲酒についての節度
  7. 経済的な状況

特定秘密の提供

どのような場合に特定秘密を提供できるかを規定。

漏えいと取得行為に対する罰則

「特定秘密を取り扱うことを業務とする者」と「公益上の必要により特定秘密の提供を受け、これを知得した者」による漏えいだけでなく、特定の「取得行為」およびその未遂、共謀、教唆、煽動をも処罰対象とする。

処罰の対象となる取得行為 
  1. 人を欺き、人に暴行を加え、又は脅迫する行為
  2. 財物の窃取
  3. 施設への侵入
  4. 不正アクセス行為
  5. 2、3、4以外の特定秘密の保有者の管理を侵害する行為
  • 上記の取得行為の未遂、共謀、教唆、煽動

その他(基本的人権への言及あり)

パブリックコメントでは「その他」として「本法を拡張解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害することがあってはならない」と規定していた。

国会提出された案では「取材の自由に十分に配慮しなければならない」という文言が追加されている[8]

特定秘密の保護に関する法律(案)の構成

目次
第一章 総則(第一条・第二条)
(目的)
(定義)
第二章 特定秘密の指定等(第三条―第五条)
(特定秘密の指定)
(指定の有効期間及び解除)
(特定秘密の保護措置)
第三章 特定秘密の提供(第六条―第十条)
(我が国の安全保障上の必要による特定秘密の提供)
(その他公益上の必要による特定秘密の提供)
第四章 特定秘密の取扱者の制限(第十一条)
第五章 適性評価(第十二条―第十七条)
(行政機関の長による適性評価の実施)
(適性評価の結果等の通知)
(行政機関の長に対する苦情の申出等)
(警察本部長による適性評価の実施等)
(適性評価に関する個人情報の利用及び提供の制限)
(権限又は事務の委任)
第六章 雑則(第十八条―第二十一条)
(特定秘密の指定等の運用基準)
(関係行政機関の協力)
(政令への委任)
(この法律の解釈適用)
第七章 罰則(第二十二条―第二十六条)
附則
(施行期日)
(経過措置)
(自衛隊法の一部改正)
(自衛隊法の一部改正に伴う経過措置)
(内閣法の一部改正)
(政令への委任)
別表(第三条、第五条―第九条関係)
理由

国家秘密に関連するこれまでの日本の法案

1954年の日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(通称秘密保護法)では、「特別防衛秘密」について「保護上必要な措置」を講じることに加えて「特別防衛秘密を探知や収集をした者」および「特別防衛秘密を他人に漏らした者」に対しての刑事罰が規定されている。

1985年には、国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案 (通称スパイ防止法[9])が第102回国会で議員立法として提出されたが、第103回国会で審議未了で廃案となった。

2011年にも、国家秘密の管理体制強化を目指す「秘密保全法」が検討されたが、この時は法案の国会提出は見送られている[10]

2013年の法案

2013年8月までの経緯は国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案#2013年の秘密保全法も参照

プロジェクトチーム

安倍内閣は、2013年8月27日、同法案の概要を自民党「インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム」(座長町村信孝[11])に提示し、パブリックコメントについて了承を得た[12][13][14][15]

パブリックコメント

内閣官房では、2013年9月3日から2013年9月17日までの15日間、パブリックコメントを受け付けた。これは内閣官房内閣情報調査室による任意の意見募集であった[16]

パブリックコメント、「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見募集の結果は2013年10月4日に公開された。それによると、意見件数は90,480件。その内訳は、意見提出フォーム・電子メール88,603件、郵送484件、FAX1,393件。意見内容は、賛成の立場からの意見が11,632件、反対の立場からの意見が69,579件(約77%)、その他の意見が9,269件だった[17][18]

ネットではパブリックコメントに反対意見を寄せるための法案反対文例を配布するサイトや反対を呼びかけるブログもみられた[19][20]

閣議決定と国会提出

自民党は特定秘密保護法案の閣議決定に先立ち、日本版NSC(National Security Council)ともいうべき国家安全保障会議創設のための法案を2013年秋の国会に提出、10月25日には衆議院本会議で審議に入った[21]

同じ10月25日、政府は「特定秘密保護法案」を閣議決定[22]。同日夜の記者会見で、内閣官房長官菅義偉は、今国会で成立を目指すと述べた[23]

国会における審議

日本国内の反応

各党の反応

与党

  • 自民党:自民党「インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム」(座長町村信孝[24])で法案を了承。
なお自民党内では、1987年に「スパイ防止法」に反対する意見書に連署した12人[25]の一人である村上誠一郎が、今回も基本的人権の根幹に関わる問題とし反対している[26]。一方、当時同様に反対した谷垣禎一[25]は今回反対していない。
  • 公明党:公明党の特定秘密保護法案に関する検討プロジェクトチーム(座長大口善徳、初会合2013年9月17日[27])は「知る権利」「報道の自由」への配慮などの修正を求めていたが[28][29]、政府の一定の譲歩を受けて、10月18日に法案の最終案を了承した[30][31]

野党

賛成、修正協議で合意
  • 日本維新の会、みんなの党[32]。維新の会、みんなの党の中には反対している議員もいる[33][34]
対案を提出
  • 民主党[35]:政府の原案、および与党と日本維新の会、みんなの党の修正案に反対しており、保護すべき対象を外交と国際テロ防止に関する情報に限ることを柱とした対案を提出している[36][37]
反対
  • 共産党、生活の党、社民党[32][38]

各界の反応

憲法学者

142名の憲法学者・メディア法学者が、法案への反対声明を発表した。

刑事法研究者

120名を超える刑事法学者が、法案への反対声明を発表した。

日本弁護士連合会

プライバシーの侵害や、行政機関の都合で秘密としたい事(在日米軍基地問題、自衛隊海外派遣TPP原子力発電所の安全性や被曝)を「特別秘密」に指定し隠蔽する事など、法案には問題点があると反対している[41]

  • 反対訴え[42]
  • 反対[43]
  • 会長「短期間での制定は危険」[44]
  • パブリックコメントにも反対の意見書を出している[45]
日本ペンクラブ
  • 「知る権利侵害のおそれ」[46]
日本新聞協会
  • 「国民の知る権利」が損なわれる恐れがあると強い危惧を表明している[47]
デモ
  • 東京都内で反対の集会・デモが行われ、主催者発表によると1万人が参加した[48][49]

日本国外の反応

ニューヨーク・タイムズが「Japan's Illiberal Secrecy Law」(日本の反自由主義的秘密法)と社説にて批判している[50][51][52]

脚注

  1. ^ 「特定秘密の保護に関する法律案の概要」趣旨 http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000103648
  2. ^ http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201310/25_a.html
  3. ^ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131026/k10015573451000.html
  4. ^ 47news 共同ニュース 秘密保護法案を閣議決定 情報統制の懸念 http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013102501001453.html
  5. ^ 「秘密保護法案」を本気で批判しない大メディアの弱腰 日刊ゲンダイ 2013年11月12日
  6. ^ パブリックコメント資料「特定秘密の保護に関する法律案の概要」 http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000103648(PDF)
  7. ^ パブリックコメント「参考資料」 http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000103649(PDF)
  8. ^ www.asahi.com/articles/TKY201310250345.html
  9. ^ 遅れる“スパイ天国”日本の法整備 知る権利確保になお不安も産経ニュース、2013年10月25日
  10. ^ 日本弁護士連合界 秘密保全法制とは? http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret/about.html
  11. ^ http://blogos.com/article/69352/
  12. ^ http://www.machimura.net/column_a/pages_1453.html
  13. ^ http://www.jiji.com/jc/zc?k=201308/2013082700967&g=pol
  14. ^ 秘密保護法、自民検討チームが再始動へ MSN産経ニュース2013.8.26 21:17 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130826/stt13082621190008-n1.htm
  15. ^ 秘密保護法で政府がパブコメ開始 自民PTで了承 MSN産経ニュース2013.9.3 19:19 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130903/plc13090319220012-n1.htm
  16. ^ http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130903&Mode=0
  17. ^ 「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見募集の結果 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130903&Mode=2
  18. ^ http://www.youtube.com/watch?v=7xVqBp0g61w
  19. ^ パブコメ意見書案 [1], [2], [3], [4]
  20. ^ 秘密保全法に反対する 愛知の会(特定秘密保護法案に反対)「【拡散】秘密保全法パブコメ文例公表」 http://nohimityu.exblog.jp/20725356/
  21. ^ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131025/k10015555091000.html
  22. ^ NHK 特定秘密保護法案を閣議決定 (10月25日 11時22分)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131025/k10015544181000.html 
  23. ^ NHK 特定秘密保護法案 今国会で成立を (10月25日 19時13分)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131025/k10015559511000.html
  24. ^ http://blogos.com/article/69352/
  25. ^ a b 谷垣「われら自民党議員『スパイ防止法案』に反対する」 中央公論1987年4月号
  26. ^ 自民・村上氏:秘密保護法案 「首相の趣味」身内も批判 毎日新聞 2013年10月24日
  27. ^ 国民の知る権利を守れ―特定秘密保護法案―党検討PTが初会合 大口よしのり公式サイト2013年9月17日
  28. ^ [5] [6]
  29. ^ [7] [8]
  30. ^ 秘密保護法最終案を了承 公明党がPT会合 「知る権利」「報道の自由」明記 産経新聞2013年10月18日
  31. ^ 秘密保護法、今国会成立目指す=公明PT座長 時事通信2013年10月19日
  32. ^ a b 特定秘密保護法案で与野党駆け引きへ NHKニュース2013年10月25日
  33. ^ 秘密保護法案「反対」議連発足 沖縄密約の西山さん講演 朝日新聞
  34. ^ 維新にくすぶる不満、松野氏「反対もある」 秘密保護法案、幹部会で修正合意報告
  35. ^ 秘密保護法案 民主は反対 維新、慎重審議を要求
  36. ^ “民主、打つ手なく反対 秘密保護法案 遅延作戦見透かされ”. 産経新聞. (2013年11月22日). http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131122/stt13112223320005-n1.htm 2013年11月23日閲覧。 
  37. ^ 秘密保護法案、民主が対案を決定、みんなは与党と正式合意
  38. ^ 「知る権利」に真っ向対立 しんぶん赤旗
  39. ^ 「秘密保護法案への反対声明 呼び掛け人・賛同者」中日新聞2013.10.19
  40. ^ 「秘密保護法案への反対声明 呼び掛け人・賛同者」中日新聞2013.10.19
  41. ^ 秘密保全法制とは? 日本弁護士連合会
  42. ^ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131024/k10015509581000.html
  43. ^ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131024/k10015520781000.html
  44. ^ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131025/k10015559511000.html
  45. ^ 2013年9月12日付「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130912.html
  46. ^ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131025/k10015559511000.html
  47. ^ 「特定秘密の保護に関する法律案」に対する意見書 http://www.pressnet.or.jp/news/headline/130911_3194.html
  48. ^ 特定秘密保護法案に反対 大規模集会NHK
  49. ^ 民主主義の危機「廃案に」 日比谷公園 1万人反対集会東京新聞
  50. ^ Japan's Illiberal Secrecy Law ニューヨークタイムズ、2013年10月30日
  51. ^ 特定秘密保護法案:「反自由主義的」 米紙が社説で批判毎日新聞
  52. ^ 「NYタイムズの指摘、正鵠を射る」共産・市田書記局長朝日新聞

関連項目

外部リンク