石平 (評論家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。RJANKA (会話 | 投稿記録) による 2016年4月2日 (土) 09:47個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎生い立ち〜日本との関わり)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

石 平
せき へい(シー ピン)
誕生 (1962-01-30) 1962年1月30日(62歳)
中華人民共和国の旗 中国 四川省成都市
職業 作家評論家
言語 日本語
国籍 中華人民共和国の旗 中国日本の旗 日本
教育 北京大学哲学
最終学歴 神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了
活動期間 2002年 -
ジャンル 評論
主題 日中の政治経済外交問題
代表作 『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』
主な受賞歴 第23回山本七平賞
デビュー作なぜ中国人は日本人を憎むのか』(2002年)
公式サイト www.seki-hei.com
テンプレートを表示

石平(せき・へい、シー・ピン[要出典]1962年〈昭和37年〉1月30日[1] - )は、日本評論家[1]。主に日中問題・中国問題を評論[2]中華人民共和国四川省成都市出身[2]2007年日本国籍を取得[2][3]。2008年4月より拓殖大学客員教授[2]

略歴

※以下、原則と表記。

生い立ち〜日本との関わり

1962年、中華人民共和国・四川省成都市で生まれる。1966年、文化大革命の最中に教師であった両親が大学から追放されて農場へ「下放」されたため、四川省の農村部で漢方医である祖父によって扶養。漢方医を継がせるべく医者になるための教養として祖父から「論語」を密かに教えられていたが、石が11歳の時に肺がんで死去[4]

中学校時代、ゴミ拾いの貧しいお婆さんが近所に住んでいて、いつも学校帰りの石少年ら子供たちは、そのお婆さんから笑顔で「勉強頑張ってね」と声をかけられていたが、ある日突然そのお婆さんが消え、「反革命分子」として政府に逮捕されたことを知る[5]。数日後、町中の市民に見せつけるためトラックに乗せられ一巡されたゴミ拾いのお婆さんが、処刑場に引きずり出されて銃殺された[5]。なぜ、このお婆さんが「反毛主席」の大罪で処刑されたかというと、ゴミ捨て場から拾った新聞紙(毛沢東の顔写真を印刷されていた)で大根を包んでいたから、という理由だった[5]

1980年9月に北京大学哲学部に入学し、1984年7月に卒業。北京大学在学中の1982年頃より、毛沢東暴政の再来を防ぐ目的で中国民主化運動に情熱を傾け始める。1988年4月に日本に留学し、日本語学校入学。文化大革命および1989年に勃発した天安門事件における中国共産党の党利党略ぶりへの憤怒と絶望感から「この国にはもはや用がない、何の愛着も義理も無い」と祖国中華人民共和国との精神的決別に至り[5]、一方では留学先の日本の中に古き良き文化を守り発展させた日本文化の素晴らしさを次々と見出し、日本の精神に孔子や論語の思想が生き続けていたことに感激したことから、「愛日主義者」へと傾倒して行く[4][6]。1995年に神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了(学位は未取得)。民間研究機関に勤務。

2002年(平成14年)初頭に中華人民共和国国内に広がる反日感情をレポートした書物を出したことから在日中国人として論壇デビュー。以来、『正論』、『Voice』、『WiLL』などの保守論壇誌に論考を寄稿し、日中関係・中国問題などを論じている。また、フジテレビ・読売テレビ・テレビ朝日・TBSなどの中国関連ニュース番組・討論番組でコメンテーターを務めている。

日本へ帰化

2007年(平成19年)11月30日、日本に帰化[7]。2008年(平成20年)4月に拓殖大学客員教授に就任。夏には公式サイトを(#外部リンク)開設し、同時にまぐまぐ無料メールマガジンも発行開始した[8]

2009年(平成21年)3月より産経新聞で隔週連載コラム「石平のChina Watch」の連載を開始[9]。2009年8月14日、『私は「毛主席の小戦士」だった』の改題改訂版である『私はなぜ「中国」を捨てたのか』を刊行し、2010年(平成22年)末には10万部を突破するベストセラーとなった[10]

2011年(平成23年)3月5日、日本人女性と結婚大阪住吉大社にて神前結婚式を挙げる[11]東京披露宴も開催された[12]

2013年(平成25年)8月18日より、石平太郎名義でTwitterを開始し、2015年8月17日の時点で5万8000人超のフォロワーを得る[13]。2014年(平成26年)9月、著書『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)で第23回山本七平賞を受賞。

論調

中国問題に関する論評では、定番の政治問題・社会問題・外交戦略以外に、中国の経済問題も積極的に取り上げている。

歴史認識

日本の教育については、「子供達に一方的に、日本は侵略国家だったと教えるのは止めるべきである。……道徳心愛国心を教えるのも当然だが、歴史教科書の記述は中立でなければならない」としている[14]

『日本に来るまで南京大虐殺など一度も聞いたことがなかった。中国の小学校、中学校の教科書にも南京大虐殺なんて載ってませんでした。……蒋介石自身も抗議していない。日本留学から中国に帰ったとき、南京出身の大学のクラスメイトに、「親父さんかお祖父さんから、大虐殺の噂を聞いたことがあるか」と聞いたら、やはり「ない」と言っていました。中国では、歴史的な大虐殺が何度もありました。……そういう所を掘り返すと、たしかに人骨がいっぱい出てくるんです。面白いことに、二千年前の記述でも嘘じゃなくて、必ず出てくる。しかし、南京から何十万体の骨が出てきたなんて話、一つも聞いたことがない』と述べている[15]

文明論

日本の外交問題や中国問題に関する評論活動の傍ら、自らの「文明論」も展開している。2007年(平成19年)に出版された自伝風の著書である『私は「毛主席の小戦士」だった』の後半部分では独自の日中文明比較論を行い、皇室神道を「コア」とする日本の民族文化などを賞賛し、自らは日本を愛する『愛日主義者』であると宣言する[16][6]。こうした石の日本観に対し、岡崎久彦産経新聞の「正論欄」で『その日本理解の深さは明治以来の外国人哲学者の中でもトップクラス』だと絶賛[17]入江隆則伊原吉之助帝塚山大学名誉教授)も同じ「産経新聞・正論欄」にて石の「日本文明論」を評価している[18]。2007年(平成19年)秋には、渡部昇一、岡崎久彦、葛西敬之山谷えり子北尾吉孝などとの対談集である『論語道場』を刊行して、「中国で生まれた孔子の論語の精神は、むしろ日本で一番よく理解されて生かされている」との見方を披露している[19]

その他

  • 2008年(平成20年)9月26日から10月2日までに台湾を訪問。台湾の民主主義を絶賛し、李登輝元総統にも会っている。李は石に対し、「あなたの本を読んで、感心していますよ」と言ったという[20]
  • 民主党政権が推進する日本における外国人参政権付与政策に反対している[21]靖国神社肯定[22]。‬‬
  • 韓国における反日感情を批判しており、石が家に帰ると、当初は韓国に興味の無かった妻からも、「平さん、何とかしてよ。本当に腹が立つよ」と毎日のように言われるという[23]

過去の出演番組

著作

単著

  • 『なぜ中国人は日本人を憎むのか』PHP研究所、2002年1月16日。ISBN 4-569-62004-3 
  • 『中国「愛国攘夷」の病理――吹き荒れる電脳ナショナリズム』小学館〈小学館文庫〉、2002年6月。ISBN 4-09-402746-7 
  • 『数字が証す中国の知られざる正体――「21世紀は中国の世紀」のウソを暴く』日本文芸社、2002年9月。ISBN 4-537-25115-8 
  • 『「日中友好」は日本を滅ぼす!――歴史が教える「脱・中国」の法則』講談社〈講談社+α新書〉、2005年7月20日。ISBN 4-06-272327-1 
  • 『中国人だから見える日中の宿命』扶桑社、2006年5月。ISBN 4-594-05159-6 
  • 『私は「毛主席の小戦士」だった――ある中国人哲学者の告白』飛鳥新社、2006年10月19日。ISBN 4-87031-761-3 
  • 『中国大虐殺史――なぜ中国人は人殺しが好きなのか』ビジネス社、2007年11月。ISBN 978-4-8284-1401-0 
  • 『論語道場 『論語』の教えが人生を教えてくれた』致知出版社、2007年12月。ISBN 978-4-88474-797-8 
  • 『これが本当の中国33のツボ――知っているようで知らない』海竜社、2008年3月。ISBN 978-4-7593-1014-6 
  • 石平 著「中国史とは虐殺の歴史だ」、西村幸祐 責任編集 編『拉致と侵略の真実 教科書が教えない日本被害史 完全保存版』オークラ出版〈OAK MOOK 199号 撃論ムック Vol.9〉、2008年3月。ISBN 978-4-7755-1143-5 
    • 石平「中国史とは虐殺の歴史だ」『日本被害史 世界でこんなに殺された日本人』オークラ出版、2012年12月24日。ISBN 978-4-7755-1980-6 
  • 『中国「悪魔の辞典」』小学館〈Clickシリーズ〉、2008年7月30日。ISBN 978-4-09-387802-9 
  • 『2010年 中国が牙をむく』PHPパブリッシング、2008年11月。ISBN 978-4-569-70362-6 
  • 『中国経済崩壊の現場――中国のメディアが語る』海竜社、2009年1月。ISBN 978-4-7593-1051-1 
  • 『中国大逆流――絶望の「天安門20年」と戦慄の未来像』ベストセラーズ、2009年5月25日。ISBN 978-4-584-13162-6 
  • 『なぜ、日本人は日本をおとしめ中国に媚びるのか』ワック〈Wac bunko B-114〉、2009年11月24日。ISBN 978-4-89831-614-6 
  • 『謀略家たちの中国――中国四千年の悲哀』PHP研究所、2009年11月25日。ISBN 978-4-569-77523-4 
  • 『中国の経済専門家たちが語る ほんとうに危ない!中国経済』海竜社、2010年9月。ISBN 978-4-7593-1151-8 
  • 『日中をダメにした9人の政治家』ベストセラーズ、2011年3月25日。ISBN 978-4-584-13298-2 
  • 『中国ネット革命』海竜社、2011年5月。ISBN 978-4-7593-1183-9 
  • 『中国人の正体』宝島社、2011年6月17日。ISBN 978-4-7966-8174-2 
    • 『中国人の正体』宝島社〈宝島SUGOI文庫〉、2012年2月7日。ISBN 978-4-7966-8968-7 
  • 『【中国版】サブプライム・ローンの恐怖』幻冬舎〈幻冬舎新書 せー1ー1〉、2011年9月28日。ISBN 978-4-344-98234-5 
  • 『わが子に教えたい日本の心 武士道精神の源流』PHP研究所、2012年3月13日。ISBN 978-4-569-79518-8 
  • 『中国――崩壊と暴走、3つのシナリオ』幸福の科学出版、2012年5月30日。ISBN 978-4-86395-201-0 
  • 『中国人に負けない7つの方法』宝島社、2012年7月11日。ISBN 978-4-7966-9847-4 
    • 『中国人の嘘にだまされない7つの方法』宝島社〈宝島SUGOI文庫〉、2013年1月10日。ISBN 978-4-8002-0509-4 
  • 石平「寄稿 中国から見た日本の天皇の不思議、そこに流れる知恵」『まんがと図解でわかる 天皇のすべて 日本人なら知っておきたい天皇のお仕事と歴史が理解できる!』所功 監修、宝島社〈別冊宝島1910〉、2012年10月12日。ISBN 978-4-8002-0163-8 
  • 石平「“すべてが中国である”という「中華思想」は、中国人以外誰も理解できない」『領土問題、私はこう考える! 孫崎享、山田吉彦、鈴木宗男ほか識者たちの提言』畠山理仁 構成、集英社〈経営者の本棚〉、2012年11月26日。ISBN 978-4-08-781516-0 
  • 『尖閣問題。真実のすべて』海竜社、2012年12月。ISBN 978-4-7593-1284-3  - 山田吉彦岡崎久彦との対談を収録。
  • 『日中新冷戦構造』イースト・プレス〈イースト新書 003〉、2013年6月3日。ISBN 978-4-7816-5003-6 
  • 『「歪んだ経済」で読み解く中国の謎 習近平と中国は何を狙っている?』ワニ・プラス〈ワニブックス|PLUS|新書 097〉、2013年6月8日。ISBN 978-4-8470-6062-5 
  • 『「全身病巣」国家・中国の死に方 蝕まれた虚像の大国が悲鳴を上げる』宝島社、2013年10月21日。ISBN 978-4-8002-1681-6 
    • 『「全身病巣」国家・中国の死に方 蝕まれた虚像の大国が悲鳴を上げる』宝島社〈宝島SUGOI文庫 Dせ-2-3〉、2014年9月4日。ISBN 978-4-8002-2714-0  - 石 (2013d)に加筆・修正を行い改定。
  • 『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』PHP研究所〈PHP新書〉、2013年11月16日。ISBN 978-4-569-81621-0 
  • 『なぜ中国人にはもう1%も未来がないのか』徳間書店、2014年5月23日。ISBN 978-4-19-863800-9 
  • 『世界征服を夢見る嫌われ者国家中国の狂気 習近平体制崩壊前夜』ビジネス社、2014年6月20日。ISBN 978-4-8284-1757-8 
  • 『中国崩壊カウントダウン 中国は崩壊の歴史を必ず繰り返す!』宝島社、2014年7月14日。ISBN 978-4-8002-2334-0  - 文献あり。
  • 『帰化人が見た靖国神社のすべて 日本人になった中国人 日本人は「靖国神社」にお参りしよう!』海竜社、2014年8月。ISBN 978-4-7593-1383-3  - 年表あり。
  • 『なぜ中国は覇権の妄想をやめられないのか 中華秩序の本質を知れば「歴史の法則」がわかる』PHP研究所〈PHP新書 979〉、2015年3月13日。ISBN 978-4-569-82485-7 

共著・編著・共編著

翻訳

  • 胡鞍鋼『かくて中国はアメリカを追い抜く――胡錦濤-温家宝体制の戦略』PHP研究所、2003年6月23日。ISBN 4-569-62865-6 

脚注

  1. ^ a b 評論家 石平”. 覚悟の瞬間. 株式会社enjin. 2015年9月19日閲覧。
  2. ^ a b c d 石 平”. 人名事典. 株式会社 PHP研究所. 2015年9月19日閲覧。
  3. ^ 【石平のChina Watch】天津事故に見た習近平体制の綻び”. 産経ニュース. 株式会社産経デジタル (2015年8月27日). 2015年9月19日閲覧。
  4. ^ a b 石平「第4章 日本で出会った論語と儒教の心」(石2009c, pp. 144–189)
  5. ^ a b c d 石平「私は『毛沢東の戦士』だった」(石2009c, pp. 16–60)
  6. ^ a b 石平「第5章 わが安息の地、日本」(石2009c, pp. 194–237)
  7. ^ 石平「新版まえがき」(石2009c, pp. 3–6)
  8. ^ チャイナウォッチML
  9. ^ 石平. “石平のChina Watch”. MSN産経ニュース. 2014年1月25日閲覧。
  10. ^ 月刊『WiLL』2011年2月号の152ページの広告欄。同誌の同年5月号171ページの広告欄には、12万部突破と報じている。
  11. ^ 無料メールマガジン・石平(せきへい)のチャイナウォッチ、2011.05.27 No.127号。
  12. ^ 無料メールマガジン「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成23年7月19日・通巻第3368号。
  13. ^ liyonyon
  14. ^ (石 2011a) [要ページ番号]
  15. ^ 渡部昇一、石平「一体どこが「侵略」だというのか」『歴史通』11号(2011年3月号)、ワック、2011年3月、146-163頁。 
  16. ^ (石 2006b) [要ページ番号]
  17. ^ 産経新聞「正論欄」[いつ?]
  18. ^ 産経新聞「正論欄」[いつ?]
  19. ^ (石 2007c) [要ページ番号]
  20. ^ 石平「台湾はやはり中国ではなかった」『WiLL』48号(2008年12月号)、ワック・マガジンズ、214-219頁。 
  21. ^ YouTube - ‪石平先生のメッセージ‬‏‬‏ http://www.youtube.com/watch?v=14yhl1zvi0g
  22. ^ 評論家 石平氏提言 - ‪ニコニコ動画 http://www.nicovideo.jp/watch/sm4879844
  23. ^ 西村幸祐 共著『「反日」の敗北』の40頁。

外部リンク