小田急1000形電車

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小田急1000形電車
急行として通過線を走る1000形
(2014年12月14日 / 祖師ヶ谷大蔵駅)
基本情報
製造所 東急車輛製造
日本車輌製造
川崎重工業
主要諸元
編成 4・6・8・10両
軌間 1,067(狭軌
電気方式 直流1,500V
最高運転速度 100
設計最高速度 110
起動加速度 3.3 (2.7) *
減速度(常用) 4.0
減速度(非常) 4.5
車体長 20,000
車体幅 2,860
全高 パンタグラフ搭載車 4,145mm
その他 4,060
台車 アムストリンク式空気ばね台車
主電動機 かご形三相誘導電動機
主電動機出力 175kW×4(更新前)
駆動方式 WN駆動方式(更新前)
歯車比 6.31
制御装置 VVVFインバータ制御
三菱電機GTOサイリスタ素子)(更新前)
制動装置 回生制動自動空気ブレーキ併用電磁直通ブレーキ(更新前)
保安装置 OM-ATS
D-ATS-P
CS-ATC(現在は撤去)
備考 * 在来車併結時
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小田急1000形電車(おだきゅう1000がたでんしゃ)は、1988年昭和63年)3月に営業運転を開始した小田急電鉄通勤形電車

概要

小田急では2600形VVVFインバータ制御方式の実用試験を行っていたが、その実績から営業用電車で本格的にインバータ制御を採用した。車体についても同社の車両で初めてステンレス鋼を採用した。採用にあたってはステンレス特有の光沢を押さえたいという小田急側の意向により全面ダルフィニッシュ仕上げとしている。ただし前面のみ繊維強化プラスチック (FRP) 製で、デザインは9000形に類似するものである。

9000形に代わる帝都高速度交通営団(現在の東京地下鉄千代田線への直通対応車でもあり、そのため車体幅なども9000形に準じており同形の発展形とみなすことができる。

2012年(平成24年)3月時点では4両編成19本(76両)・6両編成12本(72両)・8両編成1本(8両)・10両編成4本(40両)の計36本・196両が在籍している。このうち、箱根登山鉄道に専従で充当される「レーティッシュカラー」の車両は、4両固定編成の1058F - 1061Fの4編成である。2007年以降、小田急持ちの千代田線直通列車には本形式と新4000形が使用されていたが、4000形の増備が進んだことと本形式へのD-ATS-P設置により2011年以降、本形式は直通運用から外れ地上専用となった[1]

ブレーキ方式は、従来車と同様に回生制動併用電磁直通空気制動を採用しているので、2000形、新4000形以外の現有通勤車全形式と相互連結が可能である(3000形は電気指令式空気ブレーキのためブレーキ方式が異なるが、3000形に読替装置を搭載しているため連結可能)。

車内内装については8000形後期車において採用された「暖色系」の色調を全面的に採用した。内張りは白色系にベージュ模様入りの化粧板を使用、床材は灰色のカラースキームとなった。なお、主電動機の三相交流化により、床のモーター点検蓋(トラップドア)は廃止されている。座席は赤色の表地に変更された。車内設備は8000形に準じているが、座席端の仕切りは袖仕切と呼ばれる化粧板を貼った板に(座席側はモケット張り)、客用ドア内側は化粧板仕上げに変更されている。天井はラインフローファン方式だが、ラインデリアは先頭車9台・中間車10台に増設された。

機器・乗務員室

冷房装置集約分散式のCU195Cとなった。8000形で実績のあるCU195Aの改良型である。

運転台主幹制御器は従来どおりの縦軸式ABFMタイプだが、オフ位置は右ではなく千代田線仕様の手前である。乗務員室内は緑色のカラースキームである。運転台計器盤は8000形よりも高くし、高運転台に準じたものとなった。乗務員室仕切りは運転席背面は配電盤などの機器設置スペースとしたため窓はなく、中央に仕切扉窓・右端に2段式の窓がある。遮光幕は中央の仕切扉窓のみある。

台車はFS-534(電動台車)とFS-034(付随台車)で、基礎制動装置は全台車が両抱き式踏面ブレーキ(クラスプブレーキ)である。いずれも小田急では2200形からの実績があるアルストムリンク式空気バネ台車である。

車両各所の写真

歴史

  • 1988年昭和63年)3月22日:営業運転開始。
  • 1990年平成2年):営団地下鉄(現在の東京地下鉄)千代田線乗り入れ開始。
  • 1991年(平成3年)4月1日:ワイドドア車営業運転開始。
  • 2004年(平成16年):4両編成(計6編成)のワイドドア車すべてを6両編成(計4編成)に改造。
  • 2007年(平成19年):4+6両編成6本 (1061F+1251F - 1066F+1256F) が通常ダイヤでの千代田線乗入れから撤退。
  • 2009年(平成21年):4両編成3本 (1059 - 1061F) のカラーリング変更が行われる。
  • 2010年(平成22年):10両編成 (1091 - 1094F) が千代田線乗入れから撤退。これにより、本形式は地上線のみの運用となった。
  • 2014年(平成26年):本形式のリニューアルが発表。[2]
  • 2015年(平成27年)1月:リニューアル車1本目となる1066Fが運用を開始した。

編成

編成表

 
← 小田原・藤沢・唐木田・箱根湯本
片瀬江ノ島・新宿・綾瀬
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
4両編成
(1051F - 1069F)
  クハ1150 デハ1100 デハ1000 クハ1050
1151

1169
1101

1119
1001

1019
1051

1069
6両編成
(1251F - 1256F)
クハ1450 デハ1400 サハ1350 デハ1300 デハ1200 クハ1250  
1451

1456
1401

1406
1351

1356
1301

1306
1201

1206
1251

1256
6両編成
(ワイドドア車)

(1751F - 1756F)
クハ1950 デハ1900 サハ1850 デハ1800 デハ1700 クハ1750  
1951

1956
1901

1906
1851

1856
1801

1806
1701

1706
1751

1756
8両編成
(1081F)
クハ1480 デハ1430 サハ1380 デハ1330 サハ1180 デハ1130 デハ1030 クハ1080  
1481 1431 1381 1331 1181 1131 1031 1081
10両編成
(1091F - 1094F)
クハ1490 デハ1440 サハ1390 デハ1340 デハ1240 サハ1290 サハ1190 デハ1140 デハ1040 クハ1090
1491

1494
1441

1444
1391

1394
1341

1344
1241

1244
1291

1294
1191

1194
1141

1144
1041

1044
1091

1094

各編成の仕様

  • 通常タイプのドアを装備する6両編成と10両編成は全編成が千代田線への乗り入れに対応していたが、前項で述べたように4000形の投入およびD-ATS-Pの設置でATCが撤去されたため、乗り入れができなくなっている。逆にワイドドアの6両編成は千代田線に乗り入れないため登場時よりATCを搭載していない。
  • 8・10両編成とワイドドア6両編成のドア鴨居部には、ドアチャイム(1751・1752Fを除く)とLED式の旅客案内表示器が設置され、次の駅・乗り換え案内や小田急からのお知らせなどを表示している。なお、10両編成には広告を掲示する枠が設置されておらず、すべての鴨居部に2装置を設置している。千代田線内では、小田急線内と異なる表示をしており、次の駅の案内(駅ナンバリング対応)と乗客へのお願い文(冒頭には東京地下鉄6000系などと同様に「東京メトロをご利用頂きましてありがとうございます。」の表示が出る)のみを表示する。
    • 8両:千鳥配置、黒枠
    • 10両:全ドア上、白枠(1091・1092Fは黒枠で3000形や8000形更新車と同型)
    • ワイドドア:千鳥配置、1751 - 1753F・1754Fの2・3号車がオリジナルの形状、1754(2・3号車は除く) - 1756Fは黒枠
  • リニューアル車の各ドア鴨居部には、ドアチャイムと17インチの液晶ディスプレイ装置2台が搭載されている。液晶ディスプレイは、右側が「TVOS(車内案内表示装置)」、左側が「小田急TV(電子広告)」である。「TVOS」では、三菱電機のSesamicro(セサミクロ)を使用したものを採用し、小田急の通勤車両で初めてアニメーション表示に対応した。
  • 1本のみ在籍する8両編成は、小田急の通勤車で初めて自動放送装置を搭載した。これは試験的なもので、その後2000形以降の各系列で本格的に採用された。なお、この編成のみ、現在も英語放送が行われていない。また、4両編成についても3000形または8000形更新車と併結運転を行っている場合に限り自動放送が流れるが、これは併結相手にある自動放送装置を使用している。この場合、自動放送の設定は相手側運転台での設定となる。
  • 8・10両編成では、併結運転を行わないので電気連結器は装備していない。
  • 6両の1252Fは、日本車輌製造において1989年(昭和64年)に落成したため、車内には「昭和64年 日本車輌」と記載された銘板がある。また、この編成は1993年3月から2000年11月ごろまで、1251Fは2004年11月まで千代田線乗り入れ機器を外して地上線で使用されていた。2011年現在は全編成ATCが撤去されたため、乗り入れが不可能となっている。
  • 元千代田線直通対応車のうち、分割可能編成の連結部乗務員室仕切扉の上部には「地下鉄線内では非常の場合通れます」という看板とステッカーが、また横には「地下鉄線内で非常の場合はつまみを左にまわしてください」のステッカーが貼付されている。
  • 車掌スイッチは千代田線非対応車では従来の押し棒式で、安全装置として戸閉鎖錠スイッチ[3]を設置している。
    • 一方、元千代田線対応車では戸閉鎖錠スイッチではなく、ひねり式[4]の車掌スイッチを使用している。

車内

ワイドドア車

通常の車両は扉幅は1300mm
 
ワイドドア車の扉幅は2000mm
運転台後ろのみ1500mm

1990年(平成2年)から1991年(平成3年)にかけて幅2mのワイドドアを採用した車両が登場したが、乗務員室直後のみ幅1.5mである。これらの車両は俗に1700形(過去に存在した4両編成の場合は1500形)に分けられることがある。

この車両には多くのテスト的施策があり、側面にはLED式の種別・行先表示器のほか、1次車(1551F・1552F・1751F・1752F)では車内旅客案内表示装置と座席跳ね上げ機構を小田急で初めて搭載している。車内旅客案内表示装置は1551Fと1751FにLED式スクロールタイプが、1552Fと1752Fに液晶式ディスプレイタイプ(LCD。ただし後に登場した3000形や4000形より小型)がそれぞれ採用された。その後新製した2次車 (1553 - 1556F) もLCDを採用したが、液晶の劣化が早く、数年で順次撤去した。また、客室内の戸袋と扉以外の窓をパワーウィンドウとし、ボタン操作で開閉できるようになっている(これも本形式のみの装備)。

ラッシュ時の乗降をスムーズに行うために幅2mのドアを採用していたが、期待した程の効果が得られなかったことと閑散時間帯での座席数を増加させるため、1998年(平成10年)に東急車輛製造で0.4m狭く2000形と同一の幅1.6mに改造した。この際に構体のドア開口部は従来どおりとしたため、開扉時に左右それぞれ0.2m引き残している。車内はドア幅の縮小に合わせて内装を装備したため、引き残しているようには見えないが、閉扉時の扉窓位置が左右非対称となり、扉窓の両端部が仕切りと接しているように見える。ドア改造の際には1551Fと1751FのLED式装置の一部を1552Fと1752Fに取り付け、1551F・1751Fと1552F・1752Fでそれぞれ千鳥配置となった。1553F - 1556Fの各編成では6両編成化工事の際に新しくLED式スクロールタイプを設置している。これは千代田線直通対応編成である1091F - 1094Fおよび1081Fの枠を黒くしたタイプで、1次車とは若干形状が異なる。ドアチャイムは1753F - 1756Fのみ設置されている。通常ドア編成と異なり、ワイドドア編成は優先席が各車両の両端(先頭車は連結面側のみ)に設けられている。また、一部編成には車椅子スペースが設置されている。

1991年の新製当初の段階では4両編成6本(24両)と6両編成2本(12両)の計36両が在籍し、4両編成は小田原寄りに通常ドア幅の1000形4両編成を連結した8両編成で新宿口の各駅停車に充当されていた。しかし2004年(平成16年)に4両編成は一部先頭車を中間車に改造した上で編成を6両固定に組み換えて解消したので、2007年時点では6両編成6本となり、他の6両編成と共通運用されている。

側面のLED式種別・行先表示器は登場時は書体がゴシック体で、フォントはロゴ並みになっているなど画素が粗かったが、2005年(平成17年)より明朝体のものになるとともに英字も表示可能なもの(3000形1・2次車と同じ物)に交換した。また、2008年度に、1751F・1752F・1753Fが、2009年度に1754F[5]・1755F・1756Fが純電気ブレーキ化改造を受けた。

このグループには、登場以来千代田線直通に対応する編成は存在しない。

なお、車内の銘板は、ドアの幅の改造時にすべて東急車輛製造のものに交換されており、さらに1753F - 1756Fは組み換えの際に再度交換されている。このため、川崎重工業製であっても車内の銘板は「東急車輛」である。

車両各所の写真
車内各所の写真

日本の他鉄道事業者のワイドドア車としては、東京メトロ東西線用の05系第14 - 18編成と15000系に1.8m幅のものを採用した事例がある。

リニューアル

製造から25年ほど経過したこともあり、リニューアルを実施することが2014年4月に発表された[6]。 更新内容は以下の通り。

リニューアル改造を終えて営業運転を開始した1000形
(2015年1月28日 / 参宮橋駅-南新宿駅)
外観
  • 車体ラインカラー帯をロイヤルブルー色から4000形と同様のインペリアルブルー色に変更した[7]
  • 連結面では車外放送用スピーカーを新設したほか、今後のホームドア設置を考慮して非常用ドアコックを新設している[7]
内装
  • 車内インテリアについては、天井のラインデリア周りに風をイメージした青いラインが施され、壁面はブルー基調、床面は木漏れ日をイメージしたものとなった。座席は一般席がロビンスブルー、優先席がルベキュラーグレーとし、座面は1人あたり最大13ミリ拡幅された。座席の手すりは曲線型のものとなり、座席両端の仕切りが大型のものに交換された。つり革は丸型で、一般席部分は薄い青色、優先席部分は黄色となっている。先頭車には車いすスペースが設置された。
サービス機器など
  • 空調装置は、冷房能力を約8%アップ(1両あたり50,000kcal/h)した他、乗車率に応じた風量調整が可能な送風機を採用。
  • 行先・種別表示器は字幕式から高輝度フルカラーLEDに変更した[7]。本系列搭載のものは、従来品よりも省電力、高コントラストの新しいタイプとなっている[7]
  • 室内灯にはLED照明が採用され、色温度は一般席は白色系(5000K)だが、優先席は暖色系(3200K)として区別を図っている[7]
  • 各ドア上部には17インチワイド液晶ディスプレイ(LCD)が2台設置された[8]。LCDは右側が「TVOS(車内案内表示装置)」、左側が「小田急TV(電子広告)」である。広告画面の配信にはモバイルWiMAX通信方式としており、先頭車屋根上に受信アンテナを設置した[8]。合わせてドア開閉時に赤く点滅するドア開閉表示灯、ドアチャイムを新設した[7]
  • ドアエンジンは空気式に変更ないが、一定時間戸閉力を弱める戸閉力弱め制御機構が追加された[8]
  • 車内非常通報装置は警報式から乗務員と相互に通話可能なものへ更新したほか、放送装置には自動放送装置が追加された[8]
走行機器など
  • 制御装置に世界初となるトランジスタ部にSiC-MOSFET、ダイオード部にSiC-SBDを使用した「フルSiC(炭化ケイ素)適用VVVFインバータ装置(三菱電機製)」を採用[9](ハイブリッドSiC素子を含めた場合は日本の鉄道車両で2例目の採用である[10][11]。これにより制御装置を大幅に小型・軽量化(約80%低減)。またブレーキ時の回生電力量が増加し、現行の1000形と比較して定員時約20%、最大約36%の省エネを実現。2015年1月17日から5月8日に行った営業運転車両による省エネ効果の検証では、主回路システム(インバータ装置・高効率全閉形誘導電動機・低損失のフィルタリアクトルなどで構成)全体での消費電力量および電力回生率が、従来のSi-GTOサイリスタ搭載車と比較して、加速時の力行電力量が約17%減少、減速時の電力回生ブレーキによる電力回生率が従来の34.1%から52.1%に向上し、全体として約40%の省エネ効果を実証した[12]
  • モーターに190kW高効率全密閉モーターを採用し、更なる省エネルギー化と低騒音化を実現。
  • 補助電源装置は、東洋電機製造製の静止形インバータ(SIV)、SVH210-4075A(定格容量210kVA[13])に換装された。初充電回路からインバータ出力部および制御回路部を二重化した待機二重系方式であり、回路方式には高耐圧の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が採用され、3レベル方式とすることで低騒音化が図られている。[14]
  • リニューアル後の本系列は3000形 3次車以降との併結運用が多くなることから、モニタ装置の車両情報管理装置(TIOS)化が実施された[7]。TIOSの搭載により、制御伝送機能の集約のほか、編成全体での遅れ込め制御の実現により、乗り心地の向上や省メンテナンス化が図られている[7]
  • ブレーキ装置はこれまでの電磁直通式から電気指令式ブレーキ(MBSA)方式に更新し、合わせて台車中継弁を設置することでブレーキ応答性の向上を実現した[8]

リニューアルは2014年度から2021年度にかけて、ワイドドア車36両を除いた全ての車両に実施される予定となっている。2014年度は2編成8両(4両編成2本)が施工対象とされ[15][16][17]、2015年1月、初めてリニューアル改造を終えた1066Fが運用を開始し、3月に1057Fが運用開始した。

2015年度は4両編成1本に施工[18]、8月に1063Fが運用開始した。

動向

3000形と連結して急行運用に使用される1000形
(2008年8月5日 / 栢山駅 - 富水駅間)
 
車体外装を箱根登山鉄道の車両と同様のデザインとした1000形4両編成
(2009年3月17日 / 栢山駅 - 富水駅間)
  • 2001年(平成13年)ごろから制御装置制動装置の交換が実施されている。純電気ブレーキ対応となり、起動・停止時の非同期領域磁励音が変化している。2012年8月に1091Fを最後に全ての編成に施工が完了している。また、同時期から座席が赤色モケットからピンク系バケットシートに交換され、2008年時点では全編成への施工が完了している。
  • 6両編成の小田原寄り先頭車の電気連結器は通常使用しないため、撤去されている。
  • 4両固定編成は、新製導入時から本形式の4両編成を2本連結した8両編成による新宿口での各停中心の運用に多く充当されてきたが、2000形3000形8両固定編成の新製と旧4000形9000形5000形4両固定編成の廃車で、本形式の4両編成を2本連結した8両編成による運用は少なくなり、4両編成車は6両編成の各形式と併結し、快速急行急行などの優等運用と4両単独で新松田駅以西の箱根登山線直通各停運用に就くことが多い。
  • また、千代田線直通対応車(主に6+4両編成)も4000形の新製と、優等列車の分割併合運用が大幅に減少したことから地上運用に充当される頻度が増加した。2007年(平成19年)8月7日江の島海岸での花火大会輸送時には10両固定編成が充当された。
  • 2014年現在、8両固定編成は2000形や3000形の8両固定編成同様、各駅停車と区間準急の主力車両として運用されている。なお、保安装置・編成長の関係から小田原線新松田以西と江ノ島線での定期運用はなく[19]、ほとんどが小田原線新宿 - 本厚木間と多摩線での運用となっている。
  • 9000形の運用終了に伴い、旅客運用のほか、新製車やクヤ31形検測車「TECHNO-INSPECTOR」などの牽引や、甲種輸送の牽引に使われている。このうち、クヤ31形の牽引に対応するのは1051F・1751F・1752Fである。
  • 毎年1月2日3日には6+4編成が千代田線大手町箱根湯本藤沢行きと箱根湯本発綾瀬行き臨時急行「箱根駅伝応援号」に充当される。それ以外にも「初詣&初日の出号」などの臨時列車に充当されている。なお、前者は2008年の運転はなく、後者は2007年から2008年は「初詣号」「初日の出号」に分割して運転していた。
  • 千代田線直通対応車は、2007年9月から4000形の投入を開始したため、その置き換えで分割可能編成が直通運用から離脱し、5000形・5200形の置き換えに充当されている。なお、直通運用から離脱した編成は当初車両不足などの対策が可能になるよう乗り入れ機器は撤去されておらず、千代田線内での貫通扉についての使用方法や女性専用車などのステッカーも千代田線に対応したままとなっていた。なお、ブランドマーク導入時に他系列も千代田線に対応したものに交換している。
  • 2008年3月15日のダイヤ改正以降、10両固定編成も4000形と共通で小田急線内の急行・快速急行運用に充当されるようになった。
  • 2008年3月15日からブランドマークの貼り付けが開始された。
  • 2009年3月のダイヤ改正に合わせて、箱根登山線内の折り返し運用および新松田駅 - 箱根湯本駅間の直通運用に使用される4両編成3本 (1059F - 1061F) が、車体の外装を同社の1000形2000系に準じた赤色(箱根登山鉄道と姉妹提携を結んでいるスイスレーティッシュ鉄道をイメージしている)に変更された[20][21]。その後2012年3月に1058Fも同様のレーティッシュカラーに変更された。2012年3月のダイヤ改正以降は、小田原 - 箱根湯本駅間の列車はこれらの車両に統一されている[22][23]

脚注

  1. ^ 【小田急】1000形10輌編成に小変化”. 鉄道ホビダス. 2011年2月14日閲覧。
  2. ^ 世界初!制御装置にフルSiC適用のVVVFインバーターを採用通勤車両1000形のリニューアルに着手!〜運転電力を従来比約20%から最大36%削減〜 (PDF) 小田急電鉄公式サイトニュースリリース
  3. ^ 専用のを挿入しないと車掌スイッチを使用できなくする安全装置。
  4. ^ 従来型と同様の押し棒式だが、安全のために開扉の際は棒を ひねり ながら上に押さないと開扉操作をできなくするもの。
  5. ^ 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.258
  6. ^ 世界初!制御装置にフルSiC適用のVVVFインバーターを採用通勤車両1000形のリニューアルに着手!〜運転電力を従来比約20%から最大36%削減〜 (PDF) 小田急電鉄公式サイトニュースリリース
  7. ^ a b c d e f g h 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」2015年3月号研究と開発「小田急電鉄1000形リニューアル工事の概要」4-5頁記事。
  8. ^ a b c d e 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」2015年3月号研究と開発「小田急電鉄1000形リニューアル工事の概要」6-7頁記事。
  9. ^ 直流1500V架線対応「フルSiC適用VVVFインバーター装置」採用のお知らせ (PDF) 三菱電機公式サイトニュースリリース
  10. ^ 日本ではこの1000形の機器更新が行われた前年の2014年に東京メトロ05系北綾瀬支線用改造車が日本の鉄道車両としては初のSiC素子を採用した。この1000形の改造が行われた2015年には1000形と相前後して京都市交通局10系機器更新車(日本3例目のSiC素子採用)が、直後に落成したJR東日本E235系量産先行車(日本4例目のSiC素子採用)がSiC素子を使用したVVVFインバータ装置採用している。ただし、1000形と異なり、東京メトロ05系北綾瀬支線用改造車と京都市交通局10系機器更新車ではトランジスタ部にSiC素子、ダイオード部にIGBT素子とを組み合わせたハイブリッドSiC適用の制御装置のみを搭載し、JR東日本E235系量産先行車ではフルSiC適用の制御装置とハイブリッドSiC適用の制御装置の両方を採用していると言う違いがある。
  11. ^ 小田急8000形西武6000系など、試験的なSiC素子の採用の形式を除く。
  12. ^ 世界初、営業運転鉄道車両で省エネを実証 主回路システム全体として約40%省エネ 小田急電鉄車両での「フルSiC適用VVVFインバーター装置」実証結果のお知らせ三菱電機公式サイトニュースリリース 2015年6月22日
  13. ^ 出力電圧は三相交流200V 60Hzである。
  14. ^ 小田急電鉄株式会社1000形更新車用補助電源装置 (PDF) 東洋電機技報第131号
  15. ^ 世界初!制御装置にフルSiC適用のVVVFインバーターを採用通勤車両1000形のリニューアルに着手!〜運転電力を従来比約20%から最大36%削減〜 (PDF) 小田急電鉄公式サイトニュースリリース
  16. ^ 直流1500V架線対応「フルSiC適用VVVFインバーター装置」採用のお知らせ (PDF) 三菱電機公式サイトニュースリリース
  17. ^ 小田急が通勤車両リニューアルへ 座席幅を最大13ミリ拡大 (PDF) THE PAGE
  18. ^ "2015年度の鉄道事業設備投資計画" (PDF) (Press release). 小田急電鉄. 2015年7月29日閲覧
  19. ^ 新松田 - 小田原間と江ノ島線の急行通過駅(一部停車駅を含む)は20m車6両編成分のホーム有効長しかないため。
  20. ^ 「3月14日(土)のダイヤ改正より、箱根登山線内を運行する小田急通勤車両1000形のカラーリングを変更します」 (PDF) 小田急電鉄公式サイトニュースリリース
  21. ^ railf.jp 箱根登山線専用カラーになった小田急1000形が回送される - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2009年3月14日
  22. ^ 「2012年3月17日(土) ダイヤ改正を実施します」 (PDF) 小田急電鉄公式サイトニュースリリース
  23. ^ 「2012年3月17日(土) ダイヤ改正を実施します」 (PDF) 箱根登山鉄道公式サイトニュースリリース

参考文献

  • 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」
    • 2015年3月号研究と開発「小田急電鉄1000形リニューアル工事の概要」

関連項目