飯野山
| 飯野山 | |
|---|---|
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真東から望む | |
| 標高 | 421.6 m |
| 所在地 | 香川県丸亀市・坂出市 |
| 位置 | 北緯34度16分28秒 東経133度50分50秒 / 北緯34.27444度 東経133.84722度 |
| 山系 | 独立峰 |
| 種類 | ビュート |
飯野山(いいのやま)は、香川県の丸亀市と坂出市との境に位置する、標高422mの山である[1][2]。
別名として、「讃岐富士」(さぬきふじ)とも呼ばれる[1] [2] [3] [4] 。
この山は、「讃岐七富士」の一つに数えられている。また、「新日本百名山」、及び「四国百名山」の一つに選ばれている [2] [3] [4]。
概要
[編集]この山は、讃岐平野にそびえ、近くには西に土器川、東に大束川が流れている。 山体の大部分は国有林(香川県丸亀市は四国森林管理局香川森林管理事務所47林班い及びは、同県坂出市は四国森林管理局香川森林管理事務所47林班ろ及びに)であるが、山頂部分は私有地(香川県坂出市川津町5677番)である[5]。
山頂には三等三角点が設置されている。三角点の公式名称は「飯野山」、標高値は、421.57mである[6]。
また山頂周辺は、「レクリエーションの森」として「飯野山風景林」に指定されているほか、瀬戸内海に近く漁船など航行船舶の目標となっているため「航行目標保安林」にも指定されている[3]。
山頂部は広場状となっており、樹木が多いため眺めはほとんどないが、巨人伝説で伝えられる巨人「おじょも」の足跡とされる巨岩 や、「安養寺」(あんようじ)[注釈 1] の「奥之院薬師堂」、「不動尊」などが鎮座している[1] [2] [3]。
この山は古くから信仰の対象だったようで、山麓部には多くの神社がある。西側の山麓部には、「飯依比古」(いいよりひこのみこと)を祭る「飯神社」が、南側の山麓部には「坂元神社」と「一王子神社」が、北側の北麓部には、「幸神社」が、北西側山麓部には「伊勢神宮」が、それぞれ祀られている。またお寺も北東部の山麓に、「三の池薬師堂」がある[1]。
この山は「瀬戸内海国立公園」に含まれ、風景林にも指定されている為、コナラ、クヌギ、ヤマザクラなど、里山らしい自然林が豊かな山である[1] [7] 。なお麓から山腹部の一部では、モモなどが栽培されている。
2010年には、「丸亀市観光協会」が、この山の標高(422m)に因んで 4月22日を「讃岐富士の日」と制定した[3] [7]。毎年、その日の午前11時より、山頂の薬師堂が開扉されて山頂広場で柴灯護摩が焚かれる[7]。
2018年には、讃岐富士の山頂から昇る太陽が、「宮池」(丸亀市のため池;北緯34度16分14.450秒 東経133度48分43.21秒)に写る、ダブルダイヤモンド讃岐富士が「四国八十八景」72番に選定された[8]。
なお、この山の北側には、「高松自動車道」の坂出ジャンクションがあり、東西に高松自動車道が通り、北に「瀬戸中央自動車道」(正確には坂出ICまでが高松道の坂出支線)が分岐していることから、これらの高速道路の車窓からも、この山の穏やかな様子が良く望める。近くには飯野山より少し標高の低い青野山が存在する。
登山
[編集]この山は、身近な低山として人気を集めており、高齢社会を迎えた昨今、体力づくりもかねて登山者が増えている。南麓から山頂までの登山道は、丸太で階段が組まれ、途中にはアスレチック施設などが整備されている。登山者の中には毎日登る者もおり、通算登山回数が1000回、2000回を越した者もいる。山頂の「薬師堂」には善意のノートが置かれ、登山者が記念を記せるようになっている。
登山ルートは以下のように複数ある [1] [2] [9]。 登山口から山頂までは、いずれのコースでも標準的には1時間前後、足の速い人は30分程度で登る、という[2] 。
- 主な登山道
- 川津登山口ルート(通称;「坂出ルート」(西又道)、登山口は北麓側):距離約5.4km。川津登山口は坂出登山口石碑の近くにある。北側にあるルートで三合目西又分岐に出て、後述の「飯野町ルート」に合流する [1] [2] [9] 。
- 飯野登山口ルート(通称;「飯野町ルート」、登山口は西麓側):距離約4.4km。飯野登山口はコミュニティバス飯野山登山口停留所近くにある。歩きやすく登山者も多い、トイレあり。登山口に隣接する遺跡公園「弥生の広場」(やよいのひろば)には広い駐車場(約100台駐車可)がある[8] 。 登山道はこの山をらせん状に緩やかに登るようにつけられている。またこのルートの4合目、5合目、6合目では展望が開けて、麓や周辺の里山の風景が望め、展望案内板も設置されている [1] [2] [9]。
- 飯山登山口ルート(通称;「飯山ルート」、登山口は南麓側):距離約4.2km。一王子神社を経由して八合目付近で前述の「飯野町ルート」と合流して頂上へ至る [1] [2] [9]。
地形
[編集]この山の形はきれいな富士山型の円錐形をしており、まさに「讃岐富士」という名称の通りである。全国各地にある、「郷土富士」の中でも、「開聞岳」(薩摩富士)と並び、「郷土富士」のお手本のようなシンメトリカルな姿である [10] 。
「開聞岳」のほうは、本家の「富士山」と同じく成層火山であるが [注釈 2]、この飯野山(讃岐富士)は火山ではない [11] 。
讃岐平野には、例えば、「屋島」や「我拝師山」(がはいしやま)のように、長い間の浸食によって形成された、「残丘」が数多くあるが、この山も長い間の浸食作用によってこのようなシンメトリカルな姿となった「残丘」[注釈 3]である[10] [11] 。
地形学的には「残丘」(モナドノック)は、頂上部に平坦部を持つものを「メサ」、平坦部がなくやや尖った形状のものを「ビュート」と分類するが、この「飯野山」は細かい分類では、「ビュート」にあたる [11] [12] 。
地質
[編集]この「飯野山」の地質は2段構造になっている。下部の、麓から標高 約200~250m付近までは、讃岐平野の低山に多い、「白亜紀」後期の花崗岩からなっている。それより上部は「新第三紀」の「中新世」中期に噴出した、「安山岩」および「玄武岩質安山岩」質の火山岩(溶岩、火砕岩)よりなっている [2] [13] 。
この火山岩は、地質学的には「古銅輝石安山岩」と呼ばれるもので、俗称「カンカン石」と呼ばれる岩石の一種である [2] [注釈 4] 。 登山道沿いにも、この火山岩は所々に露出しており、層状の構造や「柱状節理」状の構造が認められる。
この上部の火山岩は、約1500~1200万年前に噴出した火山岩類であり、非常に古いものなので、これを噴出した火山がどの場所にあったかは不明である。火山岩が分布はしており、見た目には成層火山のようではあるが、飯野山自体は火山ではない [10] [11] [13] 。
讃岐平野に点在する、標高 300~600m程度の低山や台地の多くは、「飯野山」(讃岐富士)と同様に、その上部が「新第三紀」「中新世」中期の火山岩で形成されている。この15~12 Ma頃 [注釈 5] に生じた火山活動は、「瀬戸内火山活動」と呼ばれており、讃岐平野のほか、小豆島や近畿地方の一部にもみられる [10] [14] 。
この「瀬戸内火山岩類」を噴出した火山活動の要因としては、約20~15 Ma [注釈 5] にかけて、元々はアジアの北東部に位置していた、日本列島の元となる部分が、日本海の開裂とともに四国を含む「西南日本ブロック」[注釈 6] は南へと移動し、現在の四国にあたる地域は、まだ比較的温度が高かった、当時の「フィリピン海プレート」の上に強制的に乗り上げる恰好となり、その結果、プレート境界部付近でマグマが形成された為に、火山活動が起こった、と考えられている [15] 。
歌に詠まれる飯野山
[編集]飯野山(讃岐富士)は、讃岐平野のなかにあり、標高は低いながら、美しい富士山型の姿をしていることから、古くから知られている山であり、以下のように色々な時代の和歌にも詠まれている。
ギャラリー
[編集]アクセス
[編集]- 鉄道
- JR坂出駅の南約4.5km(坂出ルート登山口)
- バス
- JR丸亀駅より琴参バス レオマ宇多津線 山根西バス停(飯野町ルート登山口最寄り)、国持バス停(飯山町ルート登山口最寄り)
- JR丸亀駅より琴参バス 丸亀東線 飯野山登山口バス停(坂出ルート・飯野町ルート登山口最寄り)、丸亀自動車学校バス停(飯野町ルート登山口最寄り)、国持バス停(飯山町ルート登山口最寄り)
- レンタルサイクル
- JR丸亀駅またはJR坂出駅から自転車で約30分[8]
脚注
[編集]注釈
[編集]- ↑ 「安養寺」は、坂出市にある寺院。宗派は高野山真言宗、院号は浄土院、山号は小富士山
- ↑ 開聞岳は細かく言うと、8合目付近までが「成層火山」式の山体で、それより上部は、「溶岩ドーム」式の山体である
- ↑ 「残丘」(ざんきゅう)は英語表記での「モナドノック」(monadnock)とも呼ぶ
- ↑ ここの文章は、参考文献をそのまま参照して書いたものだが、岩石学的に、説明が不十分なので以下に補足説明する。 ・ 「古銅輝石安山岩」(こどうきせきあんざんがん)とは、マグネシウム(Mg)量の多い輝石(=「古銅輝石」こどうきせき)という鉱物を含む安山岩質の火山岩のことである。このうち特に、「斑晶」(目視で確認できるサイズの鉱物結晶)が非常少ない岩石を、「サヌカイト」(和名;讃岐石)と呼び、それに類似した化学組成、組織構造をもつ岩石全体を、サヌカイトに似た岩石という意味で「サヌキトイド」と呼ぶ。 ・ 一方「カンカン石」は俗称で岩石学的な名称ではなく、意味としては「サヌカイト」のうち、叩くときれいな音が鳴るものが、「カンカン石」と呼ばれている。 ・また考古学の分野では、矢じりなどに使われた硬質な火山岩としての「サヌカイト」という呼び方がある。
- 1 2 "Ma" は、百万年前を意味する単位である
- ↑ ここでの「西南日本ブロック」とは、現在の中部地方にある「糸魚川静岡構造線」より西側の部分を指す。但し沖縄など「南西諸島」は含まない
出典
[編集]- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 高松勤労者山の会(著)『分県登山ガイド (36) 香川県の山』(2017年版)山と渓谷社、2017年6月1日、80-82頁。ISBN 978-4-635-02066-4。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 “「飯野山」の項”. 丸亀市 公式ホームページ. 丸亀市役所 (産業観光課) (2022年12月22日). 2026年4月18日閲覧。
- 1 2 3 4 5 県民に親しまれる飯野山での取組について 林野庁香川森林管理事務所、2022年11月10日閲覧。
- 1 2 石川 道夫、清家 一明、三谷 統一郎、ほか4名(共著)『四国百名山』山と渓谷社、2000年9月10日、90-91頁。ISBN 4-635-53028-0。
- ↑ “四国森林管理局香川森林計画区香川森林管理事務所基本図26①”. 林野庁四国森林管理局. 2026年6月19日閲覧。
- ↑ “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2026年4月18日閲覧。
- 1 2 3 “「飯野山」の項”. 丸亀市観光協会ホームページ;「観光スポット」. 丸亀市観光協会. 2026年4月18日閲覧。
- 1 2 3 2018年 讃岐富士マウンテンウィーク pdf
- 1 2 3 4 飯野山登山マップ 高松琴平電気鉄道、2022年11月10日閲覧。
- 1 2 3 4 木下広大(朝日新聞記者;記事作成者)、長谷川修一(香川大学特任教授;解説者) (2021年4月28日). “「おむすび山」なぜ多い? 専門家に尋ねた”. 朝日新聞 デジタル版. 朝日新聞. 2021年4月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年4月18日閲覧。
- 1 2 3 4 太田 陽子、成瀬 敏郎、田中 眞吾、岡田 篤正(共著)「5-3章「四国側の平野」のうち、「讃岐山脈北麓の扇状地平野」の項」『日本の地形 第6巻 近畿・中国・四国』東京大学出版会、2004年6月4日、232-235頁。ISBN 4-13-064716-4。
- ↑ 地学団体研究会 編「「メサ」、「モナドノック」(残丘)の各項」『新版 地学事典』平凡社、1996年10月20日、1300,1316頁。ISBN 978-4-582-11506-2。
- 1 2 “産総研「20万分の1日本シームレス地質図V2」”. 産業技術総合研究所 地質調査総合センター (2025年7月18日). 2026年4月18日閲覧。
- ↑ 日本地質学会 編「7-3章「瀬戸内火山岩類」の項」『日本地方地質誌 第7巻 四国地方』朝倉書店、2016年、249-250,258-264頁。ISBN 978-4-254-16787-0。
- ↑ 日本地質学会 編「7-4章 「西南日本外帯および瀬戸内火山活動の成因論」の項、ほか」『日本地方地質誌 第7巻 四国地方』朝倉書店、2016年、266-267、249-250頁。ISBN 978-4-254-16787-0。
- ↑ “「西行の歌と伝えられる「讃岐にはこれをば富士といいの山 朝げ煙たたぬ日はなし」の初出などについて」”. 「レファレンス協同データベース」. レファレンス協同データベース(事業者) (2018年11月16日). 2026年4月18日閲覧。
- ↑ “「丸亀を行く」”. 香川県立図書館. 2026年4月18日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 飯野山 - 丸亀市
