箱根登山鉄道鉄道線
| 箱根登山鉄道鉄道線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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80‰の急勾配。1両15m程度の前後で、高さが1m違う
(1993年頃) |
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| 路線総延長 | 15.0 km | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 軌間 | 1067 mm / 1435 mm | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 電圧 | 1500 V / 750 V(直流) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 最大勾配 | 80 パーミル | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 最小半径 | 30 m | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
軌間は現状を示す
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鉄道線(てつどうせん)は、神奈川県小田原市の小田原駅から箱根町の強羅駅までを結ぶ箱根登山鉄道の鉄道路線。箱根湯本駅と強羅駅の間は粘着式鉄道(普通鉄道)としては日本最急勾配の山岳鉄道である[1]。対外的に「箱根登山電車」・「箱根登山線」等と社名の略称を強調した案内呼称、あるいは社名での案内が多い(鋼索線は「箱根登山ケーブルカー」)。また、建設時、スイスのレーティッシュ鉄道ベルニナ線を参考にしており、それが縁で箱根登山鉄道はレーティッシュ鉄道と友好鉄道提携を結んでいる。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):15.0km
- 軌間
- 小田原 - 入生田間:1067mm(小田急車による運行のみ)
- 入生田 - 箱根湯本間:1067mmと1435mmの三線軌(小田急車により運行。自社車両は回送のみ)
- 箱根湯本 - 強羅間:1435mm
- 駅数:11駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線
- 小田原 - 箱根湯本間:直流1500V
- 箱根湯本 - 強羅間:直流750V
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 箱根湯本 - 強羅間最高速度:40km/h
[編集] 歴史
- 1919年(大正8年)6月1日 小田原電気鉄道鉄道線として箱根湯本駅 - 強羅駅間開業。小田原までの軌道線(路面電車)と連絡。600V電化。
- 1920年(大正9年)10月21日 塔ノ沢駅が開業。
- 1926年(大正15年)1月16日 チキ5号電車が宮ノ下付近で脱線転覆、17名死亡(箱根登山鉄道電車脱線転落事故を参照)。
- 1928年(昭和3年)1月1日 日本電力が小田原電気鉄道を合併。
- 1928年8月16日 軌道線・鋼索線とともに箱根登山鉄道に分離譲渡。
- 1935年(昭和10年)10月1日 小田原駅 - 箱根湯本駅間開業。600V電化。並行路線となる軌道線を廃止。
- 1950年(昭和25年)8月1日 小田原駅 - 箱根湯本駅間が1500Vに昇圧・三線軌条化され、小田急電鉄の車両が片乗り入れを開始。
- 1972年(昭和47年)3月14日 全線CTC化。
- 1972年3月15日 二ノ平駅を彫刻の森駅に改称。
- 1993年(平成5年)7月14日 箱根湯本駅 - 強羅駅間の架線電圧を600Vから750Vに昇圧。同時に3両編成の運用が開始される。
- 2000年(平成12年)12月2日 日中の小田原駅 - 箱根湯本駅間の運用はすべて小田急電鉄からの片乗り入れ車両のみとなり、自社の車両による運用は朝と夕方以降のみとなる。
- 2006年(平成18年)3月18日 小田原駅 - 箱根湯本駅間での自社車両の運行を取り止め、小田急の乗り入れ車両のみとなる。
- 2006年(平成18年)9月 小田原駅 - 入生田駅間の三線軌条の標準軌部分のレールを撤去。
- 2008年(平成20年)3月15日 小田原駅 - 箱根湯本駅間での小田急の乗り入れは、特急と4両編成の各停のみとなる(ただし急行の後4両の各停での乗り入れは残る)。
- 2009年(平成21年)3月14日 小田原駅 - 箱根湯本駅間で箱根登山(レーティッシュ鉄道)色の小田急1000形が運行を開始する。
- 2010年(平成22年)5月24日 今上天皇と皇后が、箱根湯本駅から強羅駅まで専用臨時列車(お召し列車)に乗車。本路線でお召し列車が運行されたのはこれが初めて[2]。
- 2011年(平成23年)3月14日 同月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による発電所の停止に伴う電力供給逼迫のため、東京電力が輪番停電(計画停電)を実施。これに伴い、この日から小田急小田原線との直通運転が休止され、特急ロマンスカーの運転が休止される。
- 2011年(平成23年)4月16日 特急ロマンスカーが列車名を「臨時」として運転再開。
- 2011年(平成23年)4月29日 小田急小田原線との直通運転が再開され、特急ロマンスカーが通常の列車名で運転再開。
[編集] 運行形態
箱根湯本駅 - 強羅駅間は、車輪とレールの間の粘着力だけで走る鉄道としては日本で最も急な勾配(80‰)を登る[1]。3両編成 (45m)では前後の高低差が3.6mにも及ぶという急勾配で、単に小田急電鉄の車両とは軌間や電化方式が異なるためだけではなく、そのための性能と装備を持った専用の車両のみが運行可能である。この区間に3か所(出山信号場・大平台駅・上大平台信号場)あるスイッチバックも山岳鉄道的な特徴である[1]。このほか、カーブの最小半径も30mと小さく[1]、車輪とレールの磨耗を防ぐために散水(一般的な鉄道で使用されている潤滑剤方式では急勾配区間の走行の安全性に問題があるため)を行いながら走行し[3]、また電車の走行・ブレーキに使用する抵抗器は下り坂での発電ブレーキで使用の際に大量の熱が発生するため、冷却しやすいように屋根上に搭載している[3]。
小田原駅 - 箱根湯本駅間は、現在は小田急電鉄の車両のみでの運行となっているため(詳細は後述)、箱根湯本駅で完全に系統が分断されており、小田原 - 箱根湯本間は車両運用上は小田急小田原線の延長のような形態をとっている。箱根登山鉄道の車両に掲示されている路線図では、小田原 - 箱根湯本間を「小田急電車」、箱根湯本 - 強羅間を「箱根登山電車」としている。
現在の運行形態は、箱根湯本駅 - 強羅駅間は、自社車両での運転で、運転本数は日中で1時間に4本の運転である。小田原駅 - 箱根湯本駅間は、同区間内のみ折り返し運転の各駅停車のほか、小田急小田原線新宿(毎日)、東京地下鉄千代田線北千住(土休日のみ)方面から特急ロマンスカー「はこね」「スーパーはこね」「メトロはこね」と、新松田からの各駅停車が乗り入れる(一部町田、相模大野発あり)。運転本数は日中で1時間あたり各駅停車4本と特急2本である。
小涌谷駅に隣接する小涌谷踏切は東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の往路5区・復路6区のコースとなっていて、出場選手や大会関係車両が通過する。選手や大会関係車両の踏切での足止めを防ぐため、開催日の1月2日(往路)昼頃と1月3日(復路)午前8時台は踏切に係員を待機させ、選手や大会関係車両の通過時に電車を踏切手前で停止させる措置を取る。
[編集] 小田原駅 - 箱根湯本駅間の乗り入れ
小田原駅 - 箱根湯本駅間は、1950年から小田急の電車が乗り入れを開始した[1]。これに伴い、乗り入れ対応の工事を実施した。箱根登山鉄道の軌間は1435mm(標準軌)であるのに対し、小田急電鉄は1067mm(狭軌)であるため、小田原駅から箱根湯本駅までの区間は三線軌条により双方の軌間に対応していた[1]。また、架線電圧も箱根登山鉄道の600V(1993年からは750V)に対し、小田急電鉄の車両は1500Vであるため、片乗り入れ開始に併せて箱根登山鉄道の電車に600V(1993年からは750V)/1500Vの複電圧対応改造を施し[1]、小田原駅 - 箱根湯本駅の区間を1500Vに昇圧した[1]。こうしてこの区間では、箱根登山鉄道と小田急の乗り入れ車両の両方によって列車が運転されることとなった。
2000年12月2日より、自社車両による上記区間の運転は、朝と夕方以降のみとなった。さらに、2006年3月18日からは、小田原駅 - 箱根湯本駅間は、輸送力増強とバリアフリーへの対応のため、自社車両による運行を取り止め、終日、親会社である小田急電鉄からの乗り入れ列車のみで運行されることになった。箱根湯本駅より小田原駅側にある入生田駅には箱根登山鉄道入生田車庫があり、この車庫への自社車両の入・出庫回送のため車両の複電圧構造や入生田駅 - 箱根湯本駅間の三線軌条が残されることになったが、小田原駅 - 入生田駅の三線軌条は撤去され、小田原 - 入生田間の線路を箱根登山鉄道の自社車両が走行することは物理的に不可能となっている。小田原駅の箱根登山鉄道車両専用ホームの跡地には、新たに有効長91mの11番線が設置されている。
2008年3月14日までは、箱根湯本駅まで、新宿方面からの急行・準急も乗り入れていた(急行・準急は箱根登山鉄道線内では各駅に停車)。直通していた急行のうち朝の3本は、新宿到着が朝の通勤ラッシュのピークにかかるため、1号車が女性専用車となっていたが、風祭駅でのドア扱いが1号車のみだったため、箱根登山線内は対象外となっていた。
小田急の車両については、特急は小田急の運転士・車掌のみが乗務している。各駅停車については、朝と夕方以降は箱根登山の運転士・車掌も乗務している。
[編集] 乗車券・PASMO等
2003年3月19日より、小田急の電車が乗り入れる小田原駅 - 箱根湯本駅間の各駅でパスネットが、2007年3月18日より、全駅でPASMOが利用できるようになった。なお、パスネットの自動改札機における取り扱いは2008年3月14日で終了している。
パスネットの利用可能区間の途中3駅はパスネット対応の自動改札機が設置されていなかったため、係員のいる窓口で対応していた。また、PASMOについては簡易型改札機を設置して対応している。
2007年3月18日の箱根登山鉄道線でのPASMO導入に伴い、終日無人駅となる塔ノ沢駅を除いて、「PASMO対応自動券売機」が設置(交換)された。この券売機を使用することにより、PASMOにチャージすることができる。しかし、小田原駅の小田急式券売機(箱根登山鉄道線の乗車券購入ができる)や、改札内にある自動精算機(小田急式)を除いて、PASMOを使用しての箱根登山鉄道線の乗車券を購入したり、乗り越し精算に(PASMOを)使用することはできない。
以前は温泉巡りの客の便を考慮し、線内の乗車券は片道でも2日間有効で途中下車可能であったが、2002年4月よりこの取り扱いは廃止され、片道乗車券は他の多くの路線同様通用発売当日限り・下車前途無効に変更された。しかし、現場では起点駅からの運賃と同額の駅を除いた途中駅では便宜的に途中下車を認めていたようである。しかしながら、この便宜的な途中下車の取り扱いも、2007年3月18日のPASMO導入により廃止された。
特急ロマンスカーは、箱根登山線内のみの利用はできなかったが、2005年10月1日から座席券(大人200円)の発売が開始され、空席がある場合に限り利用可能になった。ただしこの座席券の発売は、小田原駅・箱根湯本駅の改札内だけで、当日のみ発券(購入)が可能である。
[編集] あじさい電車
沿線の線路沿いにはアジサイが植えられている。これは、車窓の開ける場所があまりないことから、季節ごとに車窓から花を楽しめるようにすることから考えられた[4]もので、鉄道会社の社員の手で植えられたものである[4][5]。昭和初期より始められ、2010年には1万株以上のアジサイが植えられている[5]。会社側も「あじさい電車」として、沿線でアジサイの花が見ごろとなる6月中旬から7月中旬にかけては積極的に広報活動を行なっている。
これらのアジサイの開花時期に合わせて、毎年6 - 7月に、箱根湯本駅 - 強羅駅間で、夜ライトアップされたアジサイを楽しむことができる全席指定の臨時電車「夜のあじさい号」が運行される。この電車は予約制(予約は電話のみ)で、大人600円・子供400円が必要になる。この料金には箱根湯本駅 - 強羅駅間の片道運賃を含んでいるため、小田原駅などから箱根湯本駅へ向かい、「夜のあじさい号」に乗車する場合は、強羅駅までではなく、箱根湯本駅までの乗車券を購入すれば良い。ただし、「夜のあじさい号」は、「箱根フリーパス」での乗車はできない。アジサイのライトアップ区間では徐行したり、停止したりする(アジサイのライトアップ自体は、通常の各駅停車でも見ることはできるが、原則として徐行や停止はしない)。また途中駅での下車はできないが、宮ノ下駅のみ休憩停車があり、記念撮影などを行うことができる。かつては、小田原駅 - 強羅駅まで運行する「夜のあじさい号」も存在した。
[編集] 沿線概況
[編集] 概略
小田原 - 強羅間の全区間の平均勾配は35‰(パーミル)を超える。特に、本格的に急勾配の区間となる箱根湯本 - 強羅間8.9kmでは、標高差は445mとなり、80‰の勾配がかなりの比率を占め、この区間の平均勾配は50‰と計算される。この区間では大半の区間で山林の中を走り、あまり視界が開ける場所がない。
[編集] 小田原 - 箱根湯本
箱根湯本までは80‰に至るような急勾配は存在せず、平均勾配は13‰に過ぎない。かつて自社車両による運行があったころの自社運転士はこの区間を「平坦線」と称し[6]、空を見上げるような急勾配で初めて山を登る気分になっていたという[6]が、それでも最大40‰の急勾配や半径160mの急曲線が存在し、本来山岳用ではない小田急車が走っている。
標高26mの小田原を発車した列車は、しばらくJR東海道本線と並行して南に下る。こののち、標高27mの箱根板橋の手前で向きを90度西に変えると、早川沿いを国道1号と併走して箱根湯本に向かう。ここからは、すでに33-40‰の勾配が連続し、風祭で標高48m、入生田では標高66mに達する。この区間は急勾配が連続するものの、沿線は単なる山間部ではなく宅地も多い。また、風祭付近では交差する小田原厚木道路の近代的な高架橋なども見られる。
入生田を出てほどなくすると箱根町に入る。この後も33-40‰の急勾配と半径160mの急曲線が続き、左側に国道1号・早川が近づくと、標高108mの箱根湯本に到着する。
[編集] 箱根湯本 - 大平台
箱根湯本を発車すると、急勾配を登る前の助走区間のようなものは存在せず[7]、100m弱走っただけで直ちに80‰の急勾配にかかる。車内でも吊革が斜めになっていることが分かる[8]ほどの勾配で、数百mほど進んだところで後ろを振り返ると、駅と同じくらいの高さだった温泉街は、かなり下の方に見える。3番目のトンネルを抜けると標高165mの塔ノ沢に到着する。上りホームの片隅には銭洗弁天がある。
塔ノ沢を発車するとトンネルに入るが、トンネルの出口はかなり上の方にあり[9]、井戸の底から空を見上げるようにも見え[10]、この電車が登れるのかと驚く人もいる[9]。2つ目のトンネルを抜け、視界が開けると早川橋梁で、深さ43mの谷をゆっくりと渡る光景は、箱根観光における名所の一つにもなっている。同時に国道1号を越えるとまたトンネルに入る。左へのカーブが続き、しばらくすると右手から線路が下ってきて、標高234mの出山信号場である。ここで左下を見ると、先ほど渡った早川橋梁が眼下に見える[11]。早川橋梁と出山信号場の水平距離は200m強にすぎないが、標高差は50-60mほどもある。スイッチバックのため、ここで進行方向が変わり、先ほど右手から下ってきた線路を登ることになる。国道1号から少し離れた場所を80‰の急勾配で登り、左から線路が下ってくると標高349mの大平台に到着である。厳しい線路条件から、塔ノ沢からの1駅2.8kmに15分を要している。
[編集] 大平台 - 強羅
大平台はスイッチバック駅のため、また進行方向が変わる。右側の線路に入るが、こちらは66.67‰と、さほどの急勾配ではない[8]。500mほどで右手から線路が下って合流し、標高359mの上大平台信号場。ここもスイッチバックで、さらに進行方向が変わり、先ほど合流してきた上り80‰勾配の線路を登る。トンネルを抜けると標高410mの仙人台信号場であるが、ここはスイッチバックではない。直線距離では大平台から500m程度しか離れていないが、標高は61mも高くなっている。仙人台からは再び国道1号と並行するが、ここから先の区間では本来はトンネルで抜けるところを、温泉脈に悪影響を与えないように地形に逆らわないルート設定となった[12]。このため、随所に半径30mのカーブが出現する。3両編成の列車(全長45m)の場合、先頭車と後尾車では120度の角度の差がつく[13]。55‰程度の勾配で徐々に高度を上げ、眼下に温泉街が見えると標高448mの宮ノ下に到着する。大平台からの1駅2.2kmで10分近くを要している。
宮ノ下を発車すると、また80‰の上り勾配で高度を上げてゆく。やがて、急な右カーブを曲がり、続いて左カーブにかかるところで国道1号の踏切がある[14]。箱根駅伝では選手の通過時にこの踏切の手前で電車を停車させる[14]。踏切を過ぎるとまもなく標高535mの小涌谷である。1.3kmで87mを登っており、この1駅間の平均勾配は66.9‰である。
小涌谷を発車すると、一旦半径30mの左カーブで90度向きを変えた後、半径30mの右カーブで180度向きを変えるが、これも地形に逆らわないルート設定の結果である[12]。ここから先はさほど急なカーブはなく、直線的な線形となるが、緩い勾配は続いている。彫刻の森美術館の敷地の間を通りぬけると、ほどなく標高551mの彫刻の森に到着である。
ここから先は平坦に近く、やはり緩いカーブで進路を北に向ける。電車の走りも、それまでの重い走りから一転、軽快な速度となる。そのまま別荘地に入り、標高553mの強羅に到着する。スイッチバックが3回あったため、箱根湯本を出発した時とは進行方向が逆になった状態での到着である。
[編集] 利用状況
[編集] 輸送実績
箱根登山鉄道鉄道線の輸送実績を下表に記す。
表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
| 年 度 | 輸送実績(乗車人員):万人/年度 | 輸送密度 人/1日 |
特 記 事 項 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 通勤定期 | 通学定期 | 定 期 外 | 合 計 | |||
| 1975年(昭和50年) | 95.3 | 104.7 | 481.9 | 681.9 | 9,038 | |
| 1976年(昭和51年) | 103.9 | 108.0 | 491.2 | 703.1 | 8,953 | |
| 1977年(昭和52年) | 110.2 | 108.8 | 519.1 | 738.2 | 9,265 | |
| 1978年(昭和53年) | 109.7 | 108.0 | 535.1 | 752.9 | 9,401 | |
| 1979年(昭和54年) | 113.1 | 107.1 | 564.8 | 785.0 | 9,613 | |
| 1980年(昭和55年) | 114.8 | 106.2 | 564.4 | 785.5 | 9,625 | |
| 1981年(昭和56年) | 118.0 | 104.9 | 572.9 | 795.8 | 9,221 | |
| 1982年(昭和57年) | 123.1 | 98.2 | 587.5 | 808.8 | 9,905 | |
| 1983年(昭和58年) | 120.5 | 99.5 | 563.6 | 783.7 | 9,579 | |
| 1984年(昭和59年) | 119.5 | 99.6 | 613.3 | 832.5 | 10,478 | |
| 1985年(昭和60年) | 121.4 | 103.3 | 625.3 | 850.0 | 10,692 | |
| 1986年(昭和61年) | 123.0 | 105.8 | 673.8 | 902.6 | 11,547 | |
| 1987年(昭和62年) | 121.5 | 110.7 | 694.4 | 926.6 | 11,893 | |
| 1988年(昭和63年) | 127.0 | 111.5 | 693.0 | 931.5 | 11,955 | |
| 1989年(平成元年) | 130.4 | 116.0 | 744.2 | 990.6 | 12,825 | |
| 1990年(平成2年) | 133.2 | 113.6 | 785.3 | 1032.1 | 13,572 | |
| 1991年(平成3年) | 137.9 | 114.0 | 777.2 | 1029.1 | 13,592 | |
| 1992年(平成4年) | 141.0 | 114.9 | 742.2 | 998.1 | 13,189 | |
| 1993年(平成5年) | 143.3 | 107.9 | 732.2 | 983.4 | 13,125 | |
| 1994年(平成6年) | 139.2 | 106.8 | 709.0 | 955.0 | 12,851 | |
| 1995年(平成7年) | 132.4 | 101.9 | 723.4 | 957.7 | 12,910 | |
| 1996年(平成8年) | 127.7 | 97.3 | 721.3 | 946.3 | 12,796 | |
| 1997年(平成9年) | 127.9 | 93.5 | 689.7 | 911.1 | 14,045 | |
| 1998年(平成10年) | 125.7 | 85.6 | 670.4 | 881.7 | 12,087 | |
| 1999年(平成11年) | 122.9 | 82.7 | 648.0 | 853.6 | 11,538 | |
| 2000年(平成12年) | 122.6 | 80.5 | 641.2 | 844.3 | 11,442 | |
| 2001年(平成13年) | 117.5 | 79.3 | 638.0 | 834.8 | 11,336 | |
| 2002年(平成14年) | 112.4 | 74.1 | 632.4 | 818.9 | 11,286 | |
| 2003年(平成15年) | 113.0 | 69.6 | 653.0 | 835.6 | 11,588 | |
| 2004年(平成16年) | 118.8 | 70.8 | 610.9 | 800.5 | 10,909 | |
| 2005年(平成17年) | ||||||
| 2006年(平成18年) | ||||||
| 2007年(平成19年) | ||||||
[編集] 収入実績
箱根登山鉄道鉄道線の収入実績を下表に記す。表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
| 年 度 | 旅客運賃収入:千円/年度 | 運輸雑収 千円/年度 |
総合計 千円/年度 |
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|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 通勤定期 | 通学定期 | 定 期 外 | 手小荷物 | 合 計 | |||
| 1975年(昭和50年) | 89,222 | ←←←← | 767,635 | 1,212 | 858,069 | 55,857 | 913,926 |
| 1976年(昭和51年) | ←←←← | ||||||
| 1977年(昭和52年) | ←←←← | ||||||
| 1978年(昭和53年) | ←←←← | ||||||
| 1979年(昭和54年) | ←←←← | ||||||
| 1980年(昭和55年) | 131,661 | ←←←← | 1,152,894 | 1,516 | 1,286,071 | 83,104 | 1,369,175 |
| 1981年(昭和56年) | ←←←← | ||||||
| 1982年(昭和57年) | ←←←← | ||||||
| 1983年(昭和58年) | ←←←← | ||||||
| 1984年(昭和59年) | ←←←← | ||||||
| 1985年(昭和60年) | ←←←← | ||||||
| 1986年(昭和61年) | 187,186 | ←←←← | 1,756,192 | 0 | 1,943,378 | 101,559 | 2,044,937 |
| 1987年(昭和62年) | 113,927 | 79,905 | 1,806,824 | 0 | 2,000,656 | 96,819 | 2,097,475 |
| 1988年(昭和63年) | 119,446 | 87,019 | 1,815,908 | 0 | 2,022,373 | 101,379 | 2,123,752 |
| 1989年(平成元年) | 124,249 | 89,111 | 1,933,488 | 0 | 2,146,848 | 129,002 | 2,275,850 |
| 1990年(平成2年) | 130,018 | 90,092 | 2,020,265 | 0 | 2,240,375 | 145,010 | 2,385,385 |
| 1991年(平成3年) | 136,201 | 82,090 | 2,017,835 | 0 | 2,236,126 | 138,625 | 2,374,751 |
| 1992年(平成4年) | 143,465 | 85,222 | 2,062,057 | 0 | 2,290,744 | 127,976 | 2,418,720 |
| 1993年(平成5年) | |||||||
| 1994年(平成6年) | |||||||
| 1995年(平成7年) | |||||||
| 1996年(平成8年) | |||||||
| 1997年(平成9年) | |||||||
| 1998年(平成10年) | 153,453 | 91,344 | 2,116,822 | 0 | 2,361,619 | 147,133 | 2,508,752 |
| 1999年(平成11年) | |||||||
| 2000年(平成12年) | |||||||
| 2001年(平成13年) | |||||||
| 2002年(平成14年) | |||||||
| 2003年(平成15年) | 149,188 | 66,778 | 2,182,954 | 0 | 2,398,920 | 149,924 | 2,548,844 |
| 2004年(平成16年) | 160,030 | 67,895 | 2,108,601 | 0 | 2,336,526 | 158,647 | 2,495,173 |
| 2005年(平成17年) | |||||||
| 2006年(平成18年) | |||||||
| 2007年(平成19年) | |||||||
[編集] 車両
箱根湯本駅 - 強羅駅の区間は、最大80‰の急勾配と地形に沿った非常に急なカーブを持つ路線を走るため、電車には下記のような特殊装置が備えられている。
- レール圧着ブレーキ(空気圧により作動し台車からカーボランダムのブレーキシューをレールに押付け圧着させるブレーキ)[3]
- フランジ磨耗防止散水装置(急カーブでの車輪の踏面にあるフランジの磨耗を防ぐため、急カーブ通過時に車両の両端にある360Lの水タンクから水を車輪の踏面に散水する装置、操作は運転士による操作)[3]
また、急勾配や急カーブを通過中の列車からの転落事故を防止するため、同区間を走行する電車では、車両間の貫通路の通り抜けは非常時を除き原則禁止となっている。
[編集] 現用車両
- 箱根登山鉄道車両(強羅 - 入生田間のみ。箱根湯本 - 入生田間は回送のみ)
- 小田急車両(小田原 - 箱根湯本間のみ)
- 60000形「MSE」(6両編成のみ)
- 50000形「VSE」
- 30000形「EXE」(6両編成のみ)
- 20000形「RSE」
- 10000形「HiSE」
- 7000形「LSE」
- 5000形・5200形
- 8000形(4両編成のみ)
- 1000形(4両編成のみ)
- 2009年3月のダイヤ改正に合わせて、箱根登山線内の折り返し運用に使用される4両編成3本について、車体外装を箱根登山鉄道の1000形・2000系に準じた赤色のものに変更した[15]。
なお、小田急の2000形は8両固定編成、4000形(2代目)は10両固定編成しか存在しないため、箱根登山鉄道に入線することはない。
[編集] 過去の車両
- 箱根登山鉄道車両
- 小田急車両
[編集] 列車番号
列車の列車番号は以下のように振り分けられている。
- 400 - 500: 箱根湯本 - 強羅(+6000は臨時)
- 小田急小田原線直通列車(すべて小田原 - 箱根湯本)
- 0000 - 0300: 特急はこね号
- 0400 - :特急メトロはこね号
- 0700 - : 特急スーパーはこね号
- 0900 - : 特急ホームウェイ号
- 7000 - : 各停
[編集] 過去に運行した列車の番号
- 100 - : 小田原 - 箱根湯本(+6000は臨時)
- 200 - : 小田原 - 強羅(+6000は臨時)
- 小田急小田原線直通列車(すべて小田原 - 箱根湯本)
- 0150 - :特急サポート号
- 停車駅:小田原、本厚木、町田、新宿
- 0200 - :特急サポート号
- 停車駅:小田原、新松田、本厚木、町田、向ヶ丘遊園、新宿
- 0340 - :特急サポート号
- 停車駅:小田原、秦野、本厚木、相模大野、新百合ヶ丘、新宿
- 1000 - :急行
- 停車駅:当路線内は各駅に停車
- 2000 - :急行
- 停車駅:当路線内と小田原 - 本厚木間は各駅に停車
- 4200 - :準急
- 停車駅:当路線内と小田原 - 登戸間は各駅に停車
- 6500 - :各停(新宿発着)
- 0150 - :特急サポート号
[編集] 駅一覧
- 凡例
- 停車駅 … ●:停車、|:通過。各駅停車は省略(全旅客駅に停車)。
- 線路(全線単線) … ◇・∧:列車交換可能(∧は終点)、◆:スイッチバック駅/信号所、|:列車交換不可、∨:ここより下は単線、(空欄):線路なし
| 架線 電圧 |
駅名 | 標高 (m) | 駅間キロ | 累計キロ | 特急 | 接続路線・備考 | 線路 | 所在地 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 標準軌 | 狭軌 | ||||||||
| 1500 V |
小田原駅 | 26 | - | 0.0 | ● | 小田急電鉄:小田原線(新宿駅(特急の一部は小田急小田原線経由東京地下鉄千代田線北千住駅)まで直通運転) 東海旅客鉄道:東海道新幹線 東日本旅客鉄道:東海道線・湘南新宿ライン(高崎線直通) 伊豆箱根鉄道:大雄山線 |
∨ | 小田原市 | |
| 箱根板橋駅 | 27 | 1.7 | 1.7 | | | ◇ | ||||
| 風祭駅 | 48 | 1.5 | 3.2 | | | ◇ | ||||
| 入生田駅 | 66 | 1.0 | 4.2 | | | | | ◇ | |||
| 箱根湯本駅 | 108 | 1.9 | 6.1 | ● | この駅で小田原方面と強羅方面は乗り換え | ◇ | ∧ | 足柄下郡 箱根町 |
|
| 750 V |
|||||||||
| 塔ノ沢駅 | 165 | 1.0 | 7.1 | ◇ | |||||
| 出山信号場 | 234 | 1.2 | 8.3 | ◆ | |||||
| 大平台駅 | 349 | 1.6 | 9.9 | ◆ | |||||
| 上大平台信号場 | 359 | 0.5 | 10.4 | ◆ | |||||
| 仙人台信号場 | 410 | 0.8 | 11.2 | ◇ | |||||
| 宮ノ下駅 | 448 | 0.9 | 12.1 | ◇ | |||||
| 小涌谷駅 | 535 | 1.4 | 13.4 | ◇ | |||||
| 彫刻の森駅 | 551 | 0.9 | 14.3 | ◇ | |||||
| 強羅駅 | 553 | 0.7 | 15.0 | 箱根登山鉄道:箱根登山ケーブルカー | ∧ | ||||
[編集] 過去の接続路線
- 箱根湯本駅:軌道線(1919 - 1935年)
- 箱根板橋駅:小田原町内線 - 小田原市内線(1935 - 1956年)
[編集] 発車メロディ
鉄道線(電車)では、主要駅において「箱根八里」の発車メロディが使用されている。発車メロディには3種類のバージョンがあり、それぞれイメージが異なる。詳細は箱根登山鉄道の項目を参照。
[編集] ギャラリー
-
大平台駅付近のスイッチバックの航空写真
国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を元に作成。
[編集] 脚注
- ^ a b c d e f g h 『鉄道ピクトリアル』通巻405号 p.117
- ^ “両陛下、臨時専用列車で箱根路(読売オンライン2010年5月24日付)”. 2010年5月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年5月26日閲覧。
- ^ a b c d 『鉄道ピクトリアル』通巻405号 p.118
- ^ a b 渡辺一夫『トコトコ登山電車』p34
- ^ a b 枻出版社『鉄道ひとり旅ふたり旅 1』p12
- ^ a b 渡辺一夫『トコトコ登山電車』p10
- ^ 枻出版社『鉄道ひとり旅ふたり旅 1』p11
- ^ a b 枻出版社『鉄道ひとり旅ふたり旅 1』p21
- ^ a b 枻出版社『鉄道ひとり旅ふたり旅 1』p17
- ^ 渡辺一夫『トコトコ登山電車』p20
- ^ 枻出版社『鉄道ひとり旅ふたり旅 1』p18
- ^ a b 渡辺一夫『トコトコ登山電車』p22
- ^ 枻出版社『鉄道ひとり旅ふたり旅 1』p26
- ^ a b 枻出版社『鉄道ひとり旅ふたり旅 1』p28
- ^ 「3月14日(土)のダイヤ改正より、箱根登山線内を運行する小田急通勤車両1000形のカラーリングを変更します」 (PDF) 小田急電鉄公式サイトニュースリリース
[編集] 参考文献
- 鉄道ピクトリアル通巻405号「特集・小田急電鉄」(1982年6月・電気車研究会)
- 西口靖宏・岸上明彦「箱根登山鉄道の車両と運転」。
- 渡辺一夫 『トコトコ登山電車』 あかね書房、1985年。ISBN 4251063961。
- 箱根登山鉄道株式会社総務部総務課発行 『すばらしい箱根 グラフ100』 箱根登山鉄道株式会社、1988年。
- 『鉄道ひとり旅ふたり旅 1』 枻出版社、2010年。ISBN 9784777916238。