渡辺治

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渡辺 治(わたなべ おさむ、1947年3月2日 - )は、日本の政治学者一橋大学名誉教授。主要研究領域は、政治学、日本政治、憲法学

略歴[編集]

東京都生まれ。東京都立戸山高等学校を経て、1972年3月東京大学法学部政治学コースを卒業後、同年4月に法学部公法コースに学士入学。1973年3月に同コースを中退。同年4月より東京大学社会科学研究所助手。1979年10月からは東京大学社会科学研究所助教授1990年4月からは一橋大学社会学部教授。2010年4月一橋大学名誉教授。

人物[編集]

東大法学部四年次に東大闘争を経験。その後学部卒で東大社会科学研究所助手に合格。提出論文は川島武宜論。

東大社研時代は憲法学者である奥平康弘に師事。治安維持法を研究。その後も80年代初頭は現代警察研究など治安政策をもっぱら研究していた。80年代に入るとフィールドを広げ、憲法研究と国家論研究を専攻。社会主義法の藤田勇のもとで共同研究を行う。その成果が藤田勇編『権威的秩序と国家』である。同書の共著者には、加藤哲郎戒能通厚安田浩田端博邦ら分野を超えた多彩な人材がおり、ここで得られた成果がのちに「企業社会論」に果実していく。従来の日本マルクス主義がとっていた「日本前近代性論」と「国家独占資本主義論」に対して、当時受容されつつあった新マルクス主義国家論を援用しつつ、生産点における資本の制覇が国家的関係を媒介に社会関係を規定していくという「基軸-周辺論」を提起。欧州福祉国家に対する特殊日本的な企業社会/国家論を展開する。また、憲法学では、渡辺洋三らマルクス主義法学者の「二つの法体系論」を批判しつつ、憲法9条を日本の政治経済過程に位置づけて論じた『日本国憲法「改正」史』は憲法学の古典になっている。90年代に入ってからはグローバル化・新自由主義化・帝国主義化をキーワードに、その日本政治へのインパクトを同時代的に論じている。「九条の会」の事務局員を務めている[1]

著作[編集]

単著[編集]

  • 『日本国憲法「改正」史』(日本評論社、1987年)
  • 『憲法はどう生きてきたか――平和と自由を求めた40年』(岩波書店岩波ブックレット]、1987年)
  • 『現代日本の支配構造分析――基軸と周辺』(花伝社、1988年)
  • 『戦後政治史の中の天皇制』(青木書店、1990年)
  • 『「豊かな社会」日本の構造』(労働旬報社、1990年)
  • 『企業支配と国家』(青木書店、1991年)
  • 『90年代改憲を読む』(労働旬報社、1994年)
  • 『政治改革と憲法改正――中曽根康弘から小沢一郎へ』(青木書店、1994年)
  • 『現代日本の政治を読む』(かもがわ出版[かもがわブックレット]、1995年)
  • 『講座現代日本(1)現代日本の帝国主義化・形成と構造』(大月書店、1996年)
  • 『現代日本の大国化は何をめざすか――憲法の試される時代』(岩波書店[岩波ブックレット]、1997年)
  • 『日本とはどういう国か どこへ向かって行くのか――「改革」の時代・日本の構造分析』(教育史料出版会、1998年)
  • 『企業社会・日本はどこへ行くのか――「再編」の時代・日本の社会分析』(教育史料出版会、1999年)
  • 『憲法「改正」は何をめざすか』(岩波書店[岩波ブックレット]、2001年)
  • 『日本の大国化とネオ・ナショナリズムの形成――天皇制ナショナリズムの模索と隘路』(桜井書店、2001年)
  • 『「構造改革」で日本は幸せになるのか?――「構造改革」に対する「新しい福祉国家」への道』(萌文社、2001年)
  • 『憲法、「改正」――軍事大国化・構造改革から改憲へ』(旬報社、2005年/増補版、2005年)
  • 『構造改革政治の時代――小泉政権論』(花伝社、2005年)
  • 『安倍政権論――新自由主義から新保守主義へ』(旬報社、2007年)
  • 『憲法9条と25条・その力と可能性』(かもがわ出版、2009年)

共著[編集]


編著[編集]

  • 『現代日本社会論――戦後史から現在を読む30章』(労働旬報社、1996年)
  • 『憲法「改正」の争点――資料で読む改憲論の歴史』(旬報社、2002年)
  • 『変貌する<企業社会>日本』(旬報社, 2004年)
  • 『日本の時代史 (27) 高度成長と企業社会』(吉川弘文館、2004年)

共編著[編集]

訳書[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 九条の会東京連絡会

関連項目[編集]

外部リンク[編集]